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税制(庶民増税・徴税), 医療・介護・年金 (消費税, 社会保障・税一体改革)

2012年06月26日 第180回 通常国会 社会保障・税特別委員会≪総理出席≫ 【688】 - 質問

自民・公明の軍門に下った民主 公約投げ捨て批判

 2012年6月26日、消費大増税を柱とする「社会保障と税の一体改革関連法案」は、午後の衆院本会議で与党と自民、公明両党などの賛成多数で可決し参院に送付されました。
 日本共産党からは、高橋千鶴子議員が反対討論に立ち、悪法を厳しく批判しました。
 採決の際、民主党から大量の造反者が出たため、「民主党は事実上分裂した」と報道されています。
 衆院を通過した関連法案は計8本。現在5%の消費税率を2014年4月に8%、15年10月に10%に引き上げる一方、民主党が衆院選マニフェスト(政権公約)で掲げた最低保障年金創設や、後期高齢者医療制度の廃止は事実上否定されました。

 佐々木憲昭議員は、社会保障・税特別委員会の締めくくり総括質疑で、「3党合意」による民主党の公約投げ捨てを追及し、「3党合意で民主党は自民・公明両党の軍門に下った」と批判しました。
 野田佳彦総理は、前夜、民主党の代議士会で「旗は降ろしていない」などと言い張っているが、自民・公明両党は機関誌で「事実上のマニフェスト撤回」(「自由民主」26日付)「実現の目は絶たれた」(「公明新聞」18日付)と強調していると指摘しました。
 「自公がOKと言わない限り実現しない仕組みになっており、『旗』を掲げても実行されない」と追及しました。
 岡田克也副総理は「真摯に議論してく」というだけで、まったく反論できませんでした。
 佐々木議員は、3党合意では消費税増税で、財政にゆとりが生まれるとして「成長戦略や事前防災および減災等に資する分野に資金を重点的に配分する」との文言が法案に追加されたと指摘しました。
 答弁に立った自民党の野田毅議員は、「我々が強く主張したことだ。消費税を社会保障に充てることによって経済成長のために有効資源の再配分をすることが可能となる」と述べました。
 佐々木議員は、「結局、増税分を『社会保障に全額使う』というのは見せかけで、じっさいには財源が置き換えられ、大企業への減税、無駄な大型公共事業、軍事予算、赤字の穴埋めに使われることになる」と指摘しました。
 そのうえで、民主党がかかげた「コンクリートから人へ」という公約も投げ捨てられたと批判しました。
 民主党が盛り込んだ景気条項も「経済状況を『勘案』とあるだけで増税に何の歯止めにもなっていない」と指摘しました。
 安住淳財務大臣は、「時の政権が判断する」と述べなど支離滅裂な答弁を繰り返しました。
 佐々木議員は「時の政権に任せる。恥ずかしい答弁だ」と述べ、野田内閣の無責任さを批判しました。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 初めに、きょう、締めくくり総括質疑とそれから採決、こういうことを行うということで、三党で決めたということでありますが、これは一方的な議会運営でありまして、我々厳しく抗議したいと思います。
 三党の修正案も二つの新法も、21日の夜に出たばかりでありまして、まだ、きょうを含めて3日間審議しただけです。これから十分時間をとって慎重な審議を行うというのが当然でありますが、それなしに質疑終局、採決というのは、絶対に我々としては承服できません。三党合意で何でもできるというのなら、議会は成り立ちません。
 そこで、質問に入りますが、野田総理は、昨夜、民主党臨時代議士会でこういうふうにおっしゃったそうですね。
 民主党は旗をおろしたのではないか、こういう大事なことを棚上げしたのではないか、いろいろ御意見ございました、最低保障年金も後期高齢者医療制度も旗はおろしていない、そう明確に申し上げました、こういうふうにおっしゃっています。
 これはどういう意味でしょうか。
○野田内閣総理大臣 今読み上げていただいたとおりでございまして、きのうの国会の質疑の中でも申し上げましたけれども、今回、三党の合意がございます。各党の固有の政策はそれぞれしっかりと持ちながら協議をしてきている。その中で、中期にかかわる問題については、それぞれの持っている理念、旗というものを持ち寄りながらの議論はできるというふうに私は解釈をしておりますので、そのことの御説明をさせていただきました。
