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税制(庶民増税・徴税) (消費税, 社会保障・税一体改革)

2012年03月07日 第180回 通常国会 財務金融委員会 【660】 - 質問

国民負担の増大は「説明」を変えても同じこと

 2012年3月7日、佐々木憲昭議員は、財務金融委員会で「社会保障・税一体改革」について質問しました。増税分は「すべて社会保障に使う」「充実」「安定化」などと説明を変えても、「一体改悪」の中身がかわるものではないことが明らかになりました。

 佐々木議員は、岡田副総理が1月20日におこなった会見で、配布した「広報に関する基本方針」の内容について質問。
 それまで、増税分の使い途を社会保障の「機能維持」や「機能強化」などの表現で説明してきましたが、「充実」や「安定化」という表現に変えています。
 岡田副総理は「私には(それまで意味が)わからなかった。みなさんはわかりましたか」と、記者会見で述べていることを、佐々木議員は「人ごとのような発言だ」と批判。
 佐々木議員は、政府のいう数字の根拠をひとつひとつ確かめ、社会保障に必要な数字を積み上げたのではなく、「消費税5%分を上から配分する」数字を出したに過ぎないということが明らかになりました。
 5%のうち「社会保障の充実」に回るのは1%分に過ぎず、それもどうなるか具体的な改善策は数字としても示されていません。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 まず、社会保障・税一体改革についてお聞きしたいと思うんですが、岡田副総理の1月20日の会見では、一体改革・広報に関する基本方針という文書を配付いたしまして、記者会見が行われております。
 政府はそれまで、増税分の使い道を社会保障の機能維持ですとか機能強化などの表現で説明をしてきた。ところが、岡田さんは、私には意味がわからなかった、皆さんはわかりましたかと記者会見で語っているわけです。幹事長だったのに、意味がわからなかったという、人ごとのような発言をされているんですけれども、いずれにしても、説明ぶりを変えたわけであります。
 安住大臣、改めて、なぜ説明を変えたのか、その理由を説明していただきたいと思います。
○大串内閣府大臣政務官 まず、事実関係から御報告させていただきます。
 きょう、佐々木委員からも資料でお配りいただいておりますけれども、昨年の6月に成案を取りまとめたときに、5%の分のフレームということで、この資料の二枚目にある、引き上げによる安定財源確保を通じて、結果としてどのようなものが賄われるのかというものを示しました。
 その後に、今般、本年1月に政府・与党本部で素案を取りまとめた後、関係5大臣会合において議論をしまして、もともとの増税分に関して全額社会保障財源となりますということを言っていました。
 それをわかりやすくきちんとするために、それを国民にわかりやすく説明するという観点から、佐々木委員が配付されました資料の一枚目にありますような、社会保障の充実2・7兆円、そしてそれ以外の部分、社会保障の安定化、今の社会保障制度を守る、これが10・8兆円、こういうふうにしたわけでございます。
 これは、あくまでも、今回の社会保障の財源のための消費税の引き上げが全額社会保障財源になりますということをよりわかりやすく示すため、こういったことでの変更でございました。
○安住財務大臣 今、大串政務官からお話ありましたとおりなんですが、やはり、例えば、一部新聞報道なんかで、戦車を買うのにも使うのかとかいろいろな批判がありましたから、そういう意味では、今政務官が言うように、社会保障にしっかり使っていく、そのことを具体的に、わかりやすく説明した方がいいということで、機能強化とか、余り国民の皆さんから見てなじみのない言葉を使っていたものですから、使い方について、そういうやり方に変えたということでございます。
○佐々木(憲)委員 それで、これはただ説明を変えただけなのか、それとも内容がかなり変わってきているのか。
 そこで、具体的に確認をしたいんです。
 まず、今事例として挙げました「消費税引上げに伴う社会保障支出等の増」という部分であります。二枚目の資料の一番下のところに1%相当となっておりましたが、これは、消費税増税に伴って支出がふえていく、その増税分を上乗せして支出しなければなりませんのでふえる分があると。1%相当というと2・7兆円でありました。
 前の表では、社会保障関係でふえる部分と、それ以外の、例えば防衛省の支出などもこれに入る、そういうことだったと思うんですが、それを除いて、新しい説明になりますと、一枚目ですね、「消費税引上げに伴う社会保障支出の増」というふうに、社会保障に限定した書き方になっていて、金額は0・8兆円程度、こういうふうになっていますね。
 つまり、1%相当分は2・7兆だったわけです。0・8兆に限定してここは書かれている。それ以外の1・9兆円分、これは外されたわけですね。この外された1・9兆円分というのは、一体どこで負担するんですか。
○大串内閣府大臣政務官 御案内のように、この二枚目の資料のところにあります「消費税引上げに伴う社会保障支出等の増」1%と今御指摘がありました。ここのお金がどこに行ったのかということですが、その前に、昨年の6月にこの二枚目の表をつくったときに、もう一方、この文章の中に、増税分に関しては社会保障のために使うということは明らかに書いていました。若干、説明がいま一つはっきりしていなかったところがありましたものですから、よりそれを明らかにするということで、この1月に、その部分をより明らかに、社会保障に全部充てるんだということでこの一枚目の表にしたわけでございます。
