奮戦記
【06.05.18】自民・公明が、医療制度改悪法案を本会議で採決
昨日の厚生労働委員会で、自民党・公明党の与党が審議を打ち切って強行採決をおこなったことに対し、野党は厳しく抗議し「差し戻して質疑をやり直せ」と要求しました。
しかし、与党側はまったく聞く耳を持たず、今日の本会議を一方的にセットして医療改悪法案の採決を強行しました。
日本共産党の高橋千鶴子議員は、そのことに抗議しながら、堂々と日本共産党を代表して反対討論を行いました。
以下、高橋議員の反対討論をご紹介しましょう。――
日本共産党を代表して、健康保険法及び医療法の一部改正案に対し、反対の討論を行います。
まず最初に、本法案は、国民のいのちと健康にかかわるきわめて重大な法案であるにもかかわらず、昨日の厚生労働委員会において、自民公明の与党が審議を打ち切り、採決を強行する暴挙をおこなったことに、強く抗議するものです。
小泉「構造改革」のもとで、国民健康保険の保険料を払えない世帯が増え、保険証の取り上げが32万件に達するなど、国民のいのちと健康が重大な危機に直面しています。
本法案は、医療給付費の削減を至上の命題として、高齢者を中心に患者負担を拡大し、都道府県に入院日数の短縮目標を義務付け、高齢者医療制度を創設して新たな負担増を打ち出すものであり、しかも、産科や小児救急をはじめとする地域医療の拡充、医師の確保や看護師の充足など、国民の切実な声である医療供給体制の充実とはほど遠い制度改悪となっています。
本法案に反対する第一の理由は、高齢者や重症患者への情け容赦ない負担増と医療の切捨てが強行されることです。
今年10月から、高齢者の窓口負担は現行の2割から3割になり、療養病床の食費・居住費も保険適用からはずされました。
また、新設される「高齢者医療制度」では年間6万円の保険料が年金から「天引き」され、滞納すれば保険証の取り上げもするというのです。
この負担増が、医療を必要とする患者の受診を抑制し、疾病を重症化させることは明らかであり、断じて容認することはできません。
反対の第2の理由は、療養病床を現在の38万床から6年間で23万床も削減することです。
この病床に入院している高齢者の多くは、もともと「受け入れ条件がないために退院が不可能な人たち」です。
政府は、病床削減では入院患者の追い出しにはならないことが「大原則」と弁解しますが、特養老人ホームの待機者が34万人を超え、療養病床にすら入れない高齢者がいるなかで、医療や療養を必要とする多くの高齢者が、施設から追い出されることは明らかです。
しかも、受け皿を増やすために、老健施設の基準を緩和したサテライト施設を認め、医師や介護職員をはじめ、調理室なども置かないことができるとするのでは、入所者の安全も安心もまったく保障されないことになります。
反対の第3の理由は、保険のきかない医療を拡大し、安心してかかれる保険医療をゆるがす仕組みを導入したことです。
低い医療費は保険適用からはずすという「保険免責制度」は今回見送られましたが、「特定療養費」制度を改変し、高度先進医療だけでなく「必ずしも高度でない先進医療」にも「混合診療」を拡大します。
また、差額ベットはもちろん「制限回数を超える」医療行為なども保険がきかない医療とします。
これでは、高額な医療費を払えない人は、結局、満足な治療も受けることができず、「貧富の格差がいのちの格差を広げる」ことになります。
本法案では、生活習慣病の健康診断や保健指導を義務づけますが、これもアウトソーシングを可能にしました。
このような、国民のいのちと健康をまもる医療の分野にまで「営利優先・弱肉強食」を持ち込み、公的医療制度を土台から破壊・解体しようとする暴挙は、断じて許すことができません。
すべての国民は、貧富にかかわりなく、医療を受ける権利を持っており、国はその権利を保障する義務を負うべきです。
この立場に立って、日本の医療を立て直すことこそ、いま強く求められていることを指摘して、反対討論とします。