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財政(予算・公共事業) (大型公共事業・再開発)

2013年04月15日 第183回 通常国会 予算委員会第8分科会 【727】 - 質問

リニア新幹線建設計画を凍結せよ

 2013年4月15日、佐々木憲昭議員は、予算委員会第8分科会で、JR東海がすすめるリニア中央新幹線についてただし、必要性もなく、住民の意見も聞かずにすすめていると追及。建設計画を凍結すべきだと求めました。

 この計画は、大規模公共事業でありながら国会審議など公的関与が及ばないまますすめられています。
 理由として「輸送力の限界」があげられていますが、現在でも3〜4割の空席があります。また、「老朽化」対策という理由もあげられています。しかし、すでに大規模改修をすすめていることから成り立ちません。
 「震災への備え」も東海・東南海・南海の3海域地震に耐えられるのか疑問視されているとのべ、建設理由は破たんしていると批判しました。
 太田昭宏国土交通大臣は、「有識者会議の科学的知見で、安全であるという検証が出されている」としか答えられませんでした。佐々木議員は「安全神話を振りまくものだ」と批判しました。
 さらに佐々木議員は、住民の支持がそもそも得られていないと指摘し、建設を認めた答申案について、反対と中止、再検討を求める意見が73%を占めていることをあげ、「わずか1年余りの審議会の議論だけで『見切り発車』をしてはならない」と強調。建設計画は凍結すべきだと主張しました。
 太田大臣は「指摘を受け止める。安全安心を確保して公共事業においては納得性のあるものをしていかなければならない」と答えました。

議事録

○佐々木(憲)分科員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 初めに、太田大臣に基本的な点を確認したいと思うんですが、鉄道会社というのは、日常の生活にとって非常に大切な、不可欠な交通サービスの提供者でございます。その意味で、公共性、公益性、安全性は最優先で守らなければならない社会的使命があると思いますが、その点を確認しておきたいと思います。
○太田国土交通大臣 鉄道というのは、いわゆる営利というだけでなく、公共的なもの、また、明治以来、鉄道というものが実に発展の心躍るものになってきているということも含めまして、大いなる公共性を持っているという認識をしております。
○佐々木(憲)分科員 そこで、きょうは、リニア中央新幹線の問題についてお聞きしたいと思うんです。
 2007年4月、JR東海は、リニア中央新幹線建設構想の推進を社内決定いたしました。このリニア新幹線構想をどう受けとめ、判断すべきかということで、それを検討する政府ベースの審議が、2010年3月から国土交通省交通政策審議会鉄道部会中央新幹線小委員会というところで開始をされたわけです。それで、11年5月12日にこの小委員会が最終答申を発表いたしました。そして、26日、国交省はJR東海にリニア中央新幹線の建設を指示したわけです。
 こういう経過がありますが、JR東海は、国交省のゴーサインを受けまして、来年に着工を予定しております。そういう作業を今急いでいると聞いております。
 端的にお聞きしたいんですけれども、なぜ今、リニア中央新幹線なのか。国交省がJR東海に建設を指示した理由、根拠をお示しいただきたいと思います。
○太田国土交通大臣 中央新幹線の建設の指示に当たりましては、今御指摘ありましたように、平成22年3月から23年5月まで、交通政策審議会中央新幹線小委員会におきまして、20回にわたり、有識者の皆様に幅広く御議論をいただいたところでございます。
 また、この小委員会で、JR東海より、みずからの自己資金により中央新幹線の整備を行うとの意思が表明されたわけです。
 この結果、中央新幹線は、東京、名古屋、大阪、三大都市圏を高速かつ安定的に結び、国民生活、社会経済を支える大動脈の機能を強化するほか、東海道新幹線との二重化により、災害へのリスクへの備え、リダンダンシーということになる等の意義を有するとの答申をいただきました。
 このような答申を受けまして、平成23年5月、中央新幹線の整備計画の決定を行いまして、建設主体と営業主体としてJR東海を指名し、同社への建設の指示を行ったところでございます。
○佐々木(憲)分科員 今言われたように、リニア新幹線というのは、JR東海が建設主体となって建設費用の全額を負担する、その一方、国は建設の指示を出すというだけになっているわけですね。
