奮戦記
【07.04.24】イラク特措法の延長による派兵継続は認められない
今日は衆議院本会議で、イラク特措法の延長について審議がおこなわれ、日本共産党から赤嶺政賢議員が質問しました。その要旨は次の通りです。
――イラク特措法は、米英がはじめた無法なイラク戦争とそれにつづく軍事占領に自衛隊を派兵し、これに日本が参加・加担するという軍事占領支援法です。
これは、武力による威嚇と武力の行使を禁止し、交戦権を否認した憲法九条を真っ向からふみにじる明白な違憲立法にほかなりません。
自衛隊は、ただちに撤退すべきであり、その延長は絶対に認められません。
米英による戦争開始から4年たちました。イラクの現状は、泥沼化そのものです。
無法な侵略戦争と占領支配、米軍がファルージャやバグダッドで繰り返してきた軍事掃討作戦は、イラク国民の反発と抵抗を生み、宗派間の対立や武装勢力の台頭など、事態の深刻化を招いてきました。
開戦以降、イラク人の死者は、イラク保健省によるっても15万人、イギリスの医学専門誌「ランセット」によると、人口の約2.5%にあたる65万人以上と推定されています。
米軍の死者もすでに3000人を超えています。
ところが日本政府は、いまだに「イラク開戦の判断は正しかった」と主張しつづけています。
小泉前総理は、米英による武力行使に対し、いち早く支持を表明しました。安倍総理も、いまだにこれを踏襲しています。
総理は「フセインが大量破壊兵器を持っていないことを証明する機会を生かさなかった」とイラク側に責任があるかのように言いますが、国際社会の圧倒的多数は査察の継続を求め、当時の国連査察委員会のブリクス委員長は「あと数ヶ月で結論を出せる」と述べていたのです。
それを一方的に打ち切り、国連安保理事会の合意もなしに、戦争にふみきった米英の責任は重大です。
戦争の最大の根拠とされたのが、大量破壊兵器の存在でした。
しかし、それがイラクになかったことは、米政府報告書ですでに確定しているのです。
旧フセイン政権が国際テロ組織アルカイダといっさい関係がなかったことも、昨年9月の米上院情報特別委員会の報告書が明らかにしています。
ところが日本政府は、いまだに「イラク開戦の判断は正しかった」と主張しつづけているのです。
ブッシュ大統領は、一昨年の12月に、誤った情報に基づいて開戦を判断したことを公式に認め、今年1月にもイラク政策失敗の責任が自らにあることを認めています。
当時米国務長官だったパウエル氏は、開戦前の国連安保理事会で「大量破壊兵器の保有」を強調したことを「生涯の汚点」と述べています。
そしていま、米国内でも、ブッシュ政権のやり方に反対し、米軍の撤退を求める声が多数を占めるに至っています。
昨年11月の中間選挙で共和党が敗北した下で、上下両院が来年3月末までの戦闘部隊の撤退完了を可決したのです。
イラクから、すでにスペインやイタリアなど15ヶ国が撤退し、イギリスも今年2月、部隊の一部撤退にふみだしているのです。
世界が撤退を議論している中で、なぜ自衛隊派兵の2年延長を決定したのでしょうか。
いま必要なことは、期限を切った多国籍軍の撤退であり、イラク国民の国民的和解と融和に向けた国際社会の協力と外交努力です。
ところが安倍総理は、憲法改正を掲げる一方で、集団的自衛権行使の解釈見直しを提起したのです。
イラクの復興に逆行し、国連憲章と憲法九条をふみにじる自衛隊のイラク派兵は、ただちに中止し、イラク特措法は廃止すべきです。