アドレス(URL)を変更していますのでブックマークされている方は変更してください。
<< ホームへ戻る

税制(庶民増税・徴税) (消費税, 法人税, 大企業減税, 高齢者への年金課税強化)

2011年02月23日 第177回 通常国会 予算委員会≪集中審議≫ 【590】 - 質問

消費増税、生活も営業も破壊 「公約違反」と追及

 2011年2月23日、予算委員会で「菅内閣の政治姿勢」集中審議が開かれ、佐々木憲昭議員が質問に立ちました。
 佐々木議員は、菅直人総理が「4年間は消費税を上げない」という公約について、変更も視野に入れていると事実上「公約違反」を認めました。
 佐々木議員は、菅総理や藤井官房副長官が、消費税増税法案を2012年3月までに成立させるとした自公政権下の2009年度税制「改正」附則104条について、国会で「撤回、削除も考える」と答弁していたのに、このところその条項に従って増税をすすめる姿勢に転換したのは答弁の変更ではないか、と指摘しました。
 菅総理は、104条について「そうした日程も視野に入れていいと思っている」と答えました。これは、明白な公約違反です。
 佐々木議員は、自公政権のときに高齢者に相次いで押しつけられてきた増税と負担増の一覧表を示し、「政権交代後に、改善したものはあるか」と追及しました。
 野田佳彦財務大臣は、「議論している」と述べるだけで、政権交代後、ひとつも改善していないことを認めました。
 佐々木議員は、10年間であわせて16兆円の負担増で、それは国民ひとり当たり15万円になっていると指摘、「もうこれ以上負担できない」という声が耳に入らないかと批判しました。
 さらに「消費税を価格に上乗せできるのは大企業だけ。中小企業は下請単価を切り下げられ、消費税を上乗せできない」と述べ、消費税増税をすれば中小企業の営業を破壊すると質しました。
 「価格に上乗せできない業者は、どこから納税のための資金を出すのか」と聞いたのにたいして、野田財務大臣は「転嫁していないのは自己負担になる」と認めました。
 佐々木議員は「結局、事業主の生活を切りつめるか、従業員の給料を下げるしかなくなるではないか」と批判しました。
 さらに、消費税が10%引き上げられたら、高齢者世帯で28万円の負担増になることを示し、その一方で、輸出大企業を中心に、年間3兆円もの莫大な還付金が渡されることを告発しました。
 「庶民から取り上げて、大企業や大資産家にばらまく。こんな消費税増税は絶対に反対だ」と強調しました。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 まず初めに、菅総理に確認をしたいと思います。民主党は1年半前の総選挙のとき、消費税については4年間は上げない、もし上げる場合は、マニフェストに書いて、国政選挙で国民の審判を受ける、こう言っていたと思います。これは間違いありませんね。
○菅内閣総理大臣 さきの総選挙で民主党が国民の皆さんにお約束をしたことは、今回の総選挙の任期中に消費税の引き上げは行わないということを申し上げ、その方針は今でも変わってはおりません。
○佐々木(憲)委員 問題となるのは、2年前に成立した所得税法の附則104条であります。そこには、2011年度までに消費税増税法案を国会で通すという趣旨のことが書かれている。
 藤井官房副長官にお聞きします。あなたが財務大臣のときに、私は、この条文は4年間は上げないという民主党の立場と矛盾しているので修正するつもりがあるか、こう聞きました。藤井さんはそのとき、「修正をするのが筋だと思っております。」と答弁をされました。これは事実ですね。
○藤井内閣官房副長官 そのとおりです。
○佐々木(憲)委員 藤井さんの次に財務大臣になったのは菅総理でございます。
 1年前の衆議院本会議で、私の質問に菅総理はこう答えました。「この附則104条は前の政権のもとでの条文であり、今の鳩山政権の方針とは明らかに矛盾をいたしております。確かに、撤回、削除ということも考える可能性も私はあり得るかと思います」、このように答弁されていると思いますが、確認をしておきたいと思います。
○菅内閣総理大臣 そういう答弁をしたということは、そのとおりであります。
○佐々木(憲)委員 つまり、今確認をしたとおりでありまして、4年間は上げない、こういう国民に対する公約があった。だから、藤井さんも菅さんも、この104条については、民主党の方針とは明らかに矛盾している、削除することも考えられる、あるいは修正するのが筋だ、このように国会で答弁をしていたわけでございます。
