税制(庶民増税・徴税), 景気回復 (消費税, 量的緩和政策、超低金利政策, 社会保障・税一体改革)
2013年03月15日 第183回 通常国会 財務金融委員会≪大臣所信に対する質疑≫ 【711】 - 質問
デフレ不況打開のため家計をあたためる対策こそ必要
2013年3月15日、佐々木憲昭議員は、財務金融委員会で、麻生太郎財務・金融担当大臣に質問しました。
佐々木議員は、デフレ不況を招いた原因について、働く人の賃金が10年間で21兆円も減り、社会保障改悪による国民負担が増えたことをあげ、「GDPの6割を占める家計の可処分所得を低迷させ、需要の落ち込みの大きな要因となっている」と指摘。
麻生大臣は「給料が増えなければ可処分所得が増えないのは常識だ」と答えましたが、負担増の影響には触れませんでした。
佐々木議員は、日銀がこれまで実施してきた金融緩和で効果があったのかと追及。
日銀の西村清彦副総裁は、2007年から2013年の間に、日銀からの資金供給量は44%伸びたものの、実体経済=市場で利用されている資金は16%しか伸びていないことを明らかにしました。
佐々木議員は「金融緩和ではダメで、需要を増やす施策をやらなければ、市場にお金は流れない」と批判。
麻生大臣は「市中銀行のお金が増えるだけではダメだ」と答えました。
佐々木議員は、これから、政府は消費税増税と年金など社会保障改悪で20兆円の負担増を強いようとしていることをあげ、ますます家計を苦しめ内需を冷やすだけだと批判。
麻生大臣は、その改善には一切触れようとしませんでした。
佐々木議員は、賃金を増やし、社会保障の負担増を中止するなど家計をあたためる政治への切りかえを強く求めました。
議事録
○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
きょうは、大臣所信に対する質疑ということですので、基本的な問題からただしていきたいと思います。
麻生大臣は、所信表明で、「長きにわたりデフレが継続いたしております。」こういうふうな認識をお述べになりました。
そこで、改めて、デフレとは何か、インフレとは何か、この定義をお聞かせいただきたいと思います。
○麻生財務・金融担当大臣 公式的には、物価の持続的下落がデフレと定義をされております。インフレの方は、持続的な物価の上昇というようなことになるのではないかと思っておりますけれども、一応、政府見解としては、持続的な物価の下落をもってデフレと定義をいたしております。
○佐々木(憲)委員 そこで、その持続的な物価の下落ということが一体なぜ起こるのか、その原因を我々は究明しなければ、対応も出てこないと思っております。
大臣は、この所信表明の中で、「賃金の下落が続き、消費や設備投資が伸び悩む中で、」というような発言をされております。つまり、需要面の落ち込みというものがその背景にある、こういう認識でよろしいですか。
○麻生財務・金融担当大臣 この原因につきましては、さまざまなものが複合的に重なり合っておりますので、貨幣価値の下落とか物価の下落だけとは、これは言いにくいと思っております。
特に、今回の場合は、少なくとも今までにないほど急激に土地と株というものが下落をしたことによって、株は90年から、土地の方は92年から急激に下落をしておりますので、企業にしてみれば、自分の持っております資産、動産という株、不動産という土地、こういった資産価値が急激に下落したために、会社の勘定からいくと債務超過という状況に陥って、企業としては基本的には債務超過を解消する必要に迫られた。
そのために、株は売る、もしくは土地を売る。結果として、またさらに下がるということになっていって、それでも、バブルのときにたまった借入金の返済をしない限りは、物価が下がろうと何だろうと、金利はそのままずっと残りますので、企業としては、しゃにむに借金の返済をすることを優先した。
経済用語でよく使われる、利益の最大化をやめて債務の最小化を図ったという結果が、回り回って今回の大きなデフレを長引かせたもとだと思っております。
○佐々木(憲)委員 今の説明は、バブルのはじけた経過をどのように見るかというお話でしたが。以前、麻生大臣は、2001年3月に経済財政担当大臣として記者会見をされておりまして、そこで記者からこう聞かれているんですね。今の不況の中で、需要不足によって物価下落が続いているというようにお考えですか、こう聞かれまして、そうですというふうに明快にお答えになっているわけです。
物価下落の要因として、需要不足、これが一番大きいと私は思うんですけれども、認識としては、当時と今と、同じでしょうか。
○麻生財務・金融担当大臣 需要の下落、間違いなく、デフレーションにつながった一番もとのもとは、多分そこになると思います。
