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税制(庶民増税・徴税) (消費税, 法人税, 大企業減税, 強権的徴税)

2014年11月12日 第187回 臨時国会 財務金融委員会 【808】 - 質問

麻生財務大臣が外形課税拡大を明言、公正な税務行政を行うよう要求

 2014年11月12日、麻生太郎財務大臣は財務金融委員会で、法人税減税の財源として赤字企業にも課税する外形標準課税を拡大することについて、「必要と感じている」と明言しました。佐々木憲昭議員は「赤字の中小企業に増税し、黒字の大企業に減税をばらまくことになる」と批判しました。

 麻生大臣は中小企業への影響について「慎重に検討しなければならない」と述べるだけで、赤字中小企業への増税を否定しませんでした。

 佐々木議員は、トヨタ自動車が中間決算で過去最高の当期純利益2兆円を得る見通しに上方修正したことなどを挙げ、「法人税率を下げる理由はない」と主張。「課税ベースの拡大というなら、もうけている大手企業への優遇税制をただすべきだ。弱いところの負担を増やすやり方では、日本経済を土台から崩す」と強調しました。

 また、佐々木議員は、業者への不当な税務行政が行われている例があるのではないかと提起しました。

 税務調査は税額などを認定するために本人の同意に基づき帳簿などを調べるもの。行政指導は申告書の数字などの誤りを指摘して見直しを要請するものです。

 佐々木議員は、行政指導だとして納税者を税務署に呼び出し、実質的に税務調査が行われている疑いがあり、その際に帳簿などの資料を持参させている例があるとただしました。国税庁の佐川宣寿次長は「税額などを認定するために書類を確認するのは一般的には調査に該当する」とし、行政指導ではないことを認めました。

 佐々木議員が「行政指導で税務署に来るよういわれた納税者が他の要件などで行けなかった場合にペナルティーを科すのか」と問うと、佐川氏は「行政指導に応じないことをもってただちに調査を実施するということではない」と答えました。

 佐々木議員は、税務調査を行う際には原則として事前通知を行うことが法定されたと強調。佐川次長は「調査手続きの透明性と納税者の予見可能性を高めるため」に事前通知が原則となっており、例外は違法行為を容易にするおそれがある場合などに限定されると説明しました。

