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奮戦記

【05.03.23】山家悠紀夫さんの『景気とは何だろうか』が面白い

 山家悠紀夫(やんべゆきお)さんの『景気とは何だろうか』(岩波新書)を読みました。

 景気をどう見るべきか。――この本は、1990年代半ばからの日本経済の構造的変化を分析しながら、この国民の素朴な疑問に正面から答えるものとなっています。

 山家氏は「回復が実感できない」のは、1997〜98年頃から「景気の構造変化」が起こったからだと指摘します。

 消費税引き上げなどの九兆円負担増が景気後退を招いたことは明らかですが、この時期を境に「構造変化」が起こったと山家氏は指摘します。

 これまでは、政府の景気浮揚政策などで「企業部門が良くなると、賃金の上昇、雇用の拡大などを通じてその良さは家計部門に伝わ」るメカニズムが働くという面もありました。

 しかし、この時期を境に「企業部門の回復が容易には家計部門には伝わらない」、景気が回復しても「暮らしが悪くなる」という事態が生まれました。

 統計上でも、生活が「苦しい」とする世帯が増え、賃金・就業者数も減り、自営業者が減少し、所得格差が拡大しています。

 山家氏は、この事態をまねいた「小泉改革」を厳しく批判しています。

 本書は、政府統計の特徴についても解説があり、主要な「景気循環」論の紹介など基礎的知識の習得もできます。

 私が、特にすぐれていると思うのは、「暮らしの視点から景気を見る」という姿勢で貫かれていることです。

 今後「暮らしが良くなるため」に必要なことは、所得が増えること(賃金の引き上げやサービス残業をなくす)、雇用が安定すること、年金・健保などで将来不安をなくすこと。――山家氏のこれらの提案は、私たちの政策方向とも基本的に合致するものです。

 山家氏は、今年の衆議院予算委員会の公述人として意見陳述をおこない、各党の質問に的確に答えるなど注目されました。

 今後、いっそう幅広い活躍を期待するとともに、本書が多くの方に読まれることを心から願っております。

予算が参議院を通過――日本共産党の反対討論

 来年度予算が参議院で与党の賛成多数で通過しました。日本共産党は、大門みきし参議院議員が反対討論を行いました。以下、その内容をご紹介します。

 日本共産党を代表して、反対の討論を行います。
反対する最大の理由は、景気と家計の現状を無視して国民に大負担増を押し付ける内容になっているからです。

 定率減税の縮小・廃止をはじめとする負担増が、景気や家計にどういう影響をもたらすのかが、本委員会の議論の焦点の一つになりました。
 しかし政府は、企業の利益が上がっているから、いずれ所得も家計もよくなるだろうという安易な答弁を繰り返すだけで、その具体的根拠を示すことはありませんでした。
 いくら企業利益が上がっても一人当たりの現金給与は下がり続けています。それは低賃金の非正社員が急速に増加し、正社員の給与も押え続けられているからです。

 総理はこの委員会で「企業も利益をあげたら、給与に回してほしい」という旨の発言をされました。ならばこの際、方向転換し、政府あげて所得を増やす対策を打ち出すべきです。青年が夢を持てる雇用対策こそ打ち出すべきです。

 また本委員会では、〇七年度からの消費税引き上げも議論になりました。
 わが党は、財源を消費税増税に求めるべきではないという立場です。しかし、たとえ将来の財源を消費税と考える人でも、景気が悪くなっては元も子もないというのは共通認識のはずです。

 増税だけで財政再建に成功した国はありません。景気の自律的回復の道筋のなかでこそ、財政再建もなしうるというのが世界の常識です。消費税の二ケタ増税は、いまの日本の成長力そのものを奪いとる規模の大増税であることを、冷厳に認識すべきです。

 いま政府がなすべきことは、この委員会でも指摘された大型公共事業のムダ使い、各省庁のムダ使い、軍事費のムダ使いなどを削り、予算をくらし支援の方向に抜本的に組み替え、家計をあたため国内、地域の景気をよくすることです。このことを強調して、反対討論とします。



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