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金融(銀行・保険・証券) (量的緩和政策、超低金利政策)

2014年04月23日 第186回 通常国会 財務金融委員会 【784】 - 質問

日銀の金融緩和、事実上の国債引き受けだと批判

 2014年4月23日、佐々木憲昭議員は、財務金融委員会で、日本銀行の「異次元金融緩和」は歯止めなき政策であり、事実上の国債引き受けだと批判しました。

 日銀の「異次元金融緩和」は、大量の国債を買い取って金融機関に資金を供給する政策です。資金供給量を表すマネタリーベースを2年で倍にする目標を掲げています。
 佐々木議員は、日銀が「異次元金融緩和」を進めるために、保有する長期国債の残高が銀行券(紙幣)発行残高を超えないとする「銀行券ルール」や、発行後1年未満の国債は買い入れないとする「1年ルール」など、自ら決めたルールさえ次々と投げ捨ててきた問題を取り上げました。

 日銀の黒田東彦総裁は「国債の直接引き受けはやっていない」と答えました。
 佐々木議員は、国債の大量発行と日銀引き受けで戦費調達して大インフレを招いた過去の教訓から財政法がつくられたと指摘。歴代の日銀総裁が歯止めのない国債買い入れに警鐘を鳴らしてきたことにもふれ、「今の日銀は発行後すぐに銀行経由で国債を買い入れ、右から左に消化し、財政を穴埋めしている。こんなやり方は許されない」と批判しました。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 一昨日の財務金融委員会の地域金融に関する調査でありますが、これは実にリアルな話をお聞きすることができまして、大変参考になりました。
 融資を受けている中小業者、中小企業の方からは、銀行は余裕のある会社には足しげく来るが苦しいところには来ない、あるいは、銀行によってはなかなか貸してくれないところがある、そういう話がありました。末端まで資金が回っていないというのが実態だと思いました。
 日銀は、マネタリーベースで、昨年3月末の146兆円から14年末までに270兆円、倍加する目標を掲げて、それを達成するとしておりますが、政府と日銀が幾ら異次元の金融緩和だということで銀行にじゃぶじゃぶ資金を供給しても、例えば、茨城県では、銀行の貸し出しは前年比でわずか3%台のふえ方であります。特に、都銀、信託の融資はマイナス2・9%であります。
 黒田総裁に率直な感想をお聞きしたいんですけれども、異次元の金融緩和というものをやっているのに銀行から先に資金が流れていない、この点についての感想をお聞かせいただきたいと思います。
○黒田参考人(日本銀行総裁) 我が国の金融環境を全体として見ますと、貸出金利は既往最低の水準で推移しておりまして、企業から見た金融機関の貸し出し態度も、私どもの短観で見ますと、相当改善した状況になっているということでございまして、全国の銀行貸出残高は前年比2%台前半のプラスで推移しております。また、特に中小企業向け貸出残高が前年比で伸びを高めておりまして、業種あるいは企業規模にも広がりが見られてきているというふうに思います。
 委員御指摘のとおり、特に中小企業にとっては、資本市場での資金調達という道はなかなかございませんので、基本的に金融機関からの借り入れということになると思いますので、特に中小企業向け貸し出しの動向には今後とも十分留意していきたいというふうに思っております。
○佐々木(憲)委員 全体的には貸し出しがふえているとおっしゃいましたけれども、これだけ大規模な金融緩和をやっている割には伸びないというのが実態であります。
 調査で明らかになったのは、やはり資金需要がない、こういう話が出された点であります。
 例えば、旅館業の社長さんの話では、旅館というのは設備産業だ、しかし、今借りやすくはなっているけれども、消費税で客が遠のいたり、従業員の給料などを考えると、設備投資に余りお金はかけられないんだ、こういうお話でありました。銀行の側から言わせると、貸し出せと言われても、資金需要がないのにどうやったらいいのか、危ないところには貸し出せない、こういう状況であります。
 麻生大臣に確認ですが、国民の所得が伸びて消費がふえる、こういうことがなければ、資金需要も伸びないわけであります。そこが鍵だと思うんですけれども、いかがですか。
○麻生財務・金融担当大臣 マネタリーベース、銀行に日銀の金が幾らふえても日銀当座預金の残高がふえるだけで、そこから先、マネーサプライ、市中銀行から町中にお金が散らないという点が一番問題なんだ、全くそうだと思います。