○佐々木(憲)委員 配付した資料を見ていただきたいんですが、まず一枚目は、6月18日付の公明新聞であります。この「主張」ですね。「一体改革の三党合意」、こういう見出しがつけてありまして、「民主公約は事実上の撤回に」という見出しになっております。
 この三段目のところに、こういうふうに書かれております。「修正協議では、公明党が強く主張してきた民主党の新年金制度の撤回と、後期高齢者医療制度の廃止の撤回を事実上、勝ち取った。三党による「確認書」で、今後の公的年金制度と高齢者医療制度の改革は「内容等について三党間で合意に向けて協議する」と明記され、民主党案の実現の芽は断たれた」、こういうふうに書いているわけです。
 公明党の提案者に確認したいんですが、この「主張」は、これは事実ですね。
○竹内委員 事実であります。
○佐々木(憲)委員 自民党は、6月26日付の自由民主、次のページですけれども、ここでこういう見出しを立てております。「事実上のマニフェスト撤回」、こういう大見出しで、「わが党の社会保障の考え方 民主党が全面的に受け入れ」、こういうふうに書いています。
 その上、「これは先の総選挙で同党が掲げたマニフェストの根幹部分が事実上撤回されたことを意味する。」その理由について、社会保障制度改革推進法案は「社会保障改革の基本的な考え方として「自助、共助、公助のバランスに留意する」「社会保険制度を基本とする」などを明記。この結果、保険料を払わない人にも一律で年金を支給する最低保障年金制度は明確に否定されることになる。」こう書いているんですね。
 自民党の提案者の野田さんにお聞きしますけれども、この記事は事実ですね。
○野田(毅)委員 新聞に載っているんですから、この記事は事実です。
○佐々木(憲)委員 今、公明党も自民党も、それぞれの機関紙の内容について確認をいたしました。
 これは、総理、幾ら旗をおろしていないと言っても、自民党も公明党も、事実上のマニフェスト撤回、明確に否定された、実現の芽は断たれた、こう言っているわけです。総理が旗をおろしていないと言っても、自民党と公明党がオーケーと言わない限りは、実現しない仕組みになっているわけですね、三党合意というのは。つまり、旗は掲げるけれども、掲げっ放しで実行されない、そういうことになるんじゃありませんか。
○岡田社会保障・税一体改革担当大臣 これは、各党それぞれ主張があって、それを協議するということですから、現時点でそれぞれの主張をということになれば、その政党紙の主張になるのかもしれませんけれども、我々は我々の考え方を持っておりまして、そこは真摯に議論させていただきたいというふうに思っております。
○佐々木(憲)委員 そういう言いわけは実際上通用しないんです。
 三党合意では、「今後の公的年金制度、今後の高齢者医療制度にかかる改革については、あらかじめその内容等について三党間で合意に向けて協議する。」と書かれているんですね、「あらかじめ」と。
 つまり、合意しなければ、これは実行されないわけです。当たり前です。自民、公明がこれは反対しているんですから、したがって実行されない、こういうことになることが明らかじゃないんですか。
○岡田社会保障・税一体改革担当大臣 ですから、合意に向けて協議をする。合意に向けて協議をするという確認がされているということでございます。
 合意に向けて真摯に努力をしていきたいというふうに考えております。
○佐々木(憲)委員 結局、自民、公明の主張どおり、民主党は旗は掲げるのは自由ですけれども、しかし、今回の三党協議によって、その旗は、掲げていても実際には実行に対して歯どめがかけられている。自民、公明が賛成すれば別ですよ。賛成なんかしようがないわけであります、先ほどの議論からいっても。
 ですから、そういうことを考えると、三党合意というのは、民主党が自民、公明の軍門に下ったということになるわけであります。それは、それぞれの機関紙、自民、公明の機関紙がちゃんと書いているわけだから、これは明らかであります。
 次に、修正案の原案の第一項と第二項の間、これは何かというと18条のことであります。新たな項を設けまして、次の項目が入った。「税制の抜本的な改革の実施等により、財政による機動的対応が可能となる中で、我が国経済の需要と供給の状況、消費税率の引上げによる経済への影響等を踏まえ、成長戦略並びに事前防災及び減災等に資する分野に資金を重点的に配分することなど、我が国経済の成長等に向けた施策を検討する。」これが新しく挿入された内容であります。
