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税制(庶民増税・徴税) (消費税, 社会保障・税一体改革)

2012年06月13日 第180回 通常国会 社会保障・税特別委員会≪公聴会≫ 【682】 - 質問

社会保障・特別委員会の中央公聴会 午前

 2012年6月13日、社会保障・税特別委員会では消費税増税法案に関する中央公聴会が、午前と午後に開かれ、佐々木憲昭議員が公述人に質問しました。
 午前の公述人は、高橋進・株式会社日本総合研究所理事長、石澤義文・全国商工会連合会会長、森信茂樹・中央大学法科大学院教授、上念司・デフレ脱却国民会議事務局長・経済評論家、田淵隆明・公認システム監査人・IFRSコンサルタントです。

 佐々木議員が、身銭を切って消費税を負担する中小下請け業者の状況を指摘すると、全国商工会連合会の石澤義文会長は「(大企業などに)納入している小さな業者は深刻だ」と答え、「親会社から徹底的にたたかれている。弱い者が価格に消費税を転嫁できない実情は、みじめなものと思っている」と述べました。

議事録

○中野委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律案、被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律案、子ども・子育て支援法案、総合こども園法案、子ども・子育て支援法及び総合こども園法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案、社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法等の一部を改正する等の法律案及び社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための地方税法及び地方交付税法の一部を改正する法律案の各案について公聴会を行います。
 本日は、税制改革関連二法案について審査を行います。
 この際、公述人各位に一言御挨拶を申し上げます。
 本日は、御多用のところ御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。公述人各位には、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただき、審査の参考にさせていただきたいと存じます。よろしくお願いいたします。
 次に、議事の順序について申し上げます。
 高橋公述人、石澤公述人、森信公述人、上念公述人、田淵公述人の順に、お一人15分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑に対してお答え願いたいと存じます。
 なお、念のため申し上げますが、御発言の際はその都度委員長の許可を受けることとなっております。また、衆議院規則の規定により、公述人は委員に対して質疑することはできないことになっておりますので、あらかじめ御承知おきを願いたいと存じます。
 それでは、まず高橋公述人にお願いをいたします。よろしくお願いします。
○高橋(進)公述人(株式会社日本総合研究所理事長) 株式会社日本総合研究所の高橋でございます。
 本日は、私は手元に資料を御用意申し上げておりませんので、口述のみで申し上げたいと思います。
 まず、社会保障と税の一体改革ということでございますけれども、私は、社会保障の持続性と財政の健全性、この二つを確保するために不可欠な取り組みであるというふうに思います。したがいまして、今国会での審議をいただくことはもとより、個人的に申し上げれば、党派の枠を超えて、継続的で抜本的な検討と取り組みが行われていくことを期待させていただきたいと思います。
 社会保障制度への取り組みがそれだけおくれれば、財政健全化への取り組みもおくれるだけではなくて、国民の社会保障制度全般への信頼が揺らいで、消費の抑制、こういったことを通じて実体経済に悪影響を与えることになるというふうに考えております。
 本日は、一体改革について、社会保障、それから税制改革、成長戦略、この三つの観点からお話をさせていただきたいと思います。
 まず、社会保障改革については、社会保障制度の持続性を確保するためには、社会保障に関連するさまざまな制度の根幹にまで踏み込んだ改革が必要というふうに考えます。
 もっとも、どこまで踏み込んだ改革が必要なのか、国民的、政治的にはいまだコンセンサスはできていないというふうに理解しております。
 したがいまして、まず、現行の年金制度が持続可能なのか否か、この点について十分検証する必要があるというふうに思います。そして、その検証を基礎にして年金制度の重要改革に着手していくべきではないかと思います。
 医療・介護制度についても、高齢化とともに給付額が増加し、これまでの制度を維持することは困難になるというふうに見られますけれども、ここでも、必要な改革の程度について十分な検証が必要ではないかというふうに思います。
 社会保障制度の持続性の確保にかかわるもう一つの大きな論点があるというふうに思います。それは、高齢者に偏った社会保障給付の是正ということではないかと思います。
 現行制度のままでは、今後、給付と負担の双方で世代間の不公平の状態がさらに悪化し、そのことが現役世代の制度への信認を失わせ、制度自体の持続性を危うくすることになるのではないかと懸念いたします。
 世代間の公平な支え合いといった観点から、年金特例水準の見直し、あるいはマクロ経済スライドの見直し、これは必要な措置と考えます。
 しかしながら、それだけでは世代間の不公平の是正は不十分であり、年金制度の抜本改革や医療制度の改革に踏み込む必要があるというふうに考えます。
 さらに、世代間不公平是正の一環として、若年層や低所得層に対しては、過度の負担を是正するというだけではなくて、支援の強化も必要と思います。とりわけ、子育て層に対する支援は、日本の人材力を強化し、潜在成長力を引き上げるという観点から極めて重要と考えます。ただし、支援強化に当たっては、ばらまきに陥らぬよう自助努力を促す仕組みとすることが必要だと思います。
 その際、給付つき税額控除、またはそれに類似した制度を埋め込むことは一つの選択肢ではないかと思います。そうした政策を実行するためにも、社会保障・税番号制度の導入は喫緊の課題と考えます。
 一方で、高齢者世代の世代内の所得再分配を強化すること、これによって若年世代の負担を軽減することも検討すべきだと思います。消費税の増税を通じて高齢者にも応分の負担を求めることはもちろんですが、高所得者、資産保有者に支給する年金のカット、あるいは後期高齢者医療制度などはこれに当たるものというふうに考えます。
 なお、医療制度については、健康保険の保険者機能の見直し、あるいは急性期医療体制の充実、地域医療機関の再編、病院と介護施設の連携強化、あるいは健康保険のカバー範囲の見直し、こういったところもタブーなく見直していくことを検討すべきではないかというふうに思います。
 続きまして、財政健全化への取り組みについて申し上げたいと思います。
 財政の健全性の確保については、中期的な時間軸の中で財政を健全化に向けた軌道に乗せていくことが必要と考えます。
 現時点で日本はユーロ圏のような債務危機には陥っておりませんが、一たび長期金利が上がり出せば、日本は、GDP比で見た債務残高の大きさが災いして、財政のコントロールが失われてしまうことは必定でございます。
 財政健全化への取り組みがおくれればおくれるほど、財政赤字が国内貯蓄を食い潰し、長期金利が上昇するリスクが高まる筋合いと考えます。
 そうしたリスクが顕在化するまでに残された時間は、そう長くないというふうに思います。政府部門の赤字が縮まらず、一方で高齢化とともに家計の貯蓄の伸びが鈍化するということになれば、企業部門の一定の貯蓄超過が続いたとしても、日本はいずれ貯蓄超過から投資超過経済に陥り、言いかえれば経常収支が赤字化する。その結果、政府は資金調達を海外に依存するようになる、そうすれば財政のリスクが現実のものになるという危険があると思います。そうなる前に財政改革を軌道に乗せる必要があるというふうに思います。
 財政健全化への取り組みの基本は、歳出改革、歳入改革と成長戦略、この三つの改革をバランスよく進めていくこと、それによって政府の債務残高の増加をできるだけ抑制し、名目成長率の伸び以下に抑えていくこと、これが基本と思います。具体的には、目標年次を定め、政府が目標を達成していくことにコミットする必要があると思います。
 ただし、増税だけで財政健全化目標を達成しようとすれば、大幅な増税が不可避となり、経済に大きな下押し圧力となって、結果的に財政赤字は縮小しないと考えます。増税幅を極力圧縮するためには、歳出の伸びを抑制すること、成長によって税収を伸ばしていくことが不可欠と思います。