 しかし、この計画は、大動脈と今言われましたが、実質的に大規模な公共事業でございます。いわば国家的プロジェクトと言われるようなものですね。残念ながら、国会審議など公的関与が及ばない、そういう状況で、異例な形で進められてきているわけです。
 私が非常に驚いたのは、JR東海の社長が審議会小委員会の場で、自己負担でプロジェクトを完遂するので、経営の自由、投資の自主性の確保という民間企業としての原則を貫徹すると断言していることでございます。
 こうなりますと、総額9兆円以上の巨額の資金が投入されるプロジェクトでありますが、公共交通システムにかかわる問題なのに、国はJR東海の主張をただ追認するだけになってしまう、そういうことになるんでしょうか。
○滝口政府参考人(国土交通省鉄道局長) 委員御案内のように、中央新幹線の整備でございますが、全国新幹線鉄道整備法という法律に基づいて、国土交通大臣が、先ほど来お話のございます、整備計画を定める、あるいは営業主体、建設主体を指名する、あるいは建設の指示をする、こういったようなことを行ったところでございます。
 決してJR東海が勝手にやるということではなくて、全国新幹線鉄道整備法に基づく手続に従って進めているところでございます。
○佐々木(憲)分科員 そういうふうに言われても、この内容をどれだけ真剣に国として検討して進めているのか、これが問われるわけであります。
 リニアが果たして必要なのかという議論もあります。JR東海は、当初、輸送力の限界を打破する、こういうことを掲げておりました。しかし、国交省審議会のヒアリングでは、このことについてJR東海は触れておりません。輸送能力の限界というのであれば、最近の輸送実績はどうなっているか、これが重要だと思いますが、この点を紹介していただけますか。
○滝口政府参考人 東海道新幹線の輸送実績につきましては、景気動向などによりまして多少の変化はございますけれども、基本的に右肩上がりで推移をいたしております。
 具体的には、昭和62年度当時の輸送量が年間321億人キロであったのに対し、20年後の平成19年度には、年間465億人キロを達成しております。その後2年間は、景気の低迷などに加え、新型インフルエンザなどの社会情勢などの影響を受け、一旦減少いたしましたが、平成22年度以降再び増加傾向に転じ、平成23年度時点の輸送量は443億人キロということになっております。
 また、列車の運行本数について見てみますと、平成23年度において、1日当たりの列車本数は最大で約400本、1時間当たりの列車本数は最大で14本ということで、非常に過密なダイヤ設定となっているところでございます。
○佐々木(憲)分科員 今、右肩上がりとか言われましたが、実際の利用率を年間を通して見ると、最近数年間、約10%低下しているわけですね。ふだんは、座席の35%から45%が空席であります。年末年始あるいはお盆の時期の混雑率は120%と言われていますけれども、これは自由席なんですよ。こういう混雑は年間10日間ぐらいでありまして、やはり、空席が3割、4割という状況を見て、何でこれが輸送能力の限界なのかというふうに思うわけでございます。
 他方、老朽化するからもう一本必要である、バイパスが必要だとも言われていますけれども、これも私は理屈が非常に薄弱であると思うんです。老朽化対策というのは、それはそれとして当然やらなければなりません。大規模改修は、既に全幹法によって定められておりまして、JR東海も改修を予定しております。ですから、老朽化がバイパスを必要とする理由にはならないと私は思うんですね。
 次は、震災へのリスクに備えるというようなことも言われているんですね。
 そこで、大臣にお聞きしますけれども、近い将来予想される東海、東南海、南海の三海域で巨大地震が発生した場合に、このリニア中央新幹線は果たして耐えられるのか、大臣の御見解をお聞かせいただきたい。
○太田国土交通大臣 中央新幹線などの鉄道構造物の地震対策、これは言うまでもなく、鉄道の安全、安定輸送のために極めて重要です。耐震工学の専門家を交えまして、この件については科学的、工学的な見地から検討を進めてきているところでございます。
 その具体的な検討の結果につきましては、かなり詳細な事項が含まれるので、鉄道局長から答弁をさせていただきたいというふうに思っておりますが、どこまでも、このルートをとりますと、大深度に入るというところもあれば、中央構造線を通るというところもあれば、トンネルが多いというところもある。それぞれのところで、科学的、工学的な見地ということから判断しなくてはならない。
 同時に、東海道新幹線が、津波が起きたという場合、東海、東南海、そうした地震に非常に近接しているという危険性を持っているということは、委員も同じ認識だと思っております。
○滝口政府参考人 ただいま大臣の方から、基本的な考え方について御説明申し上げました。
