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税制(庶民増税・徴税), 医療・介護・年金 (大企業減税, 定率減税の廃止, 高齢者への年金課税強化)

2011年03月08日 第177回 通常国会 財務金融委員会 【593】 - 質問

基礎年金の国庫負担確保 財源は手当て済み、増税は許されない

 2011年3月8日 佐々木憲昭議員は、財務金融委員会で、基礎年金の国庫負担を2分の1に引き上げる財源について質問し、年金課税強化や定率減税廃止の増税に加えて、同じ理由で消費税増税をたくらむ政府の姿勢を批判しました。

 自民・公明両党は、2004年度税制「改正」大綱で、基礎年金の国庫負担引き上げについて、「09年度までに安定財源を確保」と明記。04年度税制「改正」で、所得税・住民税の公的年金等控除の縮小と老年者控除の廃止を盛り込み、05・06年度税制「改正」で所得税・住民税の定率減税を縮減・廃止することを決めました。
 この庶民増税で、自公両党は国庫負担引き上げのための「安定財源」が確保されると説明。ところが、民主党政権は11年度予算で、「国庫負担引き上げ」のためという同じ理由で、財政投融資特別会計の剰余金など、いわゆる「埋蔵金」を充てようとしています。

 佐々木議員が「自公政権時代に“安定財源”を確保できなかったということだな」と質問すると、野田佳彦財務大臣は「確保できないまま、私どもが政権を担っている」と答弁しました。
 公的年金等控除の縮小や老年者控除の配信は、高齢者に所得税・住民税増税を押しつけ、住民税増税に伴い、介護保険料や国民健康保険料など、雪だるま式の負担増をもたらしました。
 佐々木議員は、「民主党政権が、09年のマニフェスト通りに“公的年金等控除”“老年者控除”を元に戻したり、定率減税を復活していないならば、国庫負担を2分の1に引き上げる財源は手当てされているはずだ」と追及。
 野田大臣は「定率減税だけでは足りないので、臨時財源の確保に努力した」と答弁しました。