○佐々木(憲)委員 そこで、需要のことでありますが、例えば、GDPの中で一番大きな比重を占めるものは家計消費でありまして、最近の統計を見ましても、6割、59%であります。これがやはり全体の景気動向あるいは需要そのものを左右する、内需を左右する大きな要素である、そういう位置づけだという認識はお持ちでしょうか。
○麻生財務・金融担当大臣 GDPの中に占めます大きなもの、政府支出、設備投資、個人消費、この三つだと思いますが、比率の一番大きいのは個人消費、はっきりしておると思います。
○佐々木(憲)委員 そのとおりでありまして、これは2010年度前期の名目GDPの構成ですけれども、個人消費は59・0%、設備投資が13・4、政府消費が19・7、こういうふうになっているわけでありまして、やはり個人消費というのが非常に大きいわけですね。
そこで、問題は、需要の中心である家計、この家計消費の部分がずっと低迷している。これが、全体として、デフレ不況の大もとにあるというふうに思うんです。やはりこれは、可処分所得が減るということと連動していると思うんですね。
可処分所得というのは、手持ちの自由に使える資金が家計の中でどれだけあるかということでありまして、一番基本は賃金ですね。賃金がふえないと可処分所得もふえない。それから、税、社会保障の負担、これが重いと、なかなか手元の資金が厳しくなってくる。こういうような関係にあるわけです。
この手元に残る可処分所得というものがなかなか伸びない、そういう状況にあるのではないかと思うんですが、大臣はどう認識されていますか。
○麻生財務・金融担当大臣 全て給与というわけではありませんが、所得は、株の配当であったり、貸した金の金利であってみたり、土地代であってみたり、いろいろなもので別に所得がふえているところもあろうと思いますので、給与というものだけで一律に言えませんし、退職しておられる方々にとりましても、少しまた違う論理だとは思いますけれども。
いずれにしても、入ってくる収入に対して、それが一定であるという前提に立てば、物価が下がり続けていけばともかくとして、基本的には、給料がふえない限りは可処分所得はふえないということに、常識的にはなります。
○佐々木(憲)委員 その給料が、この間、例えば10年間をとりますと、21兆円減っているんですね。
それから、これは負担の問題がもう一方にありまして、小泉さん、安倍さんの時代に、我々が計算しますと数十項目ありまして、12・7兆円の負担がふえたんですよ。所得税、住民税の増税もありましたし、年金の負担もふえた、給付が減った、そういうふうなことがいろいろあります。それがかなり国民の負担感を増したというのは、要因として大きいと思いますね。
そのために、かなり自民党に対する批判がわあっと強まった。麻生さんが総理になられたときは、その批判が非常に強い中で総理になられたんですけれども、そのときに、何とか需要を拡大しよう、個人消費をふやそうということで、定額給付金というのをやったと思うんです。その発想というのは、個人の消費を伸ばそうというのがその背景にあったと思うんですが、まずそこを確認しておきます、考え方ですね。
○麻生財務・金融担当大臣 あのとき一番大きかったのは、佐々木先生、やはりリーマン・ブラザーズですよ。あの影響がやはり一番大きくて、とにかく、銀行は倒産する、企業は倒産するなんとかというような感じで、事実、アメリカの方も、ファニーメイなんというああいった住宅公社みたいなものまで潰れる時代でしたので。そういった意味では、それの余波がどれだけこっちへ来るかというのが一番問題でして、銀行の救済というようなことで、思っておりました。
幸いにして、いわゆるサブプライムローンというものにひっかかっている銀行は日本の場合は少なかったものですから、ゼロじゃありませんけれども、絶対量が少なかったものですから、ヨーロッパとかアメリカの銀行ほどひどい目に遭わずに済んだというのは大きかったと思います。
いずれにしても、一挙にえらいことになったというオーバーリアクションみたいなものは大きく出ましたものですから、これで企業が引いた上に、とにかく、民間の、いわゆる消費の60%を占めるその部分が縮こまるというのだけはちょっと、これまでいったらもう日本のGDPはマイナス成長どころの騒ぎじゃないという危機意識がありましたので、政府支出と民間企業の設備投資が伸びないというのであれば、いわゆる個人消費を刺激する、そういった要素というものを考えないとこれはえらいことになるなという意識がありましたので、個人消費を何とかという意識が強かったと記憶しています。