 佐々木議員は、答弁の内容を徹底して公正な税務行政を行うよう求めました。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 財務金融委員会の調査で訪問いたしました豊中市役所でありますが、ここでは二つの簡素な給付措置の説明をお聞きいたしました。臨時福祉給付金8万人、子育て特例給付金4万人が対象ということでありました。主としての支給額は約14億円という話であります。ところが、聞いてみますと、それを支給するのに経費が1億8500万円もかかるということで、支給額の13・2%に当たるものが経費で消えるということなんですね。
 そこで、厚労省に全国的な数字を確認しておきたいと思います。
 臨時福祉給付金の給付総額と子育て世帯臨時特例給付金のそれぞれの予算上の金額は幾らか、それから事務費は幾らか、給付総額と比べた比率はどうなっているか、お示しいただきたいと思います。
    〔委員長退席、菅原委員長代理着席〕
○谷内政府参考人(厚生労働省大臣官房審議官) 臨時福祉給付金等の予算に関するお尋ねについてお答え申し上げます。
 まず、臨時福祉給付金についてでございますけれども、給付費予算が3千億円、事務費予算が420億円でありまして、事務費の給付費に対する比率は約14%となっております。
 次に、子育て世帯臨時特例給付金でございますけれども、給付費予算が1271億円、事務費予算が202億円であり、事務費の給付費に対する比率は約16%となっております。
○佐々木(憲)委員 麻生大臣、私もこの問題を指摘してきたんですけれども、1万円を仮に配っても、一カ月にすると500円程度なんですよ。スズメの涙でありまして、消費税の増税分を穴埋めするには焼け石に水であります。しかも、給付金の15%に当たるものが事務費で消えてしまう。これは一体何をやっているんだという話になると思うんですが、麻生さん、どのようにお感じでしょうか。
○麻生財務・金融担当大臣 何に使っておられるかは、厚生省に聞いていただいた方がよろしいんだと思いますので、私に直接聞かれても詳しくわかるわけではありませんが。
 この話はかなり新しい話でもありますので、この事務費の中に多分、こういう給付金があるんですよというPRをやるとか、確実に支給の申請を行ってもらわないといかぬというような必要があるということなんだと思いますので、そういったことを周知せしめるためには、ある程度その種の経費が要ったかなという感じはします。
○佐々木(憲)委員 もとを正しますと、消費税を増税するから、こんなことをやらざるを得ないわけですね。増税することをやめれば、こんなことをしなくていいわけであります。
 結局、8%に上げて、実質的な消費がずっと抑え込まれてしまった、この間見ていると。中小企業も大変でありますし、この上に消費税を10%に上げるなんということになりますと、二重三重に打撃になるわけであります。だから、消費税の増税を先送りするという程度ではだめでありまして、もう消費税増税はやらない、断念する、こういう決断をすべきだというふうに私は思っております。
 次に、税務行政についてお聞きをしたいと思います。
 国税庁のホームページを見ますと、税務調査手続に関するFAQというのがありまして、税務調査と行政指導の違いについて書かれております。
 税務調査の方は、「特定の納税者の方の課税標準等又は税額等を認定する目的で、質問検査等を行い申告内容を確認するものですが、税務当局では、税務調査の他に、行政指導の一環として、例えば、提出された申告書に計算誤り、転記誤り、記載漏れ及び法令の適用誤り等の誤りがあるのではないかと思われる場合に、納税者の方に対して自発的な見直しを要請した上で、必要に応じて修正申告書の自発的な提出を要請する場合があります。」こう書かれているわけですね。
 このように、税務調査と行政指導というのは本質的に違うものだと思いますが、そのような理解でよろしいですね。
○佐川政府参考人(国税庁次長) お答え申し上げます。
 税務行政におきましては、調査と行政指導でございますが、いずれも適正、公平な課税の実現を図るということを目的としているということは共通でございます。
 その上で、今委員がおっしゃられたように、両者の違いという意味では、調査は、特定の納税義務者の課税標準あるいは税額を認定するために税務職員が行う証拠資料の収集、要件事実の認定など一連の行為をいいます。