 ところが、今は、この条項に従わなければならない、こういう立場に変わっているわけですね。これは国会に対する答弁を変更した、そういうことになりますね。
○菅内閣総理大臣 先ほど佐々木議員から読み上げていただきましたけれども、「撤回、削除ということも考える可能性も私はあり得るかと思いますが、そのことをどの段階でどのようにやるかについては、しかるべき時期が来たところで判断をしていきたい、」こう答えております。
 率直に申し上げて、社会保障の抜本改革について、どういうタイミングで議論を進めるかというところまでは、この段階ではまだ決まった段階にはなっておりませんでした。私が総理大臣に就任した後、御承知のように、社会保障と税の一体改革について、ことしの4月までにその姿を示し、6月までには税も含めた一体改革の案を皆さんに提示する、そういう段取りを皆さんに示して、こうして今議論が始まっているわけであります。
 そういう中では、この104条という規定の中で要求されている時期的な問題を、ある意味ではそれに合わせることも可能になったのではないか、こういうことでありまして、私は、本質的に何かを変えたというよりも、時間的な長さの中で、可能であるならばそうした日程もまさに一つの視野に入れてもいいのではないか、このように思っております。
○佐々木(憲)委員 今の答弁を聞いていますと、変えたということを事実上お認めになったわけでございます。つまり、4年間は上げない、だから104条も修正しなければならない、ところが2年たったら、消費税を上げる法案を提出してそれを国会で通すんだと。そうなりますと、これはもうどこから見ても明白な公約違反ですよ。やはり国民に対して約束したことを完全にひっくり返したということになるんじゃありませんか。
 自見大臣、国民新党はどうか。国民新党は、一昨年の総選挙で消費税は上げない、こういう公約をなさっております。私は、一昨年の11月、金融担当大臣でありました亀井さんにこの点についてお聞きをしました。そのとき亀井さんは、4年間に限らず、消費税は上げる必要は一切ない、消費税を上げるべきではない、こういうふうにお答えになったわけでございます。自見大臣も同じ考えか、確認をしておきたい。
○自見金融担当大臣 今いろいろ議題になっておりましたが、一昨年の連立政権樹立に当たっての政策合意、いわゆる三党合意においては、現行の消費税5%を据え置くこととし、今回の選挙において負託された政権担当期間中において、歳出の見直し等の努力を最大限行い、税率引き上げは行わないとされており、さらに、菅総理と国民新党の今お話に出ました亀井静香代表との昨年9月17日の合意書でも、その三党合意を尊重し引き継ぐことと合意をしておりまして、私はこのことは尊重されるというふうに信じております。
 ただし、社会保障と税の一体的改革について論議する中で、消費税を含めた税制のあり方を論議することまで否定するものではないというふうに考えております。
○佐々木(憲)委員 論議するのはいいと。しかし、あなた方が言っていたのは、4年間は上げない、上げる必要はない、こういう姿勢を国民に約束していたわけでありますから、しっかりとそういう立場を貫くなら、今の菅内閣の方針と矛盾してくるわけですから、この点は明確にしておきたいと思います。
 さて、それでは次に、基本的なことを確認していきたい。
 まず、法人税、所得税、消費税、税金はこの三つが大きいわけであります。それぞれの税の性格を確認しておきたい。
 法人税と所得税については、基本的に、企業や個人の所得に課税をされる税金でございます。法人税の場合は事業の利益に課税されますから、赤字ならこれは払わなくてもいいわけであります。所得税は個人の所得に対して課税されるわけですね。ただし、課税最低限以下の低所得者は払わなくてもよろしい。これに対して、消費税はどうか。買い物をするたびに課税されるわけですね。したがって、所得がなくても払わなければならない。これは消費税の特徴であります。
 まず、この基本点を野田大臣に確認しておきたいと思います。
○野田財務大臣 基本的には委員の御説明のとおりでございまして、消費税は、消費者から受け取る対価に含まれる消費税額を事業者が納税するものであって、事業者の所得とは直接関係ございません。法人税、所得税は、それぞれの所得から納税するものであり、消費税とは仕組みが違います。
