奮戦記
【04.03.23】日銀総裁に「通貨・金融」報告について質問しました
今日は、半年に一度、国会に報告される「通貨及び金融の調節に関する報告書」について、日銀の福井俊彦総裁に質問しました。
はじめに、日銀の超金融緩和政策と大規模な為替介入について質問しました。
政府の為替介入の規模は、この間、急速に拡大してきました。
外為特会の資金調達額は、予算によって限度額が設定されているのですが、円売り介入にともなう為替発行残高の増加に応じて、この限度額も大幅に引き上げられ、2004年度予算案では140兆円と、かつてない規模になっています。
実際の介入資金は、政府がFB(短期証券)を発行して調達しています。
しかし、これだけ規模が拡大すると、金融機関・機関投資家のFB購入のゆとりがなくなりますが、現在の局面では、日銀のかつてない量的金融緩和政策によって、事実上それを支えています。
現在の為替介入は、乱高下を押さえながら全体として円安に誘導する政策となっています。もちろん日銀が、直接、為替介入をおこなっているわけではありませんが……。
為替水準というのは実体経済の反映であり、為替介入は一時的に変化を引き起こすにすぎないのではないでしょうか。
私は、そこにはおのずと限度があると思うがどうか、と聞きました。
福井総裁は、それを認めました。
次に、景気回復について聞きました。
現在の「回復」現象は、輸出間連の一部大手企業の利益拡大とそれに関連する設備投資の拡大にすぎません。
経済の自律的回復の最大のカギは、内需の中心である個人消費がどうなるかが重要です。
日銀報告では「企業収益は、リストラの効果もあって引き続き改善した」とのべています。要するに、人減らし賃金抑制であげた「リストラ利益」ということです。
だから、日銀の報告書でも「完全失業率は総じて高水準が続くなど、家計の雇用・所得環境は、なお厳しい状況から脱するに至らなかった」と書き、「個人消費は、弱めの動きを続けた」と指摘しているのです。
日銀の資金循環統計によると、家計部門の金融資産取引額(四半期累計)は、2003年に入ってから、マイナス(処分超過)傾向で推移しています。
取引額の累計がマイナスということは、家計が金融資産を取り崩していることを意味します。
このような現状を踏まえた金融政策が、日銀に求められているのではないでしょうか。