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その他 (消防の広域化, 災害支援)

2012年03月05日 第180回 通常国会 予算委員会第2分科会 【658】 - 質問

コンビナート防災「総合的な対策を早く」

 2012年3月5日、佐々木憲昭議員は、予算委員会第2分科会(総務省所管)で、大震災に対する石油コンビナートの防災対策の抜本的見直しを求めました。

 佐々木議員は、まず東日本大震災の影響によって発生した千葉県市原市の液化石油ガスの爆発事故にふれ、「コンビナート災害は連鎖的・複合的な危険性がある」と強調しました。
 そのうえで、石油やガスなどの所管が各省バラバラで、消防局も「初期対応に苦慮した」と報告していることを紹介し、「総合的な大災害に的確に対応できない」とのべると、川端達夫総務大臣は「それぞれ所管が違い、問題があるという指摘はある」と答えました。
 佐々木議員は、災害対策計画などが事業者任せになっていると指摘し「国が前面に出て総合的な対策を早くつくるべきだ」と批判しました。
 川端大臣は「縦割り行政など課題もあり、大きな検討事項だ」と答えました。
 佐々木議員は、名古屋港では東海・東南海2連動地震による液状化で2.7〜3.5メートル地盤沈下するなどの被害が想定されていることに言及し、「災害防止法で液状化が通報義務の対象になっていない」と指揮すると、川端大臣は「液状化による被害のおそれの通報(義務)の明示は必要」と答えました。
 大規模災害に対する「大容量泡放射システム」の抜本的強化も求め、川端大臣は「万全を期すよう対応を検討する」とのべました。

議事録

○佐々木(憲)分科員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 東日本大震災から間もなく1年を迎えようとしております。大震災を踏まえた防災体制の抜本的な見直しが求められていると思います。
 そこで、きょうは、コンビナートの防災問題についてお聞きをしたいと思います。
 昨年3月11日の大震災の影響で、千葉県市原市にあるコスモ石油千葉製油所で、LPGガスのタンクが次々に炎上して爆発をいたしました。大型タンクの火災としては過去最大のものと聞いております。
 この災害について、消防庁を所管する川端大臣の所感をまずお聞かせいただきたいと思います。
○川端総務大臣 御指摘のように、東北から関東にかけて複数の石油コンビナート等の特別防災区域で、製油所の事故が発生をいたしました。
 今後、東海地震、東南海地震などの大地震の発生も予測されているところでありますので、この震災の被害状況を踏まえて、石油コンビナートにおける防災対策は喫緊の課題だというふうに認識しております。
 なお、個人的な話でありますが、私、大学でこういう化学プラントを設計するところのエンジニアとして勉強いたしました。私の同級生が一番事故を起こしたタンクの設計者でありまして、実は、定期検査で水張りをしたということで、普通の想定をはるかに上回る重量になっていた部分で地震で耐えられずに倒れて、それが次々と将棋倒しみたいになったということで、本人も相当ショックを受けておりましたが、やはり、想定外という言葉が一時期出ましたけれども、本当に思ってもいないようなことが起こったということは大きな教訓だというふうに私自身も思っております。
○佐々木(憲)分科員 この経過については、今大臣がおっしゃったように、水の入ったタンク、その筋交いが破断をして、その直後の余震がありまして、それでタンクの支柱が座屈して倒れた。そのとき、隣のLPガスの配管を壊した。そのためにLPガスが大量に漏えいして、そこから出火したんですね。それで隣接のタンクが火災になり、その影響でタンクの中の圧力が高まって、その直後に連続して爆発が発生をし、火の海になった、こういうことであります。球形タンク17基が全焼、全損。延々と燃え続けて、鎮火するまで10日間かかったというんですね。
 コンビナート災害の場合、このように連鎖的、複合的な独特の危険性があるというふうに思いますが、大臣、そういう認識はお持ちでしょうか。
○川端総務大臣 冒頭申し上げましたように、本来の設計で想定していなかったような、本当に短い期間のところにたまたま当たったということでありますが、起こってしまうとやはり非常に連鎖的に、周りじゅう、ある意味で危険物の塊でありますので、そういう部分では、御指摘のようなことはそのとおりだというふうに思います。