 また、佐々木議員は「“財政赤字”の穴埋めに使ったから足りなくなったのではないか」と質問。野田大臣は「指摘の通り。財政健全化に使った経緯がある」と述べ、基礎年金の財源に充てるはずの税収の大部分が、自公政権の大企業とアメリカのための大盤振る舞いで作り出した「財政赤字」解消に用いられたことを認めました。
 しかし、野田大臣は「臨時財源でやりくりする困難は限界だ。しっかりと恒久的財源を確保しなければ、年金財源の持続性は厳しくなる」とさらに庶民に増税を押しつける消費税増税をねらう姿勢をしめしました。
 佐々木議員は「基礎年金の国庫負担部うの確保という1つの小門で、2回も3回も国民に増税を押しつけることになる」と批判しました。
 佐々木議員は「所得税・住民税増税や消費税増税など、これ以上、庶民から取りたてるのはやめよ」と述べ、そのうえで、大企業・大資産家優遇税制を是正し、米軍への「思いやり予算」などのムダをただすことこそ求められると主張しました。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 きょうは、法案質疑の前提として、基礎的なことから確認をしていきたいと思います。
 昨年の6月22日に閣議決定をされました財政運営戦略というものがあります。今回の予算編成というのは、これをベースにして作業をされたということだと思います。その基準の一つにペイ・アズ・ユー・ゴー原則があるということでありますが、まず、その意味を確認しておきたいと思います。
○野田財務大臣 佐々木委員御指摘のとおり、昨年の6月に財政運営戦略を閣議決定させていただきました。これは、向こう10年間に向けての財政健全化の道筋を定めるということで、2015年度までに基礎的財政収支赤字を少なくとも半減する、2020年度までには黒字化する。それを実現するルールを幾つかつくりまして、財政赤字縮減ルールとか歳出見直しの基本原則とかある中で、ペイ・アズ・ユー・ゴー原則を一つのルールとして定めています。
 この意味するところは、「歳出増又は歳入減を伴う施策の新たな導入・拡充を行う際は、原則として、恒久的な歳出削減又は恒久的な歳入確保措置により、それに見合う安定的な財源を確保するものとする。」こういうルールということでございます。
○佐々木(憲)委員 次に、公債特例法案では、基礎年金の国庫負担の二分の一を維持するための財源として、いわゆる埋蔵金、これを当てにしているわけでありますが、どこから幾ら出すのか、その内容を説明していただきたいと思います。
○野田財務大臣 基礎年金の国庫負担3分の1から2分の1ということのための金額としては、約2兆5千億円必要でございます。その2兆5千億円を、今回は臨時財源として、財投特会からの一般会計繰り入れが1・1兆円、それから外為特会からの一般会計繰り入れが0・2兆円、そして鉄道建設・運輸施設整備支援機構からの国庫納付が1・2兆円、合わせて2・5兆円でございます。
○佐々木(憲)委員 そこで、この基礎年金の国庫負担の引き上げというのは、自民・公明政権のときに決められたものであります。民主党政権が埋蔵金を当てにするということは、つまり、自公政権の時代に安定した財源確保をしていなかったということになると思いますが、いかがですか。
○野田財務大臣 自民党政権下で定めた年金法附則において、税制抜本改革による安定的な財源が確保されない場合には、臨時の法制上及び財政上の措置を講ずることが定められておりますが、これに沿って、先ほど申し上げたように、私どもは臨時財源を確保させていただきました。
 自民党ができなかったからという言い方がいいのかどうかわかりませんけれども、事実としては、過去の政権の中でつくられた方針でございましたけれども、いまだにできていないまま、私どもは今政権を引き継いでいるということでございます。
○佐々木(憲)委員 私はおかしいと思うんですね。
 自民・公明政権の平成16年度税制改正大綱、これは、2003年12月、自民・公明合意でありますが、この与党大綱ですけれども、年金制度についてはこういうふうに書いているわけです。年金制度については、平成21年度までに基礎年金の国庫負担割合を段階的に2分の1に引き上げるための安定財源を確保する。そういうことで、2004年度以降の税制改正案を提示しているわけであります。
 基礎年金の財源として、その大綱にはどのような書き方がされていますか。
○野田財務大臣 平成16年度税制改正の与党大綱ということでございますね。
 お尋ねの点については、大綱において、「平成21年度までに基礎年金の国庫負担割合を段階的に2分の1に引き上げるための安定した税財源を確保する。」それから、年金課税の適正化により確保される財源は、平成16年度以降の基礎年金拠出金に対する国庫負担の割合の引き上げに充てる、定率減税の縮減、廃止とあわせ、三位一体改革の中で、国、地方を通じた個人所得課税の抜本的な見直しを行い、平成17年度以降の基礎年金拠出金に対する国庫負担割合の段階的な引き上げに必要な安定した財源を確保する、こういう内容となっております。
○佐々木(憲)委員 つまり、前の政権で、自民、公明の政権で確保されていなかったというんですけれども、しかし、そのときに既に、基礎年金国庫負担の安定した財源として、老年者控除の廃止、公的年金等控除の縮減、それから所得税、住民税の定率減税の廃止、縮減によって増税を見込んで、それを充てると。
 我々は、こういうやり方には、これは庶民に負担が行くので反対でありましたが、しかし、基礎年金の国庫負担分をふやすための財源として、こういう形で現に手当てをされていたんじゃなかったんでしょうか。
○野田財務大臣 16年度改正によって、年金課税の見直しに伴う所得税の増収分0・24兆円のうち、地方交付税を除いた0・16兆については、基礎年金国庫負担割合の引き上げに充てられたものと承知しています。