 中央新幹線の先行しております東京―名古屋間で行われております環境影響評価が前提にしておりますルートは、全長で約286キロでございます。うち、トンネル区間というものは256キロということで、トンネル区間が非常に多くなっているのは事実でございます。
 トンネル区間について見てみますと、品川駅付近から神奈川県の西部の約40キロの区間は、いわゆる大深度法に基づく深さ40メートル以上の大深度地下に構造物が設置されることになっております、こういった区間もございます。また他方、南アルプスの山岳区間、これは約50キロございますが、こういった区間などの山岳部があるわけでございます。
 地下深く走行するといっても、走行する地盤の条件は実は異なるわけでございます。一般的に、地下の構造物というのは、地上の構造物に比べまして耐震性が高いものの、地山が安定した山岳地帯を通る場合には地盤そのものが揺れにくい、そういった性質がございます。他方、沖積層が厚く堆積いたしました首都圏や名古屋市付近では、構造物に影響を与えるような地盤変位が想定されます。
 構造物の耐震対策につきましては、このような地盤のかたさなどの地盤条件を踏まえて、科学的な知見に基づき、確実に検討する必要がございます。
 このため、中央新幹線を含む鉄道構造物の耐震対策につきましては、私どもが平成17年から鉄道総合技術研究所に委託いたしまして、京大名誉教授の佐藤忠信氏を初めとする耐震工学の権威にお集まりいただきまして委員会を開催し、鉄道構造物の耐震設計に対して徹底した議論を行ったところでございます。
 その結果、設計手法が取りまとめられておりますが、これによりますと、南海トラフ巨大地震や首都直下地震などによる大きな地震動が想定される区間におきましては、構造物が建設される地点で想定される最大級の地震、いわゆるL2地震動に対して安全性を確保することといたしております。
 一方、大きな地震動が想定されない区間においては、過去に生じた地震動等を参考といたしまして、内陸活断層によるものとしてはマグニチュード7・4程度が直下で生じた場合を、また、海溝型地震によるものとしてマグニチュード八程度が60キロメートル離れたところで発生した場合を、それぞれ想定した地震動に対して安全性を確保することとしております。
 また、やむを得ず……(発言する者あり)ということで、科学的な基準、検討結果を踏まえておりますが、これを実は私どもの新たな基準として決定いたしておるところでございます。
○佐々木(憲)分科員 時間が余りないので。書いたものをどんどん読まれると質問時間がなくなるので、今大臣もおっしゃったように短くやってくださいね。
 それで、今おっしゃった、地殻変動などが起こったようなときには何が起こるかわからないというのが、これから想定されるような地震なわけでございます。何か、安全だ、安全だということだけ今強調されましたけれども、新たな安全神話を振りまくようなことを国交省がやってはなりませんよ。
 審議会の中で、バイパスができても、大震災が起きたときに、例えば東海道新幹線とリニア中央新幹線が一緒に機能しなくなるということだってあるわけですね、そういう疑問が出されたときにJR東海はこう答えたんですよ。御質問はなかなか難しくて、どういう対策をとるかということはまた考えなくてはいけませんと。私、この答弁を読んでびっくりしまして、これは無責任じゃないかと思うんですよ。あらゆることを想定していかなければならないのに、一つの新幹線はだめになるけれども、中央新幹線だけどんどん安全で通れるんだなんて、こんなことを最初から決めつけて、両方とまったということは考えていないという。そんなことがありますか。私は、これは非常におかしいと思っているんです。
 それから次に、例えば、住民の支持が本当にあるのかどうか、これが問題だと思うんです。沿線住民を初め多くの国民は現実にリニア新幹線建設に対して不安を抱いておりまして、私のところにもいろいろな声が届いております。
 例えば、岐阜県中津川市の方々は、東海地震の影響を深刻に受けると予想される警戒区域に、岐阜県内で唯一、中津川市が指定されております。その中津川市の西部に中間駅が建設されるという。例えば、地上20メートルの高さにつくられるというこの中間駅が、東海地震など大規模地震で原形を保つことができるのだろうか、地元の方はそう言っているんです。
 それから、神奈川県相模原市にお住まいの方からは、そもそも大深度の地底にトンネルを掘って、地震や火山の噴火、予期せぬ水脈の切断などにどう対処するつもりなのか、深くて長いトンネルの中で火や煙が立ち上るなど異常事態が発生した場合、万全の救出策は用意されているのか、狭い空間から高齢者を含む約1千人の乗客をどのくらいの時間で救出できるのか、誘導する乗務員の体制はあるのか、こういう心配が寄せられているんです。
