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金権・腐敗政治 (政治資金収支報告書の虚偽記載, 政治資金規正法の改定, 政党助成金)

2007年06月12日 第166回 通常国会 倫理選挙特別委員会 【406】 - 質問

政治資金規制法「改正」案審議 企業団体献金禁止と政党助成金廃止を主張

 2007年6月12日、政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会が開かれ、8日に引き続き政治資金規正法改定案の質疑をおこないました。
 自民・公明の与党は今日中の採決を検討していましたが、民主党が「修正協議」がととのわないことなどを理由に反対し、採決は翌日に先送りされました。
 与党案は、資金管理団体の5万円以上の経常経費(人件費を除く)に領収書添付などを義務付けます。
 民主党は、3月に提出した民主党案を撤回して、8日に、領収書添付の対象を全ての政治団体に広げ、添付する基準額を1万円超とする「修正案」を提出していました。
 しかし、11日になって、範囲対象範囲を後援会など政治家と関わりのある政治団体に縮小し、基準額も5万円以上のままにすると、“再修正”案を与党側に提示。自民、民主両党の間で、折衝をしていましたが、自民党が拒否し、ものわかれに終わりました。
 与党案も民主党修正案もともに、適用は2008年以降となっており、いま問題となっている国会議員の事務所費についての解明に役立つものではありません。