 これに対して行政指導は、行政手続法上に定められているわけではございますけれども、税務行政に関して申し上げれば、例えば、今委員がおっしゃられたように、申告書に計算誤りや記載漏れなどがあると思われる場合に、納税者に対して自発的な見直し、あるいは必要に応じて修正申告書の自発的な提出を要請する行為というのが行政指導に該当するというふうに認識しております。
○佐々木(憲)委員 だから、行政指導というのは、簡単に言うと、出された申告書に数字などの誤りがあれば、それを具体的に指摘して、納税者に訂正を促す、こういうことですよね。
 そうしますと、例えば、税務署が5年分の所得状況を調べたいということで、この間の全ての帳簿あるいは印鑑を持ってきてください、こういうやり方は税額等を認定するために行うものになるわけですから、計算の誤りを正すというのとは違いますね。そういう意味で行政処分というものとは区別されると思いますが、どうでしょうか。
○佐川政府参考人 お答え申し上げます。
 今委員がおっしゃられたように、所得のわかるもの全てを納税者に持参させてという場合でございますが、調査は納税義務者の課税標準、税額を認定するために税務職員が行う一連の行為でございまして、行政指導と違うということは先ほど申し上げたとおりでございます。したがいまして、特定の納税者の課税標準や税額を認定するために納税者に来署を依頼し、持参した書類を税務職員が確認するということは、一般的には調査に該当するというふうに考えております。
 なお、税務当局におきましては、納税者に来署を依頼する場合には、調査として実施するのか、あるいは行政指導として実施するかというのは事前に納税者に対して明示するということにしております。
○佐々木(憲)委員 税務署が行政指導をしたいということで、納税者に税務署に来てくださいというふうに伝えたとします。そのときに、納税者の側が、いや、今ほかの用件があるんだ、その日は行けない、あるいは場合によっては失念して、行くことを忘れていたということもあると思うんですね。その場合、税務署に行かなかったという理由で、その納税者にペナルティーを科すとか、不利益処分を行うということはあるんでしょうか。
○佐川政府参考人 お答え申し上げます。
 行政指導において来署をお願いする場合には、書面による場合も電話連絡による場合もございますが、いずれにしても、日時、場所、税目なんかを指定しましてお願いするわけでございます。
 今委員がおっしゃられましたように、忘れるとか都合が悪いとかということもあると思いますので、例えば書面なんかで、ここに様式がございますけれども、そういう様式の中では、何か御相談がある場合には御連絡くださいということで、税務署の担当者の名前を入れて書面で連絡していくというようなこともしております。
 いずれにしましても、最後の質問でございますが、行政指導に応じないことをもって直ちに調査を実施するということではございません。
○佐々木(憲)委員 では次に、新国税通則法には、任意の税務調査を行う際には、原則、事前通知を行うということが法定化されたわけですね。この事前通知をなぜ定めたのか、その理由をまず説明していただけますか。
○佐川政府参考人 お答えします。
 平成23年に国税通則法が改正されております。その中におきまして、調査手続の透明性と納税者の予見可能性を高めるという観点から、実地の調査を行う場合には、原則として、あらかじめ調査の日時、場所、調査の目的などを納税者に通知することとされたところでございます。
○佐々木(憲)委員 国税庁のホームページを見ますと、こう書いてあるわけです。「税務調査の事前通知に際しては、あらかじめ納税者の方や税務代理人の方のご都合をお尋ねすることとしていますので、その時点でご都合が悪い日時が分かっている場合には、お申し出ください。お申し出のあったご都合や申告業務、決算業務等の納税者の方や税務代理人の方の事務の繁閑にも配慮して、調査開始日時を調整することとしています。」こう書いてあるんですね。
 つまり、犯罪調査ではない任意調査なんですから、きちんと事前に通知して、納税者の協力を得るというのは当然のことだと思うわけです。任意調査だからということで、事前通知をしないでいきなり踏み込むなんていうことは原則的にあり得ないというふうに思いますが、確認をしておきたいと思います。
○佐川政府参考人 お答えします。
 繰り返しになりますが、実地の調査を行う場合には、原則、あらかじめ、調査の日時、場所、目的などなどを納税者等に通知することとしております。
