金権・腐敗政治 (政治資金収支報告書の虚偽記載, 閣僚等の疑惑)
2014年10月28日 第187回 臨時国会 倫理選挙特別委員会 【799】 - 質問
小渕氏疑惑、後援会献金で抜け穴
2014年10月28日、佐々木憲昭議員は政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会で、小渕優子前経済産業大臣の疑惑について質問しました。
佐々木議員は買収について政府の認識を質問しました。高市早苗総務第jンは「買収罪は選挙犯罪の中でも悪質。選挙人の自由な意思の表明により行われるべき選挙を、不法不正な利益の授受によって歪曲(わいきょく)するからだ」と答えました。
佐々木議員は「小渕優子後援会」の政治資金収支報告書の内容を追及。総務省は、同後援会の収入(2010年〜12年の合計額)について、党費・会費や個人献金はゼロ、政治資金パーティーからの収入で約4818万円、関連団体からの寄付で2500万円と答弁しました。
問題の小渕優子後援会観劇会については、収支の差額(支出に比べ収入が少ない)が約2642万円にも上っています。差額を補填(ほてん)しているものが、政治資金パーティー収入と小渕氏関連団体の寄付であることは収支報告書で明らかです。後援会は企業・団体献金をうけとることが禁止されていますが、企業・団体が後援会のパーティー券を購入したり政党支部を経由して献金すれば抜け穴になります。
このことを指摘した佐々木議員は、小渕優子後援会が「事実上、企業・団体献金を受けたのと同じことだ」「小渕氏は、企業・団体からの資金を原資に、選挙をゆがめる行為をしたことが疑われており、議員資格そのものが問われる」と強調しました。
この日、高市大臣は迂回献金を認めるかのような答弁をしましたが、次回委員会で佐々木議員が再度ただしています。
議事録
○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
まず、高市総務大臣に、選挙についての基本認識をお聞きしたいと思います。
日本国憲法前文は、「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、」から始まって、国民主権をうたい、国民の権利及び義務として、第15条において、「公務員を選定し、」「これを罷免することは、国民固有の権利である。」と国民の参政権を明記しているわけですね。
選挙というのは、国民の意思、民意を政治に反映させる大事な機会であって、それをゆがめることがあってはならないと思いますけれども、まず大臣の認識をお伺いしたいと思います。
○高市総務大臣 憲法に基づいて公正な、そして公明な選挙がなされるように、これはもう民主主義の基本、根本でございますので、そのために公職選挙法もあり、また政治資金規正法もあるものだと存じております。
○佐々木(憲)委員 総務省のホームページには、選挙についてこう書いております。「日本は国民が主権を持つ民主主義国家です。 選挙は、私たち国民が政治に参加し、主権者としてその意思を政治に反映させることのできる最も重要かつ基本的な機会です。」「「人民の、人民による、人民のための政治」。民主主義の基本であるこの言葉は、私たちと政治との関係を象徴する言葉です。 国民が正当に選挙を通して自分たちの代表者を選び、その代表者によって政治が行われます。」これが総務省のホームページに書いてあるわけですね。
したがって、買収であるとか利益供与、供応接待などで選挙をゆがめるということになれば、国民の権利を侵害することになる、そういう認識はありますか。
○高市国務大臣 買収罪というのは、選挙犯罪の中でも、最も代表的かつ悪質なものであると言われることが多いと思います。やはりその理由は、買収行為というのは、今、佐々木先生がおっしゃいました、選挙人の自由な意思の表明により行われるべき選挙を不法、不正な利益の授受によって歪曲しよう、そういうものであるからであると考えます。
○佐々木(憲)委員 選挙犯罪の中でも、最も悪質なものが買収罪であります。これに違反すれば、罰金、禁錮刑に加えて、当選無効、5年間の公民権停止、累犯者には10年間の公民権停止、さらに連座制も適用される、大変厳しい罰則がついているわけです。
政治家が国民に疑惑を持たれるということは、議会制民主主義を根底から覆すものとなるわけですね。ですから、政治資金規正法の目的のところに、政治活動が国民の不断の監視と批判のもとに行われるようにするため、政治資金の収支を公開するということにしているわけです。政治資金収支報告書というのはそのためにあるわけであります。
