奮戦記
【05.08.02】偽造カードで参考人質疑、紙幣で日銀総裁に質問
今日の財務金融委員会では、はじめに偽造カードで参考人のご意見をききました。参考人として出席された方は、東大大学院法学政治学研究科教授の岩原紳作さん、被害者弁護団・弁護士の野間啓さんです。
私は、偽造・盗難カードだけでなく、盗難通帳・印鑑も含めるべきだと主張し、ご意見をうかがいました。お二人の参考人とも、基本的に同意していただき、法案再改正への期待も表明されました。
視覚障害者が識別しやすい紙幣にすべきだと日銀総裁と財務省に質問しました
つづいて日銀の「通貨及び金融の調節に関する報告書」に対する質疑のなかで、視覚障害者が識別しやすい紙幣(お札)にすることについて、日銀総裁と財務省に質問しました。
私は、視覚障害者にもきちんと「識別できる紙幣」にするよう求めました。
答弁に立った日本銀行の福井俊彦総裁は、新旧5000円と2000円紙幣の長さに1ミリの差しかないことについて「1ミリの差は、小さすぎると言われればその通りだと思います。今後の工夫の余地がある点だと思います」と答えました。
当たり前のことですが、お金を正しく数えられるということは、誰でも生活するうえで絶対に必要な条件です。視覚障害者は全国で39万人おられますが、この方々にとっても、それは同じです。
私は、これらの新札を発行するに当たって、視覚障害者の要望を、どの段階で聞いたのか。そのさい、どのような要望が出されたか、とききました。
財務省の浜田理財局次長は、わかりやすい識別マークやインクの盛りの高さ、お札の大きさなどについて要望があったとのべました。
しかし、お札の長さや幅について区別しやすいようにという意見については、どのように採用されたのかとききました。
これにたいして、財務省は、識別マークやインクの盛りなどで対応したと答えました。ようするに、お札の大きさについては、対応できなかったということです。
「東京視力障害者の生活と権利を守る会」(東視協)では、2千円札の出回りから1年を期に2000円札を中心にアンケート調査をおこない、2001年12月に公表しました。
その結果を紹介すると……。
――「識別に時間がかかる61.4%」「金額をまちがう51.5%」「おつりなどが間違っていると思っても相手に言えない30.7%」「領収書など他の紙片と間違う27.7%」など紙幣使用にバリアがある。
――「1万円といって千円札をわたされた」。「売り上げとして受け取った中にお札と同じ大きさの白紙が2枚入っていた」。視覚障害者同士の金銭の授受の際に「紙幣と勘違いして領収書を渡してしまった」。「1万円札のつもりが千円札を渡してしまった」など識別できない紙幣に関わる失敗例が、たくさん出されています。
昨年11月に、新札が発行されていっそう混乱しています。新札が発行されても旧札が廃止されずに残るからです。
いま、7種類のお札を識別マークだけで判断するのは難しいのです。これも新たなバリアとなっています。
現在、発行されている日本のお札は7種類。旧札とあわせて22種類のお札が使用可能(有効)となっています。
たった1ミリ違いで、156ミリの新5千円札、155ミリの旧5千円札、154ミリの2千円札が存在しています。
1ミリや2ミリでは、長さ区別できません。新5千円札を四つ折りにして、伸ばして比較すると2千円札の長さはほとんど同じになってしまうのです。
識別マークも、よれよれになったお札では分かりません。中途失明者や糖尿病などで手の感覚が敏感でない人には判別できません。
ヨーロッパを中心とするユーロ紙幣は、2002年1月1日に発行されました。
ユーロにおけるバリアフリーは徹底しています。
ユーロ紙幣では、5ユーロから100ユーロまでのお札は、縦も横も5〜7ミリずつ長さが違います。200ユーロと500ユーロは、長い方だけが違うようになっています。
これでも、ATMで紙幣をきちんと扱っているのです。
色でもハッキリ識別できます。
弱視の方やお年寄りにも判別しやすいものになっています。
今後、新札を発行する際の参考にすべきです。
私は、2千円札について、こう提案しました。
――混乱しやすいとして国民の間で評判が悪く、最近あまり見かけなくなっており、多くの視覚障害者にとっても深刻なバリアになっています。
したがって、無理に流通させるのではなく「2000年九州・沖縄サミットの記念紙幣」として残し、今後は発行を凍結すべきです。
委員会が終わると、他党の議員から「いい質問だった」「私も札を間違えたことがある」などと声をかけられました。
委員会終了後、議員面会所で視覚障害者の皆さんと懇談をしました。
お札の問題を視覚障害者の立場から始めて質問したこと、日銀総裁や財務省から前向きの答弁があったことなど、大変喜んでいただきました。
今後も、引き続き取組を強めていきたいと思います。