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平和・憲法, その他 (秘密保護法)

2014年10月24日 第187回 臨時国会 内閣委員会 【798】 - 質問

秘密保護法監視機関、総理自ら秘密指定・監査

 2014年10月24日、佐々木憲昭議員は、内閣委員会で、特定秘密の運用を検証するため内閣府に新設される「独立公文書管理監」について、総理が指定した秘密を総理自らがチェックする仕組みになっており、独裁的な体制をつくるものだと批判しました。

 佐々木議員は、公文書管理監が所属する内閣府の長は内閣総理大臣であり、総理が指定し、総理が監査する仕組みとなるのに、なぜ独立した監視機関といえるのかと追及。上川陽子担当大臣は「首相は職(公文書管理監)に対する指揮監督権も有する」と認める一方、「法の施行責任を負う内閣官房からは分離されている」と説明しました。

 佐々木議員は、現在の特別管理秘密(特定秘密に移行予定)の4分の3が内閣官房に集中していると指摘。14日に閣議決定された運用基準では、総理が管理監へ理由を示して秘密を「出せない」と拒否すれば、それ以上開示を求める規定がないと批判しました。上川担当大臣は「管理監と部局との間で見解の一致をみない場合は首相が公平に判断を行う」と答えました。

 佐々木議員は「総理の意向ですべて決まる仕組みだ。これでは核密約で問われた総理のウソをチェックできない」と批判し、秘密法は廃止するしかないと強調しました。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 特定秘密保護法に関連をしてお聞きをしたいと思います。
 我々は、もともと、この特定秘密保護法については反対であり、廃止を求めているところであります。ところが、政府は、10月14日、特定秘密保護法の施行に向けて、運用基準と政令を決定いたしました。きょうは、その内容について具体的にお聞きしたいと思います。
 今回の閣議決定では、内閣府本府組織令を改正し、内閣府に独立公文書管理監を置くということになっております。
 秘密保護法の附則第九条には、このように規定されております。「政府は、行政機関の長による特定秘密の指定及びその解除に関する基準等が真に安全保障に資するものであるかどうかを独立した公正な立場において検証し、及び監察することのできる新たな機関の設置」、こういうふうに言っております。
 この内閣府に設置された独立公文書管理監というのは、この附則第九条の言う「独立した公正な立場において検証し、及び監察することのできる新たな機関」に当たる、こう理解してよろしいですか。
○上川国務大臣 ただいま佐々木先生から御指摘がございました、10月14日の閣議決定において内閣府本府組織令の一部を改正したということで、第八条の第六項を追加したところでございます。
 御指摘のとおり、この独立公文書管理監、特定秘密保護法附則第九条に規定する、独立した公正な立場において、行政機関の長による特定秘密の指定及びその解除並びに特定秘密である情報を記録する行政文書の管理の適正を確保するための検証、監察その他の措置に関するものについての事務を総括整理する旨を定めたところでございます。
 特定秘密保護法附則第九条に規定する新たな機関として独立公文書管理監を内閣府に置くということにしたものでございます。
○佐々木(憲)委員 この独立公文書管理監とそのもとに置かれる情報保全監察室について、当時の森大臣はこう答えているんです。
 特定秘密を指定するインテリジェンスコミュニティーに所属する行政機関とは別の内閣府に置かれるもので、高い独立性を有する、こう説明をされているわけです。
 特定秘密保護法の第三条は、行政機関の長が特定秘密の指定を行うとする一方で、ただし書きで、政令で定める行政機関の長については、この限りではないと規定しているわけです。
 今回、閣議決定された秘密保護法施行令では、内閣府の長、これはどういう位置づけになっているか、お答えいただきたいと思います。
○上川国務大臣 ただいま御指摘の特定秘密保護法第三条において、特定秘密を指定する行政機関の長が、規定している中で、ただし書きで、政令で定める行政機関の長についてはこの限りではないということでございます。
 今のところでございますけれども、行政機関を、することができる行政機関の中に内閣府というのが入っているところでございます。
○佐々木(憲)委員 特定秘密を指定することができる、こういうことですね。独立公文書管理監は、みずから所属する行政機関のトップが指定した特定秘密について、その指定が適正かどうかを監察する、こういうことになるわけですね。
 自分で指定し、自分で監察するというわけですけれども、何でこれが独立ということになるのですか。
○上川国務大臣 御指摘の点でございますけれども、独立公文書管理監、この任命権者、そして指揮監督権者、これは内閣総理大臣ということでございます。この任命者は内閣総理大臣でありまして、内閣総理大臣は職員に対する指揮監督権も有するというふうに考えております。
