税制(庶民増税・徴税) (消費税, 大企業減税)
2013年03月22日 第183回 通常国会 財務金融委員会 【717】 - 討論
所得税法の改定案 「消費税増税の地ならしだ」と反対討論
2013年3月22日、衆院本会議で、所得税法の一部改定案が、賛成多数で可決しました。日本共産党、維新、社民が反対。暫定税率延長を盛り込んだ関税定率法改定案は、全会一致で可決しました。
採決に先立ち、財務金融委員会で討論に立った佐々木憲昭議員は、所得税法の一部改定案について、3300億円の大企業減税が盛り込まれていることを指摘。研究開発減税は赤字の中小企業が利用できず、資本金10億円以上の大企業に減税額の8割が集中する等、不公平を拡大すると批判しました。
さらに、佐々木議員は、所得税の最高税率見直し等が盛り込まれたものの、高額所得者に対する課税強化としては極めて不十分であり、「消費税増税の地ならしにすぎない」と主張。
社会保障の財源は、大型公共事業など無駄遣いをやめ、大企業・富裕層優遇の不公平税制見直しで確保すべきだと述べました。
議事録
○佐々木(憲)委員 日本共産党を代表して、所得税法等の一部を改正する法律案に対し反対討論を行います。
反対する第一の理由は、本法案に約3300億円の大企業減税が盛り込まれていることです。
例えば、研究開発減税は、さらに拡充して580億円規模の減税を盛り込んでいますが、赤字の中小企業には利用できず、資本金10億円以上の大企業に減税額の8割が集中するなど、不公平を拡大するものであります。新設される生産等設備投資減税も同様です。
賃上げ促進策の目玉として導入される所得拡大促進税制も、一時的な減税措置を設けても利用されないという声が上がっているように、政府の見込むような効果は期待できません。
また、企業への成長マネー供給のためとして、日本版ISA、少額投資非課税制度など証券優遇税制の拡充がなされていますが、これは、金融資本市場の投機化と所得、資産格差の拡大をもたらすものであります。
反対する第二の理由は、所得税最高税率見直しと相続税の見直しが盛り込まれましたが、高額所得者等に対する課税強化として極めて不十分であり、1年後に実施予定の消費税増税への地ならしにすぎないからであります。所得格差を一層拡大し、景気を冷え込ます消費税増税は中止すべきであります。
社会保障の財源は、大型公共事業や軍事費などの無駄遣いをやめること、大企業、富裕層優遇の不公平税制の抜本的な見直しなどで確保すべきであります。
本法案には、長年、事業者等から要望があった延滞税、延納等に課される利子税の引き下げ、中小企業への事業承継税制、設備投資減税の拡充、復興支援税制の拡充など、評価できる項目もありますが、さきに述べた理由も含め、総合的に判断し、法案に反対といたします。
なお、関税定率法等改正案のウルグアイ・ラウンド合意に関する暫定税率等の適用期限の延長措置については、例外なき関税化に賛成するものではありませんが、TPPにおいて関税の原則撤廃が大きな焦点となっていること、また、この10年余りを見ても、主食の米については高い関税によって外国からの輸入を一定程度抑えることができていること、これらを総合的に勘案して、法案には賛成といたします。
以上で討論を終わります。(拍手)