 これらの声に対して、どういう安全の保障を考えるかというのが非常に大事だと思うんですが、大臣、いかがお考えでしょうか。
○太田国土交通大臣 安全ということは一番大事なことだと思います。
 地震ということでどういうふうに考えるかといえば、東海、東南海、南海地震、そして相模トラフの地震、首都直下地震、それぞれ態様が違い、また、津波というものが問題になっているというような東海、東南海、南海という形と、それから相模トラフの地震も津波はありますけれども、そこには至らないということが予想されますし、首都直下の場合は、いわゆる海溝型の地震ということと直下ということと両面があって、18のパターンが出ているところでありますが、今鉄道局長からお話がありました有識者会議での科学的知見に基づく論証によれば、例えば大深度という、40メートルのところということについて地震ということについて知見があって、それは安全であるということが科学的な知見として出されている。
 一つ一つ、何が心配かということで、御心配なされることは山ほどあると思いますから、それをしっかり受けて、この心配が具体的な科学的な知見に基づいて安全だということをしっかり示すということが私は大事なことだというふうに思っています。
○佐々木(憲)分科員 これは科学的にしっかりと調査もし、私が今述べたようなことは非常に多面的な心配なんですよ、住民の方々の。それに対して説明がほとんどないんです。ですから、やはり安心ができるのかどうかというのが、まだ理解されておりません。しかも、不安の方がだんだん大きくなってくるわけですよ。最近は、これから、南海、東南海、そういう地震が起きたらどうなるんだろうと。
 地震というものの捉え方も、今までの考え方の地震ということだけで、果たしていいのか。あるいは、地殻が変動するような、大きく隆起するようなことが起こった場合に、一体どうなるのか。これは、そういうことがないとは誰も断言できません。
 したがって、そういう問題をきちっと想定して考えていかないといけない。それが、先ほどの答弁だと、もう何か、全て安全です、安全ですと。そんなことをやっていて、後でどういうことになるか。私は、これは余りにも、安全神話のような話を振りまくのはいかがなものかというふうに思うんです。
 例えば、この小委員会ではこういうことが言われております。実験線が今ありますね、そこで百名分ぐらいの避難訓練しかやっていない、営業線になったときに乗務員を何人置くかはまだ決めていない、こんなふうな答弁ですね。工事のときにつくる立て坑を避難通路とするというけれども、交通弱者への対応をどうするのか、これも不明でございます。
 本当に、異常時における安全確保というものは確認されるのかどうか。これはどうなんでしょうか。
○滝口政府参考人 今委員御指摘の問題というのは、いわゆる長大トンネル、例えば整備新幹線でも十キロメートル以上の場合は長大トンネルというような言い方をさせていただいておりますが、そういった在来型と申しますか、今ある鉄道においても同じような問題がございます。
 今回、リニアの場合には、特に大深度というものを使いますので、したがいまして、立て坑といったものが一定の距離ごとに実は設けられることになっておりまして、そういったところを使いながら脱出できるといったような物の考え方をいたしております。今委員御指摘の高齢者の方あるいは障害者の方、こういった方に対応するべく、こういった立て坑の活用についても十分考えてまいりたいと思っております。
 また、山岳トンネルにつきましては、山岳トンネルの掘削の際に、横坑であるとか作業坑であるとか、そういったものが実はつくられるわけでございますが、そういったものを活用いたしまして、万が一、トンネルの中にとまった場合であっても安全に避難できる、そういったような体制を組みたいと思っております。
 これも今委員御指摘がございましたが、乗務員の数をどの程度の体制にすべきかということにつきましては、どの程度の車両数で運行するのか、どの程度の旅客人員なのか、こういったことを踏まえて、適切に対応してまいりたいと考えておるところでございます。
○佐々木(憲)分科員 立て坑というお話がありましたけれども、これは実際にどうなるかわかりませんよ、こういう大変な震災が起きた場合に。
 私は地元の声というのは非常に大事だと思っておりまして、パブリックコメントというのもやっておられますね。この答申に対するパブリックコメントでありますけれども、この中で、反対、中止、再検討、こういう意見が全回答の中で73%に達しております。888の意見の中で、648であります。これは大変比率が高いんですけれども、大臣、どういうふうに受けとめておられますか。