 ただし、法令に定まっておりまして、申告の内容、過去の調査結果、事業内容などから、事前通知をいたしますと違法または不当な行為を容易にし、正確な課税標準または税額等の把握を困難にするおそれ、あるいは調査の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると認められる場合には、事前通知を要しないというふうになっております。
 いずれにしましても、事前通知につきましては、法令に基づきまして、個々の事案に応じて適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
○佐々木(憲)委員 事前通知をしない場合もあるということについては法令にこう書いてあるという説明も今あったわけですが、これは極めてまれな場合ですよね。原則的には事前通知を行うというのが定められているわけであります。
 それで、私がいろいろ耳にしている事例では、この原理原則をどうも踏み外しているのではないかと思われる例が幾つかあるわけです。税務調査と行政指導を混同して使っている、そういう事例もどうもありますね。それから、事前通知をしなければならないのに、事前通知をしないで調査に行く、こういう事例も聞いているわけであります。
 ですから、そういうことが起こらないように、今お答えいただいた内容を本当にきちっと末端までやっているのかどうか、これは大変大事なことなので、税務行政を公正にしっかり行うということを求めておきたいというふうに思っております。
 ちょっと財務大臣に聞こうと思ったので、戻るまでちょっととめてもらえますか。
○菅原委員長代理 速記をとめてください。
    〔速記中止〕
○菅原委員長代理 では、速記を起こしてください。
 佐々木憲昭君。
○佐々木(憲)委員 麻生財務大臣にお聞きをしたいと思うんですが、報道によりますと、昨日、麻生財務大臣と榊原経団連会長が会談をして、赤字企業にも課税するいわゆる外形標準課税を2015年度から拡大する認識で一致したと伝えられておりますけれども、これは事実でしょうか。
○麻生国務大臣 昨日、榊原経団連会長からのお話がありまして、私どもの方としてお目にかからせていただいております。
 そのときに、私どもの方から、法人税の改革につきましては、税率の引き下げ等々いろいろやるに当たりましては、課税制度をきちんと入れた上で、きちんとした恒久財源を確保すると。上振れがどうとかという話ではなくて、きちんとした恒久財源を確保するという課税ベースの拡大の上に検討させていただいておりますということで、その課税ベースの拡大につきましては、法人事業税の外形標準課税の拡充を初めとする改革というものに取り組む必要があると考えておると申し上げております。また、そういった方向性で私どもは御理解いただき、これに当たりましては中小企業法人等々につきましてきちんと配慮しなければならぬ等々、いろいろ細かいことを話させていただきましたけれども、話をさせていただいたことは事実であります。
○佐々木(憲)委員 そうしますと、法人税の実効税率を下げる、したがって恒久的な財源が要る、恒久的な財源の一つとして赤字企業にも課税する外形標準課税を拡大する、こういうふうなことで一致したと報道されていますけれども、今のお話ですと、方向が同じだった、こういう話ですね。私はこれは非常に重大なことだと思うんです。
 宮沢経産大臣は、経団連との会合で、法人実効税率の初年度の引き下げ幅、2・5%以上引き下げるべきだ、こういうふうに求めている。これは報道ベースですけれども。
 数字の確認なんですが、仮に2・5%下げますと、幾ら財源が必要になるのでしょうか。
○佐藤(慎)政府参考人(財務省主税局長) お答え申し上げます。
 国、地方を合わせました法人実効税率1%当たりの税収額は26年度の予算ベースで約4700億円となってございますので、これを前提にいたしますと、2・5%でございますので、掛け算をいたしまして約1兆2千億円程度だということでございます。
    〔菅原委員長代理退席、委員長着席〕
○佐々木(憲)委員 そうしますと、1兆2千億円の財源が必要になる。これは仮に2・5%やった場合ですよ。
 一方で、外形標準課税を来年度から2年程度かけて二倍にする、こういう話も出ている。
 この外形標準課税というのは、現在、資本金1億円超の企業が対象になっておりまして、従業員に支払う給与総額あるいは建物の賃料などに応じて課税をしているものであります。今年度は約6千億円の税収を見込んでいるということです。事業税に占める外形の割合を現在の四分の一から仮に二分の一に倍増させて、そういう場合でも7千億円程度の上積みなんですね。