○佐々木(憲)委員 麻生大臣は、今まで答弁を聞いておりますと、デフレ不況の要素としては非常に重要な鍵になるのは個人消費にあると。これを刺激して、ふやすように持っていかないと、全体として景気は底上げしないのだという基本的な原理のところは、共鳴する面が我々はあります。ただ、その内容がいろいろあると思いますけれどもね。
それで、確かに、アメリカのバブル崩壊で大変な金融危機が広がったというのはありました。しかし、その前に、先ほど述べましたように、それまで国民負担がじわじわじわじわふえてきたということもあります。賃金も下げられてきた。そういうときにあのショックが起こったものですから、これは大変な事態だということはありますね。それは、一時的にこの給付によって何とか刺激しようとされたんだと思います。あのときはそのやり方についていろいろな議論が起こって、非常にいろいろな論争が起こったんですけれども、それはさておき、需要というものが大事であるという認識がベースにあるというのを確認いたしました。
もう一つ、私は、その上に、金融の面は一体どういうふうに位置づけるのか、これをただしたいと思うんです。
それは、安倍内閣が2%のインフレターゲットを設定するということで、金融面から今度は物価を押し上げる、そういうことで、日銀に重い役割を担ってもらって、それを実行させよう、こういうことのようです。
そこで、まず前提として数字を確認したいんです。
日銀にお聞きしますけれども、マネタリーベース、マネーストックのそれぞれについて、2007年から今日までの変化を示していただきたいと思います。
○西村参考人(日本銀行副総裁) お答えさせていただきます。
マネタリーベースですが、これは実額を平残ベースで見ますと、2007年の1月は約90兆円であります。これに対して、2013年の2月は約129兆円です。すなわち、この6年間で44%増加いたしました。この間、マネーストックですが、これは、M2の実額の平残ベースで見ますと、2007年の1月は約715兆円、2013年の2月は828兆円であります。つまり、この6年間で大体16%増加したという形になります。
○佐々木(憲)委員 マネタリーベースというのはどういうものか、それからマネーストックというものはどういうものか、簡単に説明していただけますか。
○西村参考人(日本銀行副総裁) マネタリーベースというのは、日本銀行に存在している銀行の預金と、それから市中に存在している紙幣、貨幣、その総和を大くくりにしたものであります。
マネーストックというのは、これは銀行に対する預金が基本的なもので、それと市中にある貨幣とかそういったものを全部含めた、そういう経済活動に対応する貨幣量という形になります。
○佐々木(憲)委員 今御説明がありましたように、マネタリーベースというのは、いわば日銀と銀行の間の底にたまっているお金ですね、簡単に言うと。それから、マネーストックというのは、どちらかというと銀行から先のお金のありようでありまして、預金されていたり流通していたり、そういう部分ですね。この二つを明確に分けて考えるということが大事だと思うんです。
そこで、先ほどの数字のお話ですけれども、マネタリーベースでは44%ふえているんですよ。要するに、金融緩和をやって、じゃぶじゃぶとお金を出したと言うと言い過ぎかもしれませんけれども、日銀としてはそれを供給した。
ところが、問題は、銀行から先になかなかお金が流れない。マネーストックでいうとわずか16%ですから、かなり低いですね。これは、実体経済、需要面のいわば経済が活性化しない状況の中で、資金需要というものがそんなに大きくならなかったということだと思うんですけれども、大臣、どういう認識でしょうか。
○麻生財務・金融担当大臣 これは、当時意見のすごく別れたところだと記憶しています。
日本銀行は余りやる気がなかった。なぜなら、マネタリーベースをふやしても、少なくとも、それから先のマネーサプライになっていくという保証が全くないと日本銀行は思っておられましたから。
私どももそう思っておりました。しかし、当時、閣内でいろいろ意見が分かれて、当時はヘリコプターマネーなんというわけのわからぬ言葉がはやっていましたけれども、日銀が金を刷りさえすりゃ回るんだみたいな話をしていた人もおられましたけれども、現実問題、日本銀行がお金を刷っても、市中銀行に、あなたは日銀に当座預金としてこういう預金がありますよという額が示されるだけで、別にそれから先に、市中に回るわけではありませんので、少なくともマネーサプライはふえないということになります。
したがって、幾ら刷っても意味がないという日本銀行の当時の御意見に、私は当時総務大臣だったかな、何かしていましたけれども、僕、賛成しますと言って、結構、当時の竹中平蔵と正面からぶつかった記憶があります。残念ながら、私の方が負けましたので、そのままふやされたんですけれども、結果的には全然ふえなかったと記憶をしています。