○佐々木(憲)委員 私は、税というのは、そもそも、本来、所得や利益があって、そこに税を負担する力、担税力を認める、それで課税をする、これが基本だと思うんですよ。ところが、所得がないところから税金をいただく、こうなりますと、その方の生活を犠牲にせざるを得なくなる。これは、所得税、法人税と消費税の根本的な違いであります。
 そこで、このグラフを見ていただきたいんですけれども、この間、法人税はどんどん下がってきております。法人税の税収は、国税の中で以前は37%を占めていたことがあります。しかし、今19%にすぎません。法人税の税率が、43・3から、今25・5が提案されておりますが、どんどん下がってきているわけであります。さらに菅内閣は5%下げるとなりますと、結局、大手の黒字の上がっている大企業に対して減税を行う、こういうことになります。
 その反面、庶民が負担をしている消費税というのは大きくこの間ふえておりまして、税収に占める比率は89年に6%でございました。ところが、どんどんふえて今25%、こうなっているわけです。
 これは財務省の数字ですけれども、間違いありませんね、野田大臣。
○野田財務大臣 資料のとおりでございます。
○佐々木(憲)委員 低所得者や高齢者の中では、もうこれ以上負担できない、こういう声が上がっております。
 もう一枚のパネルを出していただきたいと思いますけれども、この間、高齢者は大変な負担を押しつけられてまいりました。2000年以降、主なものだけとっても、自民党・公明党政権のもとで、所得税、住民税、医療、介護、年金など、増税、負担増、給付減、こういうものが行われてまいりました。多くの高齢者が、経済的にも精神的にも追い詰められてまいりました。
 民主党政権になって1年半たちましたけれども、ここに書いてあるような項目、どれか一つでも改善されたものというのはありますか。
○野田財務大臣 例えば、公的年金等控除あるいは老年者控除の項目については、引き続き税制改正の中で議論をしていくということで、宿題としては残っています。
○佐々木(憲)委員 一つもないわけなんですよ。議論はしているというのは、それは議論ですからね。
 政権交代のときに、こういう状況を何とかしてほしいという国民が民主党に対して期待をした。ところが、1年半たったけれども、何一つ改善したものはありません。高齢者以外の分も含めますと、このほかにもたくさんあるんですけれども、10年間で合わせて16兆円の負担増であります。赤ちゃんからお年寄りまで国民一人当たり15万円の負担がふえたわけです。だから、多くの国民はもう耐えられないという状況なんです。
 民主党はマニフェストで、公的年金控除の最低補償額を140万円に戻す、あるいは老年者控除50万を復活する、それから、後期高齢者医療制度を廃止する、廃止に伴う国民健康保険の負担増は国が支援する、こういうふうに書いていたにもかかわらず、一体その政策はどこに行ったんだ、こういうことになるわけです。
 高齢者の家計は、実際、今本当に大変なんですよ。このパネルを見ていただければわかりますが、政府の家計調査によりますと、この10年間、平均夫婦高齢者世帯の年金給付は大幅に減っております。そのために、ここにありますように、収入が23万円もダウンしている、減っている。その反面、保険料、保健医療、介護保険、住民税の負担というのは大きくふえております。10年間で年間10万円も負担がふえました。だから、実際に貯蓄を取り崩してようやく生活をしているというのが実態でありまして、その貯蓄も底をつくという状況です。
 もしこれに消費税増税が加わったら、一体どうなるのか。10%になるあるいは15%になる、こうなるだけで28万円、大変な負担がさらにふえていくわけであります。
 総理に伺いますけれども、これ以上消費税増税されたらもう生活ができないという声は、総理の耳には入っておりませんか。
○菅内閣総理大臣 これは、所得税や法人税、消費税、それぞれ負担をしていただいている立場からすれば、できるだけその負担が軽い方がいいというのは、それぞれの方のあるいはそれぞれの立場の思いであろう、私はこのように思います。