 三つの改革のうち、歳出改革につきましては、その柱は、行政・政治改革と社会保障改革の二つと考えます。行政・政治改革については、時限的な措置にとどまらず、公務員制度改革や地方分権にまで踏み込んだ恒久的な改革が必要だと思います。社会保障制度改革については先ほど申し上げました。
 一方、歳入改革でございますけれども、消費税を引き上げとする税制改革、これが妥当と考えますが、将来的には、フローだけではなくてストック、すなわち資産への課税の強化、これも視野に入れる必要があるというふうに思います。
 続きまして、成長戦略ということについて申し上げたいと思います。
 今後、増税のマイナス影響をはね返し、税収を伸ばしていくためにも、言いかえれば、財政健全化をなし遂げ、社会保障の財源を確保するためにも、成長戦略への取り組みが極めて重要だというふうに考えます。これまで歴代政権のもとで成長戦略がつくられてきましたけれども、継続的な取り組みには至らず、結果的にその成果が乏しかったと言わざるを得ないのではないかと思います。
 日本は、失われた20年と言われてきましたけれども、高齢化が進展するもとでさらに企業の空洞化が進めば、日本の潜在成長力は今以上にさらに低下するおそれがあります。したがいまして、増税に踏み切る前に、実効性のある成長戦略への取り組みが求められるというところだと思います。
 その成長戦略の基本は、日本企業によるグローバル市場の開拓、あるいは国内での新市場、新分野の開拓、これをサポートして、結果的にアジアの需要を取り込み、そして国内の潜在需要を満たしていくことだと思います。とりわけ、現時点では、環境、エネルギーあるいは医療、介護、農業、こういった分野が潜在需要が大きい有望分野と考えます。
 もっとも、こうした分野の成長を図る上で、従来型の産業政策の有効性は乏しく、成長戦略の基本は、経営環境、ビジネス環境の整備に置くべきと考えます。ビジネス環境の整備の具体策としては、法人税の引き下げ、あるいはTPPの推進、こういったことと並んで、国内での規制改革や既得権益の打破、これを進めるべきというふうに思います。
 こうすることによって企業の成長期待を高め、新市場や新規分野への参入を活発化させること、これが経済活性化の道と考えます。国内で有望市場の開拓が阻まれている状況で、結果的に企業の活力が海外に流れてしまう、これは長期的に見て、日本の経済にとって大きなマイナスと考えます。
 今般のユーロの債務危機は、ユーロの導入によって資金調達が容易になった南欧各国が、安易な財政支出や金融緩和に依存した景気拡大を繰り返す、その一方で経済体質を強化するための構造改革を怠ってきたこと、これが原因だというふうに考えます。日本が同じ轍を踏まないためにも、規制改革を中心とする構造改革に本格的に着手すべきと考えます。
 最後に、増税と景気の関係について申し上げたいと思います。
 消費税の引き上げに際しては、そのときの景気動向に細心の注意を払うことは言うまでもないと思います。日本の潜在成長力が低下している現状では、消費税引き上げによる経済へのマイナス効果、これについて十分に注意を払う必要があると考えます。消費税を引き上げただけで景気後退に陥るということはないと見ますが、他にマイナス材料があって、それが重なる場合には、その複合効果に十分な注意が必要だと思います。
 実際、前回の引き下げ時には、消費税の引き上げに加え、不良債権問題やアジア危機、これが重なった結果、マイナス成長に陥りました。今回は、引き上げ時点で、復興需要の減少、あるいは世界景気のスローダウンの持続、あるいはその他家計負担の増加、企業の空洞化、こういったマイナス材料もございますので、引き上げのタイミングについては細心の注意が必要ではないかということを繰り返して申し上げたいと思います。
 私から申し上げたいことは以上でございます。ありがとうございました。(拍手)
○中野委員長 ありがとうございました。
 次に、石澤公述人にお願いいたします。よろしくお願いします。
○石澤公述人(全国商工会連合会会長) 全国商工会連合会長の石澤であります。
 私から、消費税に関連いたしまして、現状を率直に申し上げまして、中小・小規模企業者の立場から意見を述べさせていただきたいと存じます。
 去る3月末に消費税引き上げ法案、附帯事項等が閣議決定されまして、その後、価格転嫁問題等、本委員会でも政府内でも議論が行われているところでございます。しかしながら、現在議論が行われております価格転嫁対策につきましては、価格競争力が弱い、あるいは交渉力の弱い中小、特に小規模企業にとりましては抜本的な対策にはなり得ないのが現状であります。
 後ほど詳しく御説明申し上げますけれども、一言で申し上げるならば、規模が小さければ小さいほど価格転嫁が困難であるということ、また、消費税が引き上がりますと、滞納が急激にふえてくる、必然的に廃業が増加する、こういう状況を前にいたしまして、私といたしましては、反対せざるを得ない立場を御理解いただきたい、こう思っております。
 私のところへは、中小・小規模企業から、消費税の引き上げに伴ういろいろな切実な思いが、意見が寄せられております。三つほど御紹介いたします。
 一つは、価格転嫁ができないということであります。請求書に消費税を記載いたしますと、大型店やあるいは安売り店の価格が比較になりまして、最終的にはやむを得ず値引きすることになる。5%でも転嫁ができない、自腹を切るわけでありますが、これが10%になりますと、さらに苦しくなって経営が成り立たない。事業主なら我慢のしようもありますけれども、従業員の生活を保障できなくなる。こういう意味から絶対反対であるという声であります。
 二つ目は、事務負担が重いということであります。消費税の計算に手間とコストがかかる。これ以上制度が複雑になると、小さな企業では到底対応できない。必然的に税理士さんにお世話になることになってコストが上がる、費用がかかるということであります。
 もう一つは、このところ、売り上げがどんどん減っておる。これは、かつて消費税が上がったときからこういう流れになってきておる。納税時の負担が大きく、資金繰りに大変苦慮をしておる。消費税はもろに景気に影響を受けますので、これ以上消費税が上がると本気で廃業を考えねばならない。このような悲痛な訴えであります。
 なお、消費税だけではありません。中小企業を取り巻く、業者にとっては大きな負担が加わってまいります。
 いわゆる協会けんぽ、本年度から全国平均10%になります。3年間で1・8%の引き上げが行われるわけでありますけれども、大企業中心の健保組合やあるいは公務員の共済との格差がだんだん広がっていく。そして、これらの保険料の半分は事業主が負担をするわけであります。上がる率は小さくても、トータルとしては、小さな事業者にとっては耐えられない負担になるということでございます。
 さらに、電気料の値上げ等が負担になってまいりますと、この負担に耐えられない、特に小規模企業者の窮状をお察しいただきたいと思っております。この中小・小規模企業者の負担が少しでも軽くなるように、抜本的な改革をしていただきたい、このように思っております。
 それでは、本題の消費税について申し上げたいと思っております。
 お手元に「消費税の問題点」というタイトルの資料をお配りいたしております。
 私どもは、苦しい国の財政状況、また社会保障費が増大をしていること、また国際的にも待ったなしの状況であることは十分認識をいたしております。
 しかし、先ほどから事業者の声として御紹介をいたしましたが、お手元の資料の一ページにありますように、昨年9月に中小企業四団体で共同で調査をいたしました。消費税分を全額価格に転嫁できないと答えた業者が、年商3千万以下では49%、1千万以下では65%に実は上っております。これ以上税率が引き上げられますと、転嫁できないと予想する事業者の割合がさらに高まってくる、増加をする。また、売上規模が小さくなればなるほど転嫁が困難であるという状況がございます。
 元来、消費税というのは消費者が負担をすべきものであります。そのとおりの仕組みになっておれば、我々は何も申し上げません。しかし実際には、価格転嫁ができなくて、自腹を切って納税をしているのが現状であります。この価格転嫁の問題をこのままにして消費税を引き上げれば、業績がさらに悪化をして、ひいては滞納の増加、廃業の増加につながることは当然のことであると私は思っております。
 お手元の資料の四ページにありますように、平成9年に税率が3%から5%に上がりました。また、平成17年には免税点が、3千万円が1千万円に切り下げられております。この年から急激に滞納がふえております。
 滞納だけではございません。消費税が5%に上がった翌年から、実は商工会の会員が激減をしておる。前の年までは、実は年間4千人の会員減でありましたが、消費税が上がった途端に、平成10年には1万2千人の減になっております。また、17年に免税点が引き下げられますまでは、1年間の会員の減は1万3千人でありました。しかし、引き下げた年から1万9千人に増加をしていることは、消費税の値上げとこれらの滞納あるいは会員の廃業、減少とは無関係ではないということでございます。