 これは、大企業を中心とした黒字企業に減税をばらまくために、赤字の中小企業に外形標準課税の拡大をして、それを財源として行う、こういう話になりますと、ただでさえ今、経営が非常に厳しい、経済状況が非常に深刻な状況で物が売れない、それで中小企業は店を畳むかどうかというようなことを考えているときに、また増税だ。消費税の増税でも大変な目に遭ったけれども、外形標準課税、また増税だ。減税を黒字の大企業の方にどんどん持っていかれる。
 これは余りにも不公平、不平等であり、国民感情からしても、こんな税金のかけ方はおかしいんじゃないかと思うわけです。いかがですか、大臣。
○麻生国務大臣 御存じのように、法人事業税の話ですから、これは地方税になりますので、基本的には総務大臣の所管事項というのは御存じの上で聞いておられると思いますので、私もそういう立場でお答えすることになろうと存じます。
 法人事業税の外形標準課税の拡充ということについてですけれども、これはこれまでも、佐々木先生がおられたかどうかは記憶にありませんが、国会での議論において、地域経済というものを支えておりますのは中小企業というので、その配慮をしなければならぬので、そういった点を踏まえて検討していく必要があると。これは私が国会答弁で何回か答えております。予算委員会でも申し上げました。現行制度では、御存じのように、中小企業は外形標準課税の対象となっておりませんので、こうした状況において中小企業を新たに外形標準課税の対象とすることについては慎重に検討してもらわないといかぬということを申し上げたところでもあります。
 いずれにしても、具体的な改革案につきましては与党としても今後検討していかなきゃいかぬところだと思っております。私どもとしては、今後、その点につきまして十分配慮していかなきゃならぬと思っております。
 基本的には、日本の場合は法人税の課税ベースが狭いというのが非常にはっきりしておりまして、一部の企業に負担が偏っているとよく言われているところでもあります。今回の法人税の改革は、単に大企業の減税というものではなくて、課税ベースの拡大をしつつ税率を引き下げるという改革を行うことによって、税負担の偏りを是正しようというところが一番肝心なところだ、私どもはそう思っております。
○佐々木(憲)委員 課税ベースの拡大と言うなら、こういう外形標準課税でやるのはやめるべきですよ。むしろ大手企業の方に、研究開発減税だとか、いろいろな形でやり過ぎがあるわけです。こういう政策減税を見直すとか、課税ベースの拡大の方法は幾らでもあるわけであります。そっちをやらないで、ともかくベースを拡大するからということで、弱いところにどんどんどんどん負担をふやしているわけですよ。
 これはやはり日本経済の土台をどうしても崩していくことになるし、地域経済全体の疲弊という事態にもつながっていくわけで、その辺を配慮しなければならないとか、言葉はあるけれども、実際はそうはなっていないんじゃないかということで、ここは厳しく指摘をしておきたいと思うんです。何のために法人税の減税をしなければならぬのかという根本問題を考え直すべきだと私は思います。
 先日、トヨタの中間決算が発表されまして、今年度、通年で売り上げが過去最高の26・5兆円、当期純利益が最高の2兆円、こういうことで上方修正したと報道されているんですね。そのほかの自動車会社も好調な中間決算で、五社が過去最高の利益を記録する、こういう見通しだというわけです。
 今、大手のこういう輸出関連を中心とした企業は過去最高の黒字を上げているわけでありまして、問題は、それが内部留保に回っていって、従業員だとか下請に回っていっていないというのが問題なのであって、そこに減税をしなければ動かないという話ではないと思うんです。だから、私は法人税をさらに下げる必要というのはないと思うんだけれども、大臣、どうですか。
○麻生国務大臣 トヨタの例を引かれましたけれども、企業の会計上の利益というものがいわゆる高水準となっているとの報道がありますことは承知をいたしておりますが、会計上の利益と税務上の所得というものは必ずしも一致していないというのは御存じのとおりであります。
 したがいまして、一見多額の利益を上げております大企業でも、例えば過去の繰越欠損金というものは、これは今は9年になっておりますので、課税ベースが非常に狭められておりますので、税負担が低くなっているという場合があります。したがいまして、今回の法人税改革では欠損金の繰越控除についても見直すということにいたしたい、こうした問題にも応えるような改革を行いたいと思っております。
