2013年04月16日 第183回 通常国会 議院運営委員会 【728】 - 発言
「0増5減」区割り法案を特別委へ付託 与党が強行
2013年4月16日、議院運営委員会は、衆院小選挙区の「0増5減」に伴う区割改定案について、政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会に付託することを民主、維新などが欠席するなか、自公の与党の賛成だけで強行しました。
佐々木憲昭議員は採決に先立ち意見表明し、与野党の合意のないまま与党が一方的に議運委員会を開いたことに強く抗議。比較第1党が4割台の得票で8割もの議席を獲得する小選挙区制度の弊害を改めるためには小選挙区制の廃止以外にないと主張するとともに、「0増5減」法案は、1票の格差の是正という点でも小手先のびほう策であり、投票価値の平等という憲法の要請には応えられないと批判し、付託に反対しました。
これに先立って開かれた与野党書記局長・幹事長会談で野党側は、「0増5減」の先行処理に一致して反対し、各党協議会を開くよう求めました。日本共産党の市田忠義書記局長は、「『0増5減』案では憲法違反の状況を打開できず、憲法の要請に応えられない。選挙制度の抜本改革の議論こそ始めるべきだ」と求めました。
議事録
○佐田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
再開に先立ち、民主党・無所属クラブ、日本維新の会、みんなの党、生活の党の所属委員に理事をして出席を要請いたしましたが、いまだ出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。
趣旨説明を聴取する議案の件について御協議願います。
高木毅君。
○高木(毅)委員 動議を提出いたします。
内閣提出、衆議院小選挙区選出議員の選挙区間における人口較差を緊急に是正するための公職選挙法及び衆議院議員選挙区画定審議会設置法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案は、本会議において趣旨説明を聴取しないこととし、議長において政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会に付託されることを望みます。
○佐田委員長 佐々木憲昭君。
○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
初めに、この委員会が、与野党合意のないまま、与党によって一方的に開かれたことに対して、強く抗議するものであります。議会の運営は、合意の上、円満に行われるべきであります。
その上で、内閣提出の小選挙区0増5減を、一方的に委員会付託を強行することに対し、断固反対するものであります。
選挙制度は、議会制民主主義の根幹であります。議員定数、選挙方法などのあり方は、多様な民意をいかに正確に議席に反映するかという方向で検討されなければなりません。
現行の小選挙区比例代表並立制は、4割の得票で8割の議席を占めるなど民意を著しくゆがめており、民意を反映する抜本改革が必要だということが、多くの政党の共通認識であり、中心問題であります。
0増5減案は、最高裁が違憲状態とした一人別枠方式の配分はそのまま残して、格差が2倍を超える選挙区をなくすという、まさにびほう策であり、違憲状態の解消という言い分は成り立ちません。結局、0増5減案は、抜本改革を棚上げし、小選挙区制を維持、固定化しようとするものであり、私たちは、当初から反対をしてきたところであります。
現行小選挙区制の、格差についての一連の違憲判決は、現行小選挙区制が投票価値の平等をめぐって憲法違反の重大な欠陥を持っていることを厳しく断罪しております。
日本共産党は、19年前、政治改革と称して小選挙区比例代表並立制の導入が提案されたとき、この制度は、選挙制度の基本である民意の公正な議席への反映をゆがめ、比較第一党に虚構の多数を与える根本的問題があるとして、反対をいたしました。同時に、小選挙区の区割り規定が二倍以上の格差を容認していることは、投票価値の平等に反する違憲立法だと批判をいたしました。
出発点から根本的に問題がある制度を強行し、維持し続けてきた各党の責任が厳しく問われております。
現行の小選挙区並立制のもとで実施された六回の総選挙結果は、その根本的欠陥を浮き彫りにしております。
05年総選挙では自民党296議席、09年は民主党308議席、昨年末は自民党294議席と、第一党が圧倒的な議席を獲得いたしました。
いずれの選挙も、小選挙区で第一党の得票率は4割台にもかかわらず、7割から8割もの議席を占めております。得票率と獲得議席に著しい乖離を生み出し、議席に反映しない投票・死に票が過半数に上っております。民意の反映を大きくゆがめる小選挙区制の弊害は明白でございます。
また、一票の格差の問題についても、小選挙区制のもとでは、地域別の人口変動に応じて格差の拡大は避けられず、必然的に格差是正を繰り返さざるを得ないことになります。
さらに、小選挙区制の区割りは、現在でも各地で行政区や地域的なコミュニティーを人為的に分断する異常な線引きが行われており、格差是正のたびにその異常は拡大し、有権者は選挙区の不自然な変更を強いられることになるわけであります。
小選挙区制が、本来、投票権の平等という憲法の原則とは両立できない制度であることは、その導入以来の歴史が証明しております。
したがって、これらの問題を解決するためには、現行小選挙区並立制の廃止を決断すべきであります。
なお、民主党は、みずから推進した0増五減では不十分だとして抜本的改革を言いますが、その提案の中心は、比例定数のさらなる削減であります。小選挙区の投票価値の不平等が問題となっているとき、比例定数の削減を持ち出すのは、筋違いであるとともに、極めて不当であると言わざるを得ません。
そもそも、我が国の議員定数は国際的に見ても少ないものであり、定数削減を行う合理的根拠は存在いたしません。
以上で意見表明といたします。
○佐田委員長 それでは、高木毅君の動議に賛成の諸君の挙手を求めます。
〔賛成者挙手〕
○佐田委員長 挙手多数。よって、そのように決定いたしました。
本日は、これにて散会いたします。