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税制(庶民増税・徴税), 財政(予算・公共事業) (消費税, 法人税, 大企業減税, 災害支援)

2014年02月14日 第186回 通常国会 本会議 【771】 - 質問

所得税法改定案代表質問 国民本位に税制転換を

 2014年2月14日、佐々木憲昭議員は本会議で、日本共産党を代表して国税法案について質問しました。

 佐々木議員は、消費税増税の中止を求めるとともに、政府の消費税増税対策は「大半が大企業支援で国民や中小企業を直接支援するものはほとんどない」、「一部の大企業に減税が集中するのは、税の公平性をゆがめ格差を一層拡大するもの」と指摘し、国民本位の税制政策への転換を求めました。
 また、低所得者に配る「簡素な給付措置」の1万円は、食料品の増税分のみで、公共料金など他の生活費に関わる増税分は、自分で負担せよというのかと追及しました。厚生労働大臣は「緩和するのが目的」と答え、低所得者の負担増を当然視しました。
 さらに佐々木議員は、消費税増税の上に軽自動車税を増税するのは「二重の弱い者いじめだ」と批判。
 また、大企業への復興法人特別税の前倒し廃止や交際費非課税の拡大、投資促進を口実とした減税などをとりあげ、「法人税を減税すればそのうち労働者に回るという『トリクルダウン』の考え方は破綻している」と強調しました。
 麻生太郎財務大臣は「企業の収益力を高め個人の所得の拡大につなげる。大企業とそれ以外を対立させる考え方はとらない」と繰り返すだけでした。

