2012年06月15日 第180回 通常国会 財務金融委員会≪大臣所信に対する質疑≫ 【684】 - 質問
消費税増税賛成の国民新党も公約違反
2012年6月15日、財務金融委員会が開かれ、新任の松下忠洋金融担当大臣(国民新党)の所信表明に対する質疑を行いました。
佐々木憲昭議員は、国民新党が消費税を引き上げないとしていた公約を投げ捨て、賛成に転じたことをとりあげ「国民に対する背信行為だ」と追及しました。
佐々木議員は、消費税増税法案について、民自公3党が密室談合をおこない、国会でまともな質疑も無しに押し通すやり方は許されないと批判し、「国民新党は3党が決めたことを認めるのか」と質しました。
松下大臣は「申し上げる立場にない」とのべるだけでした。
佐々木議員は、日本共産党など野党6党が一致して、3党の密室談合に反対し、増税法案を廃案にすべきだと求めていることにないする所見をもとめました。
松下大臣は「事実として受け止める」としか答えませんでした。
2009年の総選挙の時、国民新党が消費税を「上げず」としていたマニフェストを投げ捨て、「一体改革」大綱の閣議決定に同党の自見庄三郎金融担当大臣(当時)が署名したことについて追及しました。
松下大臣は「国会審議の正常化」のためと正当化したため、佐々木議員は「いま、最大の焦点となっている消費税の増税に賛成するのは、国民に対する背信行為だ。公約を踏みにじって当然だという態度は許せない」と批判しました。
議事録
○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
きょうは、所信質疑ということですので、松下大臣の政治姿勢をただしたいと思います。
今、最大の焦点となっておりますのは、言うまでもなく、消費税増税を柱とする社会保障・税一体改革の問題です。最終的な詰めというものが、民主、自民、公明の三党で協議をされていると聞いております。
しかし、国会は三党だけではありません。政府から提出されている法案に対して全ての党が充実した審議を行う、これが基本であります。それなのに、我々から言わせると、三党だけで密室談合を行って、決まったら国会でまともな審議なしに通す、こういうやり方になりますと、これは重大な問題があるというふうに思うんです。
まず、松下大臣は、このやり方についてどのようにお考えでしょうか。
○松下金融担当大臣 今、国会で三党が精力的に知恵を絞りながら答えを出そうとしておられることを承知しております。どういう方向に向かって議論されておられるのか、間もなく答えも出てくると思うんですけれども、国会で真剣に議論されているその過程をしっかり見守りたいというふうに考えています。
○佐々木(憲)委員 だから、国会というのは三党だけではないんです。国会で国会でと言うけれども、本来の委員会の審議と別なところで、それは、政党間協議というのはあり得るでしょう。しかし、法案の修正協議を三党だけで行う、こういうことが問題だと私は言っているわけであります。
ところで、国民新党はこの三党協議にどういう形でかかわっているんでしょうか。参加していないと思うんですけれども、どういう対応をされているんでしょうか。
○松下金融担当大臣 現在、政府の立場として、国務大臣として仕事をしておりますので、党の方のいろいろな、具体的な交渉の内容は知り得ていませんけれども、三党で政党間の協議がなされているということをしっかりと注目しながら、刮目して見ている、そういうふうに思います。
ただ、三党の関係者の間で、我が党の幹事長あるいは政調会長が折につけて情報交換しながら結果を注目して見ているというふうに聞いておりますので、私も同様に三党協議の行方をしっかりと見詰めていきたい、そう思っています。
○佐々木(憲)委員 参加はしていない、情報は得ていると。
そうすると、三党が決めたら自動的に国民新党はそれを承認する、こういう関係にあるということですね。
○松下金融担当大臣 党の方と、しっかりと国会の中で議論をしていただいて、話をしていただきたいと思っています。
私は、今、国務大臣として、野田内閣の中で、金融とそして郵政の問題を担当せよということで仕事をしているわけでございまして、今申し上げたこと以上のことも以下のことも、今ここで申し上げる立場にないわけでございます。
○佐々木(憲)委員 昨日、日本共産党、みんなの党、社会民主党、新党きづな、新党大地・真民主、新党日本、この六党の幹事長、書記局長が協議をいたしまして、そこで合意した内容は二点あります。
一点は、民主党、自民党、公明党、三党による社会保障と税の一体改革法案の修正協議、イコール密室談合に反対する。談合の押しつけは、国会審議を形骸化させるものであり、断じて許されない。これが第一点。
第二点は、国民の多数は、今回の消費税増税に反対である。世論調査では、今の国会で採決すべきでないとの意見が圧倒的多数である。会期末は目前に迫っており、今回の消費税増税法案に反対であり、廃案にすべきである。
この二点を合意いたしました。
この六党合意に対する松下大臣の感想をお聞かせいただきたいと思います。
○松下金融担当大臣 それぞれ英知を絞って、関係する党の皆さん方が知恵を絞った結果でございますので、それはそれとして、事実としてしっかり受けとめたい、そう思っています。
○佐々木(憲)委員 何か松下大臣の見解が見えてこないですね。全て受け身であります。何か、三党で密室協議をやって決めたらそれに淡々と従う、六党が何をやろうがそれはそれでどうぞおやりください、そういう感じで、主体性がどこにあるのか、本当に情けないと思うんです。
