アドレス(URL)を変更していますのでブックマークされている方は変更してください。
<< ホームへ戻る

奮戦記

【05.06.15】ノウハウもないのに元本保証のない運用をするのか

写真

 今日は、郵政民営化特別委員会で、小泉総理と竹中大臣に以下のことをただしました。

写真 郵便局は身近で役に立つ存在で、とくに、国民の零細な資金を安心して預けることができるのが郵便貯金です。

 いちばん多いのは200万円程度の貯金で、家族のなかで誰かが利用しています。

 貯金の目的として一番の多いのは、「老後のため」、「不慮の災害や病気にそなえて」というものです。

 この国民の大事な財産である貯金を、安全・確実に運用してしっかり守る。――そういう金融サービスを、すべての国民が受けられるようにするというのが、政府の大切な責務ではないでしょうか。

写真 この問いについては、小泉総理は否定できませんでした。

 しかし、小泉内閣が「民にできることは民に」のスローガンのもとで、郵政民営化法案をごり押ししようとしているもとで、国民のなかに「民営化して一般銀行のようになったら、身近なところでそのサービスが受けられなくなるのではないか」という不安が広がっています。

 私は前提として、貯金事業が民営化した場合と、公社を維持した場合、採算の見通しを示しました。

 民営化した場合、骨格経営試算で郵便貯金銀行の2016年度の利益は、厳しい金融環境になった場合の数字を示しすよう求めました。

写真 これにたいして、竹中大臣は「600億円の赤字になる」と答えました。

 では、郵政公社が続いた場合はどうでしょうか。預金保険料も手数料への消費税も払わなくてすむので、コストは1983億円少なくてすみ、1383億円の黒字になるのです。

 竹中大臣は、この数字も認めました。

 私は、パネルを示して、2016年には、公社のばあい1383億円の黒字がでる(納付金をおさめた後でも692億円の黒字)。民営化された郵貯銀行のばあいは、600億円の赤字になり法人税も払えなくなる、と指摘しました。

写真 つまり、郵政公社のばあいは黒字でやっていけるが、民営化された郵便貯金銀行は、2016年度以降もずっと赤字が続くというのが民営化準備室の試算なのです。

 これでは、わざわざ赤字にするために民営化するようなものではありませんか。

 小泉総理は、6月3日の答弁で、なぜ公社ではダメかと聞かれて、「公社でやる限りは制約があります。……資金運用においても安全を重視しますから、なかなか、ある程度収益は上がるけれどもリスクをとるという場合につては運用しにくい」と述べました。

 「リスクをとる」とは、どういう意味でしょうか。

写真 金融庁の「検査マニュアル」(「信用リスクに関する検査に係るチェックリスト及びマニュアル」)には、こう書いています。

 ――「信用供与先の財務状況の悪化等により、資産(オフバランス資産を含む)の価値が減少ないし消失し、金融機関が損失を被るリスクである」と。資産の価値がなくなって金融機関が損失を被るリスクのことです。

 金融担当大臣も、このことを認めました。

写真 民間銀行のホームページでも「信用リスク管理」の解説があり、こう書いています。

 ――「信用リスクは、(銀行が)保有する最大のリスクであり、信用リスクの管理が不十分であると、リスクの顕在化に伴う多額の損失により経営に甚大な影響を及ぼしかねません」と。大変危険なものだということです。

 儲かるときは大きいが、失敗すれば大損する。――「リスクをとる」ということは、簡単に言えば、そういうことなのです。

 しかしいま、国民が求めているのは、そういうものではありません。

写真 安心して預けることができる貯金ではないか。利幅が少なくてもいいから「堅実で安心できる運用をしてほしい」ということです。

 民営化して実施するという「新規事業」の内容は何でしょうか。

 民営化準備室の資料によると、「段階的に貸付その他の信用リスクを取る業務を拡大し」、その残高を「35兆円」にすると書いていますが、そんなことができるでしょうか。

写真 運用先としてあげているのは、「貸付、シンジケートローン、私募債、株式、クレジット・スワップ、CDO、ABSなど証券化関連商品、ファクタリング(債権買収)、ローン・パーティシペーション、保証業務」など。……聞いただけでは分からない、頭が痛くなるような複雑で投機的なものを含む運用先です。

 もともと郵貯銀行は、こんな運用はやったことがありません。それができる人材もノウハウもほとんどないのです。

 私はききました。「ここにあげられている運用先のなかで、元本割れが絶対に発生しないものはどれか」と。

写真 竹中大臣は、「元本割れが絶対に発生しない運用先はない」と答えたのです。
 ベースが赤字のうえ、ノウハウもないのに元本も保証されないような運用をやるなど、バクチのような話です。

 結局、35兆円もの資金運用の大半を、投資顧問会社や金融機関などにゆだねる以外にありません。
 庶民の零細な貯金が食い物になるだけです。

 運用に失敗して郵貯銀行が破たんしたら、ユニバーサルサービスもズタズタになる。膨大な税金も投入しなければならない。そんなリスクをおかしてまで、なんで民営化しなければならないのでしょうか。

写真 結局、郵貯・簡保など340兆円の国民の資産を日米の巨大資本に明け渡すことになるのです。

 公社のままだと、今から15年先までずっと黒字が続くのです。
 確かに、利益は多少減るかもしけないが、安定した経営ができます。政府の試算でも、そうなっています。

 不十分なところはきちんと改革し、国民が安心できるサービスを提供する。……そうすれば、公社で将来に渡って確実にやっていけることが、今日の質疑で明らかになりました。

 私は、郵政民営化法案は廃案以外にないと述べて、質問を終わりました。



写真

Share (facebook)

このページの先頭にもどる