議事録

○佐々木憲昭君 私は、日本共産党を代表し、国税法案について質問します。(拍手)
 まず、消費税増税についてです。
 日本共産党は、4月からの消費税増税の中止を安倍内閣に強く求めるものであります。
 消費税増税による反動減を緩和すると称して政府が提案した内容を見ると、その大半は法人税減税により大企業を支援するものとなっており、低所得者や中小企業・業者を直接支援するものはほとんどなく、スズメの涙ではありませんか。
 例えば、低所得者である住民税非課税世帯に対し、簡素な給付措置として1万円を給付したり、年金受給の高齢者に5千円加算する制度を設けるとしています。しかし、その対象は、1年半の食料品にかかる消費税増税分のみではありませんか。
 電気やガスなどの公共料金、病院までの交通費、子供がいれば文房具や本、衣服など、さまざまな消費に消費税がかかるのであります。その増税分は、自分で負担しろということなのでしょうか。
 消費税の納税義務が課されている中小企業・業者の場合も深刻です。
 町の小売店は、増税分を転嫁すればお客さんが減って経営が成り立たない、転嫁しなければ身銭を切ることになり暮らしが成り立たないと言っております。
 このような悲痛な叫びを上げている中小業者に対し、一体どのような対策があるのでしょうか。経営が続けられなければ廃業せよというのでしょうか。
 次に、軽自動車の増税についてであります。
 政府は、購入時に払う自動車取得税を縮減、廃止するという方針を決めました。しかし、その財源を賄うため、軽自動車やバイクの軽自動車税を増税しようとしております。
 国内の自動車販売台数が伸び悩む中、軽自動車は急速に販売台数を拡大させておりますが、これは、長引く景気低迷のため軽自動車に乗りかえてしのいできた、庶民の自衛策でもあります。公共交通機関が衰退した地域では、軽自動車が唯一の交通手段であり、軽トラックも含め、二台、三台と所有している家庭も少なくありません。消費税増税の上に軽自動車税を増税するというのは、まさに二重の弱い者いじめではありませんか。
 その一方、力のある大企業に対して、二重、三重の減税策を実施しようとしているのであります。
 例えば、復興特別法人税は、もともと企業の税負担がふえないように設計されており、その前倒し廃止により、恒久的に法人税減税が実施されるのであります。
 復興のためと称して、国民からは25年間延々と復興特別所得税・住民税の上乗せで8兆円も取り上げながら、大企業には同じ期間に20兆円もの減税を行うというのは、余りにも不公平ではありませんか。
 交際費非課税を拡大することも問題です。
 国税庁の統計では、企業数のわずか0・9%にすぎない大企業が、交際費全体の20%以上を占めているのではありませんか。
 投資促進を口実とした減税も、大企業に集中します。
 額の大きいものは、設備投資促進税制の創設と研究開発税制の上乗せ措置の拡充であります。その実態は、今国会に提出された租税特別措置の適用実態調査報告書によれば、上位企業に減税の恩恵が集中していることは明らかではありませんか。
 もともと7割を占める赤字企業には、一切減税はありません。国民には増税ばかりであります。一部の大企業に減税が集中するのは、税の公平性をゆがめ、格差を一層拡大するものではありませんか。
 法人税を減税すればそのうち労働者に回るだろうというトリクルダウンの考え方は、破綻しているのではありませんか。
 日本経済を裾野から支えるため、税の不公平を正し、国民本位の税制政策に転換すべきであります。このことを求めて、質問を終わります。(拍手)
    〔国務大臣麻生太郎君登壇〕
○国務大臣(麻生太郎君) 最初に、おわびを申し上げて、小池先生の質問の第二問になります。
 租税特別措置の実態についてのお尋ねというのがあっておりますけれども、この点につきまして答弁を漏らしておりますので、今、おわびの上、ここでもう一回読ませていただきたいと存じます。
 租特の適用実態調査は、有用な情報であり、租特の見直しに当たっての一つの参考指標といたしておるところです。その上で、租特を取り巻く経済、社会、地域などの状況や今後の見通しなど、さまざまな要素を総合的に勘案することが重要と考えております。
 例えば、今回の税制改正におきましては、適用件数が少なかった租特のうち、企業立地に係る集積区域における資産の特別償却制度について廃止するとした一方、沖縄の金融業務特区における認定法人の所得控除につきましては、沖縄振興の重要性に鑑み、抜本的に拡充、改組することといたしたところであります。
 佐々木憲昭先生からの御質問にお答えを申し上げます。
 消費税引き上げに伴う反動減対策についてのお尋ねがあっております。
 26年度税制改正におきましては、生産性の向上につながる設備投資減税、交際費課税の緩和、所得拡大促進税制の拡充、復興特別法人税の1年前倒しでの廃止など、企業行動を促すための税制を決定いたしたところであります。
 これらは、企業の収益力を高めるとともに、足元及び将来の企業収益の改善を、個人の所得の拡大、そして消費の拡大につなげるという経済の好循環の実現を目指すために行うものであります。
 すなわち、個人にも企業にもよい影響を波及させることが狙いであり、大企業のみ支援するものとの御指摘は、適切ではないと考えております。
 また、所得の低い方々に対しては、消費税率の引き上げによる影響を十分に緩和するため簡素な給付措置を講ずることとしているほか、中小企業に対しては、税制上の対応に加え、資金繰りの支援などの施策を実施することといたしております。
 次に、消費税の転嫁対策などについてのお尋ねがありました。
 消費税率の引き上げに際し、中小事業者の方々が転嫁しやすい環境を整備することは、重要な課題であります。
 このため、政府としては、消費税率の引き上げ分が全額社会保障財源として国民の皆様に還元されることを御理解いただけるよう、消費税を御負担いただく国民の皆様に対し積極的な広報に取り組むこととしておりますとともに、消費税の円滑かつ適正な転嫁を確保するため、転嫁対策特別措置法により、事業者や事業者団体の方々が転嫁カルテルなどを結ぶことを認められるようにしたところ。
 今後も、政府一丸となって、万全の転嫁対策を講じてまいりたいと考えております。