 これは私どもも一番気になっているところで、前に、竹中平蔵大臣のときに、日銀にふやせふやせでふやして、30何兆円たしかふえたんだと思いますが、一円もふえなかった。あのときの記憶が私どももありましたので、これは間違いなく、財政の方の出動をしない限りは市中で金が動くことはない、あのときの経験からそう思って、財政を柔軟に運用しなければならぬ、そう決めて、あの第二の矢、二本目の矢というのを言わせていただいて、そういった方向で動いておりますので、少しはふえてきているとは思います。
 もう一点、佐々木先生、あのころと決定的に違いますのは、企業がためております内部留保金というのがあれだけありましたら、やはり自己資金でやりますよ。銀行に金を借りたら、また貸し剥がしなんてやられたら、あのやろうと思って、まだあのときのものは皆ずっと残っているわけですから、あの嫌な思いとか悔しい思いを忘れることは、まあ、そんなに物忘れはよくないと思いますね。ですから、同じことが1930年代の後半でも起きたと記憶に残っておりますので、やはりもう少々時間がかかる、これが一点だと思います。
 もう一点は、給料が上がった。確かに今度、トヨタのベースアップは2700円、日産が3500円等々、皆、ベースアップも上がっておりますし、一時金も随分出たりしております。その分は確かに今言われた需要だと思いますので、給与が上がるというのは、いわゆる資金需要がふえます。
 町でいえば、設備資金と、こっち側にもう一個、個人の消費の部分の金がありますので、この部分に、今まではハンドバッグを買おうと思っても、来月になったらまた下がると思ったら買えなかったのが、上がるらしいというのと給料がふえたというのでちょっと買ってみようかということになっていくような形で回っていくと私どもとしては好循環と言えるんだと思いますけれども、まだその入り口ぐらいのところで、回るところまでは来ていないというのが現状だろうと感じております。
○佐々木(憲)委員 実際にはなかなか需要というのはふえていないわけで、この前の調査でも大変印象的だったのは、給料が2千円から4千円ぐらい上げた、ところが、雇用保険ですとかいろいろな引かれるものがそれ以上あって、もらう手取りの方が少なくなっちゃった、こういう話だったんですね。
 ですから、やはり何か、ベースアップがあったあったと喜んでばかりはおれないような状況、しかも、消費税がまた上がっている、物価全体が上がっている、こういう状況ですので、実際には消費は拡大していないというのが現状ではないか。だから、資金需要がなかなか生まれない、設備投資をしようとしても見通しが立たない、こういう状況が生まれているんだと思うんですね。
 黒田総裁に確認しますけれども、異次元の金融緩和でマネタリーベースは確かにふえましたけれども、それをふやせば資金がそこの先に流れていく、実際にそうなっていないわけです。これは幾ら金融緩和をしても、需要が伸びない限り、資金は銀行から先に流れない。マネタリーベースは日銀の意思でふやすことはできるけれども、マネーストックの方は日銀の意思でふやすことはできない、これが実態ではないんでしょうか。
○黒田参考人 御指摘のマネーストックは、金融部門から経済全体に供給されている通貨の総量でありまして、経済・物価水準あるいは金利水準などを踏まえた銀行側の与信行動と、他方で、企業や家計の資産選択行動の結果として決まってくるものであるというふうに思います。
 量的・質的金融緩和は、強力な金利低下圧力を加える効果、そしてポートフォリオリバランスの効果があり、それらは確かに貸し出しをふやす方向に作用するというふうに思います。加えて、企業や家計のデフレ期待を抜本的に転換することによって前向きの資金需要を生み出していく。こういった三つのチャネルを考えているわけでございます。そうした結果として、先ほど申し上げたように、緩やかではありますけれども銀行の貸し出しもふえている、特に中小企業に対する貸し出しがふえているということであります。
 したがって、これらはマネーストックの増加にも寄与する。ただ、御指摘のように、マネタリーベースがふえたら、それが即マネーストックの増加につながるというものではないと思います。
○佐々木(憲)委員 よく金融はひものようなものだと。需要側が引っ張れば、その力が伝わって、資金供給がふえていく。しかし、需要側がふえない限り、供給する側が幾ら押しても、たるむだけで市中に資金が回らない。こういうのが実態ではないかと私は思うんです。
 それで次に、国債の買い入れ問題についてお聞きしたいと思います。