そこで、具体的にお伺いしたいと思うんですが、小渕優子後援会の政治資金収支報告書に書かれている数字を確認したいと思います。
選挙部長にお答えいただきたいんですが、まず、収入についてです。党費、会費、個人献金、企業・団体献金、政治団体献金、政治資金パーティー収入、事業収入、それぞれについて、2010年、2011年、12年、この3年間の合計金額を述べていただきたいと思います。
○稲山政府参考人(総務省自治行政局選挙部長) お答えいたします。
小渕優子後援会の平成22年分から平成24年分の3年間の収支につきまして、群馬県選挙管理委員会が公表いたしました収支報告書を確認したところ、3年間合計でございますが、収入につきましては、党費、会費、個人からの献金、法人等からの寄附はいずれもゼロ円でございます。政治団体からの寄附として合計2502万円、事業収入として計5669万6500円の記載があることを確認いたしております。
○佐々木(憲)委員 政治資金パーティーは幾らになっていますか。
○稲山政府参考人 申しわけありません。ちょっと確認できておりませんで、申しわけございません。
○佐々木(憲)委員 今、合計金額5669万円と言いましたけれども、その中で政治資金パーティーの収入が4818万円ですね。圧倒的に政治資金パーティーが多いんです。
政治資金パーティー以外の事業収入の内訳、これを確認したいと思います。3年間の合計金額の内訳を言ってください。
○稲山政府参考人 事業収入5669万6500円のうち、観劇会収入といたしまして742万1千円、野球観戦収入といたしまして18万8500円が記載されているところでございます。
○佐々木(憲)委員 そのほかに国会見学があるんじゃありませんか。91万円。これが抜けていますよね。
○稲山政府参考人 大変申しわけありません。手元に資料がございませんので、確認できておりません。申しわけありません。
○佐々木(憲)委員 大体、政治資金収支報告書に基づいてこの数字を言ってくれと言ったんですけれども。いいかげんな答弁だな。
その次に、大きいのは政治団体からの献金ですね。政治団体からの献金の内訳、これは一体どうなっていますか。
○稲山政府参考人 大変申しわけありません。主要な項目を足し合わせてまいりまして、資料が手元にございませんので、御答弁は申し上げられません。失礼させていただきます。
○佐々木(憲)委員 主要な項目といっても、政治団体というのははっきりしているわけでありまして、未来産業研究会から1500万円、自民党群馬県第五選挙区支部500万円、自民党群馬県ふるさと振興支部500万円、こうなっているんじゃありませんか。
○稲山政府参考人 大変申しわけありません。政治団体からの寄附金につきましては、先ほど申し上げました、合計で2502万円ということで足し合わせてまいりましたが、内訳については資料を持ち合わせておりませんので、大変申しわけありません。
○佐々木(憲)委員 合計は合っていますからね。足したんだから、その内訳は当然あるわけであります。三つの団体から2500万円入っているわけですね。
次に、では支出について聞きましょう。
小渕優子後援会の組織活動費のうち、大会費と行事費について、2010年から12年の3年間の合計額は幾らでしょうか。
また、その内訳で、明治座への支払い、東京ドームへの支払いはどうなっていますか。
○稲山政府参考人 お答えいたします。
先ほどと同じように、22年分から24年分の収支報告書の記載を確認いたしましたところ、支出でございますが、大会費といたしまして2438万9915円、行事費といたしまして1102万6863円でございます。
これらのうち、株式会社明治座に対しまして1693万2159円、これはたしか大会費だったと思います。それから、行事費の中で、株式会社東京ドームに対しまして計110万7500円の記載があるところでございます。
○佐々木(憲)委員 そのほか、自民党群馬県ふるさと振興支部から明治座に支払われているわけです。その金額は3年間で幾らになっていますか。
○稲山政府参考人 自由民主党群馬県ふるさと振興支部の22年分から24年分の収支でございます。群馬県選挙管理委員会が公表いたしました収支報告書を確認いたしましたところ、合計でございますが、株式会社明治座に対しまして合計で1691万5188円の記載があるところでございます。
○佐々木(憲)委員 今、数字を確認してまいりましたが、この間、話題となっております観劇会について言いますと、小渕優子後援会と自民党群馬県ふるさと振興支部、ここから明治座に合計3385万円支払ったことになっているわけです。しかし、観劇会としての収入は742万円であります。2643万円の差額があるわけです。これは極めて大きいわけですね。
