奮戦記
【03.02.24】100円玉の両替で、200円の手数料は“おかしい”!
今日の予算委員会は、午前中に経済問題についての集中質疑がおこなわれました。
私は、最近大きな怒りをよんでいる「銀行の不当な手数料引き上げ問題」をとりあげました。
私は、まずはじめに、総理に聞きました。
「東京三菱銀行にいって、両替機で100円玉1枚を1円玉100枚に両替すると、いくら手数料がかかると思いますか」?
私は「100円玉1枚の両替で、200円もとられるんです」と言うと、小泉さんは、「100円で200円? ほんと!」と、自席でびっくしていました。
私は「これは、正常な手数料だと思うか」と聞くと、小泉さんは「これはおかしいと思うのも無理ないですね」と答えました。
しかし、東京三菱銀行では、これを一週間前の2月17日からやりはじめたのです。どんな金額でも50枚を超える両替なら、一回について一律200円の手数料をとるのです。
1000円を1円に替えても、200円とられる。2000円を1円玉に替えても200円。
私たちのところに、ある業者のかたからこういう声が寄せられています。
――「零細なクリーニング屋の店主でございます。1円、2円という商売をしているので、消費税のためにお釣りの1円玉が必要です。手数料の200円は、1000円の2割ですよ。いつ潰れるかわからない零細な業者はそんな金出せないですよ。あれだけ銀行に税金をつぎ込んでおいて、われわれから手数料を取るとはどういうことですか。もう死ねということですか。私のような零細なものはどこへ両替に行けばいいんですか」(「赤旗」2月20日)。
これまで大手行では、店内に設置している両替機を使用する際の手数料は無料でした。
ところが、一週間前から東京三菱銀行が1回当たり200円の手数料をとりはじめました。それにつづいて、UFJ銀行も「両替機での手数料徴収も検討していく」といっています。
三井住友銀行も「有料化について検討していく」と、つぎつぎと有料化していく方針です。
このクリーニング業者の声にあるように、商売をしていれば、釣り銭のための両替は日常的に必要となるのです。
私は「零細業者は、ギリギリのところで営業をやり生活している。こういう人たちの声も聞かないで、いきなり手数料を取り立てる。優越適地位の乱用だ!あまりにも一方的ではないか」と追及しました。
小泉さんは「どうして、こちらは安い手数料ですから来て下さいという銀行が出てこないのか」といいました。
●窓口の両替手数料も、いっせいに一方的に引き上げ
問題は、両替機で両替する場合だけではありません。窓口での両替は、すでに軒並み有料化されています。
住友銀行が先頭を切った。その後、他の大手行も次々と有料化していきました。
2000年10月に住友銀行が有料化すると、2001年5月に東京三菱銀行、7月にはあさひ銀行と三和銀行、8月に富士銀行、9月に第一勧業銀行と続きました。
小泉内閣になって、わずか1年に満たない間に、おもだった都銀が有料化で横並びしているのです。とんでもないことです。
●ATM手数料のいっせい引き上げ
手数料の値上げは両替だけではありません。
いままでは、土曜日の午前から昼間にかけては、ATM(現金自動預け払い機)の利用は無料でした。
ところが、それを有料にする動きが、UFJ銀行を皮切りに大手銀行のなかであいついでいます。
そこで、私は公正取引委員会に聞きました。
「公正取引委員会は、 土曜日のATM有料化をめぐって、調査をすすめると財務金融委員会や記者会見で述べています。公取は、どのような観点から調査が必要だと判断したのか、公取委員長の答弁を求めたい」。
公正取引委員会のは「独禁法に照らして問題がないか検討している。事実関係の把握につとめている」とのべました。
私は、「調査中ということだが、結論はいつ頃出るのか」と聞きました。
公取委員長は、「2月中に中間的な結論を出したい」と答えました。
●異常な低金利を続けながら、手数料を一方的に引き上げ
手数料だけはどんどん引き上げられるが、その方で、預金者は大変な低金利を強いられています。
私は、資料を配布しました。――ひとつは、預金利息の推移をグラフにしたものです。預金金利は、90年代どんどん下がり、現在では0.003%にまで達しています。
10年ほど前は、100万円預けると1年で3000円〜4000円の利子が付いたものです。ところが、いまでは100万円預けても30円しか利子がつかないのです。
その利子も、土曜日にATMを1回利用したら、105円取られます。3年分の利子がいっぺんに吹き飛んでしまう。預金者の怒りは当然です。
1992年度には都市銀行は、預金者に対する利息の支払いに、11兆4130億円を費やしていました。ところが2001年度になると、なんと1兆2631億円にまで下がっているのです。
一方、手数料収入を示す「役務取引等収益」は、90年代を通して増え続け、経常収益に占める割合は、92年度の3.1%から9.5%へと3倍以上になっています。
これらの数字は、金融庁も認めました。
銀行は、預金利子をどんどん引き下げてもうけをあげる一方で、手数料をどんどん引き上げてボロもうけしています。
特に手数料収入は、小泉内閣になってからの増え方が著しい。
たとえば、「残高証明書」一通あたりの発行手数料は、東京三菱銀行もみずほ銀行も420円から735円に、横並びで引き上げられています。
通帳などの再発行は、1050円から2100円へと2倍になっています。
当座小切手用紙交付は、630円だったのが、なんと2100円へと3倍以上です。
手形用紙交付は、1050円だったのが、3倍の3150円です。
●不良債権処理のための「収益力向上」が根源にある
このような事態になったのは、政府が、銀行に対して過度の「収益性の追求」を求めてきたからではないでしょうか。
特に、小泉内閣が不良債権を短期間で一気に処理させようとしてきたことが、銀行の収益追求に拍車をかけています。
新聞は、手数料値上げの背景をこう書いています。
――「政府が金融再生プログラムで収益力の強化を促したのを受け、手っ取り早く利益を稼ぎたいという思惑がある」(「日経」1月16日付)。
――「不良債権処理損失や貸出先の倒産に備えて積む貸倒引当金の増大は不可避。収益を上げる手段を血眼で探している」(「東京」12月8日付)。
――「公的資金の注入で収益力の強化が求められ、『やむをえず踏み切った』(大手銀役員)」(「日経」2月15日付)と言われています。
●政府が銀行にもとめている「経営健全化計画」がある以上、手数料引き上げはなくならない
政府が、そのようなやり方をあおっているではないでしょうか。
各銀行の経営計画を見ても、手数料収入を増やす計画ばかりです。例えば三井住友銀行は、役務取引等利益を、2004年度末までに607億円増やして2260億円にする計画を立てています。
不良債権処理を進め、銀行に収益性を強化させ、その結果、国民に対する銀行のサービスが後退しました。
これは、小泉失政の結果の1つです。乱暴な不良債権処理の加速策を改め、銀行の公共性を発揮させる金融行政への転換をさせなければなりません。
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