 消費税の滞納といいますと、消費者から預かっておる消費税を納めないのはおかしいではないか、こうお思いかもしれませんけれども、先ほど私が申し上げましたように、小規模事業者は価格転嫁ができなくて、みずから自腹を切って納税をしておるという状況であります。赤字で資金繰りがつかない、やむなく滞納しておるということであります。滞納に至った業者は、借金をしたり、個人の預金を崩して、実は何とか納税をしておる状況でございます。
 消費税は、御承知のように、赤字であっても納税しなければならない国民の義務であります。滞納いたしますと、金融機関からの融資も受けられない状況でございます。したがいまして、こういう状況の中で今10%に税率が上げられますと、廃業を選択せざるを得ないという現状を御理解いただきたいと思っております。
 以上、中小・小規模企業が消費税分を販売価格に転嫁できない実態を今申し上げました。また、消費税の引き上げが疲弊している中小・小規模企業に大きな打撃を与えることも御理解をいただけたかと思っております。
 それでも、やむを得ずどうしても消費税を上げなきゃならぬ場合には、私は、次の対策を十分議論していただいて、それを実施していただきたいと思っております。
 まず第一は、徹底した歳出の削減であります。
 新聞の世論調査によりますと、まだまだ国民は消費税の値上げに納得をいたしておりません。この国民の理解、納得がなければ、事業者は十分な価格転嫁ができないのであります。消費税の引き上げについても、最終的には消費者である国民の理解がなければなりません。その意味では、皆さんの定数削減やあるいは国家公務員の人件費の削減など、国民の目に見える努力をしていただきたいと思っております。
 次に、景気対策の実施であります。
 今、デフレの経済下において事業者は過酷な価格競争にさらされております。少しでも事業者が価格転嫁しやすい経営環境をつくるために、デフレを脱却して、特に地方における経済を立て直していただいて、そのために緊急の大型景気対策をぜひとも講じていただきたいと思っております。
 次に、免税点、簡易課税の適用上限の引き上げについてであります。
 現在、価格転嫁対策が検討されておりますが、転嫁カルテル、あるいは公取等の監視制度、あるいはまた価格表示方式の見直しなど検討されておるわけでありますが、立場の弱い小規模企業者にとりましては、いずれも抜本的な対策にはならない、これは過去の結果からも明らかでございます。
 そこで申し上げたいのは、小規模な事業者はそもそも価格転嫁が極めて困難であるという前提の上に立って、お手元の資料の三ページにもありますように、本来、中小・小規模企業者の対策として、初めて消費税が導入されたときに優遇措置として設けられた免税点制度を、現在は1千万円に切り下げられておりますが、消費税創設当時の3千万円まで戻してもらいたい。また、簡易課税の適用範囲についても、現在は5千万円でありますが、これを引き上げてもらいたいということがお願いでございます。
 もう一つは、平成元年に消費税が導入をされたときに、それまでの手で計算をしておった事務を、記帳を機械化する必要がある、そのような意味で、その促進のために60億円の基金を実は頂戴いたしました。その運用益をもってその促進をしてきたのでありますが、残念ながら、一昨年、事業仕分けで国庫に返納することに相なりました。もしもこの消費税の引き上げを導入するならば、私は、この基金を復活していただくか、またはそれにかわる対策をぜひ立てていただきたい、このように存じておるところであります。
 次に、複数税率の問題でございます。
 消費税の逆進性対策として、食品などの日用品には軽減税率を適用すべきことが議論をされていると承知をいたしております。大手スーパーにおいてはこれは容易なことでありますけれども、地方の小規模な小売店では、食料品、雑貨、ギフト商品などさまざまな商品を扱っております。
 そして、二ページにもございますように、私どもの調査によりますと、個人事業主の9割が納税事務をみずから行っている、あるいは経理の処理については、個人事業主では55%、法人では44%が手計算をしておるという現状でございます。このような業者にとりましては、品目ごとに税率を変更するということは並大抵のことではございません。せっかく小規模事業者に与えられた簡易課税についても、使いにくくなる、意味がなくなってくるわけであります。
 私どもは、ぜひとも、このことについて、負担のかかる複数税率は慎重にしていただきたい。ただし、低所得者層については、このことを御理解いただきまして別途の対策を講じていただきたい、このように申し上げたいと思っております。
 以上、現状を申し上げまして、御理解をいただきますようにお願いを申し上げます。(拍手)
○中野委員長 ありがとうございました。
 次に、森信公述人にお願いいたします。
○森信公述人(中央大学法科大学院教授) 中央大学法科大学院の森信でございます。よろしくお願いします。
 私は、今回の法案に基本的に賛成の立場から意見陳述を行いたいというふうに思っております。お手元に資料もございますので、それを参照しながらお話をしたいと思います。
 今回のこの一連の議論のメーンテーマ、これは、税と社会保障を一体的に見直していこうということでございます。そこで、なぜ税と社会保障を一体改革する必要があるのか、もう一度原点に返って、私の立場から述べさせていただきます。
 税制の役割というものを考える場合には、大きく分けて二つあると思います。
 一つは、必要な財政サービスの財源を確保する、公共サービスの財源を確保するという機能でございます。
 もう一つは、税制というツールを使いながら、今問題になっているいろいろな経済問題あるいは社会問題をどうやって解決していくかという問題でございます。具体的には、所得再分配をどうするのか、それから、経済の活性化をどうするのかという問題でございます。
 前者の財源調達機能としての税といいますのは、今、受益と負担のバランスが崩れておりますので、こういった中では、歳出削減を行うとともに、税収の増加を図って受益と負担のバランスを回復していく、そういうことが必要だと思いますので、消費税率を引き上げて社会保障という公共サービスを持続可能なものにし、あわせて財政を再建するということは必要だというふうに考えております。
 とりわけ、国際的な投機筋が先進諸国の財政状況を材料にしてさまざまな仕掛けを始めている今日、彼らの材料にされない財政政策をとることの重要性は言うまでもありません。
 それから次の点でございますが、冷戦後の世界では、法人税とか所得税の税率を引き下げて、自国に工場や資本を引き入れるという税の引き下げ競争が激化しております。そういう中で、所得税率や法人税率を引き上げますと、企業や資本、あるいは貯蓄が海外に逃避する可能性があります。そうなると、大規模な税収確保はどうしても消費税に頼らざるを得ないということがあると思います。
 私の資料でいえば、三枚目の資料が、法人税の先進国における引き下げ競争の現状を描いております。
 税制の第二の機能、つまり、現在の経済社会情勢に見合う税制をどう構築していくかという問題でございますが、現在の我が国に生じております問題は、何といっても、一つは格差、貧困問題、それからもう一つは経済活力の喪失だと思います。これに対して税制をどう構築していくのか、これが問題になります。
 冷戦後の世界を見ますと、BRICS等の台頭によりまして、彼らから低価格製品の輸出、日本にとってみれば輸入ですが、これが急増しております。また、人、物、金が自由に移動するようになりまして、経済のグローバル化という事態も生じました。これに対しまして、我が国など先進国の企業は、どうしても、賃金を切り下げたり、非正規雇用化によって対応せざるを得なくなりました。そこで、若者を中心にした所得格差は世界的にますます拡大をしておりまして、貧困の問題を生じさせてきております。
 我が国の所得格差の状況につきましては、四枚目につけてございます。
 このような格差、貧困問題に対しては、税制として、所得再分配機能を強化するための所得税増税というのが本来はあるべき姿かもしれません。しかし、勤労者だけが負担する所得税を大きく引き上げれば、勤労意欲の低下を引き起こすとともに、高所得者層の税率の引き上げは、高度に国際的な資金移動が可能な今日、資本の国外への流出を招く可能性も大いにあると思います。
 そこで、税制と社会保障を一体的に設計することによって、低所得者層への所得再分配を厚くするという政策が考えられます。実は、欧米では早くからこのような考え方、つまり、一方では経済の効率性を維持しつつ、他方で経済の公平性を追求するという政策を導入しております。今回の改革でも、消費税率の1%分が社会保障の充実に向かうということにつきましては、こういった方向の一つのあらわれではないかというふうに考えております。
 これを税制に置きかえますと、まさに所得控除から税額控除へ、さらには給付つき税額控除へ、そして給付へという流れが言えると思います。つまり、高所得者層に有利な所得控除を税額控除に変える、さらにこれを、税金を払っていない方にも対応できるように給付あるいは給付つき税額控除に変えていく、こういうことによって所得の低い人への所得再分配機能を中心に高めていく、こういう政策でございます。これは、今日の我が国においても非常に効果のある政策だというふうに考えております。