 日銀は、マネタリーベースを拡大するためということで、長期国債の買い入れをふやしております。日銀の長期国債保有残高は、昨年3月末の91兆円から14年末には190兆円、倍にふやす、こういう目標を掲げておられますが、現在の長期国債の保有残高は幾らでしょうか。
○黒田参考人 4月20日時点の長期国債保有残高は約158兆円となっております。
○佐々木(憲)委員 かなりのペースでふえているわけです。
 そのために、大量の国債買い入れを行って、銀行の当座預金残高が非常に膨れ上がっているわけです。そうなると、事実上、国債引き受けと同じではないのか、あるいは財政ファイナンスになるのではないか、こういう問題が出てくるわけです。
 確認をしたいんですけれども、もともと日銀による国債引き受けが禁じられてきた、その理由はどういうところにあったのか、この点、お示しいただきたい。
○麻生国務大臣 これは、戦前もしくは戦中にさかのぼって、多額の公債を日銀引き受けということにより発行した結果、我々の世代なら御存じの、あの急激なインフレが生じたということを踏まえて、今日では、他の主要国と同様に、公債の日銀引き受けというものは原則として禁止するというので、たしか公債の市中消化の原則といったかな、何かそういう名前でそういうのをきちんと禁じている、定めたということになっているのが経過だと存じます。
○佐々木(憲)委員 戦争中に、軍備調達のためにということで国債の無制限な直接引き受けを日銀が行って、その後、大インフレが発生をした。その反省の上に立って、戦後は、日本国憲法と財政法というのがつくられて、さらに日銀もそれに基づき独自の対応をしてきたと思うんです。
 日本銀行としても、安易な国債引き受けをしないように、法令上も、あるいは日銀のルールとしてもさまざまな措置をとってきたと思いますが、どのようなものがあるのか、総裁、挙げていただきたいと思います。
○黒田参考人 先ほど麻生大臣が御指摘されたように、財政法五条で、国債につきましては、特別の事由がある場合において国会の議決を経たときを除いて、日本銀行にこれを引き受けさせてはならないと規定されておりまして、こうしたもとで、日本銀行では、償還期限の到来する保有国債の乗りかえ引き受けのみを行っております。
 また、日本銀行の国債買い入れについては、かつてはおおむね銀行券の発行残高の伸びに見合った形で長期国債の買い入れを行っておりましたけれども、2001年3月に量的緩和を導入した際、保有する長期国債の残高について銀行券発行残高を上限とする、いわゆる銀行券ルールを決定したという経緯がございます。
○佐々木(憲)委員 国会の決議があった場合というのは、赤字国債発行法案が提案されて、それが可決された場合ということだったんですけれども、この間、そのルールも棚上げされているというのが現状であります。
 それから、今、日銀券ルールということで、長期国債の残高は銀行券発行残高を上限とするという考え方があったわけですけれども、このルール自体は、現在、停止されているわけですね。停止した理由は何か、それから、日銀券の発行残高は現在幾らか、お答えいただきたい。
○黒田参考人 先ほど申し上げました銀行券ルールは、昨年4月の量的・質的金融緩和の実施に際しまして、一時停止するという扱いといたしました。
 これは、量的・質的金融緩和の導入に当たって、長年にわたって定着したデフレ期待を抜本的に転換するために、量、質ともに次元の違う金融緩和を行うということが必要であり、そのため、年間約60から70兆円に相当するペースでマネタリーベースを増加させるとともに、年間約50兆円に相当するペースで長期国債の買い入れを行うということを決定いたしました。こうした買い入れを進めていくもとでは、日本銀行の長期国債の保有残高が銀行券発行残高を上回るということになりますので、これを一時停止したわけでございます。
 もとより、量的・質的金融緩和のもとでの長期国債の買い入れというのは、あくまでも金融政策の目的で行うものでありまして、財政ファイナンスではないわけでございます。
 また、政府においても、昨年1月の政府・日銀による共同声明に明記されているとおり、中長期的な財政健全化に向けて市場の信認を確保するよう取り組んでいくということになっておりまして、そのことを期待しておるわけでございます。
○佐々木(憲)委員 日銀券発行残高を超えてはならないという日銀券ルールというのは、一定の歯どめの役割を果たしてきたわけなんですよ。
 ところが、金融緩和が優先だということで、邪魔になるということで、これは一時棚上げする、一時停止する、こういうふうなことをやって、既に一昨年8月、2012年8月に銀行券発行残高を長期国債の保有が超えていたわけですね。それが今、154兆円、日銀券発行残高は86兆円ですから、もう限度の二倍になっている。明らかにこれはルール違反、この日銀券ルールということを前提にすればルール違反をやっているということになるわけです。