○佐々木(憲)分科員 コンビナート災害の場合、同時多発の危険性がある。しかも、石油、高圧ガス、毒物、放射性物質、多種多様な危険物が貯蔵されているわけであります。したがって、対策は総合的なものでなければならないと思うんですね。ところが、実際には、行政は余りにも細かい縦割りになっておりまして、十分な対応ができていないのではないかというふうに思うんです。
 私が挙げた危険物の中で、消防法に基づいて消防庁が管轄しているのはどの部分でしょうか。
○原政府参考人(消防庁次長) 今挙げられた危険物の中で私ども消防庁が所管しておりますのは、石油に関する部分でございます。
○佐々木(憲)分科員 石油に関するものですね。ですから、石油、原油、灯油、ナフサ、ガソリン、こういうものですね。
 それでは、LPGとかLNG、高圧ガス、毒物、劇物、放射性物質、これはそれぞれどこに所管があるんでしょうか。
○原政府参考人 まず、高圧ガスや液化石油ガスにつきましては経済産業省です。それから、毒物、劇物につきましては厚生労働省、放射性物質の貯蔵取扱施設の届け出につきましては文部科学省です。
○佐々木(憲)分科員 お聞きのように、これはばらばらなんですよね。
 そのために、例えば地元の方々がコンビナート防災について政府に要請に行く。そうしますと、ある省庁に行きますと、いや、うちは所管はここだから、それ以外のことは別なところに行ってやってくれ、こういう話になるわけです。これでは、複合的な大災害に的確に対応できないんじゃないかという疑問が生じるわけです。
 消防庁も大変苦労をされていると思うんですけれども、月刊消防という雑誌の昨年の7月号、この中で、昨年3月のLPGタンクの大災害のときに市原市消防局がどのような消火活動をしたか、当事者のインタビューが載っております。
 それを見ますと、消火活動をしていく中で難しかったことは何でしょうかという問いがありまして、こう答えているんです。
 「今回爆発したLPGは高圧ガス保安法で規制されており、消防法で規制されている危険物ではありません。タンクの設置状況、構造について現状を十分把握ができていなかったため、初期の対応に苦慮しました。また、計六回の爆発や火勢が強かったことから陸上の資機材を使用できなかったことで、タンクの冷却を海上からの注水に頼ったことは想定外であり、難しかった」、こういうふうに言っているんですね。これは実感だと私は思います。
 総務大臣、コンビナート防災は消防庁だけでは十分な対応ができないということをこれは示していると思うんですけれども、どうでしょうか。
○川端総務大臣 それぞれの物質に関して所管が違うという事態になっている部分は事実でありますから、コンビナート防災ということで、先ほどお示しになったように、複合的にという部分でいうとやはり少し問題があるという指摘は、そういう部分は間違いなくあるというふうに思います。
○佐々木(憲)分科員 総務省は、地震・津波対策のあり方という文書で、地震対策でいうと、例えば、甚大な被害をもたらす地震のために、応急措置または代替措置により、機能を速やかに回復ができるように計画を策定するとしております。
 それから、石油コンビナート等災害防止法の中では、石油、高圧ガスを取り扱う特定事業者に対して、防災区域内の災害の発生及び拡大の防止に関し、他の事業者と協力して、防災要員の配置や防災資機材の配備を義務づけているわけであります。
 この場合、計画を策定するとか、それから義務づけるというわけですけれども、これは一体誰が計画を策定し、誰が義務を負うんでしょうか。
○原政府参考人 石油コンビナート法に基づきます作成主体としては、当該特別防災区域ということになりますが、それぞれ事業者がいるわけで、その事業者同士で話し合い、その事業者で決めていく、それについて私ども消防も含め見ていくということになります。
○佐々木(憲)分科員 これは、大臣、事業者同士で計画を策定する、こういうことになっているんですね。
 そうすると、何か、計画を策定するというふうに言いますと、全体の防災計画を策定するように、自治体も国もかんでやっているように見えますけれども、実際上は、震災で発生することが想定されるコンビナート災害というのは、そのコンビナートにある事業者に計画をつくらせる、あるいは、自治体と協力をしながらその義務を負う、こういう形になっておりまして、悪い言葉で言えば、丸投げしているようなものなんですよ。これでは、コンビナート災害から、労働者はもちろんだけれども、地域住民の安全も、なかなか全体として守ることはできないんじゃないか。
 月刊消防2011年7月号によりますと、今後どうしていけばよいでしょうかという問いがありまして、消火活動に当たった方がこう答えているんです。
