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税制(庶民増税・徴税), 財政(予算・公共事業) (大企業減税, 定率減税の廃止, 予算案)

2006年03月02日 第164回 通常国会 財務金融委員会 【342】 - 討論

定率減税廃止法案 佐々木議員が反対討論「定率減税廃止で国民に3.4兆円増税、大企業へは優遇税制を温存」

 3月2日の財務金融委員会で、所得税法等改正案、公債特例法、国有林野事業特別会計法改正案が採決され、日本共産党、民主党などが反対するなか、自民党、公明党の与党の賛成多数で可決されました。
 採決に先立ち、佐々木憲昭議員が、日本共産党を代表して反対討論に立ちました。

議事録

○佐々木(憲)委員 私は、日本共産党を代表して、3法案に対して反対の討論を行います。
 最初に、公債特例法についてであります。
 第1の理由は、無駄な大型公共事業や軍事費を削減するなどの歳出構造の抜本的見直しや、過去最高の利益を上げている大企業と大資産家に応分の負担を求めるなどの歳入構造の抜本改革もせず、巨額な赤字国債の発行を継続することです。
 政府は、赤字国債など新規国債発行を30兆円以内に抑えたことを改革の成果だと自賛しますが、その主な要因は、法人税などの自然増収を除けば、定率減税の廃止などの庶民増税、医療制度などの社会保障改悪、地方財政へのしわ寄せなど、総じて国民を犠牲にした結果であり、とても改革の成果とは言えません。
 第2の埋由は、特別会計の積立金、剰余金の活用の問題です。
 本法案により13.8兆円の特別会計積立金、剰余金が一般会計に繰り入れされますが、これらは余った資金の一部にすぎず、見直しが不十分であります。産業投資特別会計や電源開発特別会計など無駄な特別会計の見直しをすれば、もっと多くの剰余金が出ることは明らかであります。
 第3の理由は、年金保険料を社会保険庁の事務費に流用する仕組みを引き続き温存する点です。
 本法案では1014億円もの保険料を流用しており、年金財政を悪化させるこの特例措置はすぐに廃止すべきであります。
 次に、所得税法等の一部改正案についてであります。
 第1の反対理由は、所得税、住民税の定率減税が完全廃止により、所得税、住民税を合わせて3.4兆円もの増税を国民に負わせることです。
 与党は、昨年の総選挙で、サラリーマン増税はしないと公約を掲げました。にもかかわらず、本委員会で明らかになったように、サラリーマンが約9割を占める所得税、住民税の定率減税の廃止は明らかに公約違反であります。
 また、景気対策として導入された恒久的減税3点セットのうち、定率減税だけが全廃されることも国民は納得できません。大企業は3年連続で過去最高の経常利益を更新するものの、一方で、雇用者報酬は減り続け、家計は悪化しており、多くの国民が景気回復を実感していないのが現状です。このようなときに、定率減税の全廃は、暮らしと景気に重大な打撃を与えるもので、断じて認められません。
 第2の理由は、国民への負担増は押しつける一方、大企業へは優遇税制が形を変えて温存されることです。
 労働者へのリストラなどで急速に収益を改善させ、83兆円もの余剰資金を抱える大企業に対し、研究開発減税の見直しや情報基盤強化税制の創設などによる優遇税制の継続は、大企業本位そのものであります。法人税制の抜本的改革により、担税力のある大企業に応分の負担を求めるべきであります。
 その他、中小企業への290億円もの増税となる実質的な1人会社オーナー役員への役員給与の損金算入制限措置や、第三のビールの増税、公示制度の廃止など、中小零細企業や庶民への負担を強いる内容も含まれており、賛成できるものではありません。
 なお、同族会社の留保金課税制度の見直し、震災対策税制、NPO税制の改正など、評価できる項目も含まれますが、上記のとおり、看過できない重大な改悪を含むものであり、全体として反対いたします。
 最後に、国有林野事業特別会計法の一部を改正する法律案についてです。
 反対する理由は、高速道路やダム、空港など巨額の浪費が指摘されている他の公共事業関係の特別会計にはメスを入れないまま、国民の安全に係る治山事業の特別会計だけを見直すという政府のやり方には賛成できません。
 また、国有林野事業から補助治山事業を切り離すことは、将来の国有林野事業の独立行政法人化イコール民営化の地ならしとなることであります。国民の安全に係る事業は国の責任で進めるべきものであり、民営化ありきを念頭に置いた本法案は認められません。現在の政府の姿勢から見れば、都道府県への補助治山事業が一般会計に移されることによって、こうした国民の安全に係る事業予算の縮小、削減にさらに拍車がかかるおそれがあります。
 以上の理由により、政府提案の3法案に対し反対し、討論を終わります。

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