○佐々木(憲)委員 ですから、内閣総理大臣、これが指定するわけですね、特定秘密を。その指定が適正かどうかを監察する。それは、長は総理大臣ですから、自分で指定したものを自分で監察する、こういうことになるんじゃないですか。何でこれが独立なのかと。独立性が高いと言うんだから、何でこれが独立になるのかと聞いているわけです。
○上川国務大臣 お答えいたします。
 特定秘密保護法附則第九条に規定いたします「独立した公正な立場」というのは、同法の施行責任を負います内閣官房から分離されていることをいうというふうに理解をしております。
 内閣府独立公文書管理監及びそのもとに置く情報保全監察室は、内閣官房とは組織上並列の機関として分離されている内閣府に置くこととされておりまして、そういう意味で、独立した公正な立場にあるというふうに言えるということでございます。
 なお、検証等を行う主体についてでございますが、特定秘密を指定する行政機関と分離されているということも重要と考えられるところでございますが、内閣府独立公文書管理監等は、特定秘密を指定する防衛省や外務省等とは分離されているということでございます。
 一方、運用基準におきましては、内閣府独立公文書管理監は、各行政機関の長が行う特定秘密の指定及びその解除等について検証、監察し、必要な場合には是正を求めることができる旨、行政機関の長はこの求めに対し適切な措置を講ずる旨を定めておりますけれども、運用基準は閣議決定でございまして、各行政機関はこれに従う責任を有することになるということでございます。
 こうしたことによりまして、内閣府の独立公文書管理監等による検証、監察等の事務につきましては、厳格に遂行されるものと考えております。
○佐々木(憲)委員 質問に的確に答えていただきたいんですね。いろいろな説明をするのは必要かもしれないけれども、余り関係ないことを長々と読まないでいただきたい。
 私が聞いているのは、内閣府の長というのは内閣総理大臣ですね。特定秘密を指定するわけですよ、内閣総理大臣が。それを独立公文書管理監がチェックをする、こういうことになるわけですね。その長も内閣総理大臣。
 今、内閣府と内閣官房は別組織だと言いましたけれども、では、内閣官房の長は誰ですか。内閣官房の長は、主任大臣、これは内閣総理大臣じゃありませんか。だから、内閣官房の特定秘密も総理大臣が指定する、こういうことになるんじゃないんですか。指定するのかしないのか、これをはっきりしてください。
○上川国務大臣 内閣総理大臣が行うということでございます。
○佐々木(憲)委員 要するに、内閣総理大臣が全部やっちゃうわけだよ。
 結局は、秘密を指定するのも内閣総理大臣ですね。内閣府の長である内閣総理大臣。それがまたみずからチェックする。内閣官房の特定秘密も内閣総理大臣が指定する。全部内閣総理大臣、こういうことになるわけです。これはおかしいですね、何が独立ですか。
 現在、特別管理秘密というのがありますね。政府が、カウンターインテリジェンス機能の強化に関する基本方針に基づいて、各行政機関が保有する国の安全、外交上の秘密その他の国の重大な利益に関する事項であって、公になっていないもののうち、特に秘匿することが必要なものとして当該機関の長が指定したものを特別管理秘密、特管秘ということで管理をしているそうであります。定義からいいまして、この多くが秘密保護法の特定秘密へ移行をするということが想定されるわけであります。
 まず、確認をしておきたいんですが、政府に特別管理秘密が何件あるのか、全件数、それから、多い省庁の上位六位まで言っていただきたいと思います。
○能化政府参考人(内閣官房内閣審議官) 現在運用されております特別管理秘密についてのお尋ねでございます。
 特別管理秘密文書等の件数でございますが、平成25年12月末現在の数字ということで申し上げさせていただきますが、全省庁の合計が約27万2千件でございます。それから、そのうち多いところ上位六機関とおっしゃられたと思いますが、一番目が内閣官房でございまして、約35万3千件、それから、二番目が防衛省でございまして、約5万6千件、三つ目が外務省でございまして、約2万2千件、四番目が公安調査庁、約1万5千件、五番目が警察庁、約1万4千件、六番目が海上保安庁、約9500件となっております。
○佐々木(憲)委員 総計について先ほど27万と言いましたが、これは47万の誤りじゃありませんか。
○能化政府参考人 恐縮でございます。47万2千件、平成25年12月末現在の全省庁合計が47万2千件でございます。失礼いたしました。
○佐々木(憲)委員 計算が合わないんだけれども。合計約47万2千件、こういうことですね。
 それで、内閣官房に集まっているのが35万3千件ですから、75%、四分の三が内閣官房なんですね。現在、特別管理秘密がそれだけ内閣官房に集中しているということになるわけであります。この閣議決定された集団的自衛権行使の司令塔となる国家安全保障会議、NSCの特別管理秘密も内閣官房が保有している。これらの特別管理秘密が特定秘密に移行するということが想定されるわけであります。
