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奮戦記

【05.05.26】塩川議員が郵政民営化法案を本会議で厳しく批判

 与党が、本日の衆議院本会議の開会を強行しました。民主党と社民党は、本会議をボイコットしましたが、日本共産党は出席して郵政民営化法案の内容を厳しく批判しました。

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 小泉総理大臣や竹中大臣による郵政民営化法案の趣旨説明については、自民党席からも、しらけムードがただよってきました。

 しかし、いちばん熱心に拍手していたのは、隣りに座っている公明党の議員でした。まことに奇妙な光景です。
 私たちは、徹底審議のためにも全党の参加が必要であり、そのための努力を議運委員長・与党側に要求してきました。そして、民主党にたいしては審議拒否には道理がないと指摘してきました。

写真 郵政民営化法案の問題点を、徹底審議を通じて国民に明らかにすることこそ、国会の責任です。

 結果的に、今日は全党出席での審議入りとなりませんでしたが、徹底審議で廃案に追い込むことが私たちの基本方針です。

 この立場から、本会議では日本共産党の塩川鉄也議員質問に立ち、民営化法案の内容に即した厳しい質問をおこないました。これにたいし、自民党席から郵政民営化に反対する議員の拍手があったのが印象的でした。

特別委員会の強引な運営を批判しました

写真 特別委員会の審議入りについても、私たちは、与党の一方的で強引な運営を批判してきました。
 特別委員会で、日本共産党の塩川鉄也議員は、徹底審議のため以下のことを要求しました。

・45名の委員によって委員会を構成し多角的な審議をおこなうこと。
・審議は、郵政民営化を主導している総理の出席を義務付けること。郵政担当、総務、金融、財務、国土交通、官房の各大臣(推進本部の正・副本部長)は常時出席とすること。その他要求大臣の出席を確保すること。
・参考人招致、公聴会・地方公聴会開催など、広く国民、地方の声を聞く場を設定すること。
・法案の骨格にかかわる資料を提出すること。
・以上により充実・徹底した審議をおこなうこと(あらかじめ出口を決めないこと)。

塩川鉄也議員が本会議でおこなった質問

写真 塩川鉄也議員が、衆院本会議でおこなった質問は以下の通りです。

 私は日本共産党を代表して、郵政民営化関連法案について、小泉総理に質問します。

そもそもなぜ郵政事業を民営化する必要があるのか、このもっとも根本的な問題について、総理はいまだに国民に納得できる説明をしておりません。

 国民にとって、郵便局は、身近にあって便利な存在です。郵便局は、貯金や年金の受け取りなど国民生活に不可欠なサービスを全国あまねく提供しています。また、土日でもATM手数料がかからないなど、現在の郵便局のサービスを多くの国民が評価しているのであります。現に有効に機能している郵便局システムを解体し、なぜ民営化する必要があるのでしょうか。

 政府は、民営化の理由として、郵政事業が肥大化して民業を圧迫していると言ったり、現行のままだとジリ貧で郵政公社がたちいかなくなるから民営化が必要だと言うなど、百八十度ちがう支離滅裂な説明をしています。

 このような説明では、国民はまったく理解できません。だから、多くの国民が「身近な郵便局がなくなるのではないか」と懸念し、四十七都道府県議会をはじめ、ほとんどすべての地方議会が民営化に反対する意見書を採択しているのであります。

 総理の民営化論は、国民の理解をまったく得ていない、このことをまず指摘して、質問にはいります。

写真 本法案は、「民間にできることは民間にゆだねるべきだ」という小泉総理の主張にもとづき昨年九月に閣議決定された「民営化の基本方針」の実行を目的としています。

 そこでまず、「基本方針」で掲げている民営化の三つのメリットについてお聞ききします。

 「基本方針」は、民営化の第一のメリットとして、「利便性の向上」をあげています。しかし、実態はどうか。民間では、利益のあがらない店舗を撤退しているではありませんか。これに対して郵便局は、過疎地にも店舗を維持しサービスを提供し、民間にできない全国一律サービスを行っているのであります。民営化で利便性が向上するという理屈は成り立ちません。

 第二のメリットとして、郵政公社を民営化すれば、納税の義務が生じ、税収入が増えるといいます。しかし、現行の郵政公社は、利益の五割を国庫に納付する仕組みになっており、法人税より高率です。民営化の方が国の収入が増えるというのはまったく根拠がありません。

 さらに政府は第三のメリットとして、特殊法人等への資金の流れが変わることをあげていますが、これは政府がムダ使いをやめればすむ話です。
 結局、3つのメリットは、何のメリットでもないことはもはや明らかではありませんか、総理の答弁をもとめます。

写真 以下、法案にそくして質問します

 第一は、金融の全国一律サービス(ユニバーサルサービス)を投げ捨て、郵便局ネットワークをずたずたにしていくものだと言うことです。

 今回の法案は、これまで金融のユニバーサルサービスを提供してきた郵便貯金事業、簡易保険事業から、その義務づけをなくすものです。これでは、郵貯銀行・郵便保険会社が、郵便局でサービスを提供するかどうかは、経営判断にゆだねられることになるのではありませんか。

