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財政(予算・公共事業), 金融(銀行・保険・証券)

2013年11月06日 第185回 臨時国会 財務金融委員会 【749】 - 質問

特別会計改革法案に反対「外部委託は高リスク」

 2013年11月6日、財務金融委員会で、特別会計改革法案が審議され可決しました。佐々木憲昭議員は、質問と討論を行い、この法案に反対しました。

 佐々木議員は、外国為替特別会計(外為特会)の外貨資産の運用を民間金融機関に委託できるようにするこの法案の問題点に言及。民間金融機関への外部委託を中止した日本銀行の例を示し、不安定な国際金融情勢を考慮して従来以上に安全性・流動性を重視していることを指摘。日銀とは逆に外部委託を開始するのはやめるべきだと迫りました。
 麻生太郎財務大臣は「運用益もある」としたうえで「外部委託によって取引やリスク管理に関する知見を活用して運用効率の向上を図る」と答弁。
 佐々木議員は「そうなると外部委託でかかる手数料以上の利益を出さなければならない。高い収益性を確保するための運用になり、リスクが高まる」と批判。日銀の資産運用方針を見習うべきだと指摘しました。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 今回提案された特別会計改革法案は、民主党政権のときに提出をされまして廃案になったものを、ほとんどそのまま自公政権が提出したものでございます。内容は多岐にわたっておりますけれども、きょうは、外為特会の資産運用に絞ってお聞きをしたいと思います。
 まず、この資産運用の目的について、基本原則でありますから、麻生大臣に説明をしていただきたいと思います。
○麻生財務大臣 これは、佐々木先生御存じのように、外為特会というものが保有しております外貨資産というものは、日本の通貨の為替相場の安定というものを確保するために、将来の為替介入に備えて、ある程度保持をしているというものが本来のものであります。
 その目的に鑑みて、いわゆる安全性とか流動性とかいうものに最大限留意しながら運用を行って、この制約の範囲内で可能な限り収益性を追求するという方針のもとで運用を行っていると理解しております。
○佐々木(憲)委員 この外為特会の資産運用で、原資の規模、年間の運用益、これはどの程度か、示していただきたい。
○古川財務副大臣 お答えいたします。
 外為特会の保有する外貨資産は流動性、償還確実性の高い国債等で運用されておりまして、その受取利子等が外為特会の歳入となっております。この外為特会の歳入の金額は、平成24年度決算におきましては3兆円となっております。
○佐々木(憲)委員 原資の規模は約80兆ぐらいということでよろしいですね。
 それから、運用益が出る仕組みを説明していただきたいと思います。
○古川財務副大臣 お答えいたします。
 先ほどもお答えしましたとおり、国債等で運用いたしまして、その受取利子等が歳入となっております。(佐々木(憲)委員「原資の規模」と呼ぶ)
 24年度の実績で見ますと、101兆9千億になっております。
○佐々木(憲)委員 101兆の原資、大変大規模な資産があるわけで、それを運用して3兆、4兆という運用益が出る。これは、外為特会が受け取る外貨証券の利子と支払う外為証券の利子との差額、これが大部分だというふうに理解をしております。
 そこで、資産運用については日銀でも行っているというふうに聞いておりますが、日銀にきょう来ていただいておりますけれども、日銀の場合、資産運用の目的は何でしょうか。
 過去、一部を外部の民間に委託していたというふうに聞いておりますけれども、今はどうなっているでしょうか。
○外山参考人(日本銀行国際局長) お答えいたします。
 日本銀行の外貨資産保有の目的は三点あると認識しております。第一に、国際金融協力のための保有でございます。第二に、我が国金融機関に対する緊急時の外貨資金供給でございます。それから第三に、成長基盤を強化するための資金供給ということでございます。
 それから、現在外部委託を行っているかどうかという御質問でございますが、日本銀行は、現在、保有外貨資産について外部委託運用は行っておりません。
 以上です。
○佐々木(憲)委員 日銀が外部委託をやめた理由、これを説明していただきたいと思います。
○外山参考人 お答えいたします。
 日本銀行が外貨資産を保有する目的は先ほど申し上げた三点でございまして、こうした業務を遂行する上では、外貨資産の円滑かつ迅速な資金化が可能かどうかといった点が重要であると考えております。
 このような観点に立ちまして、具体的な保有資産について検討を行いました結果、海外中央銀行等への預け金及び高い流動性と信用力を持つ国債を主体とした外貨資産を保有することが適当である、こういう考えに基づいたものでございます。
○佐々木(憲)委員 迅速な資金化という角度からということでありますが、2012年5月に日銀から「保有外貨資産の管理に関する見直しについて」、こういう文書が出ております。