 また、小売店を含めた中小企業の体質強化の観点から、平成25年度税制改正において、商業、サービス業の設備投資を促す税制を創設するとともに、平成25年度補正予算において、ものづくり・商業・サービス革新補助金を設けるなどの対策も講じているところであります。
 交際費課税の緩和についてのお尋ねがありました。
 経済の活性化のためには、企業の持つ資金を動かし、消費の拡大につなげていくことが極めて重要であります。
 このため、今般の税制改正におきましては、大企業も含めて飲食費の50%を損金算入できるよう、交際費課税を緩和することといたしております。
 これにより、消費が拡大し、料理飲食業、さらには、地域経済を含む経済全体が活性化されるものと期待をしており、御指摘のような、大企業とそれ以外といった対立軸で見ることは、適切さを欠いていると存じます。
 政策税制の恩恵が大企業に集中しているのではないかとのお尋ねもあっておりました。
 今般の税制改正につきましては、減税が適用される企業の賃上げや投資の拡大を通じて、経済全体が活性化されることを期待するものであります。
 また、中小企業に対しては、これまでも特段の配慮を行ってきております。
 例えば、研究開発税制において、中小企業に対しては大企業の税額控除割合よりも高い12%とする特例を講じ、適用件数でも全体の約7割が中小企業であること、中小企業のみを対象とした、軽減税率の特例や、少額減価償却資産を取得した場合の損金算入の特例を講じていること、新設される生産性向上設備等投資促進税制におきましては、中小企業は対象設備の範囲を広げ要件の緩和を行うことなどから、減税の恩恵が大企業に集中しているとの批判は当たらないと考えております。
 一部の大企業に減税が集中するのは不公平ではないかとのお尋ねもあっておりました。
 日本経済の再生のためには、デフレ不況からの脱却に向けて、企業の資金を動かし、経済全体の好循環を実現していくことが重要と認識をいたしております。
 こうした認識に立って、今般の税制改正におきましては、賃上げを行う企業を支援する所得拡大促進税制の拡充などを行うことといたしており、減税が適用される企業の賃上げなどを通じて、経済全体が活性化されることを期待いたしております。
 また、従来から、中小企業には税制面でも特段の配慮を行ってきたところではありますが、今般の税制改正におきましても、中小企業の投資を促す制度の拡充についても、しっかりと取り組んでいるところであります。
 法人税減税についてお尋ねがありました。
 足元の企業収益を家計の所得向上につなげ、経済の好循環をつくっていくことは、重要な課題であります。
 このため、政労使会議の場などにおいて、政府から、経済団体、業界団体に対して、賃上げや取引先企業の支援などを広く働きかけたところ、こうした要請を踏まえ、経団連より、賃金の引き上げを通じて一刻も早い経済の好循環を実現するよう貢献していく、また、連合より、2014年度の賃金決定に当たっては、月例賃金の引き上げと格差是正、底上げにこだわった要求、交渉を行うとの表明がなされたところでもあります。
 これを踏まえ、賃上げのきっかけとするため、復興特別法人税を1年前倒しで廃止することといたしました。所得拡大促進税制の拡充などの他の施策とあわせ、この減税が企業による賃上げにつながっていくことを期待いたしております。
 以上です。(拍手)
    〔国務大臣田村憲久君登壇〕
○国務大臣(田村憲久君) 佐々木議員から、消費税の引き上げに際しての簡素な給付措置についてのお尋ねがございました。
 簡素な給付措置は、税制抜本改革法に基づき、消費税率の引き上げに際し、低所得者に与える負担の影響に鑑み、一体改革の枠組みの中で講じる社会保障の充実のための措置とあわせ、低所得者に対する適切な配慮を行うため、臨時的、暫定的な措置として実施するものであります。
 具体的には、所得の少ない家計ほど生活に必要不可欠な食料品の消費支出の割合が高いことを踏まえ、平成27年9月までを対象に、消費税率の引き上げによる1年半分の食料品の支出額の増加分を参考に、一人当たり1万円の給付を行うことといたしており、低所得者の方々への影響を緩和することができるものと考えております。
 さらに、老齢基礎年金や児童扶養手当などを受給している方々には、一人当たり5千円の加算措置を行うことといたしております。
 このほか、社会保障と税の一体改革の取り組みとして、国民健康保険や後期高齢者医療の保険料に係る低所得者の負担の軽減、介護保険の第一号被保険者の保険料に係る低所得者の負担の軽減などの取り組みも推進することといたしております。
 厚生労働省としては、簡素な給付措置が低所得者の方々に着実に支給されるよう、支給事務の実施に取り組んでまいりたいと考えております。
 以上です。(拍手)
    〔国務大臣新藤義孝君登壇〕
○国務大臣(新藤義孝君) 軽自動車税の見直しについてお尋ねがありました。
 軽自動車税の見直しは、自動車関連税制において、自動車取得税廃止やその代替財源等が大きな課題であったところ、車体課税の不均衡の是正を検討すべきという地方財政審議会の検討会報告書や地方団体の要望等も踏まえ、与党税制調査会における議論を経て決定されたものであります。
 今回の見直しは、軽四輪車に係る新税率適用を平成27年4月以降に取得される新車からとするなど、負担に配慮した措置を講じた上で行われるものであり、また、自動車取得税において軽自動車に係る税率の引き下げを行うなど、軽自動車のユーザーにさまざまな形で配慮がなされたものとなっていると考えております。(拍手)
○議長(伊吹文明君) 議長から申し上げます。
 財務大臣から、答弁を補足したいとの申し出があります。今後このようなことがないことを前提に、これを許します。財務大臣麻生太郎君。
    〔国務大臣麻生太郎君登壇〕
○国務大臣(麻生太郎君) たびたび恐縮です。
 大企業への減税と復興特別所得税についてのお尋ねがあっておりました。
 先ほども申し上げましたとおり、今般の税制改正は、企業の収益力を高めるとともに、足元及び将来の企業収益の改善を個人の所得の拡大、そして消費の拡大につなげるという経済の好循環の実現を目指すために行うものであります。
 すなわち、個人にも企業にもよい影響を波及させることが狙いであり、両者を対立させるような捉え方は、適切ではないと考えております。(拍手)

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