 実際、民主党政権のもとでは、年少扶養控除や特定扶養控除を削減して子ども手当に振り向ける、あるいは高校の授業料を無償化にするという改革がとられてきました。子ども手当は、その後、児童手当となりましたが、所得控除から手当へという理念は変わっていないと思います。この結果、高所得者層の税負担は増加し、低所得者層は給付を受けることができて、全体として所得再分配機能は高まったわけでございます。
 しかし、一体改革をより進めていくためには、この給付つき税額控除というのを本格的に導入することが必要であるというふうに考えております。
 今回の法案には、逆進性対策としての給付つき税額控除が書かれておりますが、この制度は本来、勤労税額控除、児童税額控除という、低所得者の勤労インセンティブを高めながら所得再分配を強化するための政策ツールです。ブレア政権やクリントン政権、あるいはほとんどの先進国は、この制度を活用して、勤労所得者の労働インセンティブを高めながら、みずからが老後の生活を勤労することによって備えていく、そういうふうに変わってきておるわけでございます。それから、失業率の低下という観点でも大きな効果を上げた政策でございます。
 五ページの図表でございますが、給付つき税額控除というのは、実はいろいろな形があります。非常に簡素な形からもう少し複雑な形まで、あるいは、イギリスが今現在キャメロン政権のもとで検討しております、ユニバーサルな、本当に全てを統括したような給付つき税額控除もございます。
 所得の低い人たちに勤労を条件に支援する、フルタイムで働いても相対的貧困に陥っている、いわゆるワーキングプア層の勤労を促進する、あるいは子供の数に応じて子育て家庭に経済支援し少子化を食いとめる、こういった対策に向けて、本格的な給付つき税額控除を充実させる必要があるのではないかというふうに思います。
 今回は、まず逆進性対策として簡素な形、この五ページの表でいいますと、カナダのとっているような、一定の所得以下の方には定額の給付をする、こういった簡素な形での給付、簡素な形での給付つき税額控除を導入して、その後、本格的な勤労促進あるいは所得再分配政策としての機能拡大をしていくというふうなことをお願いしたいと思います。
 そのためには、財源として、配偶者控除、私は、この配偶者控除というのは究極のばらまきではないかと思いますが、配偶者控除などの縮減あるいは生活保護の効率化、そういったものを行いながら、その財源をもとに、勤労促進や子育て支援のための制度を構築していくということが考えられると思います。こういった改革こそ、真の社会保障、税の一体改革であるというふうに考えております。
 新聞報道によりますと、与野党協議の中で、給付つき税額控除は低所得者の所得の捕捉ができないので反対という意見があるようです。しかし、社会保障というのは、低所得者層の所得を正確に捕捉するというところから成り立っているわけでございます。この原点をおろそかにしますと、国家としてまともな社会保障制度はできなくなるわけです。そのために、マイナンバー、番号制度を導入しながら正確な所得の捕捉に向けて努力をしていく、これが私は国家の責務ではないかと思います。そういう意味では、マイナンバー法も早く成立をさせていただきまして、こういった低所得者層の所得とか資産も的確に把握できるような制度をつくっていく。
 したがって、低所得者層の捕捉ができないから給付つき税額控除は無理だという意見は、私は敗北主義ではないかというふうに考えております。
 いずれにしましても、給付つき税額控除というのは、税と社会保障をつなぎますグローバルスタンダードな制度で、我が国では逆進性対策から導入していくとしても、勤労税額控除、児童税額控除といった欧米諸国で大きな成果を上げた政策として発展させていく、そういった気概を持って改革を進めていただきたいというふうに考えております。
 最後に一言、消費税引き上げに伴う経済効果について申し上げます。
 消費税率の引き上げが経済にマイナスの効果を及ぼすことは間違いありません。しかし、あわせて行う社会保障改革や財政再建への筋道が、我々の将来不安を取り除くとともに、金利リスクの軽減という形で経済の大きなリスクを取り除く、こういった効果を持つことを過小評価してはならないと思います。グローバル経済の中で、経済に内在するリスクを最小化することは極めて重要な政策だと思います。そういう意味で、この法案が1日も早く成立することを願っております。
 以上です。(拍手)
○中野委員長 ありがとうございました。
 次に、上念公述人にお願いいたします。
○上念公述人(デフレ脱却国民会議事務局長・経済評論家) 皆さん、こんにちは。
 政治を志すというか、政治家である皆さんは、ぜひ、人間関係を大事にされていると思いますので、もう少し元気に挨拶していただければと思います。
 皆さん、こんにちは。
 ありがとうございます。
 経済評論家で、デフレ脱却国民会議の事務局長をやらせていただいております上念と申します。本日は、お時間をいただきまして、ありがとうございます。
 私が申し上げたいことは、誤った情報に基づいて誤った判断をすれば、国が大変なことになってしまうということです。この一点に尽きます。
 それは、戦前、大本営連絡会議において、誤った情報に基づいて対米開戦を決断したあの近衛内閣末期、そして東条内閣が、日本をとんでもない混乱に陥れて、結果的には一度国を滅ぼしてしまった、大変とんでもない決断をしてしまった、こういう過去の歴史があります。私たちは誤った情報に基づいて政策を決定してはいけない、このことだけをきょうは私は訴えたいと思います。
 私がきょう訴えたい点は二つしかありません。一つは、日本は本当に財政危機なのか。これが一つ目です。そして二つ目、消費税増税によって本当に税収がふえるのか。この二点だけを、ぜひ皆さん、もう一度考え直して、この公聴会というのは法案を採決するためにやる儀式ではないと私は信じておりますので、ぜひ議論をしていただきたいというふうに思います。
 まず一つ目、日本が本当に財政危機なのかどうなのか。
 これは、私のような一介の経済評論家の意見よりも、もう少し権威のある方の意見を引用した方がいいと思いますので、今、一つちょっと読み上げたいと思います。
 まず一つ目、日米など先進国の自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない。債務不履行は考えられない。デフォルトとしていかなる事態を想定しているのか。日本国債は現在95%が国内でかつ低金利で消化されている。
 その次、近年自国通貨建ての国債がデフォルト、つまり債務不履行した新興市場国とは異なり、日本は変動相場制のもとで、強固な対外バランスもあって国内金融政策の自由度ははるかに大きい。さらに、ハイパーインフレの懸念はゼロに等しい。
 その次です。マクロバランスとの関係では、景気が回復し、銀行の新規融資が増加し、金利が上昇すると、財政赤字の削減は困難になると言っているが、しかし、このような状況では、名目、実質双方の成長率が高まり、税収がふえ、不良債権処理が促進されることから、むしろ財政健全を進める上で歓迎される。金利の上昇のみを強調して、景気回復に伴うはるかに大きな効果を無視するのは適切でない。
 このようにその権威のある方が述べていらっしゃいます。
 では、この権威のある方というのは一体誰でしょう。財務省です。きょう、私は、これを財務省のホームページからダウンロードして印刷してきました。ぜひ、本当かうそか確かめていただきたいので、「外国格付け会社宛意見書要旨」というタイトルで検索してみてください。インターネット上で公開されております。
 財務省みずからが、日本は財政危機ではないというふうに過去言っているんです。このときと今と、経済財政のファンダメンタルズは変わったのか変わっていないのかということを確認したいです。
 まず、日本は変動相場制から固定相場制に移りましたでしょうか。日本はまだ変動相場制ですよね。それから、外貨準備とか国内で95%消化されている国債の消化状況とか、何もファンダメンタルズは変わっていません。
 ということは、この財務省の、非常に権威ある、財政危機ではないという見解はいまだに生きていると私は考えております。もし、日本が固定相場制に移行していたりとか、国債の半分以上が外国人に買われているというなら、ぜひその証拠を示していただきたいというふうに思っております。詳しくは、ぜひ財務省の方に聞いていただければというふうに考えます。
 それから、次です。百歩譲って、日本が財政危機だったとしましょう。では、仮に財政危機だとして、消費税の増税が本当にその財政危機を救うのか、つまり、消費税の増税で税収がふえるのかという点について考えてみたいと思います。
 お手元の資料をごらんください。
 「デフレ下の増税は百害あって一利なし 増税しても財政再建できない不都合な真実」ということで資料を用意させていただきました。
