2011年12月06日 第179回 臨時国会 議院運営委員会 【649】 - 発言
原子力協定が衆院通過 「危険な原発輸出 許されない」
2011年12月6日、ヨルダン、ロシア、韓国、ベトナムへの原発輸出を進めるための原子力4協定承認案が、衆院本会議で、民主・自民などの賛成で可決し、参院に送付されました。
日本共産党は、「危険な原発を輸出することは到底許されない」と反対。議院運営委員会で4協定の本会議上程を無期限延期する動議を提出しました。公明、みんな、社民も協定に反対しました。
本会議に先立つ議院運営委員会で、佐々木憲昭議員は、「原発は核分裂を制御する技術が未確立であり、核エネルギーの暴走を止めることができないことは福島原発事故で示された」「重大事故が発生し、大量の放射性物質が外部に放出されればそれを抑える手段は存在せず、被害は地域、国境を越え、子々孫々にまで被ばくに苦しむ人々をつくることになる」と指摘しました。
その上で、福島原発事故の原因を究明する事故調査委員会の設置を決め、まさにこれから調査を行おうとしているときに、「なぜ危険な原発を輸出する協定を本会議の議題としなければならないのか。許されるものではない」と表明しました。
4協定は、同日の参院外交防衛委員会で、玄葉光一郎外相による趣旨説明が行われました。民主、自民両党は今国会での協定承認をねらっています。
議事録
○小平委員長 この際、本日の議事日程第一ないし第四について発言を求められておりますので、順次これを許します。佐々木憲昭君。
○佐々木(憲)委員 本日の議事日程第一ないし第四を無期限に延期すべしとの動議を提出いたします。
日本と、ロシア、韓国、ベトナム、ヨルダンとの間の原子力四協定は、各国が進める原発計画に日本企業が参入し、原子力関連資機材や技術の移転など、我が国企業の原子力ビジネスの展開を可能とするための法的枠組みを整備するものとしております。
しかし、現在の原発においては、核分裂を制御する技術は未確立であり、核エネルギーの暴走をとめることはできません。さきの東日本大震災における東京電力福島第一原子力発電所の事故で、そのことが示されたのであります。
一たび重大事故が発生し、大量の放射性物質が外部に放出されれば、もはやそれを抑える有効な手段すら存在しません。被害は、地域や国境を越え、また、世代を超え、子々孫々に及ぶ長い時間、放射能被害、すなわち被曝に苦しむ人々をつくり出すことになるのであります。
現に福島県では、いまだに避難者が15万人を超え、5万8千人が県外に避難し、自治体として存続の危機にさらされている市町村もあります。除染や賠償も進んでおらず、いまだ、故郷に戻れる展望も開けていないのであります。
だからこそ、この議院運営委員会で、東電福島第一原発の事故原因を徹底的に究明するため、原発事故調査委員会の設置を決め、さきの衆参の本会議で委員を選び、まさにこれから徹底した調査を行おうとしているのであります。このようなときに、なぜ危険な原発を輸出しなければならないのでしょうか。到底許されるものではありません。
原子力四協定は、本会議の議題とすることを無期限に延期すべきであります。
以上です。
○小平委員長 服部良一君。
○服部委員 同じく、本日の議事日程第一ないし第四を無期限に延期すべきとの動議を提出いたします。
その理由を、以下、申し述べます。
ロシア、韓国、ベトナム及びヨルダンとの原子力協定については、全くもって審議不十分であり、そもそも撤回すべきと考えます。
日本は、福島第一原発事故を引き起こし、原発がいかに甚大な被害をもたらすか、身をもって経験しました。原発は、数千億円もの投資を必要としますが、一たび事故が起きれば、何兆円、何十兆円もの損害をもたらします。そもそも、人の命や健康、そして豊かな生態系が放射能で破壊されるということの重さは、とてもお金で換算できません。
事故はまだ収束していません。生活の再建、環境の回復には長い年月を要します。もちろん、事故の原因究明、検証は終わっていません。3・11前の前提は覆され、安全指針や防災指針などは見直しの最中です。地震、津波の想定や発電コストも、改めて検証されているところです。
それなのに、なぜ、最高水準の安全性を提供するなどと言えるのでしょうか。諸外国との信頼関係を言うのであれば、3・11前の計画をそのまま進めていいのですかと問いかけることこそ、誠実な態度ではないですか。そもそも、エネルギー・環境会議を中心に、白紙からエネルギー政策の見直しをしているところではないですか。原発輸出だけは別というのは、論理が破綻しています。
外務委員会での審議で問題の一端が明らかとなりましたが、ヨルダンの計画は、内陸部の砂漠という世界にほとんど例のない立地条件であり、冷却水の確保など大きなリスクがあります。ベトナムの建設予定地は、貴重な生態系を擁する国立公園に隣接しており、環境影響が強く懸念されます。国内では脱原発依存、世界では推進というのは、甚だしい矛盾です。
通常国会で、ヨルダン原発建設計画の大きなリスクが明らかになり、採決が見送りになった事情にかんがみると、わずか3時間の一括審議で、何ら疑問が解消しないままに採決に至ったことは、暴挙と言わざるを得ません。
先週金曜日の本会議で国会事故調査委員会の委員が任命され、国会においても、ようやく事故検証が始まります。なぜ、今、原子力協定を承認しようとするのでしょうか。
以上、無期限延期動議を提出する理由です。委員各位の賢明な御判断をお願い申し上げます。
○小平委員長 それでは、佐々木憲昭君及び服部良一君の動議に賛成の諸君の挙手を求めます。
〔賛成者挙手〕
○小平委員長 挙手少数。よって、佐々木憲昭君及び服部良一君提出の動議は否決されました。