奮戦記
【03.03.21】イラク戦争は、どこから見ても正当化できない
テレビをつけると、もっぱらアメリカの軍事行動がどこまで進んだか、この次はどう攻撃するか、という報道ばかりが目立つようになってきました。
しかし、私たちが真剣に考えなければならないのは、この戦争がはたして正当化できるのか、これからの世界秩序にどのような影響をもたらすのか、私たちはこれから将来に向けてどう行動すべきか。……この根本的問題ではないでしょうか。
目的はいったい何なのか
イラクが保有している大量破壊兵器を破棄させるという目的なら、国連の査察をさらに継続することが、もっとも有効な近道であるはずです。
しかし、ブッシュ米大統領は、演説で明確に言っているように、目的はただひとつ、フセイン政権を倒すためだ、というのです。「イラクが大量破壊兵器の査察と破棄に協力しなかった」というのは、戦争をしかけるための単なる口実にすぎませんでした。
だから、査察を強引に打ち切ってしまったのです。これは、国連査察を侮辱しもてあそぶものです。
重大なのは、小泉首相の姿勢です。
昨夜の衆議院本会議でも、「フセイン大統領の退陣」という政権転覆を目的にした米国のイラク攻撃を、小泉首相は「支持する」と表明しました。驚くべきことです。
第二次大戦後、このように公然と政権打倒をかかげて戦争を仕掛けた例はありません。武力行使は、(1)自衛のための反撃、(2)国連決議があったばあい――この二つしか認められていないのです。
それでも、日本は参戦できません。憲法9条をもっている国ですから。……
アメリカのイラク攻撃が正当化されれば、どうなるでしょう。
「この政権が気にくわない」「あの政権も嫌いだ」という口実で、どの国でもいつでも戦争を仕掛けることが可能となるでしょう。こんなことになったら、国連も存在意義を失い、世界が無法地帯とかしてしまうではありませんか。
その国の政権を選択できる権利を持っているのは、その国の国民だけなのです。
「北朝鮮問題を抱えているから」アメリカに協力するのか?
アメリカの武力攻撃支持を合理化する口実として、日本は日米同盟があり北朝鮮を抱えているからアメリカを支持しなければならない、という議論があります。
これは、あまりにも乱暴な議論です。
特定の国を「悪」と決めつけ、国連も国際法も無視して先制攻撃を仕掛けるアメリカの行動を認めることになれば、どうなるでしょう。
北朝鮮に対して、アメリカが先制的な軍事攻撃をおこなってもOKと言わざるをえなくなるではありませんか。
これが、北朝鮮の反撃を呼び起こし、日本とアジアを戦火のなかに陥れることになりかねません。こんな恐ろしい考えを、私たちは決して認めるわけにいきません。
いまもとめられているのは、北朝鮮の危険な挑発にのらず、まともなルールある国際社会にこの国を引き出し、危険性を封じ込めることです。
いま必要なのは、合意した「日朝平壌宣言」に北朝鮮が違反したとき、あるいはその徴候があったとき、「そのようなことをやれば北朝鮮がますます国際社会から孤立し不利になるだけだ」と厳しく指摘するとともに、平和的・経済的な手段を動員してこのような危険な動きを徹底的に封じ込めていくことです。
日本がなすべきことは、軍事的な対決をあおることではありません。
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