 この中で、「税制の抜本的な改革の実施等により、」とあるのは、今回の消費税増税のことであります。その後に「財政による機動的対応が可能となる」、こういう条文が続くわけですね。これは、消費税増税によって財政にゆとりが生まれ、機動的対応が可能となる、こういうふうに理解してよろしいですか。
○野田(毅)委員 この条項を新たに入れるということを強く主張した一人でありますから、私から申し上げておきます。
 それは今までの反省があります。先ほども申し上げたんですけれども、実際に消費税の引き上げということは誰も喜ぶ人はいません。選挙を前にして、みんな政治家はひるみます。そうやって、その前にやることがあると言って先送りしてきたことは事実です。その間にも高齢化の足音は着実に進んでおります。
 結果において、先ほども高額医療費についてのお話がありました。だけれども、寿命がこれだけ伸びてきた背景は、昔なら助からなかったであろう、あるいはがんであったり、あるいは腎臓であったり、心臓であったり、あるいは脳の障害が発生したり、全部、それほどお金がない人でも、うんとお金がある人でも、同じようなサービスを、比較的、外国に比べて圧倒的に低い自己負担で賄えているんじゃないですか。
 そういう積み重ねで、今日、年金だけじゃなくて、医療、介護、結果的にそのお金を、保険料の引き上げも限界がある、結局はほかに必要な予算を削って、いろいろな必要な予算を削ったために、大学の予算だっておかしくなっているじゃないですか。その結果、日本の国力が落ちてきているんじゃないですか。必要な成長分野に対する資源配分さえ滞ってきているじゃないですか。その上に借金がふえているんじゃないですか。言うなら、日本の国はじり貧状態になってきている。今日のデフレも、その影響もあると私は思っています。
 どうやってそれを乗り越えていくか。これが今、我々が直面している最大の課題だ。雇用の確保はどうやったらできるんですか。成長分野に資源投入しなきゃできないじゃないですか。
 そのことを考えた場合に、これだけの財政が厳しい背景は、社会保障の財源のためにいろいろなことを削ってきたんですから、せめて、加齢に伴うそういった社会保障の所要財源、あるいは少子化対策、こういった分野には主として消費税を充てるということによって、他の予算を削るということに一生懸命になるだけじゃなくて、もっと有効な資源の再配分をすることによって、地域の雇用をやろうと思えば、減災、防災だけじゃなくて、当たり前じゃないですか。地域によって最優先の、道路だって最優先の課題の地域がたくさんあるじゃないですか。
 そういったことを考えた場合に、単に受け身で考えるんじゃなくて、正面から、逆に日本の経済をどうやって立て直すかという発想があってしかるべきである。我々はそういう思いから、単に消費税とのことだけじゃなくて、日本の経済を立て直すという思いを込めて、こういった条項を入れるように要求したのであります。そのことだけは申し上げておきます。
○佐々木(憲)委員 今言われた中に、社会保障のためにお金がかかるから、ほかの予算が犠牲にされてきた、したがって、ほかの予算の確保をするために消費税の増税が必要である、社会保障のためというのは口実で、実際にはほかの分野に予算を回す、そういうことが目的だということが今の答弁の中で非常にくっきりと浮かび上がってきたと私は思っております。
 つまり、社会保障というのは何も消費税と直結させて考える必要は、私はないと思っております。社会保障というのは、当然、高齢化が進めば財源が必要になる。その財源の確保を、何で低所得者や高齢者が非常に被害を受ける消費税の大増税でやらなければならないのか、これが大問題でありまして、当然、無駄な財源を削る、それから……(発言する者あり)無駄は幾らでもありますよ。大体、八ツ場ダムは何で復活したんですか、民主党は。ああいうマニフェスト違反をやっておいて、それでお金が足りない、足りない、何ですか、これは。
 そういうことで、結局は、今までの、従来民主党が批判してきた自民党のコンクリート中心の政策、そこに回帰しているではありませんか。
