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税制(庶民増税・徴税) (大企業減税, 連結納税制度, 災害支援)

2011年07月29日 第177回 通常国会 財務金融委員会 【626】 - 質問

大企業に6300億円減税 連結納税やめ復興に

 2011年7月29日、財務金融委員会で、佐々木憲昭議員は、大企業が「連結納税制度」によって優遇されている実態を示し、復興財源では庶民増税でなく大企業に応分の負担をさせるよう求めました。
 連結納税制度は法人税(国税)課税でグループ内の企業の赤字を合算し、税額を減らす制度です。
 佐々木議員は、2009年事業年度の減税額が6300億円に上ることを明らかにしました。
 約300万社の法人のうち7700社の企業が対象で、わずか841の連結法人でばく大な減税を受けています。
 財務省の古谷一之主税局長は、2兆1011億円の所得の30%が軽減されており、佐々木議員の指摘通りだと認めました。
 佐々木議員は、復興財源について「負担能力のあるところに負担を求めるべきであり、庶民増税でなく、黒字の大企業にも一定の負担を求めるべきだ」と強調しました。
 さらに、国税庁が毎年公表していた連結納税の状況が昨年10月発表から除かれていることを指摘しました。
 「これでは、どれだけ減税されているか分からない。透明性の確保のために国民に見えるようにすることが必要だ」と述べて公表を求めました。
 野田佳彦財務大臣は「10月の発表の際には、指摘を踏まえて適切に対応したい」と述べました。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 公債特例の審議に入っているわけですけれども、なぜこの法案の審議の再開が行われているかといいますと、自民、民主、公明の三党の実務者の間で一定の合意があった、こういうことなので審議を進めたいということで進んでいるということらしいですね。
 そこで、その合意というのはどういう内容なのか、まずポイントを説明していただきたいと思います。
○野田財務大臣 7月27日の三党の実務者協議におきまして、我が党から、ゼロから2歳1・5万円、3歳から小学生まで1万円、このうち第三子以降1・5万円、中学生1万円、所得制限世帯については、所得控除の廃止による減収に対する必要な税制上、財政上の措置を検討する、こうした内容を盛り込んだ見直し案を提示させていただきました。
 合意に至ったかというと、必ずしもちょっと、それぞれの実務者のコメントが違うんですが、すり合わせは終わった、すり合わせをしたということでございまして、先ほど申し上げたとおり、この後は、政治判断も含むレベルになってくるということで、政調会長クラスの協議が始まるものというふうに認識をしています。
○佐々木(憲)委員 城島さんの発言によると、実務者のすり合わせの合意内容だ、そんな発言をしておりますので、合意したのかなと思ったんです。
 それで、今回は、所得制限について、その前は1千万円だったんですが、さらに下げて860万円、こういうふうにされているようであります。児童手当並みの数字になったということなんですね。2週間前には1800万円だったのが、どんどん下がっていってそうなったと。
 この860万という数字は、民主党の側から提案した数字なのか、それとも自民党、公明党の側から提案されたものなのか、どちらでしょうか。
○野田財務大臣 860万円については、民主党の側から見直し案として提示をしたというふうに聞いております。
○佐々木(憲)委員 それで、所得制限の対象になる世帯、その前の段階では9千円の一律配分という話でありましたが、これは同じなんでしょうか。もうなくなったんでしょうか。
○野田財務大臣 民主党で提示をした具体案の中には、所得制限世帯における所得税及び住民税の扶養控除、所得控除の廃止による減収に対する必要な税制上、財政上の措置を検討し、平成24年度から所要の措置を講じるものとする、なお、当該措置は、所得税率20%の者に係る従前の所得税、住民税の扶養控除による軽減額相当額を目途とするという表現で出てきております。
○佐々木(憲)委員 要するに、増税分を解消する、そういう水準で手当てする、こういうことですね。
○野田財務大臣 そういうことでございます。