 佐々木憲昭議員は、質疑の中で、企業・団体献金を禁止し、政党助成金は廃止すべきだと主張。日本経団連が政党の政策に“通信簿”をつけて企業献金を促進している現状について問いただしました。
 自民党の後藤茂之議員は、「企業は社会的存在として、政治に参加する権利がある」と主張。
 佐々木議員は、「企業は利益を目的とする組織であり、献金をするとなると、当然見返りを求める。政治と企業の癒着がおこる」と批判しました。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 前回、8日の質疑の中で、与党提案者の東議員は、対象を資金管理団体だけに限定したということについて、今はもう情報公開の時代です、国民の監視と批判に明確にさらされるわけです、もうそういう時代なんですからという答弁をされましたね。しかし、与党と民主党は、昨年の政治資金規正法の改正で、情報公開法の開示期間を限定するという規定をつくったわけですね。情報公開法に基づく収支報告書等の開示請求に対して、要旨の公開が行われるまでは開示決定を行わないという規定を設けたわけです。これは、情報公開の時代だ、あるいは、国民の監視と批判にさらさなければならぬという立場から見ると、逆行しているのではないかと思うわけです。
 情報公開法の開示規定の限定を緩和するつもりはあるかないか、与党提案者、民主党、それぞれに聞きたいと思います。
○早川議員 お答えいたします。
 前国会の改正についてでありますけれども、これは、収支報告書の要旨が公表される前の収支報告書等に対して開示請求があった場合には、要旨が公表された日から30日を経過する日までの間に開示決定を行うこととするものであります。要旨の公表前の収支報告書を不開示としてきた従来からの取り扱いと何ら異なるところはございません。さらに、9月30日という要旨の公表期限の法定によりまして、従来よりも都道府県の要旨の公表時期が前倒しされることになりまして、全体として情報公開の強化に資したものであるというふうに承知しております。
○近藤(洋)委員 佐々木委員にお答えいたします。
 昨年の改正は、9月30日という要旨の公開期限を法定化したということでございますけれども、従来よりも都道府県届け出分の要旨の公開時期が実質的に前倒しされることになった、こういうふうに解釈しておるわけでございます。全体としては情報公開の強化に資することになるのではないか、こう期待しておるところであります。
 ただ、一般論でありますけれども、情報公開については不断の検討が必要でありまして、実質さまざまな運用の中で情報公開に逆行するようなことになる事態があるとすれば、それは見直さなければいけない、こう思っておりますが、現時点においては委員御指摘の点については問題はないのではないか、こう考えております。
○佐々木(憲)委員 政治資金の流れを確認するためには、次の年の9月まで約10カ月間待たなければならぬという規定になるわけですね。これは、国民の不断の監視と批判のもとに置くことによって不正あるいは不当な政治資金の授受を未然に防止するという法の目的から見て逆行していると私は思いますよ。
 総務省は、これまで、国会の答弁で再三にわたって、形式審査だけを行っているんだ、個別具体的な事実関係は把握しているわけではないと答弁してきたわけですね。そうであれば、提出された報告書の形式が整っていれば、そのまま公表するということでいいと私は思うんですね。
 東提案者は前回の質問のときに、これは情報公開というのは当然であって、今や時代の流れであるとおっしゃっていたわけですから、きちっと公表する方向に踏み出すというのが当然だと思うんですが、いかがでしょうか。
○東議員 私が前回の委員会で情報公開の時代という言葉を再三にわたって使いましたのは、やはり世の中というものがそういう姿で、さまざまな情報というものが、その気になれば国民はしっかりアクセスできて、そして国民の前に明らかになる、そういう時代性を強調する意味であの言葉を使ったわけでございます。情報公開法がどうだこうだというところまで踏み込んで言ったつもりはございません。
 しかし、その上で、昨年の改正前から、要旨公表前の収支報告書等に対して開示請求があった場合には、政治資金の収支についての的確でない情報が国民に公になることにより、政治資金の収支について国民の関心と批判を適正ならしめるという法が定めた政治資金の収支公開事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあることから、情報公開法第五条第六号に該当するものとして不開示としていたものというふうに聞いておりますという、こういう理解でございます。
○佐々木(憲)委員 私は納得できないですね。届け出がされているわけですから、しかも、それが受け付けられて、形式的にはこれで結構ですよと。それを、何もわざわざ10カ月も非開示ということはないわけで、これは請求があれば当然公開する、公開することによって、間違いがあったらそれは訂正する。間違いがあるかもしれませんから公表しません、こういう話じゃ全く納得できませんよ。これはぜひ検討をしていただきたい。
 次に聞きたいのは、公開の方法であります。
 これまで、要旨の公表後に閲覧ということしか認められておりませんでした。私は、多面的な公開が必要だと思っております。例えば、公開期間の延長はもちろんですが、インターネットの上でデータベース化などして公表する、これは大変大事なことだと思っておりますが、与党、民主党、それぞれお聞きしたいと思います。
○早川議員 収支報告書の公開につきましては、既に総務省のホームページで公表されているところであります。また、情報公開請求によりコピーを取り寄せることができることになっておりますから、そういう意味で情報公開は全体として進んでいるというふうに認識しております。以上の対応で当面十分ではないかと考えております。
 インターネット等については、これは時代の変化に応じて検討されることでありますけれども、私は、現在の方法で十分公開は進んでいるというふうに考えております。
○近藤(洋)委員 佐々木委員にお答えいたします。