 ということで、いわゆる消費税の増税分の直接的な影響として、いろいろな政府購入物の金額が上がってしまうということに関しては、消費税増税分ではなく通常の一般財源で賄う、こういうことになります。
○佐々木(憲)委員 一般財源でそれをカバーする、こういう考えになった、なったといいますか、そういうふうに表現したということですね。
 次に、国と地方の関係ですけれども、消費税増税5%のうち、国と地方の配分というのはどうなるのか、それぞれの取り分、これはどうなるのか、説明をしていただきたいと思います。
○大串内閣府大臣政務官 今般、消費税率を5%引き上げて、2015年10月以降における国、地方トータルの社会保障の充実と安定化の姿については、もう既に整理しております。
 これを国、地方でどのように分けていくかということについては、これから社会保障の具体策をどう組んでいくかということによりますので、厳密なところは非常に困難な面があるのでありますけれども、一方で、消費税収5%の全体でいうところの国、地方の配分については、社会保障四経費にのっとった範囲の社会保障給付における国、地方の役割分担に応じまして、国分3・46%、これは9・3兆円程度、そして地方分1・54%、これは4・2兆円程度というふうな、これは本当に、先ほど申しましたように、これからの社会保障制度の充実をどのような形で具体的に組んでいくかにもよりますものですから、そういった要素はありますけれども、今のところ、国、地方の役割分担に応じてこのようなことを考えているところでございます。
○佐々木(憲)委員 そうすると、国が7割、地方が3割、ほぼそういう姿になるわけですね。
 配付資料には、一枚目を見ていただきますと、5%全体を項目別に配分するとこうなるというのが出ております。この中で、地方に回る分、これはどのように入っているのか。一つ一つ確認をしたいんですが、社会保障の充実というところと、社会保障の安定化、左側のところにそういうふうになっていますね。
 まず、上の、社会保障の充実2・7兆円、このうち地方分は幾らですか。
○大串内閣府大臣政務官 この充実2・7兆円分でございますけれども、繰り返しになりますが、今後の具体的な施策の内容によりますというところがありますことを繰り返し申し上げた上で、現行の国、地方の負担割合などを参考に機械的に計算してみると、このうち国が1・85兆円程度、地方は0・85兆円程度、こういった形になろうかと思います。
○佐々木(憲)委員 地方分は0・85兆ということであります。
 この中には、子ども・子育て対策0・7兆円程度、それから医療・介護の充実1・6兆円弱、年金制度の改善0・6兆円程度、こういうのが全体の枠としては含まれるわけでありますが、地方の分はそれぞれ幾らになるんでしょうか。そういう数字はありますか。
○大串内閣府大臣政務官 先ほど申しました、2・7兆円分に対する1・85兆円と0・85兆円ということでございまして、今申し上げましたように、どのような充実策をこれから具体につくっていくかによるところが大でございます。
 先ほどの数字は、現行の国、地方の負担割合等を参考にして機械的に計算してみたものでございますので、子ども・子育て対策あるいは医療・介護の充実策、年金制度の改革、これは今、法案をこれからつくって出していこうというところでございます。この法案の決まりぐあいによって、具体的な、それぞれに関する国、地方の割合のところは決まっていくということになろうかと思います。
○佐々木(憲)委員 そうすると、そこはまだはっきりしない、細かなところは。
 それから次に、下の方の、社会保障の安定化10・8兆円、これはどうなるのか。このうち、はっきりしているのは年金国庫負担二分の一ですね。これは国ですよね。これは間違いありませんね。
 それから、一番下の、消費税引き上げに伴う社会保障支出の0・8兆円、これは国の支出分のみをあらわしているのか、地方分もこの中に含んでいるのか、どちらですか。
○大串内閣府大臣政務官 今おっしゃるとおり、年金国庫負担の二分の一、これは国分のみでございます。
 一番下にあります「消費税引上げに伴う社会保障支出の増」0・8兆円、これも、先ほど申しましたように、機械的にざくっと、あえて試算をしてみれば、国が0・7兆円程度で、地方が0・1兆円程度というふうに試算されようかというふうに思います。
○佐々木(憲)委員 それでは、ちょうど真ん中の後代への負担のツケ回しの軽減7兆円。説明によると、「高齢化等に伴う増(自然増)や安定財源が確保できていない既存の社会保障費」とされておりますが、この安定財源が確保できていない既存の社会保障費にはどのようなものが含まれるのか、それから、その金額は幾らでしょうか。
○大串内閣府大臣政務官 今、どのようなものが含まれるかという御質問でありましたけれども、御案内のように、今の予算を見ていただきますと、社会保障関係費が27、8兆円というふうになる中で、全体の予算、90兆円の予算に関しては、その半分近くを国債でファイナンスしているという状況があります。
 ここの、後代への負担のツケ回しの軽減というところに関しましては、今のいわゆる社会保障のお金が安定財源、いわゆる税収で賄えていない部分という本源的な部分、それと、今後高齢化によっていわゆる自然増が起きていくであろうという部分がこの中身になっております。
