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その他 (関税・EPA(経済連携協定)・TPP)

2011年11月10日 第179回 臨時国会 議院運営委員会 【637】 - 発言

TPP決議案の本会議採決は、全会一致で行うべきだと主張

 2011年11月10日、衆議院議院運営委員会理事会で、野田首相によるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議での環太平洋連携協定(TPP)交渉参加表明に反対する決議案の扱いについて協議しました。
 決議案は、自民、公明などの議員が提出したものです。

 理事会に出席した佐々木憲昭議員は「日本共産党はTPP交渉参加に絶対反対であり、決議案の内容自体には賛成だ」とのべました。
 そのうえで、「国会決議は本来、ほんらい全会一致で行われるべきものだ。そのためには、各党間で案文についてすりあわせをおこない、一致をめざすべきだ。しかも、各党の党内手続きが必要なのに、いきなり提出して採決にかけるやり方は問題だ」とのべました。
 さらに「全会一致で可決してこそ、政府に有効な縛りをかけることができる。その見通しもないなかで、本日の議題にすることは賛成できない」と主張しました。
 否決される見込みが強いなかで、本会議の議題とし、否決されれば結果として「TPP参加」が立法府の意思となってしまうからでもあります。

 一方、民主党は「なぜ、APECの場で参加表明するのか疑問がある」といいながら、慎重に判断すべきだとした同党提言の趣旨とは異なるとして、本会議の議題とすることに反対しました。

 その後開かれた、議院運営委員会では各党からの意見表明が行われ、採決した結果、本会議の議題にすることは見送られました。

議事録

○小平委員長 次に、決議案の取扱いに関する件についてでありますが、本日、小野寺五典君外17名から、自由民主党・無所属の会、公明党、社会民主党・市民連合、国民新党・新党日本、国益と国民の生活を守る会の五会派及び無所属の松木けんこう君の共同提案によるAPECの場での「TPP交渉協議への参加表明」に反対する決議案が提出されました。
 この際、高木毅君から発言を求められておりますので、これを許します。高木毅君。
○高木(毅)委員 今、委員長からも御発言がございましたが、本決議案につきましては、自民、公明、社民、国民新党、国益と国民の生活を守る会、そして無所属の松木君を含めて、そろって共同提出しているわけでございまして、大変重いものだというふうに思います。
 また、あわせて、有志議員による署名というものも行われておりますけれども、聞くところによりますと、この署名が議員の過半数を超えているというようなことも聞いているわけでございまして、これも非常に重いものだというふうに思います。
 よって、本決議案をぜひとも本会議にかけていただいて、速やかに可決していただきたい、そのように望むところでございます。
 よろしくお願いいたします。
○小平委員長 松野頼久君。
○松野(頼)委員 私は、APECの場での「TPP交渉協議への参加表明」に反対する決議案を本会議に上程することについて、反対の立場で意見を申し述べます。
 今週末のAPEC首脳会議を控え、現在、TPPをめぐる議論で国論が二分しています。
 我が国がTPPに参加した場合、農業を初めとして、医療や金融などさまざまな分野で重大な問題が発生することは明らかでありますが、政府の情報開示が十分とは言えないこともあり、論議が尽くされたとは言えない状況にあります。多くの国民が抱いている不安材料にどう対応するのか、引き続き政府はしっかりと国民に説明する責任があります。
 また、APEC加盟国とTPP加盟国が異なる中で、なぜAPECの場で参加を表明するのかも、甚だ疑問があります。
 我が党は、昨日、政府に対して、慎重に判断するべきという提言を取りまとめました。本決議案がそのような趣旨であれば賛同することも可能であったのですが、その点については残念であります。
 しかしながら、日本国憲法第73条により、外交は内閣の専権事項とされており、立法府が内閣の専権事項である外交権を事前に制約することは避けるべきだと考えます。
 以上のとおり、本決議案は本会議への上程を見合わせるべきと申し上げ、私の意見表明といたします。
○小平委員長 遠藤乙彦君。
○遠藤(乙)委員 公明党といたしまして、本決議案をぜひとも本会議に上程し、採決していただきたいと思っております。
 このTPPの問題は、極めて重大な問題であり、しかも、いまだに十分議論が尽くされたとは言えません。特に、情報提供が極めて不十分であり、TPPが産業や国民生活全体に与えるメリット、デメリットについて、ほとんど十分な情報が得られておりません。
 つい最近行われました世論調査によりましても、国民として政府が十分説明責任を果たしているという意見は1・1%しかありません。ある程度果たしているという意見を含めましても18%しかない状態でありまして、こういった状況におきまして参加を表明することは、極めて時期尚早であると考えております。
 また、各党においてもまだ十分な議論がまとまっておりませんし、そういった状況において参加を表明することは国益にも反するであろうと思いまして、ぜひとも、そういった意味でこの決議を採決していただきたいと思います。
 以上です。
○小平委員長 佐々木憲昭君。
○佐々木(憲)委員 提案されたAPECの場での「TPP交渉協議への参加表明」に反対する決議案を本会議の議題とすることについて、意見を述べたいと思います。
 私どもはきょうの理事会で初めて案文を見たのでありますが、決議案は、内容上は賛同できるものであります。
 日本共産党は、日本がTPPに参加すれば、被災地の復興の最大の妨げとなり、食料の安定供給を土台から壊し、食の安全や医療など、米国の対日要求が押しつけられ、雇用と内需、日本経済全体への深刻な打撃となると考えております。
 したがって、TPPへの参加自体に、日本共産党は断固反対であります。
 その上で、本来、国会決議は全会派一致で行うべきものであります。そのため、各党が案文について事前にすり合わせを行い、また、各党の党内手続を経て本会議での議題とすべきであります。全会一致を目指し、それが実現してこそ、立法府としての院の総意となり、政府への有効な縛りとなるのであります。
 その点から見て、今回の決議案は本会議の議題とすべきではないと考えております。
○小平委員長 服部良一君。
○服部委員 私は、社会民主党・市民連合を代表して、本決議案を本会議の議題とすることに賛成する立場から討論を行います。
 TPPをめぐっては、国論を二分する状態となっております。それ以前に、TPPが何なのかよくわからないというのが多くの国民の実感です。実際、TPP交渉に関する情報開示が余りに不十分であることが、この間、明らかになってまいりました。
 十分な情報に基づく熟議がなされていないまま、そして、国会議員、野党のみならず与党内にも多くの慎重意見がある中で、野田総理がAPECでTPP交渉協議への参加表明をするのは問題です。日本の経済、社会、国民生活の行方を大きく左右するのがTPPであり、交渉から途中離脱することは、理論的に可能であっても、外交上困難です。
 よって、交渉参加表明をするか否かは、極めて重大な決断となります。その決断に先立ち、立法府としてその意思を表明することは当然のことです。
 よって、私は、この決議案を本会議の議題とすることを強く求め、賛成討論といたします。
○小平委員長 それでは、本決議案は、本日の本会議において議題とするに賛成の諸君の挙手を求めます。
    〔賛成者挙手〕
○小平委員長 挙手少数。よって、本決議案は、本日の本会議において議題としないことに決定いたしました。

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