 委員が御指摘された、収支報告書等のインターネット上での公開、データベース化でありますが、積極的に進めるべきであろうと我々は考えております。特に一々役所に行って閲覧をしなければいけないというのは前時代的でありまして、これは即座に改正すべきであろう、こう思っておるわけであります。
 民主党としては、第163回特別国会に提出した政治資金規正法改正案の中で、公表の日から5年間、収支報告書等に係るデータベースをインターネットを通じて一般の利用に供することをもう既に提案しております。残念ながら廃案になりましたが、この考え方自体は生きております。
 また、既に民主党としては個人の資産を自主的に公開しておりますが、政治資金収支報告書についてもインターネットで公開するのが常識であろう、こう考えておるわけであります。今民主党の政治資金規正法改正の修正案に御賛同いただき、そして成立の後に速やかに検討し提出をさせていただきたい、こう思っておるわけであります。
○佐々木(憲)委員 これまでリクルート事件など自民党の政治腐敗事件がたび重なったことを背景にしまして、1990年、第八次選挙制度審議会で答申が出されました。その中には、「政治資金制度の改革に当たっては、政治資金の調達は政党中心にするとともに、」「将来の姿としては、政党がより近代化し、政党への相当規模の公的助成が行われ、政党の基盤が整備されるとともに、国民の政治意識が向上し、政党を中心に国民が政治参加する体制が確立し、政党の政治資金も個人の拠出により支えられるようになることが望ましい。」つまり、政治資金は個人のもので支えられるのが望ましい、こういう答申が出たわけです。
 93年に自民党が下野して細川連立政権が誕生した。そのとき細川首相は所信表明で、「政治腐敗事件が起きるたびに問題となる企業・団体献金については、腐敗のおそれのない中立的な公費による助成を導入することなどにより廃止の方向に踏み切る」と廃止を表明したわけですね。企業・団体献金の廃止。もちろん、我々は政党助成金の導入に反対であります。しかし、個人に頼るべきである、こういう方向を出したことは評価をしているわけであります。
 そういう意味で、90年代から行われてきた法改正というのは、企業・団体献金を次第に規制して個人献金に移行していく、こういう方向で進んできたと思うんです。ところが、政治献金は企業献金というのが一向に減らない。それどころか、日本経団連が2003年からは政党に通信簿をつけまして、それで献金促進策を導入して、我々から言わせれば、これは政策買収じゃないかと思えるような状況になっているわけです。
 そこで、政治資金として企業・団体献金を禁止していく、そして個人献金に切りかえる、こういう方向について自民党、公明党、民主党、それぞれ見解を伺いたいと思います。
○後藤(茂)議員 政党の存立基盤は、各政党において異なるものだと思います。国民政党である自由民主党におきましては、個人献金、そして団体献金、党費、事業収入、それから政党助成金も含めましてバランスよい資金調達が必要であるというふうに考えております。
 もちろん、御指摘のような観点から個人献金がなかなかふえていかない状況については、我々としてもさらなる努力が必要であるというふうに考えてはいます。しかし、企業献金につきましては、企業は社会的存在として政治に参加する権利があるというふうに考えておりまして、企業献金全体を禁止すべきであるという立場は全くとっておりません。
○東議員 我が党も、基本的に、将来のあるべき姿というのは個人献金をもとに政治が動いていくべきであろう、こういうふうに考えております。
 資金管理団体という制度が導入されたこと自体も、政治家が直接お金にタッチしないように、そういう発想の中から資金管理団体というのはできた。企業・団体献金というものも資金管理団体は直接は取り扱わないというようなことになって、全体の方向としてはそっちの方向に向かっているというふうに考えておりますので、基本的にはそういう考え方です。政党なんかに献金をしていくということを主として、政治家はやはり個人献金というものを中心にしながら献金を考えていくべき、このように考えています。
○鈴木(克)委員 それでは、民主党の考え方を御答弁させていただきたいと思います。
 佐々木委員のおっしゃる、企業・団体献金はやめるべき、減らすべきということについては、まさに傾聴に値する、基本的にはそのように考えております。
 ただ、いわゆる献金そのものと同時に、政治資金の流れをいかに透明にできるかというのがやはり大きな問題ではないのかな、かように考えております。私どもはかねてから、政治資金規正法等の一部を改正する法律案を何度も繰り返し国会に提出をしてまいりました。そんな中で、いわゆる俗に言う迂回献金を禁止するというようなことを提案してきたわけでございますが、いずれにいたしましても、今般出した修正案によって、今よりもかなり飛躍的にといいますか、政治団体の支出の透明度を増すことができる、このように考えております。
 いずれにしても、企業・団体献金については委員のお考えはまさに傾聴に値する、そのように考えております。
 以上です。
○佐々木(憲)委員 もう時間がなくなったので終わりますけれども、やはり基本的な政治資金規正法の考え方というのは、主権者である国民が支持する政党に寄附をする、それによって成り立っているものである、したがって公開をしっかりやらなければならない、こういう考え方ですよね。
 しかし、企業というのは、あるいは特定の目的を持った団体というのは、これは主権者とは言えないわけでありまして、社会的存在ではありますけれども主権者ではないと思うんです。つまり、企業は利益を目的とする組織ですから、その利益が上がるかどうかがその企業の活動の中心目的であります。したがって、献金をするということになりますと、当然その見返りを求めるということにならざるを得ない。そういうことになりますと、政治と企業との癒着というのが起こってまいります。したがって、私は、議会制民主主義、民主主義というものをしっかりと確立していくという観点からいいますと、企業・団体献金は禁止をし、献金は個人に限る、政党助成金は廃止する、こういう方向が望ましいと思いますので、このことを最後に指摘しまして、終わりたいと思います。

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