奮戦記
【07.03.28】外務委員会で「ローマ規程」について外務大臣に質問
今日は、外務委員会で質問しました。
提案されているICCローマ規程(国際刑事裁判所に関するローマ規程)の締結は、国際社会において武力紛争が絶えず、戦争犯罪や人道上看過できない惨害がくりかえし引き起こされてきた状況下で、重大犯罪を処罰しその根絶をめざすものであり、重要な制度だと思います。
日本は、憲法にある国際平和の実現をめざす立場からも、ICCに加入し積極的に役割を果たすべきです。
私は、まず麻生太郎外務大臣にききました。
日本は規程を採択した1998年のローマ会議の最終合意文書に署名し、その際、こう言っていました。「国際社会の長年の悲願であったICC設立を全面的に支持する」と。
また、そのローマ会議のなかで、日本代表〔小和田大使〕は、「ICCは国際機関として形成すべき。それには、関係国すべての協力がなければならない」「普遍的な参加を基礎として設立されるべき」「裁判所が効果的に機能するかは、国際的な協力と各国の司法協力にかかっている」と言っています。
たいへん前向きの姿勢です。私は、外務大臣に「日本のこの立場は、いまも変わらないか」と、聞きました。外務大臣は、「変わりません」と答えました。
ところが、今年、閣議決定によって加入を決めるまで、じつに9年近くもかかっているのです。その間に署名開放期間が過ぎ、規程は5年前に発効してしまいました。
今になって、ようやく「加入」するわけだが、初期の立場からすれば、率先して署名し、開放期間のときに批准に努力し、規程の発効をすすめる立場に立つべきだったのではないでしょうか。
それは、当初表明した立場に反するのではないでしょうか。
外務大臣は、ひとつは、規程の内容や各国における法整備の状況を精査し、国内法令との整合性について必要な検討をおこなってきたこと、ふたつは、予算がともなう(平年度30億程度)こと――この2点をあげました。
そんなことに、8年も9年もかかるのでしょうか。まったく、信じられません。
私は、その背後にアメリカとの関係があるのではないかと思います。
というのは、アメリカ政府は、このローマ規程にきわめて不熱心だからです。
ICC規程について、クリントン前大統領は規程に署名しながら、「規程には著しい欠陥がある」として批准しようとしなかった。
その理由は、ICCができれば、自国の兵士等が「戦争犯罪」などで訴追されかねないというものでした。ブッシュ大統領もICCに反対し、署名の撤回を表明しました。
米兵が裁かれるのは都合が悪いから撤回するというのは、あまりに不誠実な態度です。多国間協定において、署名が撤回された前例はきわめてまれです。
それだけでなく、アメリカがとっている行動もまったく理解できません。
2002年に、ローマ規程が発効の段階を迎えると、米国は多くの国と二国間協定を締結しはじめたのです。
それによって、各国によるICCへの米兵の引渡しをさせないしくみを広げてきたのです。明らかに規程の骨抜きです。
昨年8月の米議会調査局の資料によると、既に100本にのぼっています。米国はICC締約国かどうかに関わらず今後も協定を広げる方針だというのです。
結局、日本政府は、アメリカに気兼ねして、ようやく9年もたって規程に加入するという消極的な姿勢になったのではないでしょうか。
麻生外務大臣は、「アメリカにも、この規程に入った方が得だと伝えたい」と答えました。