小渕優子後援会は、観劇会、野球観戦、国会見学以外にも、大会費、行事費の費目で、食事代、バス代が多数支出されていると記載されております。
一体、この差額をどこから穴埋めしているのか。収支報告書に記載された資金の流れから見て、これはどうなっていますか。
○稲山政府参考人 収支差の穴埋めをいかにしているかということにつきましては、収支報告書等の記載を見ましたけれども、総務省といたしまして、個々の事案についてその実情を承知する立場にございませんので、お答えは差し控えさせていただきたいと存じます。
○佐々木(憲)委員 資金の流れを見れば明確なんですけれども。
小渕優子後援会は、小渕氏の国会議員関係団体として届け出がなされているわけであります。先ほど答弁があったように、収支報告書によりますと、差額を補填している原資になっているのが、政治資金パーティー収入と小渕氏の関連する政治団体からの寄附であります。小渕氏の側がそれを認めた収支報告書を出しているわけですね。
総務大臣にお聞きしますけれども、観劇会その他の差額分について、その原資、先ほど数字をずっとお聞きになったと思いますけれども、その中心は政治資金パーティーあるいは政治団体献金、これなんですよ。結局、そういうことを事実上みずから認めた中身の収支報告書を出している、こういうことになるんですが、大臣はどのようにお考えでしょうか。
○高市国務大臣 やはり具体的に、事実に即して個別の事案については判断されるべきものであると思います。
大臣としてということですから、総務省としましては、やはり、実質的な調査権を有しておりませんから、その個別具体の事実関係、本当の事実関係を承知する立場にございませんので、お答えは差し控えさせていただきます。
○佐々木(憲)委員 小渕氏は記者会見で、参加者から実費は徴収している、こう言っているわけですね。現在参加者から確認中だ、こう述べているわけです。しかし、仮に観劇会について実費負担が証明されたとしましても、観劇会以外の後援会行事、全ての参加者負担が確認できるのかどうか、これが問題になるわけです。集めた金は一体どこに行ったのか、何に使ったのか、裏金に回ったのではないかという疑念も生ずるわけですね。これは、収支報告書への記載ミスなんという問題では済まされないので。毎年やっているんですから。これは重大な問題であります。
後援会の収入についてもう一点お聞きしますけれども、後援会というのは企業・団体献金を受けられないことになっているのではないでしょうか。総務大臣。
○高市国務大臣 御指摘いただきましたとおり、政治資金規正法におきましては、会社、労働組合、職員団体その他の団体は、政党及び政治資金団体以外の者に対しては、政治活動に関する寄附はしてはならないとされております。
○佐々木(憲)委員 後援会が催した政治資金パーティーのパーティー券、それを企業、団体が購入すれば、これは事実上、企業・団体献金と同じことになってしまうんですけれども。政党支部は企業・団体献金を受け取ることができるという仕組みですね。そうすると、企業・団体献金を受けた政党支部から、後援会が献金を受け取る。この仕組みを利用して、支部を経由して、後援会が間接的に企業・団体献金を受け取ることもできるわけです。結局、この仕組みがあっても、これは抜け穴になっている、こういうことになるんじゃありませんか、大臣。
○稲山政府参考人 先ほど大臣より御答弁いたしましたように、会社、労働組合、職員団体その他の団体は、政党及び資金団体以外の者に対して、政治活動に関する寄附はしてはならないとされているところでございます。
一方で、政党等が一定の寄附等を行うことについての制約等もないところでございますが、それぞれその実情に即したものでございますので、個々の政治資金規正法の現在におきます規制内容は、今申し上げたような体系になっておるということでございます。
○高市国務大臣 法的には可能でございます。
○佐々木(憲)委員 つまり、抜け穴になっているということは、法的にそれが規制されていないということなんですよね。
要するに、企業・団体献金を政党支部が受け取る、そのお金を後援会に渡す。そうしますと、後援会が企業・団体献金を受け取るのを禁止されていても、間接的に受け取ることが可能ではありませんか。そういうことを言っているわけです。だから、法的に可能だということは、この法がいかにずさんであるか、不備があるかということを証明しているわけです。