 ここには、近年の国際金融市場における環境変化を踏まえ、業務運営上の必要性と外貨資産保有に伴うリスクを改めて検討した結果、今後は、従来以上に安全性と流動性を重視した管理を行うことが適当であるとの結論に至った、こういうふうにされておりまして、各国の債券の運用リスクというのは高まっている、こういう認識であります。そこで、直ちに現金化するということを考えた場合は、民間に委託していると手続に一定の時間がかかる、そういうことであります。
 したがって、見直しの基調としては、業務運営上の必要性と外貨資産保有に伴うリスクを背景として改正した、こういうことになると思いますが、いかがでしょうか。
○外山参考人 先生御指摘のように、私ども、昨年の5月に、政策委員会の決定をもちまして、保有外貨資産の見直しを行ったということでございます。
 先ほど申し上げたような目的に沿いまして、私ども、外為特会と比べれば少額の外貨資産を保有しているということでございますので、このような業務を円滑に行うために、それぞれ、どの程度の金額を流動性を持った上で保有していることが必要かという観点に立ちまして、私どもは私どもで保有のあり方を検討したということでございました。
○佐々木(憲)委員 今のお答えでも明らかなように、日銀の場合は、外貨資産の外部委託を以前、金額は別として、少額と言われていますけれどもかなりの規模だと思いますが、やっております。それを今の段階では取りやめているわけです。それで、説明は、国際的な金融市場における環境の変化、つまり不安定な状況が広がってきている、外貨資産保有に伴うリスク、これを改めて検討して、迅速に資金化するという必要性、こういうことも考慮して外部委託をやめているわけです。
 ところが、今回出された特会改革法案では、逆に、外部の民間委託をこれから始める、こういうわけであります。なぜ、わざわざ、外部の民間にそんな委託をする必要があるのか。
 麻生大臣は10月25日の記者会見で、民間がやった方が運用益が出る可能性が高い、こういうふうに述べておられます。つまり、運用益を出すために外部委託をやる、こういうことなんでしょうか。
○麻生財務大臣 運用益もありましょうけれども、今般の改正において、いわゆる信託契約とか投資一任契約とかいろいろやりますけれども、運用の外部委託というものを可能にするという改正の中の一番主たるものは、この外部委託によって、資産の運用機関が行います取引とかリスク管理に関する知見、財務省には残念ながらその種のことに詳しい人がそんなにおるわけではありませんので、そういったものの知見を活用して、運用効率の向上というものを図りたいというのが主たる目的であります。
 もちろん、利ざや等々が多いという場合もあろうかと思いますが、利ざやを追うというのは同時に危険も伴いますので、財務省として、その利ざやを追うというのを特に目的としているわけではございません。
○佐々木(憲)委員 先ほどの御答弁では、安全性それから流動性が大事である、こういうふうにおっしゃいました。外部委託することがそれをより不確実なものにしていくのではないかというふうに我々は感じるわけです。
 これまでのやり方で、この安全性、流動性を確保する上で何か不都合があったんでしょうか。
○麻生財務大臣 これまで、いわゆる自家運用、自分のところで運用するということで特に不都合があったとかそういうわけではないんですが、外部委託を行うということによって、いわゆる民間の資産運用機関が行います、先ほども申し上げました、リスクに関する知見、そういったものに関する知見を活用するということが、将来、財務省にとりまして非常に有用だと考えまして、外部委託というものを可能にするという改正を行うということであります。
 これは、外部委託を行うことを可能にするということを申し上げているところが大事でして、全部外部委託するなんというわけではございません。
○佐々木(憲)委員 リスク管理の知見ですか、それを活用すると言いますけれども、現在、これまで運用してきて、何かリスク管理上非常に問題があるということでもないようでありますから、わざわざこういう外部委託をやる必要があるのか。日銀は、リスクを考えて、また流動性ということも考えて、やめたわけですよ。逆を行っているような感じがするんですね。
 外部委託になりますと、当然、手数料を払わなきゃいけない。手数料は、一体どのようにして決められるのか、またどのぐらいの金額になるのか、お答えをいただきたい。
○麻生財務大臣 手数料がかかる、それを上回る利益が出るか、そこのところのメリット、デメリットということになろうと存じます。
 いわゆる安全性とか流動性とかいうものに最大限に留意した運用というものを行っていくことになろうと存じますけれども、その制約の範囲内で可能な限りの収益性を追求するということを、これまでの運用方針のもとで、運用対象資産等々は具体的な内容を検討していくことになろうと思いますけれども、それに伴って、その手数料につきましても今後検討することになろうと存じます。