 と同時に、一番大きなもう一つの背景は、この20年間、日本の経済成長がとまっている。ですから、先ほどいろいろな比率を示されましたけれども、税収そのものが、特に2年前のリーマン・ショックでは大きく下がりました。まさに、法人税の税率がある程度高くても利益がなければ税収は下がるわけでありますので、そういう意味で、成長さらには雇用、こういうもので国民の皆さんが豊かになっていくということがないと、いろいろな負担は、どういう形の負担かは別として、現実に、社会保障とかそういうものの水準を維持しようとしたときには負担という形になってきます。その負担をいわば借金という形で先に送っている状況が今日の全体の状況だろうと思っています。
 そういう意味で、私は、まずは成長と雇用、ここから日本の現状の打開をやらなければならない、こう考えております。
○佐々木(憲)委員 国民が豊かにならなければならない、これはそのとおりですよ。実際に今やっているのは、国民の方に負担を負わせて国民生活を破壊するということをやっていいのかというのが問われているわけです。一方では、法人税の方はどんどん減税で、今回も5%減税だと。おかしいんじゃないですか。結局、負担が軽い方がいいと言いながら、大企業の負担は軽くして国民の側にどんどん負担を負わせてくる。これが今のやり方だ。これはもう絶対に私は認めるわけにはいかない。
 それから、中小企業の問題について言いますけれども、中小企業の場合は、野田大臣、もともと、この消費税というのはだれが負担するんですか。
○野田財務大臣 最終的には消費者です。
○佐々木(憲)委員 納税はだれですか。
○野田財務大臣 それは事業者です。
○佐々木(憲)委員 事業者の場合は、仕入れにかかった消費税分も含めて販売するときに価格に上乗せする、こういうことになっておりますが、今のような経済状況では簡単に上乗せはできません。
 海江田大臣にちょっと確認しますけれども、以前、経産省の調査で、消費税を価格に上乗せできずに自己負担している、こういう業者がどの程度いるか、示していただきたい。
○海江田経済産業大臣 佐々木委員にお答えをいたします。
 以前とお話ありましたけれども、2002年でございます。このときは、免税点3千万円を下げようという議論がありましたので、中小企業庁が1万1717の事業者にアンケート調査をいたしました。その結果、9061の事業者から回答が寄せられました。
 そのうち、まず、売り上げ階級が1500万円を超えて2千万円以下の事業者では、34・7%がすべて転嫁をしている、36・2%が一部転嫁をしている、29・3%はほとんど転嫁できていないということでございますから、完全に転嫁できていないのが6割強でございます。そして、売上高が2500万円を超えて3千万円以下の事業者では、51・5%がすべて転嫁している、28・7%は一部転嫁している、19・9%はほとんど転嫁できていないということですから、5割強が完全には転嫁できていないということでございます。
○佐々木(憲)委員 今確認したように、中小企業の場合、仕入れをしてそれを販売する、その場合の仕入れに上乗せされている消費税を転嫁するということがなかなかできないわけでございます。ほぼ上乗せされているのは、これは同じ調査をこういうグラフにしてみたんですけれども、大企業だけなんですよ。規模が小さくなればなるほど消費税を価格に上乗せできない、こういう状況になっております。消費税を受け取っていない中小業者は5割から7割。
 財務大臣にお聞きしますけれども、このように消費税を受け取っていない業者は、どこからお金を出すんでしょうか、どこからお金を出して納税するんでしょうか。
○野田財務大臣 消費税を受け取っていない業者が、ちょっともう一度お願いします。
○佐々木(憲)委員 要するに、価格に上乗せができていない、つまり消費税を受け取っていない、その業者が納税義務はある。納税するにしても、受け取っていないんですから、どこからお金を出すんですかと聞いているわけです。
○野田財務大臣 だから、きちっと転嫁をしていないということですので、それは自己負担になるということです。
○佐々木(憲)委員 結局、事業主が生活を切り詰める、あるいは従業員の給料を下げる、貯蓄を取り崩す、こういう方法しかなくなるわけですよ。
 これは商店だけではありません。下請業者も大変な状況でございまして、親会社から、例えばファクス一枚で、単価を下げなさい、こういう単価でやりなさいと来るわけです。それでも、なかなか文句は言えないわけです。二次、三次の下請の場合は、消費税込みでこの価格でやってくれ、こう来ますから、原価を割っても引き受けざるを得ない。