 まず、一ページ目をめくっていただくと、ここにサマリーがあります。これは絶対誰も反対できないと思うんですが、「税収=名目GDP×税率×税収弾性値」、この式が間違っているというのなら、ぜひ指摘していただきたいと思います。これはもう間違いなくこの式で算出されます。
 問題は、消費税の税率を上げることによって名目GDPが一円も減らないのかということです。税率を上げる以上に名目GDPが減ってしまったら、この式を見ればわかるとおり、税収は減ってしまうんですね。そのことを明らかにしていきたい。そのためには、やはり過去の歴史に私たちは学ばなければいけません。それは、最初に申し上げたとおり、近衛内閣末期のような間違った判断で政策を決定すると、国は本当に滅んでしまうかもしれないからです。
 では、この次のページをちょっとごらんいただきたいと思います。
 「税収の源は名目GDPである」というグラフが出ています。私たちが政策を判断する場合に、統計的に、その二つの数値がどれぐらい関係が強いかということをあらわすものに、相関係数というものがあります。相関係数が0・3以下の場合は、ほとんどその二つの数値には関係がありません。もし税収と税率の間に相関関係があるならそれはいいんですが、圧倒的に税収は名目GDPと相関性があります。これは、日本だけじゃなくて、外国の例を見ても同じです。
 こちらのグラフをごらんいただけると、青い実線の日本の名目GDPに対して、青い点線の日本一般政府歳入というのはもうほとんど一致した線になっています。緑、オレンジ、これはドイツ、アメリカですけれども、基本的には名目GDPの伸びと税収というのは比例しております。税率を考えるよりも、名目GDPを考えた方が圧倒的に税収をふやすためには効果があるということをこのグラフが示しています。
 では、次のページをごらんください。
 税収だけではなくて、プライマリーバランス、歳入歳出のバランスを見たときにどうなるのか。こちらも、プライマリーバランスと名目GDPの推移というのは、グラフが非常に重なりやすい、相関も高いのではないかということが言えます。これが、次のグラフです。
 そして、さらに次のページ。
 私たちの日本国がなぜ税収が悪化しているかといえば、これはデフレが原因です。デフレが進行すると、企業は売り上げが減って、利益が減って、そしてお給料も払えなくなって、どんどん所得が減る。所得が減ると、人々はますますお金を使わなくなって、そしてどんどん経済が縮小していく。経済が縮小すると、先ほどの公式に基づいて、名目GDPが減少します。名目GDPが減れば、税率を上げようが、税率を変えなかったら当然ですけれども、税率を上げても税収は減ってしまいます。それはこのグラフを見れば明らかだと思います。
 そして、次のページをごらんください。
 では、なぜ今、日本がデフレなのか。これがきょう一番私が訴えたいところです。
 デフレというのは、特定の商品の価格ではなくて、世の中全体の物の値段ですね、一般物価が2年以上連続して下がることです。これは、例えばユニクロがたくさんふえたからデフレになったとかばかなことを言っている人がいますが、そういうことでは全く説明ができません。デフレというのは貨幣量が不足することによって発生する貨幣現象なんですね。だから、日銀がお金を刷らないからデフレになっているんです。
 そのことが、こちらの「デフレは日銀が招いた人災」というチャートに示してあります。ほかの国がリーマン・ショックのときに二倍、三倍とお金の量を、変化率ですけれども、これだけのお金の量を市場に供給したのに対して、日銀はほとんど何もしていません。この状況が続く限り、幾ら税率を上げたところで、税収はふえません。財政支出をふやせばマンデル・フレミング効果というのが働いて、結局、金利が上がって、円高になって、全ての効果は海外に逃げてしまいます。金融緩和なくして財政政策なし、デフレ脱却なくして財政再建なしなんですね。
 では、次のページをごらんください。
 こういうことを言うと、日本は人口が減っているからデフレなんだよという極めて間違った考えを言う人がいるんですが、人口減少デフレ説は完全なでたらめです。何の根拠もありません。
 こちらにIMFが定義する先進国の人口増加率と物価上昇率をプロットしたデータがあります。これは駒沢大学准教授の飯田泰之先生がつくられたグラフです。何の相関性もありません。R2というところをごらんください。0・0005、ほとんどランダムですね。これが0・6以上なければ相関があるとは言えないんです。
 人口増加とデフレの間には何の関係もないのに、5月30日に日本銀行から、人口が減っているからデフレになっていますというような恐ろしいでたらめなレポートが発表されました。このレポートをよく読んでみると、この30何カ国から24カ国を恣意的に選んで、しかも、相関係数のR2が書いていないんですよ。非常にインチキなレポートを出しています。これだけでも日銀総裁は首にしていいんじゃないかと私は思っています。とんでもない話です。
 そして、次です。
 人口と経済成長、これも実は全く関係がありません。残念ですが、相関係数は0・18しかありません。彼らの言うことが正しいなら、ここの相関係数が0・6以上にならなければいけない。しかし、なっていない。つまり、これは彼らが言っていることがサイエンスでないということですね。でたらめであるということが断言できるのではないかと思います。
 最後に、金利が上がって財政破綻するとか、おもしろいことを言う人がたくさんいるんですが、これも大うそでございます。こちらをごらんください。名目成長率が4%以上になると、通常、長期金利よりも成長率の方が高くなりますので、ちょっと難しいんですが、公債のドーマー条件という、財政破綻をするかしないかの条件を財政破綻しない方向で満たすことになって、基本的には日本の財政は健全化します。
 これは実は、戦前、高橋是清が行った金融財政政策の中で、彼らは、新たに発行した国債を日銀に買わせて、それで財政政策をどんと行ったんですね。こんなことをやったら金利が上がって大変だとみんな言うんですけれども、実際に金利が上がったかというと、全く上がりませんでした。3年半ぐらい長期金利はずっと横ばいの状態で、その後急激に上がることもありませんでした。
 その後、日本経済がおかしくなるのは、2・26事件が起こって、高橋是清が暗殺されて、馬場えい一という国賊級の大蔵大臣が死ぬほどお金を刷って増税して軍備拡張をしたわけですね。この金で戦争してこいとやったわけですね。これは、まさに近衛内閣末期です。これと同じことが今まさに、消費税増税という誤った、対米開戦と同じような決断によって行われようとしていると私は懸念しております。
 では、最後のページです。
 ということで、私も財政再建はぜひした方がいいと思います。それから、税収がふえるならぜひ消費税を上げてください。
 ところが、今、日本銀行という大変問題のある団体がデフレを続けていることによって、税率を上げても税収はふえません。増税したいのであれば、まず最初に日銀法を改正して日銀総裁を首にする、そして、デフレ政策を改めて、きちんと2%から4%程度のマイルドなインフレに持っていく、そういう状態にして、景気が物すごくよくなって、このままじゃ過熱して大変だとなったらぜひ増税してください。
 私は増税そのものには反対していません。税収が上がるなら増税してください。でも、今、日銀がこういう状況で幾ら増税しても全く税収は上がりません。
 ですから、増税したい議員の皆さんも、増税を妨げているのは日本銀行だということをぜひ頭の中に入れていただいて、日銀法改正なくしてデフレ脱却なし、日銀法改正なくして財政再建なしということをきょうはぜひ肝に銘じていただいて、あと、私はうそを言っているかもしれませんから、調べてください、ぜひ皆さん自身の頭で考えていただいて、御納得いただいて、この議論を進めていただければと思っております。
 最後に、私は実は中央大学辞達学会という弁論部の出身でして、衆議院でこのようにスピーチさせていただくことは本当に名誉なことでございます。早稲田大学雄弁会の大先輩の渡部恒三先生の前でこんなお話をさせていただくのは大変恐縮でしたが、長い時間おつき合いいただきまして、ありがとうございます。
 これにて、私からのアピールを終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○中野委員長 ありがとうございました。
 次に、田淵公述人にお願いいたします。
○田淵公述人(公認システム監査人・IFRSコンサルタント) 公認システム監査人、そしてIFRSコンサルタントの田淵と申します。
 あとは、多分この中にも読者の方はおられると思うんですが、ある有名なIT企業のコラムニストをしております。大体1万人ぐらいの方がごらんになっていると聞いています。
 さて、それでは、きょうのタイトルなんですが、こちら、お手元の資料で「弱者に優しい消費税」、こういうタイトルのものをつくりました。