 いずれにしても、今回の法人税改革は、法人税というもの自体を広く薄く負担を求める構造へと改革して、いわゆる税の負担の偏りを是正するとともに、やはり日本の企業の稼ぐ力というものを高める、いわゆるインセンティブというものを与えるようなものにしたいというように考えております。
○佐々木(憲)委員 今のは答弁になったような、なっていないような話なんですけれども、会計上の利益と税務上の所得というのが違うのはわかっております。税務上の所得が今どんどんどんどん小さくなっていって、それはいろいろな税を軽くする仕掛けがあるからそうなるわけで、この税務上の所得が低いのにもかかわらず、何で法人税の実効税率をさらに下げるのかという話なんです。今おっしゃったように、もう既に低いんだから、税金を余り取っていないんですから、それなのに何で下げるんですかという話なんですね。これは理屈が通らないわけです。
 私は、そういう意味では、一定の負担を求めるという方がむしろ税収を上げるという点では必要ではないかと。黒字の大企業ですよ。内部留保ばかり膨らんでいって、全く国民に還元されない。そうなれば、一定の税を払ってもらって、それを原資にして国民の方に回していく、これが政治であり、財政の役割ではないか、そういうふうに思うわけです。政府がやっているのは、経団連とばかり会っているけれども、どうも働いている人と余り会っていないんじゃないかという感じがするわけですね。
 そういう意味で、私は、一つのデータとして、帝国データバンクの報告書がありまして、例えばトヨタの一次、二次下請、これは2万9315社あるそうです。非常に大きい。約7割の1万4232社が、リーマン・ショック前の売り上げをまだ回復していないんです。そういう状況である中で、トヨタの上の方は過去最高の利益を上げている。これは、下請単価をたたいてたたいて下げてきた、そういう面もあるのではないか。
 三次、四次の下請はもっと私は深刻だと思いますけれども、格差が拡大しているという認識は大臣におありでしょうか。
○麻生国務大臣 トヨタの話についてはそちらに聞かれた方がよろしいと思いますが、中小企業に対して、26年度の予算等において、政策金融を活用して、いわゆる資金繰りの支援とか税制上の手当て、投資促進税制などの支援策を講じているところです。いずれにいたしましても、こういったような状況というのは厳しい勧告をせねばならぬということで、本年の4月以降に行われる取引について、消費税の転嫁を拒む、減額や買いたたきなどの行為を禁止するとともに、違反がある場合は公正取引委員会において公表または勧告を行ってきたところでもあります。
 そういった意味で、消費税率引き上げ分を転嫁するというような状況も進めておりますけれども、今申し上げたように、利益の配分を、子会社の納入価格を上げるとか、また給料を上げるとか、設備投資に回すとか、配当に回すとか、そういったものにつきましては今後いろいろな形で、これは各企業の経営理念にも関係してくるところとは存じますけれども、いずれにしても、景気が回復してくると、そういったところに対する対応も当然のこととして変わってくるのは常識的だと思っております。
○佐々木(憲)委員 格差が非常に拡大しておりまして、下請の経営者も、話を聞いてみますと本当に大変なんですよ。
 大手企業の輸出は金額でふえても、国内では消費税増税で販売台数が減っているわけですね。トヨタの決算を見ますと、2014年は4―6月期よりも7―9月期の方が販売が落ち込んでいるわけです。消費税増税の反動減の上に、今度はさらに消費がもっと下がっていく。北米での売り上げがふえても、国内販売は落ち込んでいる、こういう状況です。
 先日、下請の話を聞きましたけれども、幾らプリウスが売れても、今後売り上げが増加していく見込みがないため設備投資ができない、こういう話なんです。しかも、下請企業の労働者の中には、実質所得が減ったために、生活費を補填するため夏休みにアルバイトをさせてくれと、別の下請企業に申し込んでいる40代の労働者もたくさんいるという話も聞いております。ですから、大企業だけがよければそのうちよくなるという話は全く違うんですね。
 やはり、労働者や下請中小企業そして消費者全体の利益を図るという方向に政治の基本を転換しなければ、幾ら法人税を減税したって全く経済はよくなりませんので、むしろ消費税は増税を中止する。それはもう先送りなんてものじゃなくて、中断ではなくて、やらないということを決める。これが一番の景気対策だということを指摘して、私の質問を終わりたいと思います。

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