 いずれにしても、こういった民間のこれまでの経験なり知見を活用できることによって運用効率の向上というのが図られるということは、私どもとしては、大いに期待をしておるところでもあります。委託に伴う手数料が発生するではないかということは、間違いなくそういうことになろうと思いますが、委託したことによってより多くの金利差が生じて利幅がとれればそれなりのメリットだと存じますので、外部委託の中身につきましては、メリット、デメリットを含めて、今後検討していかねばならぬところだと思っております。
○佐々木(憲)委員 制約の範囲内で外部委託ということを言っていますけれども、しかし、今までよりは、外部委託をすることによって危険性といいますかリスクが高まる、これは明らかであります。手数料を払わなきゃいけない、したがって、手数料以上の利益を出さないと従来どおりの利益が確保できないわけでありますから、いわば高い収益を確保するための運用をやらなければならない。しかも、それは財務省ではなくて民間がやるんだ。こうなっていきますと、効率の向上の反面でリスクが高まっていくという危険性をやはり指摘せざるを得ないと思っております。
 民間に委託する部分というのはどのぐらいの規模を考えているのか。それから、運用先はどういう基準で一体誰が決めるんですか。それから、外資は排除されるんでしょうか。
○麻生財務大臣 民間に幾らぐらい委託するつもりかということでございますけれども、これは、可能な限り、いわゆる収益性を追求していただきます、安全性はもちろん言うに及ばずですけれどもということで、今後検討していくことになろうと存じますが、これは市場への影響というのも考えておきませんと、財務省のものを委託する、大きな金額でありますから、まずは少額から始めていくということになろうと存じます。いたずらに市場を混乱させることは我々の本意とするところではありませんので。
 また、今御指摘のありましたように、今運用対象としております資産というものは、基本的には確実性の高いものをやっていくことになるんですが、委託先のリスク管理の状況というものにつきましては、これは審査をした上で委託を行っていくんですが、委託後も継続的にやっていきませんと、私ども、国際社会が、極端な例ですけれども、リーマン・ショックでいけば、あのとき、10兆、約1千億ドルをIMFに貸し付けております、日本の場合は。IMFに貸し付けて、三コンマ何%だかちょっと正確な数字は覚えておりませんが、あのときはアジアに対してと言ったんですけれども、実際、アジアで借りる国はなく、ほとんど東ヨーロッパの国が借りたというのは結果ですから。
 そういった意味では、なかなか先行きの見える話ではないんですけれども、いずれにいたしましても、こういったものは、運用対象はもちろんのことですけれども、その内容をつぶさに検討した上、手数料の設定についても、それを踏まえて、今後検討していくことになろうと存じます。
○佐々木(憲)委員 これは誰が決めるんでしょうか。それから、外資は排除しない、こういうことですか。
○麻生財務大臣 最終的には財務大臣が担当することになろうと存じます。
 外資を入れるか入れないかにつきましても、今後検討していかねばならぬところだと思っております。
○佐々木(憲)委員 私は、新たに外部の民間に委託するということはリスクを非常に高めることになると思いますので、慎重にやるべきである、やるべきというか、これはやるべきじゃないと思っております。
 日銀の保有外貨資産の管理基本要領というのがありまして、これを見ますと、保有外貨資産の構成についてはこう書かれております。海外中央銀行等への預け金及び高い流動性と信用力を持つ国債を主体とした外貨資産を保有して、一、当面は米欧主要国国債を中心とする旨を決定する、二つ目、債券インデックスをベンチマークとしたパッシブ運用と決められている、こういうふうになっているわけですね。
 この外為特会の運用方針として、日銀は非常に安全性と流動性を追求していると思うんですよ。現在のこの不安定な国際金融情勢のもとで、ヨーロッパはもちろんそうですが、アメリカの場合、今回だって大統領と議会が対立して、国債が一体どうなるんだ、こういう話になるわけで、そういう点でいいますと、やはり日銀のこういう方針というのは、私は、こちらの方がむしろ非常にすっきりよくわかるんです。
 大臣、こういう方針では何でだめなのか、このあたりの説明が十分理解できませんので、最後に一言もしあればお聞きをして、終わりたいと思います。
○麻生財務大臣 財務省が自分でやった方が運用利益が出、かつ安全であるか、民間がやった方が運用効率がよくて安全であるかというのは、これはいろいろ考えないかぬところだとは思いますが、少なくとも、私どもも丸々全額渡すわけでもなく、民間が一部運用することによって我々もそこから学ぶべき、いわゆるリスク管理とか知見とか、彼らがこれまでやってきた経験、幅広い経験というのを民間は持っておりますので、そういったものを有効に利用するということが国益に資する、私どもはそう考えております。
○佐々木(憲)委員 終わります。

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