○佐々木(憲)委員 それは、配分によって解消するというようなことなのか、増税分を減税することによって解消するのか、どちらでしょうか。
○野田財務大臣 それは、今後の検討ということだと承知をしています。
○佐々木(憲)委員 これは、どちらをとるかによって、この制度の性格が変わってくるということだと私は理解しております。手当の延長線上でこの増税分の解消というものを配分するとしますと、それは子ども手当の理念の範囲内におさまる。しかし、その増税分を減税によって解消する、こういうことになりますと、この分は子ども手当から離れて児童手当に近いものになる。
 ですから、ここは玉虫色になっているのではないかと思うんですが、五十嵐副大臣、どう思いますか。
○五十嵐財務副大臣 一部分、おっしゃるとおりだと思います。所得の高い層だけ減税するという話になりますので、全体的な制度設計が変わってくる、そう思います。
○佐々木(憲)委員 ですから、まだこれは合意といっても固まってはいない、先ほどすり合わせをしたものであると言われたのは、そういうことだろうというふうに理解をしたわけであります。
 そうしますと、これをこれから政調レベルに引き上げて、その段階でさらに合意するのかしないのか、どういう中身にするのか詰める、そういうことになると思うわけです。
 石破政調会長は、報道によりますと、合意という報告は受けていないということで、所得制限も高いという発言をされている。それから、公明党の幹部も、実務者案で最終合意しないだろうと言っているわけですね。
 したがって、今回の三党の実務者のすり合わせの内容というものは、そこの中身が固まってきちっと整理されたわけでもない。それを政調レベルでもこれからの検討ということですから、合意されるかどうなのかということがまだはっきりしない。三党の間の、最終的には幹事長レベルになるんでしょうか、そういうところにも行くかどうか、それもまだわからない。そういうレベルのものだという理解でよろしいですね。
○野田財務大臣 協議内容は先ほど申し上げたとおりで、それがいわゆる実務者間の合意という言葉でいいのかというと、先ほどの、我が党でいえば、城島さんの言葉をかりれば、すり合わせということだったというふうに思います。
 そのすり合わせの段階から、一定程度政治判断が求められる段階になってまいりますので、基本的にはその上、やはり政調会長レベルの御議論、御協議がこれから実務者レベルの議論をベースにしながら行われるだろうというふうには認識をしております。
○佐々木(憲)委員 私は、今の協議の中身を聞いて、あるいは報道を見ておりますと、これは民主党自身の掲げてきたものの魂がどんどん抜けていって、何かもぬけの殻になってきているんじゃないかな、こういう感じを持っているわけです。
 これは公債特例との関連で取引が行われているということだと思うので、私は、本来国民に対する約束というものはそう簡単に、何かを通すためにこの中身を全く換骨奪胎するようなやり方というのは果たしてどうなのかなと。それは、自分の党ではありませんので、民主党の話ですから、民主党自身の判断だろうと思いますし、民主党の中でもいろいろな議論があるんじゃないか、そういうふうに思っております。そう簡単ではないというふうに思います。
 私は、国民の利益をまず第一にというなら、そこから出発した政策的なすり合わせというものが行われるべきだ、こういうふうに感じております。
 次に、復興財源の問題ですけれども、今、法人税と所得税というのが対象になるという報道がされておりますけれども、場合によっては、たばこ税ですとか酒税ですとか、そういうようなものも対象になると。何かおやじ狩り増税じゃないかという話まである、そんなことをやゆされているような事態でもありますが、これはどういう内容を今検討対象にされているんでしょうか。
○野田財務大臣 復興基本法において、復興債の発行については、あらかじめその償還の道筋を明らかにする旨を規定しております。
 これを踏まえて、復興の基本方針を策定する中で、復興財源のあり方についても検討しておりますけれども、復興財源はいろいろな御議論がありますが、具体的な税目の話を今やっているということはありません。報道ではいろいろな税目が出てきていますが、具体的な税目をどうするという話までは行っていません。
