アドレス(URL)を変更していますのでブックマークされている方は変更してください。
<< ホームへ戻る

金権・腐敗政治 (政治資金収支報告書の虚偽記載, 政治資金規正法の改定)

2007年06月08日 第166回 通常国会 倫理選挙特別委員会 【405】 - 質問

自民・公明、民主の政治資金規正法「改正」案では疑惑の解明に役立たない

 2007年6月8日、政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会で、事務所費などの透明性を確保するための政治資金規制法「改正」案の審議が始まり、佐々木憲昭議員が質問しました。
 自民、公明両党は、資金管理団体の5万円以上の経常経費(人件費を除く)の明細の記載と領収書添付などを義務づける「改正」案を提出しました。
 民主党・小沢一郎代表の資金管理団体が、巨額の不動産を所有していた問題を念頭に、資金管理団体の不動産保有・取得の禁止、現在所有している不動産の状況報告を義務づけることを盛り込んでいます。
 この日、民主党は、3月に提出していた政治資金規正法改正案を撤回しました。
 そのうえで民主党は、すべての政治団体に1万円以上の経常経費(人件費を除く)への明細の記載と領収書の添付などを義務づけ、不動産・有価証券などの取得を禁止する、与党案に対する修正案を提出しました。
 佐々木議員は、「事務所費」問題や「水光熱費」問題など、閣僚や自民・民主両党の幹部にかかわる疑惑を率先して解明することが求められるとのべ、「今回の法改正は、現在疑惑をもたれている政治家にも、過去にさかのぼって適用されるのか」と、与党および民主党の提案者に質問しました。
 公明党の東順治議員は、「適用が(過去に)遡及することはない」と答弁。民主党の武正公一議員も「不遡及だ」とのべました。
 佐々木議員は、現行法でも疑惑をかけられた政治家は、現に存在している会計帳簿などをもとに明らかにし、自ら疑惑を晴らすべきだ」とのべるとともに、それをしないから今回のような法改正に至ったのに、「今回のような法改正では、与党案も民主党案も、疑惑の解明には役立たない」と批判しました。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 与党と民主党それぞれにお聞きをしたい。
 提案されている法案の適用範囲、これはどこまでかという点ですが、これまで事務所費等で疑惑を受けた政治家、一々名前は挙げませんけれども、これがこの法案によってさかのぼって適用されて解明されることになるのかどうか、その点をまず聞きたいと思います。
○東議員 この法が成立後遡及するということはありません。法施行後でございます。
○武正委員 お答えいたします。
 同じく法律不遡及ということでございます。
 ただ、つけ加えれば、過去の分、施行前の分については、やはり説明責任ということをしっかりと国会等で果たしていくことで担保ができるというふうに考えております。
○佐々木(憲)委員 両方とも2008年分の収入及び支出に係る収支報告書からの適用ということですので、現在疑惑を受けているものについては明らかにならないわけです。
 大体、現行法においても、政治活動費だけでなく経常経費についてもすべての支出について会計帳簿へ記載し、1件5万円以上の領収書の徴収が決められているわけですね。現在あるものを明らかにすればいいわけであります。
 そもそも政治資金規正法というのは、国民の疑惑を招くことのないように、事実を記載し政治資金の収支を公開することによって国民の監視のもとに置く、このことが法の目的の基本的な考え方であります。その精神に照らすと、疑惑を持たれた政治家が、今言われたようにみずから事実を公表することが求められるわけであります。
 しかし、それが現実に行われていないから問題になり、法律をつくろうということになったわけですね。ところが、過去は問わないというわけで、今現実に問題になっているこれらの疑惑を持たれている政治家の解明にこの法律が果たして役に立つかというと、非常に問題だ、簡単に言うと役に立たない、そういうふうに私は思わざるを得ません。
 次に、総務大臣にお聞きします。
 現在の政治資金規正法での明細報告の対象は政治活動のみで、備品・消耗品、事務所費は対象となっておりません。しかし、政党助成法では、使途報告の義務づけは、政治活動費だけでなく経常経費のうち備品・消耗品費、事務所費は対象となっております。現行法で政党助成法の方は対象が広いわけですね。その理由はどういうところにあるのか、お答えをいただきたい。
○菅総務大臣 政党助成法における使途等の報告のあり方については、政党交付金が国民の税金であるという、貴重な財源で賄われているものであることから、政党の事務負担や政治資金規正法の規定内容等総合的に勘案しながら検討が行われてきたものというふうに思っています。その結果として、備品・消耗品費、事務所費については、多様な経費が含まれており、公費により賄われた使途を明らかにする意味合いから個々の支出について明らかにすることが適当である、こう考えられたからだというふうに考えております。
○佐々木(憲)委員 その立場に立ってそれぞれ与党、民主党にお聞きをします。
 今回の改正では、報告書の対象を経常経費のうち備品・消耗品費、事務所費のみならず光熱水費も対象にしていますね。これに対して現行の政党助成法は光熱水費については報告の必要はないと、そのままになっているわけです。
 今大臣から御答弁がありましたように、これはむしろ政党助成法の場合は税金で賄われているわけですから当然もっと広げなきゃいけない。光熱水費を対象にするというのを今提案されているわけですね。したがって、政党助成法が置き去りにされるということになりますと、これはバランスを欠くのではないか。政党助成金も同じ基準とすべきではないかと思いますが、それぞれお答えいただきたい。
