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金融(銀行・保険・証券) (消費者金融・サラ金・ヤミ金)

2006年11月07日 第165回 臨時国会 本会議 【364】 - 質問

佐々木議員が「貸金業法改正案」について代表質問

 2006年11月7日本会議で、「貸金業法改正案」の趣旨説明と質疑が行われ、日本共産党を代表して佐々木憲昭議員が質問しました。

 貸金業規正法などの改正案は、サラ金など貸金業者への規制を強化し、多重債務問題の温床である「グレーゾーン金利」の撤廃などを盛り込んだものです。出資法の上限金利の引き下げ、グレーゾーン金利を条件付で「有効」とした「みなし弁済規定」の廃止、貸付総額の規制、「命が担保」の生命保険契約の禁止などが骨子となっています。
 佐々木議員は、この法案について「これ自体は一歩前進」とのべました。その一方、「利息制限法をはるかに越える金利を有効とみなす制度を、なぜ長年にわたって放置してきたのか」と政府の責任を問いました。
 9月に自民党が発表した法案骨子に、当面高金利を温存する「特例」と、利息制限法の事実上の利上げが盛り込まれた経緯を追求。「サラ金業界から献金を伴う猛烈な巻き返しがあったからではないか」とただしました。
 また、佐々木議員は、改正法案が金利引下げを「3年を目処」としている点について「直ちに引き下げるべき」、利息制限法の上限金利も「引き下げるべき」と指摘しました。

議事録

○佐々木憲昭君 日本共産党を代表して、貸金業法等改正案について質問します。(拍手)
 この改正案では、出資法の上限金利を引き下げ、事実上グレーゾーンを撤廃することとしております。これ自体は一歩前進であります。しかし、利息制限法をはるかに超える金利を有効とみなす貸金業法を、政府はなぜ長年にわたって放置してきたのでしょうか。その責任は重大です。
 サラ金業界は、高金利を手に入れるため、十分な審査もせず、借り手の返済能力を超えた融資を行い、その上、命を担保とする生命保険まで掛けていたのであります。そのため、深刻な被害が全国に広がりました。年間の自己破産は20万人、生活苦から命を絶つ人が年に8千人に上っております。
 サラ金の被害者やその家族によって、高金利の引き下げを求める切実な訴えが繰り返されてまいりました。また、グレーゾーン金利を認めない最高裁の判例も出されました。にもかかわらず、政府はなぜ動こうとしなかったのでしょうか。ここまで被害を広げてきた責任をどう感じているのでしょうか。答弁を求めます。(拍手)
 しかも、重大なのは、いよいよ新たな対策をとるという段階になって、政府・与党内で、グレーゾーン金利の取り扱いをめぐり大きな揺り戻しが起こったことであります。
 金融庁の貸金業制度等に関する懇談会では、上限金利を利息制限法の水準に引き下げ、グレーゾーンを廃止することが委員の多数意見であったと報告されていました。ところが、9月に自民党が発表した法案骨子は、それとは全く違う内容になっていたのであります。そこには、利息制限法を超える高金利を当面残す特例を盛り込み、その上、利息制限法の金利を事実上引き上げる案まで盛り込まれていたのであります。
 本法案では、高金利を認める特例も、利息制限法の金利の変更も盛り込まれておりません。これは、国民の猛烈な批判を浴びて撤回せざるを得なかったからであります。
 なぜ、自民党は9月に抜け穴だらけの案を提案したのでしょうか。我が党の調査では、サラ金業界から自民党及び自民党議員への献金など、資金提供は3年間で1719万円に上っていることが明らかになりました。サラ金業界から、献金を伴う猛烈な巻き返しがあったのではありませんか。
 次に、実施時期の問題です。
 法案では施行から2年半後とされ、おおむね今後3年間は高金利のグレーゾーンが維持されることとなっています。多重債務の被害が人の命にかかわる深刻な問題であることを考えれば、直ちに引き下げるべきではありませんか。
 日賦貸金業者及び電話担保融資の特例も、即刻廃止すべきであります。これも3年間据え置くというのでは、法律の知識のない利用者の金利被害を放置することになります。直ちに実施することを求めます。
 次は、現行の利息制限法の上限金利の問題です。
 15%から20%という金利は、そもそも戦後の市場金利が高かった時期に定められたものであります。現在のように市場金利が非常に低い時期に、なぜこのような高い上限金利を維持する必要があるのでしょうか。
 今、大手銀行はサラ金業者と提携し、利息制限法の枠内で消費者ローンを急速にふやしております。仮に、金利18%をサラ金業者と折半すれば、銀行には9%の金利が入ります。現に銀行は、これまで低金利で融資をしてきた利用者に対して消費者ローンを利用するよう誘導しており、それによって巨額の利益を得ているのであります。
 この利息制限法の上限金利についても検討を加え、多重債務を引き起こさない適正な金利に引き下げるべきではありませんか。
 以上で質問を終わります。(拍手)
○国務大臣(山本有二君) 佐々木議員にお答えをいたします。
 多重債務問題へのこれまでの政府の対応についてお尋ねがありました。
 政府としましては、近年、貸金業者による高金利での過剰な貸し付け等により多重債務問題が深刻化しており、その解決が重要な課題になっていると認識しております。
 こうした認識のもと、政府といたしましては、これまでも、貸金業規制法等関係法令が累次改正される中で、借り手の保護のための施策の実施に努めてきたところでございますが、今回の改正におきましては、上限金利引き下げとともに、返済能力を超える借り入れを防ぐ総量規制の枠組みを導入するなど、多重債務問題の解決のために総合的かつ抜本的な対策を講ずることとしております。
 次に、グレーゾーン金利の取り扱い等、法案作成の経緯についてお尋ねがございました。
 貸金業制度の改革案につきましては、与党において、これまでのさまざまな御議論を踏まえ、借り手の保護に一層配慮を行う観点から取りまとめられたものと認識しております。今般提出させていただきました法案は、こうした考え方を踏まえ、多重債務問題の解決のため、抜本的かつ総合的な施策を盛り込んだものと考えております。
 次に、いわゆるグレーゾーン金利及び日賦貸金業者、電話担保金融に係る特例金利の廃止の実施時期についてお尋ねがございました。
 今回の改正は、現在の借り手に大きな影響を与える可能性があることを踏まえ、急激な貸し渋りや貸しはがしによる家計や企業へのダメージを防ぎ、現在の借り手が無理のないペースで返済できるようにする等の観点から、いわゆるグレーゾーン金利及び日賦貸金業者、電話担保金融に係る特例金利の廃止等の措置まで公布後おおむね3年間の準備期間を設けることとしております。
 次に、利息制限法の上限金利についてお尋ねがありました。
 今回の改正では、貸金業者の実質的な上限金利を、出資法の上限金利であります29.2%から利息制限法の上限金利である15から20%まで大幅に引き下げることを踏まえ、現行利息制限法の15から20%という水準自体は据え置くこととしております。
 以上でございます。(拍手)

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