奮戦記
【04.06.07】“年金一元化協議会”という誘い水のねらいは?
小泉首相は今日、年金制度改革関連法を「成立」させた次の手として、「社会保障全体の問題として与野党の立場を超えて、どうしっかりしたものにするかという協議会をできるだけ早く立ち上げたい」と述べたそうです。
これは、年金一元化の検討を含む与野党協議に、民主党を誘い込むことにねらいがあります。しかし、たいへん危険な誘い水です。
現状の枠組みのもとで、国民年金と、厚生年金・共済年金の保険料や給付水準の「一元化」をおこなえば、いったいどうなるでしょうか。
保険料の大幅な引き上げか、もしくは給付水準の引き下げになるだけです。
国民年金を被用者年金にあわせれば、事業主負担のない国民年金の保険料は数倍にはねあがります。
逆に、被用者年金を国民年金にあわせれば、被用者年金の給付水準を大幅に引き下げることになります。
そればかりか、財界が要求しているように、被用者年金への事業主負担をなくしてしまう入り口になりかねません。
日本経団連が昨年1月に発表した「奥田ビジョン」では、年金などの社会保険料の事業主負担をなくす方向を打ち出しています。
どちらにしても、国民にとってよいことは一つもないのです。
また、「3党合意」にもとづいてつくられた法案「修正」には、「社会保障制度全般について、税、保険料等の負担と給付の在り方を含め、一体的な見直しを行い」と明記されました。
「修正案」のいう“税の見直し”とは消費税増税以外の何物でもありません。消費税増税の推進がくっきり浮かびあがっているのです。
小泉首相の“年金一元化協議会”立ち上げという誘い水のねらいは、どうもそのへんにありそうです。――民主党は、この誘い水にのるのでしょうか。