政治資金パーティー収入からの寄附が使われているという場合も、政治資金パーティーの原資が、企業に買ってもらえばそれは事実上の企業献金になるわけでありまして、それが原資となってこの穴埋めに使われるということになれば、当然、企業・団体献金によって後援会に観劇や飲食を提供したということになるわけでありまして、とんでもない話なんですよ。
政党支部について次に確認しますが、政治家が代表を務める政党支部がワイン、うちわ、カレンダー、線香セットなどを配った場合についてであります。これは有価物であるということを前提にお聞きしますけれども、有価物を不特定の有権者に無償で配った場合、これはどうなるんでしょうか。買収に当たるのかどうか。総務大臣、お答えいただきたい。
○高市国務大臣 一般論でございますけれども、一般の政党支部は後援団体に当たらないものと解されますので、後援団体の寄附禁止を規定した公職選挙法第199条の五には該当いたしません。
しかしながら、公職の候補者等が役職員または構成員である団体に該当いたしますので、公職選挙法199条の三において、当該選挙区内にある者に対し、いかなる名義をもってするを問わず、これらの者の氏名を表示しまたは氏名が類推されるような方法で寄附をしてはならないとされております。ここに当たります。
○佐々木(憲)委員 これは、してはならないということになっていますから、これをやったら、当然違法であり、買収に当たるわけであります。
政党支部の場合は、政党助成金を受け取っているという場合があるんですね、当然。そういうことについて、それを原資にして利益供与を仮にしていれば、これは言語道断であります。
一つだけ確認ですけれども、政党助成金を原資として買収を行ったケースは過去にあるかどうか、紹介していただきたい。選挙部長。
○稲山政府参考人 過去の違反事案につきまして、私どもの方で全体像を把握しているわけではございませんが、平成15年当時にお尋ねのような事例に関する新聞報道があったということは、私どもといたしましても承知をいたしているところでございます。
○佐々木(憲)委員 これは、買収を行ったわけですよ。その結果で有罪になったわけですね。そういう事例があるわけであります。
宣伝事業費として、小渕優子氏が代表を務める政党支部でカレンダーの印刷があったんです。政党支部がカレンダーを有権者に無償で配布した、こういう報道があります。こうなると、政党助成金を使った利益供与に当たるのではないか、こういう疑問も当然出てくるわけですね。
ですから、この点について、総務大臣、政党助成金を使った利益供与の可能性があるということじゃないかと思いますが、いかがですか。
○高市国務大臣 小渕前大臣のことについて、ちょっと、個別的な事案について実質的な調査権を有しておりませんから、そういうケースになるのかということについてはお答えをできません。
あくまでも一般論でございますが、政党支部が有価物を無償で配った場合、一般の政党支部は後援団体に当たらないものと解されますから、後援団体の寄附禁止を規定した公職選挙法第199条の五には該当しない。しかし、公職の候補者等が役職員または構成員である団体に該当するので、公職選挙法第199条の三において、当該選挙区内にある者に対し、いかなる名義をもってするを問わず、これらの者の氏名を表示しまたは氏名が類推されるような方法で寄附をしてはならないと規定をされております。公選法上の規定です。
政党助成法、政党交付金の使途についてですが、この使途に制限を設けることは、本来自由であるべき政党活動に公権力が介入することになるおそれがあるため、政党助成法においては、政党交付金の使途の報告を公表することによって、国民の監視と批判をまつということにして、使途制限を行わないとされていることでございます。
個別の事案ごとに、具体の事実に即して判断されるべきものだと考えます。
○佐々木(憲)委員 もう時間ですので終わりますけれども、この小渕優子氏の問題というのは、企業・団体献金を事実上利用して、選挙民に対して、有権者に対して利益供与を行った、こういう非常に悪質な問題につながっていくわけですよ。
それから、国民の税金である政党助成金を使って有価物を有権者に配った、こういうことになりますと、これ自体、極めて重大な問題であります。
本人がきちっと説明できなければ、議員の資格そのものが問われるという事態になるわけであります。その点を指摘して、質問を終わりたいと思います。
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