 「今回の火災がどのような経過で拡大したのか早期に原因を究明し、再発防止に努め、隊員の安全確保を行ううえでも、関係機関及び事業所、自衛防災組織と連携し、初期対応訓練を行っていく必要があります。具体的にはLPGに関する知識を身につけておくこと、」こういうふうに率直に語っておられるわけです。
 何が問題かといいますと、一つは、縦割り行政の弊害がある。もう一つは、市町村の消防あるいは事業所だけでは、こういう複雑な災害には的確に対応できないということだと思うんです。
 そこで、総務大臣、国がもっと前面に出て総合的な対策を早くつくる、このことが私はどうしても今求められていると思いますが、大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○川端総務大臣 私も若いころに勤めていたときに、コンビナートにかかわる部署にも、直接ではないですが、いたこともありますが、最近も含めて、基本的に、企業間の連携というのは相当進んでいることは事実だというふうに思います。特に最近は、電力やオイルを含めた部分、防災だけではなくて、そういうものをある種共同化して、より効率的な省エネを図ろうというふうなことも含めて、横の連携は、企業間で、コンビナートの中では、いろいろな協議会も含めて熱心にやっておられることは相当進んでいるというふうには思っております。
 ただ、御指摘のように、地元の市町村との連携、消防との連携も、やっておられるとは思うんですけれども、こういうふうに広範な部分で縦割り行政との部分をどうクリアするかということは、課題もいろいろあるんだと思いますので、これは大きな検討する事項ではあるというふうには思っております。
○佐々木(憲)分科員 この際、全国の石油コンビナートを中心に、特に太平洋ベルト地帯、これから東海・東南海・南海地震の三連動とも言われているような、そういう危険なことが予想されておりますから、早急に現状について総点検を行うということをぜひ要望しておきたいと思います。
 次に、液状化の問題、それから津波対策の問題があります。
 これも抜本的に見直す必要があると思うんですが、災害防止法では範囲が狭過ぎるんじゃないかと思うんですね。液状化対策などの防災対策が不十分だというふうに思います。
 国交省にお聞きをしますけれども、愛知県名古屋港の入り口にある一画が石油コンビナート等特別防災区域に指定されております。東海、東南海の二連動地震など大規模震災の際に、この地域の液状化等はどのように想定されているか、御紹介をいただきたいと思います。
○福田政府参考人(国土交通省大臣官房技術参事官) 中部地方整備局の方で、これまでに、東海、東南海の二連動及び東海、東南海、南海の三連動地震の際の名古屋港外港地区防波堤の液状化による沈下量がどの程度あるかということを試算いたしておりまして、それによりますと、約2・7メートルから3・5メートルというような結果が得られております。
○佐々木(憲)分科員 これは沈下の状況ですね。流動化、この点についてはどうですか。
○福田政府参考人 名古屋港の外港地区の防波堤については、液状化によって防波堤が全体的にどのように下に沈んでいくのかという、沈下の現象を計算によって再現をして、それを試算したものであります。
○佐々木(憲)分科員 液状化によって著しい沈下が起こるということで、今言われたような2・7メートルあるいは3・5メートル、相当な沈下が起こるというふうに予想がされているわけです。
 この液状化が引き起こす側方流動というのがある。地盤が水平に移動する、こういう現象もあります。その危険性について、国交省関東地方整備局は2年前に報告書を出していると思います。臨海部の地震被災影響検討委員会報告書というものだと思いますが、そこではどのような指摘がなされているでしょうか。
○福田政府参考人 平成19年度から20年度に、関東地方整備局が設置をしました臨海部の地震被災影響検討委員会におきまして、東京湾の埋立護岸の一つについて、首都直下地震による変位量を試算しておりまして、最大で護岸が九メーター程度水平方向に変位をするという結果が得られております。
 この試算結果につきましては、現在、東日本大震災における地盤の変位の状況等を踏まえることなどによりまして、さらなる検討を行っているところであります。
○佐々木(憲)分科員 総務大臣、お聞きになりましたように、液状化で側方流動というのが起こって、今想定されているのは九メートル以上ということなんですが、もっと深刻な事態が起こる可能性を今国交省としては検討しているということなんです。