民主党は、マニフェストに書いていない消費税増税を強行するために、ひた走っている。野田総理大臣が先頭に立ってやっている。私は、これは国民に対する背信行為だと思うんです。
松下大臣は、2009年の、この前の総選挙、この選挙で国民新党から当選されました。国民新党は、消費税について、マニフェストでどういう約束をされましたか。
○松下金融担当大臣 党の綱領を5月に発表いたしました。新しい国民新党として、郵政改革、現在の郵政民営化法を改正するということでこの問題に取り組んできたわけでございまして、それを受けた後、私たちは、国民新党として、新しい党の綱領をつくりました。
そのときの消費税の考え方は、消費税を増税するに当たり、やはり経済関係、経済状況を、しっかりと必要な対策をとっていくということを党の綱領の中に掲げてあります。
以上でございます。
○佐々木(憲)委員 いや、私が聞いたのは、この前の総選挙のときに国民新党が国民に約束をしたマニフェストに消費税増税についてどう書いていたか、何を国民に約束したかということを聞いているわけです。
○松下金融担当大臣 富の再分配をどう改革するのかという中で、「消費税は上げず、全額、社会保障のための目的税」云々というふうに書いてあります。
○佐々木(憲)委員 前の総選挙で、「消費税は上げず、」とマニフェストに書いたわけですね。つまり、消費税増税はしないと。だから、国民新党は、この間の消費税増税の問題に対しては、最初、昨年の夏ぐらいまでは、増税には賛成できない、反対である、そういう態度をとってきたわけです。
昨年6月の政府・与党社会保障改革検討本部において、社会保障・税一体改革の成案をまとめた。そのときに、国民新党が異論を唱えたわけです。そのため、閣議決定はできず、閣議報告という扱いになった。
経緯は御存じだと思いますけれども、前任者の自見大臣は、当委員会で、私の質問に、「我が党の幹事長、政調会長が反対をいたしました」「わざわざ閣議報告事項にしたということ、きちっと国民新党の主張を御理解していただいて御配慮いただいた」、こういうふうに答弁をされました。経緯はそういうことだったですね。
○松下金融担当大臣 そういうことだった、そう思います。
○佐々木(憲)委員 ところが、その後、自見大臣は、これまでの態度を180度変えまして、消費税増税を含む大綱の閣議決定に署名したわけです、御承知のように。このことについてNHKの政党討論会で問われた亀井政調会長は、消費税増税は実現不可能な内容だと判断し黙認したという大変意味不明の発言をされました。その後、消費税増税を柱とする法案を認めるかどうかをめぐって、国民新党は、内部で大論争が行われて、八人のメンバーのうち、亀井静香代表と亀井亜紀子政調会長が国民新党を離れる。それで、六人が残ったわけですね。その六人の一人が松下大臣でありました。
結局、消費税は上げないと書いたマニフェストと違うことを今、松下大臣はやろうとしているわけです。何でそういうことになってしまったんでしょうか。
○松下金融担当大臣 我が党の一丁目一番地は、郵政改革、これをなし遂げることでございました。当時の国民新党の状況と、そしてまた国会審議の状況を今振り返ってみますと、国民新党はどういう立場にいるのかということを、政治の中で、態度をしっかりと表明する必要に迫られていたと思っています。
その中で、国会が、審議がとまってしまうという重大な局面にあって、その中で、苦渋の選択として、私たちは、新しい国民新党として出発していこうという決意のもとに、当時の自見大臣を代表に選び、そして六人で新しい国民新党を再出発させたという経緯がございます。
その中で、国会が正常化することで、郵政改革を、現在の郵政民営化法の改正をなし遂げた、4月27日、連休のぎりぎりでなし遂げることができたということは、私たちの大事な一丁目一番地をなし遂げることができたというふうに思っています。
そこで、新しい党の綱領をつくり、私たちは、先ほど申し上げたような形で、再出発しようということになったわけでございます。
○佐々木(憲)委員 国会正常化のために、国民に対するマニフェスト、つまり、約束をひっくり返した。マニフェストを守ろうとしたのは亀井静香代表と亀井政調会長のお二人で、マニフェストを変えても国会正常化なるものに貢献をしたい、つまり、マニフェストを変えてもそれでいいんだ、これが松下大臣の立場だ、こういうことなんですね。
○松下金融担当大臣 国民新党の一丁目一番地は、郵政改革をなし遂げることでありました。そのために、国会の審議がとまり、あらゆる審議がとまり、全く、予算関係も含めて、関連法案は動かなくなりました。これは、国民にとって、国会がとまっているということをいつまでも続けることの方がむしろ国益に沿わない。私たちは、国会が正常化する、国民の負託を受けて国会の審議の中で法案を成立させていくということが大事だというふうに考えて行動したわけでございます。
○佐々木(憲)委員 今の質疑を聞いて、私は、国民に対する約束である消費税は上げずという大問題を、それを全く逆の立場に変えた、つまり、国民に対して背信行為を行ったとしか思えない。
郵政は郵政で、それはあるでしょう、それぞれの主張が。にもかかわらず、今最大の国民的な関心事であるこの増税をめぐって、大多数の国民は反対という立場をとっている。それを、マニフェストで反対を約束していた国民新党が賛成に180度変わって、国民に対する約束を踏みにじった。それで、当然であると。そういう姿勢は、政治家としてもまことにみじめな、非常に信用できない、そういう立場だと私は思います。
これからいろいろ審議が行われますけれども、具体的には、さらに質疑をしていきたいというふうに思っております。
以上で終わります。