 それで、まず、一番最初に、賛成か反対かということからしますと、大変申しわけないんですが、この増税案は明確なる公約違反でございます。したがって、これは公約違反ですから、やはり撤回して、解散・総選挙をして国民に信を問うというのが本来の民主主義でありまして、ここでうそをついたら民主主義は崩壊してしまうと思います。
 しかも、申しわけありませんが、実は、後で申し上げるように、この消費税は非常にずたぼろの、ぼろぼろの法律でありまして、そうなってしまったのは、売上税のときに公約違反まがいのことがあったということも大きく作用いたしておるわけでございまして、そういうことも考えると、ここは、野田総理、申しわけありませんが、撤回の上、解散・総選挙をしてやり直すのが正しいと思います。
 さて、その上で、まさしく、資料の五ページにあるように、増税法案を可決してから解散というのは、これはもう詭弁でありまして、国民に対する詐欺行為でありますので、絶対に撤回していただきたいと思います。
 それで、その後、多分、増税の前にやるべきことがあるということで、約100人の国会議員の先生方がのぼりを上げておられるようでありまして、一応やるべきことというのも書いたんですが、時間が15分しかありません。例えば、NTT等の通信会社に送配電をやってもらうとか、あるいはシステム監査を法制化するとか、いろいろな提案もセクション二とか三とか補足のBに書いておきました。
 ただし、TPPは絶対にやってはいけません。なぜいけないかというと、ISD条項が非常に危険です。特に、例えばISD条項によって再販価格維持制度が壊されてしまったら、日本のマスコミはおしまいですよね。そういうこともありますが、その話は資料を見ていただくことにして、本編に入りたいと思います。
 お手元資料19ページをごらんください。
 実はきょう、いろいろ先生方のお話を聞いていて、あるいは国会議員の先生方の話を聞いていて、重大な論点が抜けていると思うんです。それは、低所得者対策と言われるんですが、日本の場合は中間層が多いので、中所得者という概念が全く抜けていると思うんですね。
 それで、ぜひ皆さん方に聞いていただきたいのは、こういうふうな財政改革あるいは税制改革、社会保障改革を考えるときに、絶対的な条件が私は二つあると思うんです。それは何かと申しますと、一つには、我が日本国が国連の常任理事国も考えられるようなG8の先進国であるという、この国際的地位であります。そしてもう一つは、世界に輝くG8先進国の国民として我々が享受している生活水準、この二つは絶対に維持されることが前提になるというのが議論の初めだと思います。これに異論のある国会議員の先生方はまずおられないと思います。
 そこで、いろいろ最近の税制改革論議を見ていると、本当に噴飯物の話がありまして、こういう議論をするときには、こちらの表にありますように、G8先進国と比較することだけが意味を持つのでありまして、やはり、どこかの発展途上国とか新興国とか人口の少ない国のものを持ってきてこうだああだという議論をすることは全くのナンセンスであります。このことについてわかっておられないとすると、非常にこの国の国会議員のレベルが疑われることになります。特に我が国の場合は中流層という概念が全く欠落いたしております。
 さて、それでは次のページ、20ページの方です。
 こちらにございますように、よく新聞各紙等では、日本の消費税率が非常に安いというような議論がなされております。しかし、こちらを見ていただいたらわかりますように、フランスは標準税率19・5%ですが、食料品は5・5%、医薬品は2・1%であります。イタリアも食料品は4%です。イギリスに至っては、生活必需品は5%で、食料品は0%であります。ちなみに、アメリカは連邦レベルの消費税はありません。そして、州税は45の州とワシントンDCでありますが、実は、調べてみますと、ほとんどの州で多段階税率になっております。さらに申しますと、欧州では標準税率よりさらに割り増しの税率のあるところもありますし、逆に、イギリス、アイルランド、マルタ、キプロス、カナダ、メキシコ、オーストラリアにおいては、食料品は非課税となっております。
 次のページをよろしくお願いします。
 きょう皆様方にどうしてもお伝えしたい最大のメッセージはこちらでございます。我が日本国、つまり、世界に輝く先進工業国である日本が所属するG8先進国の中で、均一税率で10%以上の国は皆無であるという事実であります。このことは非常に重要な事実であります。
 もう一つ、G8先進国で、逆進性対策として還付を行っている国はゼロでございます。所得税と組み合わせた給付つき控除の話は先ほどの先生にありましたが、消費税という観点でやっている国は実はカナダとシンガポールのみでありまして、カナダも複数税率併用になっています。それから、レシートでの還付は韓国だけであります。カナダは一時期やっていたんですけれども、いろいろ問題があってやめました。
 そしてもう一つ、こちらです。実は、税収を、税率を上げなくてもすぐできるのはここです。税額票方式に移行すれば、いわゆるクロヨン、トーゴーサンピンの問題がなくなります。伊吹先生よく御存じのように、自民党さんが昔やろうとした売上税ではこれがあったわけですね。税額票はあったわけです。ところが、なぜか知りませんが、税額票、インボイスという言葉が貿易用語であることが何か災いして、いかにも難しい制度だという誤解が広まってしまいまして、大変なことになってしまいました。これは、税額票方式に移行するだけで脱税防止効果があります。
 さらに、実は皆さん気をつけていただきたいのは、私が言う先進国はG8先進国であって、日本がこの地位を守ることは絶対条件だと思いますが、少し範囲を広げて、OECD加盟国というふうに範囲を広げましょう。OECD加盟国の中で10%以上の均一税率の国は、何とニュージーランドと韓国だけでございます。
 ちょっとうがった見方かもしれませんが、今回の政府案は、残念ながら、韓国の制度を日本に持ち込もうとしていると言っても過言ではないぐらい韓国の制度に似ています。この分野でも韓流かもしれませんが、とにかくここの問題があります。しかも、韓国はFTAでぼろぼろになっているだけじゃなくて、非常に格差社会であって、55%がワーキングプアと言われておりますし、ニュージーランドは大規模土地所有制で、あとは小作人というような状態で、非常な格差社会であります。
 つまり、中流階級がいないんですよ。中流階級のいないところなら低所得者層という言葉の対策の意味があるんですが、我が国の場合は全く国情が異なるわけであります。したがって、その辺は国会議員の先生方によくわかっていただかなければならないところであります。
 さらに、よく報道で、IMFの偉い人が日本は15%にするべきだと言ったというようなことをリークする人がいるんですが、IMFのトップというのはみんなヨーロッパの人がなっていまして、これもよく調べたら、ヨーロッパの15%というのは均一じゃないんですね、デンマーク以外は。つまり、均一で15%とは一言も言っていないんです。そういうところも正しく情報を伝えていただかなきゃ困るわけであります。
 さて、時間がなくなってまいりました。
 では、私は、どうしたらいいかということについて具体的な提案を申し上げます。
 まず、こちらにありますように、非課税を維持するべきものとして、個人の住宅の家賃、医療、学校教育、そして身体障害者用物品は非課税を維持するべきであると思います。
 次に、軽減税率として、8%均一も先進国ではありません。ここでありますように、5%を維持するべきものとして、食料品及び外食産業、医薬品、公共交通機関及び高速料金、ライフライン、電気、ガス、水道、電話、そして住宅の取得、新聞及び書籍、学用品、塾、日常消耗品、育児用品、子供用品、介護用品、そして灯油、ガソリン、これは5%を維持するべきであります。寒冷地の北海道などで灯油を上げてしまったら、もうこれは凍死者が出ます。
 逆に、日本は、何と世界で唯一、食料品に課税しながら土地と株が非課税というとんでもない金持ち優遇国であります。これについてもぜひちょっと、これは非課税を維持することに疑問が残る部分であります。
 もう一つ。逆に、鉄道のグリーン車、グランクラス及び個室、あと私鉄の三社ですね、そういう特別なクラス及び航空機のファーストクラス、宝石、毛皮、高級時計、高級外車、書画骨とう等はむしろ、標準税率と言わずに、特別に税を課してもいいと思われます。
 次に、税額票方式への移行をせよというのは先ほど申し上げたところですが、特に、先ほどの先生から出ましたように、転嫁の確実性という問題、そして病院とか学校における損税の問題がありますので、これは税額票方式に移行するべきであります。これだけで2、3兆円税収がふえるという話もあるぐらいであります。
 25ページにもありますように、国民の4割しか増税は賛成じゃありません。しかも、容認している4割の半分は軽減税率を要求しておるということを忘れないでいただきたいと思います。
 さて、それでは、時間が減ってきましたので、27ページに飛びます。
 では、複数税率を否定する人の誤解ということについて一つずつやります。