 また、郵便局の方にも、必ず金融サービスを提供しなければならいなという義務付けはありません。これで、すべての郵便局で、郵便貯金や保険のサービスが受けられるという保証が一体どこにあるのですか。明確な答弁を求めます。

 さらに、郵便貯金銀行と郵便保険会社の全株式を処分して、「完全民営化」するまでは、郵便局でサービスを提供する代理店契約を義務づけるとしています。しかし、その義務づけがなくなる二〇一七年四月「完全民営化」以降は、経営判断で、撤退可能になるのではありませんか。

 政府は、過疎地の郵便局で、金融サービスを維持するために、一兆円の基金を日本郵政株式会社に積み立てることを義務づけ、その運用益百二十億円を郵便局会社に交付すると言っています。しかし、それで、郵便局が現在提供している郵便貯金や保険サービスを維持できる保証はどこにあるのですか。明確な答弁を求めます。

写真 第二に、国民・利用者負担の増加とサービス低下の問題です。

 分社化したことによって、郵貯銀行や郵便保険会社は、業務の委託費を手数料で支払うことになります。

この手数料に対して消費税が発生します。この新たな国民負担額は、一体いくらになるのですか。

 また、民営化したことによって、郵便貯金には、預金保険料という新たなコストが発生し、郵便保険会社には負担金が発生します。郵便貯金銀行や郵便保険会社が新たに支払うことになるこれらのコストはいくらになるのですか。

 郵政公社を分割民営化することで、新たに発生するコストを最終的に負担するのは国民利用者にほかなりません。土日でもATM手数料が無料など、現在では、銀行より安い郵便貯金の手数料が値上げされない、銀行並みにならないという保証はどこにあるのですか。

 以上三点について答弁を求めます。

 また、現在の郵政公社でも指摘されているサービス低下がさらに加速することになるのではありませんか。普通郵便局によせられた誤配など、市民からの苦情は、現に増えているのではありませんか。

 郵政公社は、昨年十月から十二月のわずか三ヶ月のサービス残業調査で、五万七千人、三十二億円にのぼるサービス残業が行われていたことが明らかになっています。不払い労働によって現実のサービスが提供されていたのです。

 民営化によって人員削減を強行すれば、労働条件を悪化させるだけでなく、国民へのサービスがいっそう低下することは明らかではありませんか。明確な答弁をもとめます。

写真 第三に、今回の法案は、民営化後の制度がどうなるのか、制度設計の根幹さえ明らかになっていない欠陥法案だということです。審議の前提として、少なくとも次の三点について明らかにすべきであります。

 一つは、郵便局の設置基準の問題です。

 郵便局会社法案第五条で郵便局の設置基準は省令で定めるとしていますが、その基本すら明らかになっておりません。過疎地では、現に存するネットワークを維持するということが、四月四日の政府の「骨子」で示されているだけで、その「過疎地」の定義も、それ以外の基準も示されていません。

 これでは、郵便局会社には、一体、いくつの郵便局の設置義務が課されるのか全くわかりません。法案審議の前提として、政府は、この省令案を示すべきではありませんか。

 二つめは、郵貯銀行の代理店の問題です。

 二〇〇七年の民営化後は、郵便局が、郵便貯金業務を行うためには、銀行代理店となることが必要です。しかし、銀行代理店に兼業を禁じている現行の銀行法の規定のままでは、そもそも郵便局は銀行代理店となれずに、郵便貯金サービスを提供できないではありませんか。

 この規定を一体どう改めるつもりですか。それによっては、銀行代理店となれず、郵便貯金サービスが提供できない郵便局がいくつも誕生することになります。こんな重大な内容がなぜ示されないのですか、政府は、その内容を明確に示すべきであります。

 銀行代理店となった郵便局の業務に問題があった場合、金融庁は、これらの代理店に対して、現行の銀行法では、業務改善命令を出すことが出来ないのではありませんか。改善命令も出せずに、銀行代理店である郵便局にたいする監督責任がどうして果たせるのですか。

写真 三つめは、新しく設立されるそれぞれの会社の職員配置の問題です。

 法案は、職員が新会社に引き継がれることは示されていますが、それぞれの会社は、何人の職員を持って発足することになるのかいっさい明示されておりません。

 四〇万人にのぼる郵政労働者の配置基準も示さずに、どうして民営化会社の経営基盤を判断することができるでしょうか。
 例えば保険外交員の所属が保険会社になるのか、郵便局会社になるのか、この場で明確に答えるべきではありませんか。明確な答弁をもとめます。

 以上、政府が掲げた民営化の論拠は、本格的審議を前にして、ことごとく崩れているのであります。国民にとって「百害あって一利なし」、こんな法案は、撤回・廃案以外にないことを強調し、私の質問を終わります。

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