○滝口政府参考人 今委員御指摘のように、小委員会で審議をするに際しまして、三回のパブリックコメントを行っているところでございます。その中で、毎回、賛成の方と、反対、中止といったような否定的な御意見、実は両方いただいているところでございますが、特に第三回目のパブリックコメントというのは、平成23年の4月から5月に行ったということで、東日本大震災の直後に行ったということがございますので、そういったことを反映して、否定的な御意見も数多くいただいたのではないかというふうに考えているところでございます。
○佐々木(憲)分科員 東日本大震災を踏まえたら、住民の方々のリニア中央新幹線に対する不安がより広がったということであります。ですから、これはやはり重視して対応しなければならないと思うんです。住民の意見を最大限尊重するといいながら、手続だけをどんどん進めるというのでは、これは初めに建設ありきというような話になりますので、私は非常に大きな疑問を持っております。
 最後に、地元負担についてお聞きしたいんです。
 中間駅の建設に伴って、周辺整備のための地元負担は膨大となります。答申では、「駅のアクセス圏を従来の鉄道駅に比べて格段に拡大することが重要」と述べております。そうしますと、交通整備、中間駅地上部分の建設用地を初め、さまざまな負担が地元に発生するわけです。
 中津川の前市長は地元のリニア期成同盟の副会長でもありますが、その人がこう言っているんです、東濃に新駅をつくるため、中津川市の一般会計予算に匹敵する350億円を地方負担する、それだけのメリットがあるのでしょうかと。
 名古屋では、効果とは逆に、ストロー現象と言われる地域経済へのマイナス影響が懸念されております。
 財政状況が厳しい中でこのような巨額の投資を求められると、自治体の財政が大変深刻な事態になるのではないかと思うんですが、大臣、いかがですか。
○滝口政府参考人 中間駅の建設につきましての地元の負担の問題について、御質問がございました。
 JR東海は、当初、沿線自治体に対しまして中間駅建設費用の負担をお願いするということとしていたところでございますが、平成23年11月、中央新幹線の早期実現の観点から、全額自己負担とするということを表明したところでございます。
 一方、駅前広場あるいはアクセス道路などの整備につきましては、各沿線自治体がそれぞれ、中央新幹線をどのように活用するのか、地域の特性などを生かしながら、主体的に検討を行った上で、それぞれの計画に基づき、みずからの判断で進めていくべきものであるというふうに認識しております。
 このため、整備に係る費用につきましても、各沿線自治体の負担により行われることが適切であるというふうに考えております。ただし、この場合であっても、既存の補助制度を活用できる場合があるということは言うまでもありません。
 このように、駅周辺整備等につきましては、沿線地域とJR東海がそれぞれの役割分担を果たしつつ対応するということを期待しているところでございます。
○佐々木(憲)分科員 今の答弁だと、自治体の負担により行われるのが適切であると。全然適切じゃないんですよ、そんなものは。
 今、日本社会の中には、2年前の東日本大震災と福島原発事故を経て、大規模な公共事業、あるいは電力、エネルギー問題、こういうことについて、これまでのあり方を根本的に見直すべきだ、こういう声が広がっております。
 きょう、今まで質疑をしてまいりましたが、私は、どうしてもこれが必要だということについては確認できませんでした。安全性、環境問題、こういう問題でも不安に応えられていないと私は思います。
 ほかにも、技術面でどうなのか、それから人体への影響はどうなのか、あるいは環境問題も、さまざまな問題がございます。未解決の問題を抱えながら、わずか1年余りの審議会の結論だけで見切り発車、これでは私はまずいと思うんです。
 今やるべきことは、この建設計画をまずは凍結して、リニア建設に利害の関係がない専門家を含む第三者機関を設置して、さまざまな角度から評価、検証を行うことでございます。
 私は、このことを最後に大臣に提起いたしまして、一言感想をお聞きして終わりたいと思います。
○太田国土交通大臣 安全、安心ということを確保して、公共事業においては、納得性のあるものをしていかなくてはならないというのが国の基本であろうというふうに思っております。
 きょう御指摘のところは、佐々木委員の長い間の経験に基づく指摘であるということを受けとめておきます。
○佐々木(憲)分科員 以上で終わります。

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