 まず一つ。帳簿方式だから複数税率はできない、これはうそであります。消費税は導入当初、自動車は6%でありました。したがって、複数税率は経験いたしております。
 それと、簡易課税は、やっているところが複数税率では大変だ、小規模業者は大変だとおっしゃいましたが、これもうそであります。なぜならば、コンピューターの立場から考えたり作業の点から見て、簡易課税の場合は五種類の、第一種事業から第五種事業まで分けなければいけませんから、まさに複数税率と同じことを実はもう既にやっているわけであります。
 それから、誤解の二。複数税率は手間がかかる、これも全くのうそでございます。なぜかというと、先ほどから申し上げているように、G8先進国で、均一税率で10%以上は皆無であります。さらに、財政危機に揺れるスペイン、ギリシャでも複数税率であります。さらに、ロシア、中国、スイス、インド、ベトナム、インドネシア、トルコにおいても複数税率が実施されておりまして、我が国にできないわけはありません。
 さらに、スーパーとか行きますと、昔はレジをこうやって押していましたよね。でも、今はバーコードでピッという時代でございますので、こんなことは問題ありません。
 それから次、28ページをお願いします。
 税額票方式は煩雑だというのは、先ほど申し上げましたように、韓国のように指定書式を使用したら当然煩雑ですが、EU指令では記載要件のみが定められておりまして、さらに電子化もやっています。それに、今、税額を書く欄のない請求書など売っておりませんので、これも全くの誤解でございます。
 それから、税額票方式による計算は煩雑であるというのは、これは間違いでございまして、税額票方式ならば、仮払い消費税と仮受け消費税の差額のみで納税額が決まります。むしろ、帳簿方式の方が実は大変な問題が起こっておりまして、昨年6月、ほとんど審議されずに通ってしまった、課税売上割合95%ルールがなくなったために、非常に複雑な問題が起こっております。
 特に、消費税法第30条第五項の規定によって、損税が発生する一括比例配分方式を選択させられた場合はこれが2年間継続するということで、株主代表訴訟のリスクがあるのではないかということで、私のところにも複数の会社さんから相談が来ているような状態であります。
 ファストフードにおけるテークアウト問題は、これは制度設計が下手な国で起こっていることでありまして、外食産業と同じ税率にすればしまいであります。
 次に、31ページ。
 軽減税率の場合、高所得者ほどメリットが大きいと、きのう野田総理がおっしゃいましたが、これも誤解であります。これはなぜかというと、高級食材も軽減税率にした場合でありまして、どうすればいいか。日本は前例踏襲主義であります。前例踏襲主義の日本にできることとしては、飲食税を復活して、一人3千円以上食べたら10%課税すれば解決します。
 さらに、スーパーとかでも、単価3千円以上のものを10%上乗せ課税すればオーケーです。まさか、マスクメロンを半分に切って売るようなところはないと思います。
 さあ、時間が来ました。
 ここを見てくださいね。これ、ちょっと本当に見落とされて大変な問題なんですが、今、消費税法第30条第二項の改正によりまして、課税売り上げ95%問題というのが大変な問題になっています。
 特に、今、こちらを見てください、実は、ここの赤と黄色と緑のところ、つまり、課税仕入れを三分割しないと損税が発生するようになっておりまして、グローバル企業の場合は、損税額は10億単位になることがわかっております。これは緊急に消費税法第30条五項を改正して緩和していただきたいと思うんですが、どう緩和するかについては、私は、先輩方のいろいろ教えがありますので、全て後ろの方に具体的な法律改正条文案をつけてありますので、資料をごらんください。
 とにかく、この三つを自動的に分けることができないために、大変な混乱が起こっております。
 時間がなくなりましたので、さあ、まとめましょう。
 このように、繰り返し申し述べますように、G8先進国において、均一で10%以上の国はございません。そして、私どもは、どんなことがあっても日本はG8から転げ落ちてはいけないと思います。そして、G8先進国の国民として享受している生活水準も絶対守られなければいけません。ですから、G8先進国でやっていないようなことをやることはナンセンスであります。
 繰り返し述べますように、本来の消費税の趣旨に戻って、所得再分配と福祉という観点からすると、生活必需品は軽減税率または非課税とし、ぜいたく品は重課税とするべきであります。
 繰り返し述べるように、食料品、医薬品、公共交通機関、高速料金、ライフライン、住宅の取得、新聞及び書籍、学用品、塾、日常消耗品、育児用品、子供用品、介護用品、灯油、ガソリンは5%維持であることを強く要求いたします。
 及び、税の公平性、いわゆるクロヨン、トーゴーサンピンの問題から、帳簿方式から税額票に移行していただきたい。
 そして、もう一つ、国際会計基準のIFRSのコンサルタントの立場からいうと、滞納を防ぐ意味でも、税込み経理は禁止していただきたい。表示じゃないですよ、表示は内税でいいですけれども、経理としては税込み経理は禁止していただきたい。
 最後、簡易課税については、逆の立場の方がおられると思いますが、やはり一種事業の90%と80%のみなし仕入れ率は高過ぎるので、これを縮小するとともに、税の透明性を高めていただきたいと思います。
 繰り返し述べますように、普通の市民感覚からいうと、お米やパンと、宝石、毛皮が同じ税率というのがやはりおかしいんだというのが私の意見でございます。
 どうもありがとうございました。(拍手)
○中野委員長 ありがとうございました。
 これにて公述人の方々からの意見の開陳は終わりました。
【佐々木議員質問部分】
○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 きょうは、公述人の皆さん、大変貴重な御意見をお聞かせいただきまして、本当にありがとうございます。
 私どもは、この消費税増税には反対でございまして、それはさまざまな理由がありますけれども、国民の生活あるいは中小企業の営業、そういう点で非常に深刻な事態をもたらすことになるということであります。それに頼らない別な道があるということで、新しい提言を私どもさせていただいておりまして、財源の提言もさせていただいているところでございます。
 そこで、まず、税の性格といいますか、この点について、高橋参考人と森信参考人に、お二人にお伺いしたいと思います。
 日本の税は、大きく言って三つが中心であります。所得税、法人税、消費税、この三つの税が圧倒的多数であります。
 消費税と、所得税、法人税の本質的な違い、これは何かということになりますと、所得税、法人税の場合は所得に対して課税をする。当たり前のことであります。所得税の場合には、課税最低限以下には課税をしない。それから、法人税の場合は、赤字の法人には課税をしない。
 しかし、これに対して消費税は、性格が根本的に違うと私は思っております。それは、所得がなくても、赤字の家計でもこれを負担せざるを得ない。消費をする限りは負担をするということになりますので、増税ということになりますと、非常に影響が低所得の家計に大きく及んでくるというふうに我々は捉えております。
 お二人の御意見、消費税の場合、性格をどのように捉えておられるか、まずお聞きをしたいと思います。
○高橋(進)公述人 消費税につきましても、最終的には家計が負担するということに変わりはないと思います。ですから、所得税であっても消費税であっても家計に負担が来ることに変わりはないというふうに思います。
 その上で、所得がなければ税を払うべきではないということではないと私は思います。日本国民としてさまざまなサービスを受けているわけですし、あるいは、社会保障を支えるための分かち合いということもありますので、そういう意味では、税負担ということは所得のあるなしにかかわらず一定限必要だというふうに思います。
 そういう所得の再配分、あるいは社会の支え合いという観点から私は消費税というものを捉えてみたいというふうに思います。
○森信公述人 お答え申し上げます。
 私は、実は、消費税の本質というのは余り理解されていないなと思うんです。消費税というのは、基本的に貯蓄に課税しないという税なんですね。つまり、所得イコール消費プラス貯蓄なんです。したがって、消費に課税するということは、貯蓄には課税しない。所得税というのは貯蓄にも課税するわけです。だから、貯蓄をしていて、ふえて利子所得が生まれると20%の税金が課されるというふうになっているわけですね。
 一番問題は、そうしますと、消費税というのは、貯蓄している限りは課税されない。これが、実は貯蓄促進にもつながるし、資本促進にもつながる。つまり、貯蓄イコール投資ですから、投資をした場合には課税されないんですね。したがって、今の消費税、例えば、設備投資をいたしますと、それは仕入れ税額控除で全額控除されるわけです。でも、所得税の世界では、設備投資をしましたら、耐用年数に応じてしか毎年経費にならないわけですね。