○東議員 お答えいたします。
 政党交付金につきましては、その使途等に関する報告書を、政党本部ならば外部監査、内部監査、それから政党支部ならば内部監査を受けた上で提出しなければならないとなっております。つまり、政党助成法第19条でございます。その際、政治活動費のみならず、一部の経常経費、つまり備品・消耗品費と事務所費、これについては領収書の写しの添付が義務づけられているわけでございます。
 今回、ここまでの厳しい制度のない資金管理団体に対しまして人件費以外の経常経費について収支報告書への明細の記載及び領収書の写しの添付を義務づけるということでございますけれども、政党交付金の支出について政党助成法上は特段新たな措置を講じないとしても、今申し上げたように内部監査、外部監査で、国民の税金ですから、そこら辺の厳しいチェック体制をしいておりますので、バランスを失するものではないというふうに考えております。
○武正委員 お答えいたします。
 今国会では、政治団体の支出、特に経常経費につきまして不透明である、こういった問題認識からこの法案の審議に至ったわけでもございます。そうした国民の政治不信が高まったことを受けて、今回の法案では政治団体の支出の透明度を向上させる点に絞ってきた経緯がございます。
 今の御指摘、光熱水費をなぜ政党助成法も対象としないのかということは、当然、民主党の修正案が成立した後、政党の支出明細の記載や領収書添付の対象となる支出の範囲を拡大するため、政党助成法の改正に取り組みたいと考えております。
○佐々木(憲)委員 今、与党の答弁の中で、監査があるから光熱水費は対象にしなくていいと。これはちょっと質の違う話で、対象範囲を、税金で賄っている政党助成金の場合はより対象を広げていく、つまり、税金で賄われていない政治資金規正法の方を広げていながら税金で賄われる方は前のままでいいという、これはちょっと、先ほどの大臣の税金で賄われているからこそより厳しい公開が義務づけられているんだという御答弁があったわけですから、そういう観点からいうと、これは当然是正するという立場に立たないと著しくバランスを欠くというふうに私は思うわけです。
 さて次に、今回、民主党の最初提案されたものが撤回されましたね、最初に民主党案にあった人件費の問題ですが、人数の記載の義務づけ、会計帳簿等の保存、収支報告書の閲覧期間の延長が含まれておりましたが、なぜか今度の修正案ではこれが落ちておるんですね。これは何で最初に提案したのに修正案の中に入れなかったのか、その理由をお聞かせいただきたい。
○武正委員 お答えいたします。
 与党が政治団体の支出の問題に対して対象を資金管理団体に限定したり、支出明細の記載や領収書添付の対象となる支出の基準額を5万円以上とするなど、民主党はやはりこれはざる法であるというふうに考えるわけでありますが、ただ、その大きな穴を修正することが国民の政治不信を払拭するには何よりも大事であると考えまして、今回は、人件費以外の経常経費や政治活動費についての明細の記載や領収書の添付に関する改正と不動産や有価証券の取得制限に関する改正の二点に絞りまして、与党案の修正案として提出した次第でございます。
 今御指摘の、3月に提出した民主党案に盛り込んでいた会計帳簿等の保存や収支報告書の閲覧などの期間を現行の3年から5年に延長すべき、また、人件費については、人数を、総人数というんですか、数の記載を義務づけるべきであるという考えは何ら変わっておりません。
○佐々木(憲)委員 変わっていないのであれば、入れた方がよかったと私は思うんですね。なぜ落としたのか、理由がよくわかりません。
 今、これまでお聞きしたことを振り返りますと、民主党案も与党案も、現在疑惑をかけられている、問題の解明を求められている政治家への適用というのは、過去は問わないという形でこれにはどうも役立たないんですね。しかも、整合性からいうと、ちょっとこれはアンバランスがあるという感じがいたします。
 最後に総務大臣にお聞きします。
 3月16日の当委員会で、私は、佐田玄一郎政治研究会、佐田玄一郎前行革担当大臣の資金管理団体と代表を務めている支部、この3つの政治資金収支報告書の訂正があったのかどうかとお聞きしたんです。その時点では訂正というのはまだないと。つまり、不適切な記載があって大臣をやめるというんですから、これは極めて大きな問題があったんだろうと思うんです。つまり、大臣をやめるほど重大な記載上の問題点があったというふうに思うんです。当然、その修正をするのは当たり前なんですね、正しく修正すると。あれから2カ月、3カ月たっておりますけれども、修正が一体されているのかいないのか、お答えをいただきたいと思います。
○菅総務大臣 佐々木委員から通告のありました佐田玄一郎政治研究会、佐田玄一郎議員の資金管理団体であります赤城倶楽部及び佐田玄一郎議員が代表者であります自由民主党群馬県衆議院議員比例区第二支部について、総務省及び群馬県選挙管理委員会において確認しましたところ、平成18年12月28日以降、収支報告書の訂正は行われていないところであります。
○佐々木(憲)委員 みずからこれは重大な過失があったというふうにお認めになった、そういう方が修正もしない、あるいは閣僚をやめただけで説明もされないということになりますと、これは国民の政治不信を一層あおる、あおるといいますか拡大することにならざるを得ないと思うんです。そういう意味で、今度の改正というのは、疑惑を持たれた政治家の解明にしっかりと役に立つようなものにすべきだと私は思いますが、出された法案を見ましても、そういうふうにならないというのはまことに残念でございます。
 この点を指摘しまして、質問を終わらせていただきます。

Share (facebook)

このページの先頭にもどる