したがって、今回のアベノミクスの中においては二番目、三番目の矢が大切なのであって、日銀がマネタリーベースをふやすということをしていただいても、それから先の需要をつくり出すのは、これはどう考えても政府であり民間の仕事であって、そこのところの保証がなければ日本銀行も2%なんて安易に書けないというのは当たり前の話なので、2%のお話を日本銀行とさせていただくときに一番、これは信頼関係にも基づきますので、そこのところは我々もきちんとやりますということを申し上げて初めて、あの共同声明ができたというように思っております。
○佐々木(憲)委員 実際に需要の方が伸びていくかどうかというのは、我々はちょっと疑問に思っております。それは後でまたやるとして。
そこで、もう一つ数字を確認したいんですけれども、国内銀行の貸出残高がどうなっているか、2001年3月から直近までの変化ですね。特に、国内銀行全体と中小企業に分けて説明をしていただけますか。
○西村参考人(日本銀行副総裁) お答え申し上げます。
まず、国内銀行の貸し出し合計につきましては、末残ベースで見ますと、2001年の1月は約470兆円ありました。それが、2013年の1月には約422兆円となっております。すなわち、この12年間で約10%減少いたしました。
中小企業向けの貸し出しについては、2001年の1月は約230兆円ございました。それが、2013年の1月には約168兆円となりました。すなわち、この12年間で約27%減少いたしました。
○佐々木(憲)委員 資金需要といいますか、これが非常に低迷しているというのは、今の数字でもわかるわけです。需要がないということは、要するに、経済が低迷しているということでありますから。
この状況というのは、非常に大変な事態だと思います。つまり、中小企業は、新しいことをやりたいという意欲はかなりあるわけですけれども、しかし、実際にその商売が成功するかどうかというのは、何をつくっても、それが売れる見通しがなければ設備投資もできないし、あるいは大企業にとっても、その商品が売れる見通しがないのに、設備だけつくるわけにはいかぬ。したがって、最終的には、個人消費、家計消費をベースとした内需というものが全体としてふえない限り、貸し出しもふえない。ここがやはり基本だと思うんですね。
今、そういう意味では、麻生大臣が以前に、単に緩めただけではお金は下に行かないと思いますという発言もされています。先ほども似たような御発言でした。やはり、金融緩和という場合、最終的な需要がどのように起こっていくかということを同時にやらないと、これは幾ら緩和したって、先にお金は流れないわけですね。
ところが、どうも、私は今見ておりますと、これから消費税というものが上がるわけですね。経済状況によって、この秋どのように判断するかということは言われていますけれども。これが仮に上がるとなりますと、13・5兆円、新たに庶民の負担がふえるわけです。これは家計消費にとっては非常に大きなマイナスです。それから、さらに年金ですとか、そのほかの負担がかなりふえていくわけですね。そうなっていきますと、これを合わせますと、負担増。これは、この前、民主党政権のときにも私は予算委員会で確認しましたが、これから3年ぐらいの間に、約20兆円負担がふえるわけですよ。
最初に申しましたように、その負担がふえていきますから、賃金がちょっと上がっても、これは可処分所得の方がずっと減ってしまうわけですね。特に、高齢者の場合は年金が下がり続けます。そういう中で、消費税は上がる。一体どうやって暮らしていいのか、こういう話になるわけですね。
したがって、先にお金が流れる、これは、成長戦略ですとか、あるいは財政出動とか、そういうことも考えておられると言いますけれども、実際に家計にお金が回らない限りは、どんなことをやったって全体の経済は上向かない、こういうことになると思うんです。
したがって、私は、これまでの政策の延長線上で、つまり、三本の矢と言われているそのやり方ではうまくいかないのではないか、そう思います。これは負担が大変重くなっていくからです。
賃金が上がるという点は、これは我々も提起して、そして今、春闘の時期ですから、若干の前進も見られるかのように思いますけれども、まだまだそれでも、負担増ということを考えると、この程度のことでは間尺に合わないという感じがするわけです。
こうなりますと、金融緩和の方がずっと先行していきます。財政出動といっても、公共投資はGDPの4%です。4%を幾ら膨らませても、倍にしたって8%ですね。そこまでいくかどうかは別として。そうなりますと、金融緩和だけがどんどんどんどん先行していって、つまり、お金がじゃぶじゃぶあふれる。日銀から銀行の方に行く部分だけがふえるだけで、また結局は内需の方に回っていかない、そういうことになるのではないかと思いますが、麻生さん、どうですか。