 これは余りにも御都合主義だと私は思うんですが、今、総裁は、金融政策上の必要性からやっているんだ、これは財政ファイナンスのためではないんだと盛んに説明をされました。
 では、日銀引き受けというのはどういうことをいうのか、判断基準は一体何なのか、そこを示していただきたい。
○黒田参考人 これは、日本の場合でも諸外国の場合でも同じでございますが、国債を発行するに際して、その一部または全部を直接中央銀行が引き受けるというものを指しているわけでございます。
 現在、先ほど申し上げた財政法五条の規定に従って、原則としてそういうことはしておりませんで、あくまでも、現在保有している国債の償還期限が到来したときに、その乗りかえ、発行についてのみ国会の承認を得て引き受けているわけでございまして、新規国債の引き受けということは一切しておりません。
○佐々木(憲)委員 日銀には、以前、1年ルールというのがあったと思いますが、どのようなものでしたか。
○黒田参考人 確かに、従来、1年ルールというのがございまして、これは、1967年に、国債の無条件オペをするに当たって、発行後1年以内のものを対象外として、1年を超えるものをオペの対象とするというルールが立てられたわけでございます。
 これは、2002年に、国債市場も既に整備されて取引が活発化しているということもありまして、発行後1年以内のものでも構わない、ただ発行年限別の直近発行二銘柄は対象外とするというふうに修正いたしました。
 その後、2010年に、いわゆる包括緩和という形で、資産買い入れのための基金というものをつくって、国債の買い入れを拡大したわけでございますが、その際に、この発行後1年以内のもののうち発行年限別の直近発行二銘柄を除くというルールを対象外としたわけでございます。
 そして、2013年、昨年の量的・質的金融緩和の実施に際しまして、こうしたルールを適用しないということに、既に包括緩和の際にもうルールは実際上適用除外になっていたわけですけれども、それを引き続き適用しないということにしたわけでございます。
○佐々木(憲)委員 これは、財政の角度からいいますと、日銀が大量に引き受ける、直接引き受けるということはやってはならないということを法律で決めておりまして、それを、日銀の側が、金融緩和を進めるからという理由で、従来つくってきたものを次々と崩しているというのが現状なんですね。その結果、国債の引き受けが大量に膨らんでいる、これが今の実態です。
 以前、日銀総裁が国会答弁されていますが、例えば、昭和46年、1971年11月1日ですけれども、参議院の予算委員会で佐々木直日銀総裁が答弁でこう言っているんです。
  国債の発行を何か当然のように考えている傾向がございますが、これは中央銀行の立場から申しますと、はなはだ警戒すべき態度であると思います。
  国債の発行に歯どめを与えるという意味から、すでに御説明のございました財政法第四条の規定、それからまた日本銀行としていまとっております国債の直接引き受けはしない、それからまた発行後1年未満の国債あるいは政保債の買い入れは、これは右から左に消化するという印象を与えるということで、やっぱりそこに歯どめの効果を持たすために1年未満は買い入れをしない、この二つの原則は日本銀行として強く維持していくつもりでおります。
こういうふうにお答えになったわけです。
 それから、平成11年、1999年2月9日の衆議院大蔵委員会で速水優総裁は、
  国債の買い切りオペ、幾らでもどんどん買えばいいじゃないかという御意見もあろうかと思いますけれども、そうすればやはり引き受けと同じことになってしまいまして、財政節度が失われるおそれもございますし、国債の直接引き受けと大差ないことになってしまう
こう答えているわけです。
 これが日銀の従来の姿勢だったわけですが、今総裁がお答えになったように、日銀券ルールも外す、1年ルールも外す、そして、いわば無制限に大量に買い込んでいく、こういうことになっているわけですね。これは、従来の原則を非常に安易に、時の流れに身を任せて次々と変えていく、ころころ変えていく、こういうことで果たしていいのかというのが問われると私は思います。
 例えば、国債について、発行後すぐ市場から買っている。銀行が、財務省の実施する入札に応じて国債を買い入れ、翌日から数日後には日銀が実施する国債買い入れで売る、こういう取引が昨年の夏以降、非常に目立つわけであります。右から左に消化しているとしか言いようがないんじゃないですか。