 そういう意味において、消費税というのは、経済活動において大きな、つまり、貯蓄を優遇する、資本を優遇する、そういうことで設備投資を進め、経済成長を促進する、そういった効果のある税だと私は思います。
 したがって、この90年代以降、世界の税制改革の流れを見ますと、所得税を小さくして消費課税にシフトしようという大きな流れがあるのではないかというふうに考えております。
 以上です。
○佐々木(憲)委員 消費税の特徴については、私どもは、逆進性のある税ですから、今の格差社会の中では低所得者層に非常に重くかかって、その税で法人税の減税を今回行ったわけでありまして、なぜ利益の上がっている黒字企業に減税をするのかという根本的な考え方を持っております。この議論を今ここでやる必要はありませんので、それにとどめておきたいと思います。
 さて、そこで、現実的な問題ですけれども、石澤参考人にお伺いをいたしたいと思います。
 先ほど、交渉力の弱い中小企業にとっては、価格転嫁ができない、大変弱い立場にある、廃業も出てくる可能性がある、こういうふうにおっしゃいました。私もそう思っております。しかも、価格転嫁できない場合には自腹を切るというふうにおっしゃいました。自己負担になってしまうわけですね。そういう意味で、中小企業にとっては非常に過酷な税金ではないか、その税を上げるとなると非常に深刻な事態になる、こう思うわけです。
 そこで、具体的な価格転嫁のことについてお伺いしますが、これは、商店の場合と、それから下請企業の場合と、分けて考えた方がいいと私は思っております。
 商店の場合は、転嫁をしようとして品物の値段を上げますと、当然お客さんはもっと安いところに買いに行きますので、簡単に言いますと、お客さんが逃げていく、そういう事態になるわけであります。その場合に、環境を整備すれば何とかなるんですという政府の説明でございます。しかし、消費税は消費者が負担するんですよというポスターを幾ら張ったって、その現象は変わらないと私は思います。
 この点について、商店のこの転嫁というのが、私は、競争の中で、あるいはデフレという状況の中で非常に厳しいのではないかと思いますが、どのようにお考えでしょうか。
○石澤公述人 おっしゃるとおりでありまして、ヨーロッパ、海外へ行きますと、皆さん、消費税の長い歴史もあって理解をしておられますから、全く異論なく受けとめていただけます。
 しかし、日本の国民性、制度、政策というものでしょうか、事業者同士、あるいは消費者と事業主との間に値引きの駆け引きがあるという長い日本流の歴史がございます。スーパーはそんなことはありませんけれども、小さなお店ですと、顔見知りの方がおいでになります。これ少しまけてくれぬかと言われたら、やはり情が移って、まけてしまう。それは自腹を切ることになるという状況。
 したがいまして、私は、諸外国のように、消費税というものは国民的な義務であるという、国家政策としてもっと国民に理解を求める努力をしていただきたいと実は思っております。
 私も、個人的には消費税には反対であります。ただ、社会保障の増大がありますから、ある程度はこれはやむを得ぬとは思っております。実際、そのような状況ではありますが。率直に言って、流れは値上げの方に動いております。
 今までは、消費税ありきで、上げることだけの論議で、実態、どういう影響が出ているかという論議が十分行われておりません。したがいまして、その論議が十分ないから国民的な理解もないのではないか。
 限られた時間でありますけれども、いつ実施されるかわかりませんが、その間、徹底して、どういう状況が生まれてくるか、どういう弊害が出てくるか、それを国会議員の皆さんも十分論議をしていただいて、ある程度の見通し、こういうことでやる、そういう確約が出てくれば、私は、ある程度の理解をすべきではないか、こう思っております。そのように考えております。
 都会と違って、スーパーとは違って、小さなお店には価格転嫁が非常に難しい。しかも、やろうと思っても時間がかかる。そのためには、先ほど申し上げました免税点等の対策をその間やっていただきたい、こう思っております。
○佐々木(憲)委員 わかりました。大変切実な心情が伝わってまいります。
 それで、転嫁をするという場合は、下請企業の場合はもっと大変ではないかと思うんです。といいますのは、政府の答弁を聞いていますと、いや、不当なことがあれば、言っていただければ直ちに対応します、こういうふうに言われるわけですけれども、そう簡単ではないんじゃないか。
 例えば、中小下請業者が単価の価格に消費税を上乗せして請求する、そうすると親会社の方が、消費税はそのままにしておいて単価の方を下げなさい、こうくるわけなんですね。そうすると、形式の上では消費税を払ってもらった形はとっておりますけれども、実態は、事実上、消費税は転嫁できない、採算割れになる、こういうことが多いのではないか。
 ですから、調査をしますと転嫁できているというのがそれなりにあるんですけれども、それは、親会社の意向を考えて、余りはっきり言うと仕事がなくなるということもあって、非常につらい立場にあるのではないかと私は思いますが、その辺の実態はいかがでしょうか。
○石澤公述人 御指摘のように、納入している小さな業者の方が深刻だと思います。
 親会社から徹底的にたたかれて、そういう厳しい状況でありますから、今廃業がふえている多くはそういうグループの人たちじゃないか、私は、こう思っておりますので、率直に申し上げて、小さい規模、弱い者が消費税が転嫁できない実情は非常に惨めなものだと思っております。
○佐々木(憲)委員 ありがとうございました。
 それでは、もう時間がありませんので、上念公述人に。
 デフレの原因が通貨政策、日銀にあるとおっしゃいましたが、デフレというのは、需要面から考えると、非常に市場が縮小して、生産した物が売れない、こういう現象が実体経済としてはあるのではないか。したがって、金融政策、通貨政策だけでデフレの克服というのは、それだけではいけないので、私は、最終的な市場の拡大というものが必要だと、しかも、家計消費が約6割ということを考えますと、国民の暮らし、そういう面に着目した政策の展開が必要だと思いますけれども、その点はいかがでしょうか。
○上念公述人 御質問ありがとうございます。
 経済学の知見によれば、ワルラスの法則というのが基本的には成り立っております。ワルラスの法則というのは、お金と物のバランスで基本的に物価とか需要とか供給というのは決まっていると。
 現在、デフレの状況というのは、お金の過少供給によって物が過剰供給になる現象ですね。供給能力はそんなに日本は変わっていません。実質成長率は2%ずつぐらいずっとキープしておりますし、潜在成長率が低下しているとかいろいろ言いますけれども、そんなには傷んでおりません。
 ところが、貨幣供給量は明らかに生産性の増加に比べて少な過ぎる。そのことが、先ほど私が示した他国との通貨供給量の差、ああいうものとか、それからGDPデフレーターが14年間連続でマイナスになっているという状況から考えても明らかです。
 確かに、通貨減少以外の部分もあるかもしれませんが、主要な要因は、ワルラスの法則に従えば、やはりお金の供給不足によって物に対する過剰供給が生じていると。ということは、お金を大量に供給してこれに逆ショックを与えると、物が逆に貴重になって、お金がそんなに価値がなくなって、デフレが解消していくということです。
 問題は、どれぐらいのスピードでこれを解消するのか。一気に解消するのであれば、金融政策でお金を刷ると同時に財政政策も行った方がいいと思います。
 今、幾つかの党で出ているみたいですけれども、老朽化したインフラを多額の公共事業で復旧させようというようなプランが出ていますが、あれは、まさに戦前に行われた高橋是清の財政金融政策に近いものでして、当初の3年間、20兆掛ける三ぐらいの期間、日銀の財政ファイナンス、つまり国債を日銀に直接引き受けさせることでやったら、これは非常に、一石三鳥の効果が出てくると思います。
 このような政策転換によって、今後お金は十分に供給されますという予想を形成することが大事なんですね。通貨供給以外の部分があるとしたらここがとても大きくて、お金はもうけちけち刷りませんというメッセージを日銀は出し続けるわけです。
 ちょっと刷りますよとあのバレンタインデーのときに言ったら、あれだけ株が上がったんですね。ちょっと刷りますよと言ったにもかかわらず、その後、ニューヨークに行って、いや、やはり刷りませんとか否定したり、実際には、しょぼい緩和しかやらなかったりということで……
○中野委員長 時間が参っておりますので、おまとめください。
○上念公述人 はい。
 結局、お金の価値が上がってしまいました。そういうことでございます。
○佐々木(憲)委員 時間が参りまして、田淵公述人には質問できなくて申しわけございません。
 以上で終わります。ありがとうございました。

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