 この特定秘密の指定において、内閣総理大臣が自分の都合が悪いことを隠していないか、不適正な秘密指定をしていないか、これを内閣府の独立公文書管理監が検証、監察する、こういう仕組みになっているわけです。こんなことが本当にできるのかどうか。
 確認したいんですけれども、独立公文書管理監は、内閣総理大臣が指定した全ての特定秘密について、内閣総理大臣に提出させるという権限、これはあるのかどうか。
○上川国務大臣 お答えをいたします。
 独立公文書管理監は、運用基準に基づき、必要があると認めるときは、内閣総理大臣に対して、特定秘密である情報を含む資料の提出を求めることができ、内閣総理大臣は、その求めがあったときは、特定秘密保護法第十条第一項の規定により、独立公文書管理監に特定秘密を提供するものとするとされているところでございます。
○佐々木(憲)委員 求めに応じられないときは一体どうするんですか。
 これは運用基準によると、理由を内閣府独立公文書管理監に疎明しなければならない、こうなっているわけですね。仮に提出できないというふうに疎明した場合、その疎明に対して独立公文書管理監が、その疎明は納得できない、出しなさい、こういった場合はどうなりますか。
○上川国務大臣 御質問の、疎明に対して独立公文書管理監が納得できない場合ということでございますが、その提供が我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがないと認められない理由を独立公文書管理監が理解できるように具体的に疎明することとなりますので、独立公文書管理監が納得しないという事態がしばしばあるということは考えておりません。実務上は、独立公文書管理監と、特定秘密に関する業務を行っている内閣官房や内閣府の部局との間で十分な調整が行われるものと理解をしているところでございます。
 なお、仮に特定秘密が提供されない場合におきましても、行政機関に対し、特定秘密を明らかにしない形で特定秘密の指定等の必要性の説明を求めるなどによりまして、実効的に検証、監察等を行うことができるものと考えております。
○佐々木(憲)委員 それは説明するんでしょう、疎明するわけですから。
 そこで、しばしばそれが納得できないという場合は起こらないだろうと言われるんですけれども、しかし、起こり得るわけですね、それは全くないとは言えないわけです。その場合に、それ以上のことができるんですかと聞いているわけです。
○上川国務大臣 仮に独立公文書管理監と内部部局との間で見解の一致を見ないということがございましたならば、内閣総理大臣が、双方の主張を踏まえて、いずれかに偏することなく公平に適切な判断を行うことができるものと考えております。
○佐々木(憲)委員 総理大臣が双方の主張といったって、総理大臣自身が自分で疎明するわけであります、これは出せないと。それが正しいかどうかは総理大臣が判断する、こんな説明で納得できませんね。結局、総理大臣が自分で全て決めるということになるじゃありませんか。
 国会の場合は国会法第104条第三項で内閣声明を要求できるというふうになっていますけれども、そういう規定はないわけであります。疎明に対して納得しなかった場合の規定はないわけであります。調整するという話しか今ないわけですね。疎明を行うのは、自分の任命権者である、指揮監督権者である内閣総理大臣。だから、疎明というのは名ばかりで、これは事実上の中止命令になり得るわけであります。
 これまでも、核密約問題でまさに問われたのは、内閣総理大臣自身がみずからに都合の悪い密約を隠して、国民と国会にうそをついてきたということです。これまでのやりとりでも、独立公文書管理監というのは何の独立性もないということが明らかになりました。総理のうそをチェックできないということじゃありませんか。重層的なチェック機関と言うけれども、官房に設置する保全監視委員会、これも、総理が指定したものをチェックするのはやはり総理なんですよ。身内が身内をチェックする機関を幾らつくったって重層的じゃありませんね、これは。チェック機関としての意味は全くない。結局、内閣総理大臣の意向で全てが決まる、こういうことになるわけですよ。
 今、現実にある特別管理秘密、特管秘と言われているものも圧倒的に内閣官房に所属している。そういう状況の中で、国会で出せということがあったとしても、それは最終的には総理大臣の判断で出せないということになるし、幾らこういう身内のチェック機関を二重、三重、四重に重ねていったって、総理大臣が最終的に決めるという仕組みは全く変わらない。
 こういうことで、もう時間が参りましたけれども、今回の閣議決定が行われた内容を見ますと、いかに総理大臣の独裁的な上意下達型のそういう仕組みになっているかということが非常に明確になりました。我々は絶対にこれは認められないし、この法律そのものはもう廃止しかない、そういうことを最後に申し上げまして、終わりたいと思います。

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