 震災が起こった場合に、単に地震が発生して、それによってタンクが壊れるというだけではなくて、液状化それから地盤沈下、津波が襲ってくる、こういうことが想定されるわけです。大変な事態になることが予想されます。
 これから東海・東南海地震が起きるということが想定されていますから、例えば名古屋港を取り巻く臨海工業地帯の場合、石油タンク群がありますけれども、これは1960年代に建設されたものが多いんですね。建設後40年とか50年近くたっているんですよ。ですから、かなり老朽化しておりまして、壊れやすい。
 消防庁にお聞きしますけれども、現行の法律で、石油コンビナート等災害防止法がありますけれども、災害が発生した場合に通報を義務づけている異常現象、これはどう規定されているんでしょうか。液状化現象については書かれていないんですけれども、通報を義務づける対象となっていないんでしょうか、お答えいただきたい。
○原政府参考人 まず、前段の側方流動に関してでございますけれども、消防法の中で、大規模な石油タンクの地盤につきましては液状化を防止する技術基準が定められておりまして、液状化しにくい地盤となっています。先ほどの関東地方整備局が行いました想定では、このタンクの地盤が液状化しにくいという実態を考慮しないで、全ての地盤が液状化するという仮定で評価を行っております。
 そこで、私どもとしては、国交省とともに、そういうふうな前提が、何がより実態に近いのか、そのあたりをきちんと協議していきたいと考えております。
 そして、今お尋ねの、通報義務の中には液状化現象も含まれるのかというお話でございます。
 石油コンビナート法の23条で、出火、石油等の漏えいその他の異常な現象が発生した場合には、直ちに消防機関等に通報しなければならないとされております。この趣旨は、事業者に通報義務を課すことによりまして、迅速かつ的確な災害応急措置の実施を確保しようとするものであります。
 異常現象に該当する事象については通知で示しておりますが、液状化現象については明示されていないところでございまして、私どもとして、液状化現象のうち、出火や危険物の漏えい等のおそれがあるものにつきましては、法律の趣旨から、通報の対象になるのではないかと考えております。
○佐々木(憲)分科員 今何か、地盤がかたいとか言っていましたけれども、これは最大限被害を想定するというのが一番肝心なことであって、こちらは大丈夫だろう、国交省がやっているのは全部動いた結果そうなったのであって、実際にはそうならないんだよという、こんな甘い考えじゃ、ちょっとまずいんじゃないでしょうかね。
 それから、今の御答弁ですと、火災や漏えいにつながる緊急性のあるものとして液状化現象も通報の対象としたいという、つまり、所管の範囲の中におさまるものは通報しますよと。
 それで、液状化そのものについては通報しないんでしょうか。
○原政府参考人 法律の趣旨として、迅速かつ的確な災害応急措置の実施を得ようというものでこの通報義務が課せられておるというふうに理解しておるものですから、液状化現象そのものでは果たしてここまで危険があるかどうかということで、そこまでは必要ないんではないかと考えております。
 ただ、ほかの、報告義務をほかに課すという手だてはございますので、そこで報告を求めるというのは可能かと思います。
○佐々木(憲)分科員 何か縦割りを絵に描いたような答弁でね。
 自治体からいろいろな意見書が出ているでしょう。石油コンビナートにおける液状化を想定した耐震対策の強化を求める意見書というのがありますけれども、例えばその中で、液状化現象を石油コンビナート等災害防止法の規定による異常現象の通報及び災害応急措置の概要等の報告義務の対象とすること、こういう要望が出されているんです。
 ですから、液状化現象を、それがあってもほかの、守備範囲の中に入らないものは報告の対象外であるかのようなことではなくて、液状化現象が起こるというのは大変なことなんですから、大臣、これは、当然こういうものも含めて報告義務の対象とする、これはもう当然だと思うんですよ。いかがですか。
○川端総務大臣 私、二つの見方があるんだと思うんです。
 一つは、地盤を強化しているというのを、そんないいかげんなことではという御指摘でありましたけれども、現に液状化はいろいろなところで起こりました。ただ、コンビナートのタンク等々の基準でいうと、タンク等が液状化で危険にさらされたという事象は、現象としては起こっていないということであります。