○佐々木(憲)委員 定率減税の廃止はどうですか。
○野田財務大臣 17年度、18年度税制改正による定率減税の縮減、廃止に伴う所得税の増収分約2・6兆円のうち、地方交付税分を除いた約1・8兆円については、使途が法定されていない一般財源であるため、厳密に特定することは困難でありますけれども、当時の与党の議論等を踏まえ、定率減税の縮減、廃止に関連づけられた歳出項目として、基礎年金国庫負担割合の引き上げには0・3兆円が充てられたものと承知しており、残りは財政健全化のため公債発行の縮減に充てられたものと承知しています。
○佐々木(憲)委員 ですから、そこにすりかえがあったわけですよ。つまり、税制改正大綱の中では、老年者控除の廃止、それから公的年金等控除の縮減、所得税、住民税の定率減税の縮減、廃止、それによって確保する、こういうふうにされていたんです。我々は、これは庶民増税なので反対だという態度をとりました。
 年金課税の強化というのは、高齢になるほど収入が減る、それは本人が努力しても収入増が認められませんから、そういうことを考慮して支援措置ということをやっていたわけです。それをなくしちゃうと。これはもうとんでもないということで、私たちは反対でありました。
 それから、定率減税縮減、廃止というのは、景気回復が個人の収入に波及していないし、それから、法人税率の引き下げと所得税の最高税率の引き下げがセットで実施されたにもかかわらず、定率減税だけが廃止されるというのは道理がおかしい、道理がないということで我々は反対しました。
 現に、そのことを自民・公明政権がやったために、非常に国民生活が混乱したわけです。現に、実施直後には、高齢者ですとか多くの国民が、何でこんなに増税になるんだ、あるいは、介護、国保の保険料が雪だるま式にふえるというような状況で、市役所に苦情が殺到するというような、そういう現象まで起きたわけです。そういう影響というのは非常に大きかったと思うんですね。
 野田大臣、そういう実態はあったという認識をお持ちですか。
○野田財務大臣 実態、まさにそういう国民の声はたくさんあったというふうに思いますし、したがって、例えば年金課税の見直しについては、私どもも、当時の民主党は反対の立場をとらせていただきました。定率減税の縮減についても、当時の経済状況とか国民の声を踏まえて修正案を提出させていただいて、否決をされました。
○佐々木(憲)委員 そのとおりなんですね。
 野田大臣は、2005年2月18日の衆議院財務金融委員会で、定率減税の縮減、廃止について反対だ、こういう立場でこの場から質問をされておられました。
 どんな質問をされていたかということを覚えておられるのではないかと思いますが、紹介いたします。
 自民党の政権公約に入っていなかったんだ。公明党さんは多分入っていたんだと思います。入っていたというのは、基礎年金の国庫負担を3分の1から2分の1に上げる財源として。これは、我々、考え方は違うんですが。公約に入れていたか入れていないかというのは物すごく大きな話だ。国民の負担にかかわるような大事なテーマというのは、そういう約束がないと政治に対する信頼をなくしてしまうと思うんです。これはだまし討ちになりますからね。国民に事前に説明をして、そのことを約束したかどうか、それを私は問いたかったんです。
 こういう質問をされておられるわけであります。
 記憶はありますか。
○野田財務大臣 御指摘をいただいて、記憶がだんだんよみがえってきました。
 あのときの一番の視点は、そういう視点と、あと、景気認識の議論が一番多かったような気がします。あのときの政府税調か何かで、景気は著しく好転したとかという、そういう表現があったので、本当にそうかというような問い詰めをいっぱいやった記憶は、今よみがえってきました。
○佐々木(憲)委員 そのとおりですね。
 その質疑で、やはり、国民の負担にかかわるような重大なテーマについては、約束がないのにやるというのは、これは政治に対する信頼をなくしてしまうと、大事な指摘をされているわけであります。
 私たちも、基本的にはそういう考え方がありましたので、共通するところがありました。財源は別な形で手当てすべきだと。我々としては、無駄遣いにメスを入れるとか、あるいはもうかっている大企業に対して法人税の一定の応分の負担というようなことをたしか言ったと思います。そういうことで、対案を示しながら、庶民増税につながることについては反対と。
 ところが、残念ながら、我々日本共産党あるいは民主党のそういう考え方を聞かずに、当時の政権は実行したわけです。
 つまり、税制改正大綱で、こういう形で方針を出し、その背景には、最初に公明党が政権公約で掲げて、自民党がそれに同調して、税制改正大綱に盛り込んで、政府の方針としてつくり上げていった、そしてそれを実行した、こういうことなんです。
 したがって、財源は、本来、こういう形で担保されていたはずなんですよ。そういうことじゃありませんか、大臣。
○野田財務大臣 そういうことでした。
○佐々木(憲)委員 民主党も2年前のマニフェストで、公的年金等控除それから老年者控除は平成16年度改正以前の状態に戻します、こういう公約を掲げておられたわけです。残念ながら、これはまだ実行されておりません。しかし、定率減税廃止などを含むこういうことに対しては、反対の態度をとっておられました。
 民主党の態度からいたしますと、本来、これはやってはならないということですから、もとに戻すというのが筋だったと私は思うんですが、それは実際にやっていないわけですね。
 そうすると、財源としては既に確保されているわけですよ。したがって、何で埋蔵金を今掘るんですか。既にあるんじゃありませんか。
○野田財務大臣 定率減税を戻すだけではもう足りないんじゃないでしょうか、金額的には。だから、臨時財源は、一生懸命確保すべく努力したということであります。
