奮戦記
【04.05.28】イラクで日本人ジャーナリスト2人が銃撃テロの犠牲に
本日未明、イラク中部のマーヤディーヤで、日本人のフリージャーナリスト2人を含む4人が乗った車が武装組織に襲撃されました。
日本人2人は南部サマワ取材の帰途だったといいます。
イラクでは昨年11月、大使館職員2人が殉職するテロ事件がありました。
民間人が犠牲になったのは、今回が初めてです。
銃撃された日本人は、フリージャーナリストの橋田信介さん(61)と、元NHKディレクターの小川功太郎(33)。2人は死亡したもようで、たいへんショックです。
4人が襲撃されたバグダッド南の郊外は、首都北部や西部のイスラム教スンニ派地域とならんで、武装組織による襲撃事件が頻発する地域となっています。
橋田さんは1970年代以降、ベトナム、タイなどのアジアを中心とした報道に携わり、戦地での取材経験も豊富なベテランジャーナリストでした。
私も、橋田さんの発言をテレビで見て、なかなか肝っ玉の据わったジャーナリストだと思っていました。
紛争地域に行くかどうかは「安全なら行かない、危険なら行く」という独自の解釈で決めるとし、「ニュースの中心にならないと、どんな映像を撮影してもお金にならない」とフリー・ジャーナリストの厳しさにもふれています。
橋田さんは昨年11月、イラクのファルージャで米軍と地元の武装勢力との戦闘に巻き込まれ、ガラスで左目にけがをしたモハマド・ハイサム・サレハ君(10)を日本に連れてくる計画を立てていたそうです。
橋田さんは、ある新聞に「今回もサマワに行くつもりだ。現地で失明した子供を日本に連れて帰りたい。6月1日までには戻りたい」と話していたといいます。
その矢先の出来事で言葉もありません。ほんとうに残念です。
橋田さんの妻、幸子さんは「ジャーナリストと結婚したので、覚悟していたつもりだ。本人も覚悟していた。本望だと思う」と気丈に話していたのが印象的です。
それにしても、日本政府の対応はどうでしょう。
外務省は、「イラクへの渡航はどのような目的であれ絶対に見合わせ、滞在する邦人は直ちに退避するよう改めて強く勧告する」という情報を流すだけです。
事態がますます深刻になっているとき、現場の危険な状況を伝えるジャーナリストを含め邦人を閉め出すことだけでいいのでしょうか。
このような危険な状況がなぜ生まれたのか。その原因を取り除くにはどうするか。それを明確にして行動するのが、政治の責任ではないでしょうか。
その立場から、あらためて自衛隊の撤退を強く求めたいと思います。