 地盤強化するという部分で、例えば、これはちょっと報道ベースで、詳しく技術的には知りませんが、ディズニーランドなんかは地盤強化を相当していたので液状化の被害を受けなかったというふうなことで、液状化に対しての対処の方法という技術的な問題をクリアするというのは一つの攻め口としてあるというふうに思います。
 もう一つは、液状化が起こったときに通報義務という部分は、液状化というのを何をもって判断するのか。例えば、大雨でも洪水で被害が出ることもありますが、被害が出ないこともあるということで、実際にはやはり災害が起こる予兆といいますか、そういう事象が起これば、液状化であろうが、地震であろうが、大雨であろうが、何であろうが、その部分は必ず通報しなければならないということで縛ることも、やり方としてはあるのではないかと私自身は思っております。
○佐々木(憲)分科員 自治体の側からの要望が出されておりまして、液状化現象というのはいろいろな危険なことにつながる前提といいますか、そういうことになり得るので、これは徹底して異常現象の一つとして、発生した場合には可能な限り通報してもらう。実際にどういうふうにつながっていくか、何が起きてくるかはわかりませんので、そういうふうにしていただきたいと思いますが、いかがですか。
○川端総務大臣 まさに、何が起こるかわからないという意味では、液状化が起こったときの現象の発現によっては出火や危険物の漏えい等が起こり得るということですから、物差しとしては、液状化ということだけではなくて、その結果としての部分で、起こり得るという部分の感度は相当、今まで以上に持たないといけないというのは事実だというふうに思います。
 その部分では、今まで、液状化のときということに基づいてということがはっきりとは明示されていませんから、液状化に伴ってこういうおそれがあるときは通報しなさいということを明示することは、私は必要だというふうに思っています。
○佐々木(憲)分科員 では次に、規模が大きな災害に対応して大容量泡放射システムというのがありますね。自衛防災組織の一環としてこういうものがあるわけですけれども、これは2台セットでなければ機能しないというふうにも言われております。全国に12ブロックあるということで、実際に活用されたのは仙台と市原の2カ所だったそうです。
 昨年12月に消防庁が出した報告書で、東日本大震災を踏まえた危険物施設等の地震・津波対策のあり方に係る検討報告書というのがありまして、これによりますと、大容量泡放射システムの活動について、幾つかの問題点、検討課題を挙げております。
 例えば、ガス爆発に対応できなかったとか、通信手段の確保ができなかった、それから運搬車両が救援物資輸送のために不足して確保できなかった、渋滞や津波の影響で迂回したためおくれた、こういうことが指摘されているわけであります。
 そこで、時間がありませんからお聞きしますけれども、名古屋の場合は大容量泡放射システムというのがありません。四日市に、一番近いところに設置されております。しかし、大震災が発生したら四日市コンビナート自体がまず大変ですから、名古屋港は余りにも遠くてとても間に合わないという状況にあります。
 昨年12月の消防庁の報告書に基づいて、少なくとも体制を抜本的に強化することが必要ではないかというふうに思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○川端総務大臣 この大容量泡放射システムが有効というか、どうしても必要なのは、浮き屋根式屋外貯蔵タンクの現象だというふうに聞いております。
 これは、いろいろ技術的な専門家の調査も含めて、出火して8時間以内に対応しないと、10時間を超えると非常に危険な状態になるということでありますので、今回の教訓として通信の問題、道路の問題等々ありましたので、迂回路を含めた複数路線の検討とか整備とかいうことをしっかりするということで、名古屋の場合には四日市からということですが、8時間であれば今のところ行けるという設定になっております。
 言われたように、逆に言えば、三重県と愛知県は近いんですね。だから、四日市と名古屋の臨海部分が同時に起こったときにということもあるんだと思います。
 この浮き屋根式屋外貯蔵タンク自身がどれぐらいの分布になっているのか、私、ちょっと今のところ詳細を承知していませんが、いずれにしても、今回の教訓を踏まえて、全国の浮き屋根式屋外貯蔵タンクの防災体制が大容量泡放射システムで万全かどうか、万全を期すように対応することはしっかり検討しなければいけないと思っています。
○佐々木(憲)分科員 時間が参りましたので終わります。ありがとうございました。

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