○佐々木(憲)委員 いやいや、実際には、先ほど言った年金課税の強化それから定率減税の廃止、これによって財源は確保できるという計算だったわけです。計算だったんです。
 ところが、それを、実はその目的のために使わず、先ほど野田大臣が少し御答弁になったことなんですけれども、財政赤字の穴埋めに使っちゃったんですよ。したがって、足りなくなったと。こういう経緯じゃなかったんですか。
○野田財務大臣 御指摘のとおり、財政健全化の方に使ったという経緯は、先ほど申し上げたとおりであります。
○佐々木(憲)委員 そうなってきますと、自民・公明政権の時代に財源をちゃんと確保したにもかかわらず、実はこれは公明党の政策だったんですね。だから、公明党政策どおりやっていなくて、自民党がどうしたのかよくわかりませんけれども、結果としては、基礎年金の二分の一国庫負担やりますよという約束をしていながら、そこに使わなかった。つまり、約束違反なわけです。
 その結果、今度はまた、埋蔵金だということで、今度の予算で埋蔵金を当てにする。さて、そうなると、1年でもう底をつく。では、あとは恒久財源は何かといったら、消費税だとなるわけですね。
 私は、これはちょっとおかしいんじゃないかと思うんですよ。つまり、基礎年金の国庫負担分を確保するためにという名目で、一つの証文で二回も三回も国民から取り上げるような、そういうことになるのではないか。そう思いませんか。
○野田財務大臣 臨時財源でやりくりするという困難はもう限界だということで、しっかりと恒久的な財源を確保していくということを、だから今回、国民年金法の改正もお願いをしながら、法律的にもそのことを担保しながら財源確保をしていかなければ、年金財政の持続性というのが厳しくなるというふうに思っています。
○佐々木(憲)委員 私は、国民に負担を負わせることばかりではなく、そういうことはやってはならないと、だって、最初から民主党が言っていたんだから。そういう方向ではなく、大手企業の内部留保が244兆円という形でたまっているわけですね。そういう現実をよく見て、どこから財源を確保するかということをよく考える必要がある。
 吉田財務政務官に来ていただいておりますが、どうも吉田さんは逆の方向の発言をされているような気がするわけです。基礎年金の国庫負担を引き上げるんじゃなくて、引き下げたらどうかというような、これはちょっと本末転倒だと思うんですけれども。
 報道によりますと、昨年の11月29日、基礎年金の国庫負担割合を現行の50%から36・5%に下げる、そういうことで調整に入ったと記者団に明らかにしたと。これは当時の話です。そういうことを実際に検討されたということは事実なんでしょうか、吉田さん。
○吉田(泉)財務大臣政務官 昨年の11月の発言の背景を申し上げたいと思います。
 先ほどからお話も出ていますけれども、23年度、基礎年金の国庫負担を2分の1にする、そのためには臨時財源として2・5兆円必要だったわけですが、11月、予算編成の真っただ中で、ぎりぎりまでそのめどが立たないという状況がございました。そうした中で、財務省の政務三役で相談をいたしまして、11月の末ごろですが、私から厚生労働省の政務官に対して二つのことを申し上げました。
 一つは、23年度以降の基礎年金の国庫負担については、36・5%、今先生が指摘されたパーセントでございますが、36・5%とする案も含めて対応を検討する必要がある。それからもう一つは、この場合、2分の1と差額が出るわけですが、その差額については税制抜本改革による増収によって遡及的に賄うということが考えられるのではないか。この二つを申し上げたところでございます。
○佐々木(憲)委員 財源が足りないということから、国庫負担を引き上げなければならないのにそれを下げるとか、それから国民に対しては消費税の増税だとか、私は発想が違うんじゃないかと。民主党はもともと、国民の生活第一と言っていたんじゃありませんか。生活第一と言っているなら、財源を庶民から取り立てるのはやめなさいと私は言いたいわけです。
 やはり、今やるべきことは別にある。例えば一つ挙げれば、米軍に対する思いやり予算、仕分けの対象にもなっていない。こういう問題にしても何ら検討されていないじゃありませんか。しかも、それを延長して、5年間これからもやるんだ、こういう話ですしね。
 それから、先ほど少し申し上げましたけれども、大企業に対する法人税の負担の問題、これは私は逆の方向に行っていると思っております。これはもうペイ・アズ・ユー・ゴーどころか、いわば究極のばらまきと言う人もいますけれども、大企業に対するばらまきですよ。それから、証券優遇税制の問題にしても、これは本来20%の本則に戻すというのがたしか税調の基本的な考え方じゃなかったんですか。それをひっくり返しちゃった。
 ちょっとこういうことを考えてみますと、どうも言っていることとやっていることが反対の方向に行きつつあるのではないかと思うわけです。それが、内閣の支持率が下がる一つの要因になっていると私は思います。
 ですから、本来の国民の暮らしを最優先させる方向に戻るのが本筋だと思いますが、どうもここまで来ちゃったら、はるかに遠くまで来ちゃってなかなか戻りようがないという感じがいたします。そうなりますと、あとはどういう選択があるか。これは今後の政局の行方にいろいろかかわってくると思いますけれども。
 私は、今の政府の予算編成の基礎にある方向が、どうも言っていたこととは違う方向にかなり大きくかじを切り過ぎているというふうに思いますので、引き続き、今後議論をしていきたい。
 法人税については、きょうはほとんどやれませんでしたから、次回以降やっていきたいというふうに思っております。
 以上で終わります。

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