 もし復興財源に臨時の税制上の措置をとるということならば、それは政府税調で議論をすることになりますし、そのときからその本格的な税目の議論になりますが、現段階で何かを見定めてやっているということはありません。
○佐々木(憲)委員 私は、税目を検討する場合には、負担能力のあるところにきちっと負担をしてもらうという角度でやらなければならないというふうに考えておりまして、例えば法人税の増税というようなことを検討されているようですけれども、これは大手企業の利益に対して、黒字の企業に一定の負担を求めるというのは当然あっていいと思うんですよ。それから、これは延長しましたけれども、証券優遇税制はもうやめて、もとに戻して、きちんと払ってもらうというようなこと、庶民負担にできるだけさせないような、つまり現地の被災者に負担を負わせるような形での増税ではなくて、別なやり方を考えなければならない、こういうふうに思っております。
 それで、連結納税制度の話ですけれども、実は、大企業に対するいろいろな減税措置の中に連結納税制度というのがあります。これはグループをつくっている大手企業の中で、その個別企業の中には赤字の企業もある、黒字の企業もある。以前は、赤字企業は税を払わない、黒字企業はその黒字に応じた税金を払っていたわけです。それを相殺して、全体としてグループとしての赤字を相殺して黒字分を課税対象にする、そういう制度にしたものですから、これは非常に大きな減税になってしまっているわけです。私は、これこそ大企業優遇税制の典型であるというふうに思っているところであります。
 平成21事務年度の申告状況から計算いたしますと、2兆1011億円の所得が軽減されている。そのために、約6300億円の減税となっていると思いますが、間違いありませんか。
○古谷政府参考人(財務省主税局長) 国税庁の調査によりまして、御指摘のとおり、連結納税制度による所得の減少額は2兆1011億円でございます。それに21年度に適用されておりました基本税率30%を掛けますと6300億円ということで、御指摘のとおりの計算だろうと思います。
○佐々木(憲)委員 例年10月に国税庁は、○○事務年度における法人税の申告事績についてという、その年度の法人税の事績を公表しております。ところが、昨年10月公表の、平成21事務年度における法人税の申告事績についてによりますと、連結法人数の状況、連結法人の申告の状況がそれまで載っていたんですけれども、これが欠落しているんですよ。なぜ公表事項からこれを除いたのか、私はおかしいと思っているんですが、その理由を説明していただきたい。
○野田財務大臣 平成14年度の税制改正により導入された委員御指摘の連結納税制度については、制度導入後の申告の状況等について国民各層に情報提供を行うとの観点から、平成15年から法人税の申告事績の記者発表の際に、連結法人の申告状況等についても公表してきたものと承知をしています。
 昨年の記者発表においては、制度の導入から一定の年数が経過したことから、制度が定着したものと考え、御指摘の連結法人の申告状況等については発表資料に含めなかったものと承知をしています。ただし、記者発表の内容については、今後検討することになりますけれども、発表内容とは別に、御指摘のような資料については御要望があれば提出をしたいというふうに考えております。
○佐々木(憲)委員 定着したからもう表に出さなくていいというのはおかしいと思うんですよね。定着しても、その前のものと比較してどういう現状になっているかを国民に明らかにする、これは透明性を確保するという意味では当然必要なことなのです。民主党は透明化法案というのを出しましたよね、税制に関して。その趣旨も、国民に実態を明らかにするということが目的で、できるだけ詳細な中身を公表するというのが原理原則だったはずであります。
 だから、私は、最初から出さないというんじゃなくて、前と同じように出す、せめてそのぐらいやるのは当たり前じゃないですか。大臣、これからそういうふうにしてくださいよ。
○野田財務大臣 先ほど申し上げたとおり、別に隠すつもりではなくて、例えば御要望があった記者さんにはお配りをしましたし、佐々木先生にも資料を提出したと思うんですが、次の10月の記者発表の際には、佐々木委員の御指摘も踏まえ、適切に検討させていただきたいと思います。
○佐々木(憲)委員 以上で終わります。

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