 これはやはり事実上財政ファイナンスそのものじゃないかと思いますが、どうですか。
○黒田参考人 先ほど来申し上げていますとおり、財政法五条で、原則として日本銀行は国債の引き受けをしないということになっておりまして、この法律は一貫して守られてきているわけでございます。
 そうした法律の枠内で、さまざまな日本銀行としての内部的なルールを、国債市場の動向とかその他金融政策の必要性等に応じて運用してきたということは先ほど申し上げたとおりでございます。
 国債市場も非常に発展しておりまして、マーケットメークも十分できるようになっている中で、先ほど申し上げたように、特に1年以内のものはオペの対象にしてはいけないというようなことは必要性がないということで、それを緩め、そして、包括緩和のもとで、直近の二銘柄だけは買い入れ対象にしないということももはや必要ないということで、それを除外するということが起こってきたわけでございます。
 ちなみに、諸外国の中央銀行も、国債を買い入れオペの対象とする際には、先ほど申し上げたような、かつて日本銀行がやっていたような、いろいろな買い入れ対象について制限的なことはしておりません。そうしたもとで、金融政策として適切な運営が行われている。
 私どもも、金融政策として、あくまでも物価の安定が最大の使命でございますので、2年程度の期間を念頭に置いてできるだけ早期に2%の物価安定目標を達成する、そのために現在の量的・質的金融緩和を行っているということでございます。
○佐々木(憲)委員 1年以内はオペの対象にしないというけれども、それ以上の長期国債は買い入れているわけですよ。
 例えば、1月の統計を見ますと、5年債、10年債、20年債、30年債、40年債のいずれの国債でも、新発銘柄を最も多く持っているのは日本銀行ですよ。しかも、これが発行されて次の日とかあるいは数日たって、銀行から買い入れている。要するに、銀行はパイプみたいなもので、直接引き受けと変わらないんですよ。こういうことを実際にやっていながら、何か原則を守っているかのように言うのは、これは言い逃れとしか言いようがないというふうに思います。
 例えば、現在、長期国債の発行残高に占める日銀の比率、これは何%ですか。単体として最大の保有主体ではありませんか。あるいは、目標としている1年後に、これは一体、全体の何%の保有になると想定しているでしょうか。
○黒田参考人 まず最初に、先ほど申し上げたとおり、新発債であっても、入札発行において金融機関が購入したものでございまして、これを日本銀行が入札によって買い入れるということは、国債の直接引き受けとは全く性格を異にしているというふうに理解しております。これは、ちなみに、諸外国でも全く同じでございます。
 そこで、お尋ねの、長期国債の発行残高のうち現時点で日銀の保有している割合はどのくらいかといいますと、12月末時点で17%ということで、その時点のデータを見ますと、日本銀行は最大の長期国債保有主体であるというふうに見られます。
 今後の見通しでございますが、これは、政府が示しております2014年度末の国債残高見通しというのがございますが、他方で、私どもの2014年12月末の長期国債の保有残高の見通しというものがございますので、その両者を用いて機械的に試算いたしますと、保有割合は20%を幾分上回るという見通しでございます。
○佐々木(憲)委員 単体では最大の保有主体であり、しかも、これが今17%なのに、20%を超える。
 金融機関を経由しているから直接ではないと言うけれども、それは形式だけの話であって、実態は、国が出した国債の大半をそういう市中からの買い入れという形で、いわば実質的には引き受けていると言わざるを得ないですよ。
 ですから、今までのルールそのものも次々といわば投げ捨てて、金融緩和というただそれだけのかけ声だけで、財政ルールも全部これは放棄しても結構だというような姿勢は、これは日銀としてはいかがなものか。通貨の番人とか金融政策の一番の総本山と言われるようなところがそんな姿勢になっていったら、将来の日本の財政と経済は一体どうなるのか、こういうことになっていくわけであります。
 しかも、どんどんふやして、ふやしているから今の国債の価格も金利も一定の水準で推移していますけれども、もしこれが限界に達したときに一体どうなるのか。これはまあ本当に恐ろしい感じがいたします。
 そういう点をきょうは指摘しまして、まだいろいろありますけれども、そのうちまたやりたいと思います。
 どうもありがとうございました。

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