 今回のこの問題についても、まさに、消費税の増税分は全額社会保障に回すと言いながら、それは回したけれども、今まで社会保障に入っていた財源が置きかわって、ほかにそれが回っていく。だから、重点的に資金を成長戦略の分野に回す、こういう文章を入れたわけでありまして、これは私は、三党合意によって民主党が今まで主張していたことが否定されて、結局、その以前の政権の自民党的政策内容にこの三党合意が完全に置きかわってしまった、そう言わざるを得ない。
 要するに、消費税増税で13・5兆円の税収が上がる、そのことを全額社会保障に入れたとしても、今まで社会保障に入れていた資金がほかの分野に回って、これは岡田副総理もこの前私の質問に答えました、置きかえがあると。置きかわった結果、浮いたお金が借金の穴埋めとか、あるいは公共事業、あるいは軍事費、そういうところに回っていくということですね。このことは極めて明白であります。
 私は、こんなために消費税の増税をやるなんというのはとんでもないということを申し上げておきたいと思います。
 次に、もう時間がなくなってまいりましたが、もう一点、景気弾力条項というのがあります。
 野田総理は昨日の代議士会で、景気が落ち込んでいる状況で国民の負担をお願いするということはできませんという発言をされましたね。これは、経済状況を好転させることを条件としている、好転しない限り増税しない、こういう意味でしょうか。
○野田内閣総理大臣 一般論として、景気が大きく落ち込んだりとか、今回の法案の中では、さまざまな経済指標をよく見ながら総合的に勘案をするということがありますが、その勘案の中で、余りにも経済が、景気がひどいときには消費税は上げられない、だからこそ、デフレ脱却と経済活性化のために全力を尽くして、政策の総動員をしていきたい、そういう思いを申し上げたということでございます。
○佐々木(憲)委員 第18条の一項には、名目の成長率で3%程度かつ実質の成長率で2%程度、こういう数字が書き込まれているわけですね。ところが、三党合意によると、この数値は、政策努力の目標を示すものである。つまり、目標であって、これは条件ではない。だから、総理は、何か経済の悪いときは増税しないようなことを言いますけれども、何の歯どめにもなっていないんです、この条項によると。
 つまり、数値が達成されなくても消費税増税を実施することができる、そういうことじゃないんですか、この法文上。
○安住財務大臣 第一項に規定されているのは、経済活性化等に向けた各般の措置をしっかりやっていって、目標を掲げましたと。第二項については、いろいろ御批判はあるかもしれませんが、我々は、資金の重点配分等の措置で、消費税引き上げ後に実施される可能性があることも踏まえて、経済状況等を総合的に勘案する。これらを踏まえてやりますということですから、先生、これは、消費税率の引き上げに当たっては、総理も今お話がありましたように、経済状況の好転というものを条件にしております。
 ですから、3%、2%は目標です。ですけれども、そうしたことを目指して経済の状況を好転させていきましょう、その好転を見て引き上げますということでございます。
○佐々木(憲)委員 結局、これはどういうことですか。目標は目標だけれども、それを目指して好転させていくのが条件だという、意味がわからぬですね。何が歯どめになるんですか。何の歯どめにもなっていないでしょう、これは。
○安住財務大臣 こういう条項を設けたこと自体が歯どめなんですよ、法律上は。(発言する者あり)いやいや、そうなんですよ。そうでなければ自動的に上がるわけですけれども、こうした目標、3%、2%の目標を掲げて、そしてそのために各般の努力をして、さまざまな経済的な数値を確認する。さらに、そうした資金を使って重点的にプライオリティーの高い政策をやりながら底上げをして、経済の状況を見ながら、これは時の政権が判断するということです。
○佐々木(憲)委員 結局、時の政権が判断する。
 大体、この条文がおかしいんですよ。平成23年度から平成32年度、つまり2020年度までの平均において、2から3%というのは。
 これは、2014年、15年の増税の時期にはまだ出ていない数字なんですよ。遠い将来の数字ですよ。そんなものを入れたから、入れたことが歯どめになるなんて、そんなわけのわからぬ答弁、でたらめな答弁は全く私は、安住さんの答弁は何回も聞いているけれども、恥ずかしい。
 以上で終わります。

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