○麻生財務・金融担当大臣 マネタリーベースとマネーサプライの件でいけば、少なくとも、消費税の引き上げ分というものは、基本的にはこれは社会保障に充てられるということが決められておりますので、その分に関しましては、今の中では影響が少し違うのではないかと思います。一つの例ですけれども。
ただ、基本的には、今、佐々木先生が言われるように、この種のものがインフレ傾向に出てきたときに、一番最後についてくるのが給与ですから。給与は一番最後に来る。これは、世界じゅう皆同じになりますので。その意味では、ある程度遅くなってくる。
しかし、今回の場合は、少なくとも、各単産ごとの話ではありますけれども、春闘の答えを見ていると、満額回答が一発で出されたりしているというのは、気分が違ってきているんですよね、もう既に。これは物すごく大きな部分だと思っておりまして、景気の気の部分が全く去年までとは違ったものになってきているというのが一番大きな例で、既に、デパートの売り上げやら何やら、消費が少しずつふえてきたり、もう顕著に出ています。
そういったところが回り回って、さらにシナジー効果とか波及効果とかいうものを生んでいくようなものにしていかないかぬところなのであって、やはり一発目だけの、いわゆるマネタリーベースがふえるだけではだめというのは、これをやったら10年前にやったのと同じことになりかねないという御懸念は全く当然の御懸念なのであって、そういうことがないようにするために、第二、第三のところをやらせていただいたというように御理解いただければと思って。
特に三番目のところが一番肝心なところだと思って、私ども、ここが一番大きな勝負だと思っております。
○佐々木(憲)委員 そこで、財政との関係で、金融緩和をどんどんやるというふうになっていきますと、日銀としては、資産の買い入れ、その他の手段をいろいろ使うということになってきますね。そうすると、政府としては国債をどんどん発行する。3年間は国会のチェックがなくてもやれる、こういう話ですので、予算が組まれる限りは幾らでも発行できる。
そうなると、結局、日銀が間接的に引き受けるような市中からの買い入れが行われて、基金もつくられて、その基金の規模がどんどん膨らんでいく。さらに金融緩和をやっていくと、その規模も膨らんでいく。短期国債から今度は長期国債だ、こんなふうになっていきますと、これは財政法との関係で非常に問題が出てくるんじゃないか。
財政法第五条は、「すべて、公債の発行については、日本銀行にこれを引き受けさせ、又、借入金の借入については、日本銀行からこれを借り入れてはならない。」こういうふうに規定されているわけですね。
一体どこまで日銀に国債を引き受けさせるつもりなのか、その限界をどのように意識しているのか、その辺はどういうふうに考えておられますか。
○麻生財務・金融担当大臣 日銀の国債の買い入れというものは、基本的には、金融緩和のために資金を市中に供給するということを目的とするものであります。したがって、国債を含めた、どのような金融資産を幾ら日本銀行が購入するかということにつきましては、具体的な手法等々につきましては、基本的に日本銀行の権限、範疇で決められるということになっております。
したがって、日銀のいわゆる国債の買い入れというのをもって、これは財政ファイナンスに当たるのではないかというのは、少々これは適当ではないのであって、これは日本銀行にかかって、その権限は委ねられているんだと思っております。
したがって、政府としても、日銀に政府が財政ファイナンスをさせているんだという疑念を持たれることイコール日本の国債の信用、国家の信用にかかわってきますので、これは今後、日本の持っております国債のランクにかかわってくる話でもありまして、ここのところは極めて慎重にやらなければならぬと思いますので、そこはおのずと、どの程度のものかというところは自然とわかってくるところだろうと思います。
これをしゃにむにやれば、全部戻って、ランクが下げられてみたりいろいろするということは、国債の金利がえらい上がったりすることにもなりますので、そこは慎重にやっていかねばならぬのは当然と思っております。
○金田委員長 時間が参りましたので、まとめてください。
○佐々木(憲)委員 時間ですので、もう終わります。
結局、我々としては、国民の消費の拡大、生活の安定というものが第一である。そうしないと、金融緩和が先行していくと、物価が上がって逆に生活が落ちてしまう。こういう危険がないか、この辺はこれからもきちっと注視していきたいというふうに思っております。
以上で終わります。