奮戦記
【05.05.28】ミンダナオ島の旧日本兵と侵略戦争美化について
フィリピンのミンダナオ島で、旧日本兵とみられる男性2人が現地当局に保護され、帰国を希望しているという報道があり、衝撃を広げました。
山岳地帯で終戦を迎えたため、引き揚げに間に合わずそのまま現地で生活していたとみられており、ほかに数人いるといわれます。
所属していた旧陸軍第30師団というのは、陸軍最後の現役師団で16個の部隊などで構成され、終戦までの1年で500キロにおよぶ行軍を強いられたそうです。
その戦死者は、1万2000人を超えたそうです。――この方々も、侵略戦争の犠牲者です。
それにしてもこのような時期に、自民党の森岡正宏厚生労働政務官の発言はひどすぎます。
盛岡政務官は、26日昼の自民党代議士会で靖国神社参拝問題に関連して、日本は「ルールにのっとって戦争をした。A級戦犯は罪人ではない」などと過去の侵略戦争を正当化する発言をしました。
これは、まさに侵略戦争美化の発言であり、許されるものではありません。
靖国神社に合祀(ごうし)されているA級戦犯を裁いた東京裁判で、侵略戦争の指導者が裁かれた東京裁判を日本が受け入れて講和条約を結び、戦後の国際社会に復帰したのです。
あの戦争を指揮した人々が犯罪者でないというなら、侵略戦争は正義の戦争だったことになってしまいます。
そうなれば、戦後の国際秩序を否定するものになり、現にアジアからの批判も強まっています。
中国国営新華社通信は今日、「戦争被害国の強烈な憤慨と厳しい非難を引き起こすのは必至だ」とする論評を配信しました。
そして「日本指導者は口先では中日友好発展の必要性を唱えながら、中国人民の感情を引き続き傷つけている」とし、「本当に平和発展の道を歩むのか、懸念を抱かざるを得ない」と反発しています。
来日中の韓国の鄭東泳統一相も、都内で開かれた国際会議で講演し「日本は未来ではなく過去を見ている。共存の意思を見せるべきだ」と語り、小泉首相の靖国神社参拝に代表される日本政府の歴史認識を批判しました。
過去の歴史問題の解決は、日本のアジア外交で不可欠の課題ではないでしょうか。