 この中身に関しましても、国と地方がどうなっているかということを計算するのも、あえての機械的な試算になりますけれども、この7兆円の部分のうち、国が3・9兆円程度で、地方が3・2兆円程度ということになろうかというふうに思います。
○佐々木(憲)委員 今の説明は、両方を合わせた、国、地方全体の配分のものですね。
 私が聞いたのは、既存の社会保障費で安定財源が確保できていない部分、この部分については幾らかと聞いたんです。
○大串内閣府大臣政務官 済みません、今の御質問、ちょっと、趣旨をもう少し教えていただければと思います。
○佐々木(憲)委員 ここに書いてあるのは、高齢化に伴ういわば自然増の部分と、それから、安定財源が確保できていない既存の社会保障費という、この二つに分けて書いていますよね。「や」というんですから、二つに分かれているわけです。
 したがって、まずは、その7・0兆円のそれぞれの金額が幾らか、それから、安定財源が確保できていない既存の社会保障費というのは、例えばどういうものがこの中に入るか、これを聞いているわけです。
○大串内閣府大臣政務官 この7・0兆円の部分で、高齢化に伴う増、安定財源を確保できない既存の社会保障費の部分、ここは、国、地方の分担も含めて細かく計算しておるわけではなくて、先ほど申しました国、地方の分担のところも、現在の仕組みを前提に計算したものでございますので、今のところの私たちが持っている数字は、今申し上げたような数字だけでございます。
○海江田委員長 国、地方以前のところでは分かれるの、分かれないの。国、地方を分ける前のトータルで、分かれるのか、分かれないのか。そうでしょう。
 では、もう一回、ちょっと整理して言ってください。
○大串内閣府大臣政務官 7兆円の部分の内容は、今申し上げましたように、いわゆる高齢化に伴う自然増の部分と安定財源が今でも確保できていない部分、こういうことでございます。これを国、地方という役割で分けてみると、大体、国が3・9兆円程度、地方が3・2兆円程度、そういった形になってございます。
 さらに、その内訳の部分がどうなっているかということになると、そこは私たちもまだ、さらにそこ以上のところは分析しておらないというのが実態でございます。
○佐々木(憲)委員 どうも中身がはっきりしないんですね。
 それで、既存の社会保障費というのは、一体何を想定してこういうふうに入れているんですか。
○大串内閣府大臣政務官 この後代への負担のツケ回しの軽減というのは、いわゆる2・7兆円の、これから充実する分ではなくて、今存在する制度を前提として、これでも財政の足りない部分、例えば、現在、国、地方合わせた社会保障の四経費の金額、これは2011年度ベースで32兆円ございます。これが2015年度には37兆円程度まで、5兆円程度増加していくというのが、ある意味この五カ年における高齢化等々でふえていくものというふうになってございます。
 そこまでの数字はございますけれども、それがある意味高齢化に伴う自然増の部分でありまして、それ以外のところは、いわゆるファイナンスされていない、赤字に伴う部分であるというふうに考えています。
○佐々木(憲)委員 高齢化に伴う部分というのは、要するに、金額は幾らなんですか。
○安住財務大臣 2015年度で多分2・9ぐらいなんです。
 それで、先生が言っているのは7兆の内訳の話なんでしょう。だから、高齢化のそういう公費負担というのは大体それぐらいかなと思っています、今のベースでいえば。
 ということは、残り大体4兆円ぐらいですよね。これは何になるのかという話なんですけれども、そこは、公費負担を今している、そして、なおかつ安定財源が確保されていない部分ということになるわけです。そこは、例えば、確定したわけではないんですが、その穴の中には、多分、現行の年金の給付、診療報酬や介護報酬などでかかるような公費負担の部分なども含まれるので、そういうものが積算されると大体4兆円くらいになるのかなと。すると、7兆になる。
 ただ、それを地方と国で分けると、さっき政務官が言ったような数字になるということだと思います。
○佐々木(憲)委員 自然増は、毎年1兆円程度ふえていくという説明をされていますよね。そうすると、2015年の段階では今から2・9兆ふえる、こういう考え方なんでしょうか。
○大串内閣府大臣政務官 今、2011年度から2015年度までの高齢化等に伴う増は2・9兆円という話が安住大臣からありました。それが、これから、2011年度から2015年度までに伴う増の数字、まさにそのとおりでございます。
○佐々木(憲)委員 今かなり細かな数字をお聞きいたしましたが、積み上げベースじゃないものですから、上から大ざっぱに計算しているもので、内容的に本当に整合性がとれているのかどうか、それから、では何をどのようにふやすのか、あるいは効率化で減らすのか、その辺が全くわからないわけであります。大ざっぱな数字はわかりますよ、大体こんなものだと。しかし、今の説明だけでは、どうも整合性がとれていないような感じを受けました。
 きょうは確認だけでありまして、これをもとにしてこれからいろいろ議論をしていきたいと思っております。もう時間が来てしまいましたので、続きはまた次回行うということで、きょうは終わりたいと思います。

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