奮戦記
【06.06.09】政治倫理公選法特で在外投票制度について質問
今日は、政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会で質問しました。
与党から提案された法案は、主としてイラクに派遣された自衛隊員に対して投票権を付与するための「公職選挙法の改正案」です。
私は、以下の内容の質問をしました。――
与党の提案理由説明では「選挙権が国民にとって重要な参政権の一つであることから、できうる限り、国民すべてが選挙権を行使できる環境を整備する必要がある」と説明しています。
ところが法案では、対象を「特定国外派遣組織」の自衛官などや南極観測隊に限っています。
南極観測隊についていえば、1999年に洋上投票の制度が設けられたときに、当然、想定できたものではないでしょうか。当時、国会で南極観測隊の投票について、どんな議論があったのでしょうか。
私のこの質問に対して、総務省は「そのような議論はなかった」と答弁しました。
イラクに派兵した自衛隊員に投票権の行使を保障することを優先させ、そのついでに南極観測隊にも投票権の行使の機会を与えるということになっているのです。
発想が逆ではないでしょうか。
じっさい、法案には「特定国外派遣組織」という新しい規定を導入しています。
そのほとんどが自衛官ですが、こちらは投票箱まで持ち込んで国政選挙だけでなく、地方選挙も対象となる「不在者投票」扱いにしています。
しかし南極観測隊のばあいは、衆院総選挙・参院通常選挙に限られる「洋上投票」の扱いなのです。
こういう差別的な扱いをした理由は、地理的に遠いとか技術的に無理などと説明しています。
しかし、それは理屈になりません。
この科学技術の発達した時代に、選挙の公正・公平を確保し国民に投票する機会を平等に保障できるように、いろんな方法を検討すべきです。
現行の在外投票制度は、国外に3ヶ月以上住んでいて、在外選挙人名簿に登録されている者を対象としています。
イラク派遣の自衛隊は、3ヶ月ローテーションで交代していますから、在外投票制度では投票できません。
今回提案された法案は、それを投票できるようにするというものです。
しかも、政令で対象を広げることができ、一時的に海外で軍事訓練をする者も入れることができるのです。
これまで国会では、ビジネスによる出張者も含めるべきだという議論がなされてきました。
ビジネスで住所を移動せず数ヶ月も出張している人々はたくさんいるのに、それを対象とせず、自衛官だけ対象にするのは平等な扱いではありません。
また、国の仕事=公務で国外に派遣されるのが公務員です。公務員をなぜ対象としなかったのでしょうか。
国外出国者が1680万人もいるなかで、ごく一部の1200人には投票権を認め、あとは対象外だというのでは、国民の選挙権を等しく認めるということにならないのではないでしょうか。
昨年9月の最高裁大法廷の判決は、「国が国民の選挙権の行使を可能にするための所要の措置を執る」必要があるとしています。
コストがかかるというなら、「民主主義のコスト」だという理由で320億円もの政党助成金を出しているのをやめて、国民の投票権を保障するのがスジではないでしょうか。
選挙権の問題でいえば、18歳選挙権の問題もあります。
私は、「世界で、選挙権の年齢が20歳以上の国、20歳未満の国はそれぞれどれだけあるか、とくに18歳選挙権の国はいくつあるか」とききました。
これにたいして総務省の選挙部長は、選挙権の年齢が20歳以上の国は20カ国、20歳未満の国は157カ国と答え、18歳選挙権の国は日本以外のサミット参加国など149カ国もあると答えました。
18歳選挙権について、日本共産党は、党創立(1922年)時から国民主権と「18歳以上の全ての男女に対する普通選挙権」を掲げてきました。
答弁にもあったように、世界では18歳選挙権が大多数です。いまこそ、実現すべきではないでしょうか。
今回の法案は、この間、自衛隊のイラク派兵等が長期に及ぶもとで、海外派遣自衛隊員の投票権行使の保障を中心に、今国会、会期末ぎりぎりになって法案を提出したものです。
わが党は、自衛隊のイラク派兵は憲法違反であり反対です。そのため、即時撤退を主張してきました。そもそも海外派兵しなければ、自衛隊員の投票権の問題は発生しないのですから。
しかし、派遣された自衛隊員でも憲法上の個人の権利については、可能な限り保障しなければなりません。この立場から、この法案には賛成しました。
今後、さらに多くの人々の投票権の行使を認めるべきだと指摘して質問を終わりました。