 こういう証言もあります。自動車関連の下請企業の部品単価ですけれども、以前738円だった、それが706円、628円、こういうふうに下げられてしまう。材料費が変わらないのに単価だけどんどん下がる、原価を割り込む。しかし、それを断るともう次から仕事がない、こういうことで引き受けざるを得ない。ですから、こういうのが現実だと思うんです。
 総理、こういう現実を御存じですか。総理に聞いているんです。
○海江田経済産業大臣 私からお答えを申し上げますが、事業間取引におきまして、優越的地位の濫用行為などによって中小企業が消費税を転嫁することが困難となることがないように、これは公正取引委員会と連携して、下請代金支払遅延等防止法を厳正に執行してまいるということでございます。御指摘のような点はしっかりとチェックをしております。
○佐々木(憲)委員 それは、建前上、幾ら通達を出しても、現実の現場の力関係はそうなっていないんですよ。親会社が、消費税込みでね、こう言うと、わかりましたと。しかし、消費税を納税するだけの利益も全く出てこない、原価割れだ。こういう状況を一体どう考えるのかということですよ。消費税をさらに増税したら、そういう状況がもっと激しくなるということですよ。
 今、納税できないということで、結局身銭を切って納税しても資金がなくなる。そうすると、消費者金融から借りる、あるいはやみ金から借りる、こうして多重債務者になるという例も出ております。納税できないと、これは滞納者がふえるわけであります。今、納税ができない、滞納の多くは消費税ということで、今度は、税務署の側は、払えということで無理やり取り立てることになる。そうすると、人権無視の強権的な徴収が行われる。そういう強権的なやり方で自殺に追い込まれた例もあります。私は、きのう財務金融委員会でこの問題を取り上げました。消費税の増税というのは中小企業の営業も破壊するものであります。
 その一方で、では大企業はどうでしょうか。自動車、電機など輸出大企業には、消費税の莫大な還付金があります。今、年間の還付金総額というのは幾らになっているでしょうか。財務大臣。
○野田財務大臣 輸出取引にかかわる消費税の還付税額は把握できていませんけれども、平成20年度分の消費税の還付税額全体でありますが、これは約2兆5千億円でございます。
○佐々木(憲)委員 2兆5千億円というのは莫大な金額ですよ。消費税で国民から徴税をして、それで還付をしているのが2兆5千億円。大部分が輸出大企業の手元に入っております。2009年度分で、例えば、トヨタ、2106億円、ソニー、1060億円、日産自動車、758億円、キヤノン、722億円。上位十社を取り上げるだけでも、実に8千億円の還付金がその巨大企業に支払われているわけであります。
 庶民から取り上げて、そして大企業や大資産家にばらまく、こういう結果になっているのが今の実態であります。私は、これはやってはならない、消費税増税は国民の暮らしも中小企業の営業も破壊する、このことをはっきりと訴えたいと思うんです。一体消費税をどのぐらいまで上げようというんですか。
 与謝野大臣にお聞きしますけれども、以前、自民党の中で、与謝野さんが会長をしていた財政改革研究会というのがあります。この財革研は2007年に提言を発表していますが、消費税率を何%にすべきだとしていましたか。
○与謝野国務大臣 平成19年11月21日にまとめられました自由民主党財政改革研究会中間とりまとめにおいては、「団塊世代が年金受給者となる2010年代半ばを目途に、国民への給付である年金・医療・介護及び少子化対策に要する安定財源を確保することとした場合、2010年代半ばにおけるこれらの給付に必要な公費負担の規模は、少なくともGDP比5%程度(現行の消費税10%程度に相当)と見込まれる。」とされております。
○佐々木(憲)委員 10%に上げる、こういう提案をしていたことがある。
 この財革研に一緒に参加していた柳沢伯夫元厚労大臣は、今、菅内閣の社会保障、税一体改革集中検討会議のメンバーになっておりますが、自民党の研究会で、少なくとも10%への引き上げが必要という報告書をまとめた、しかし、この試算はリーマン・ショック前の経済状態が前提だった、仮に今の経済状況で試算し直せば、消費税率を15%近くに上げなければつじつまが合わない、こういうふうに言っているわけです。
 与謝野大臣、15%近くに上げなければつじつまが合わない、この考え方に賛成ですか、反対ですか。
○与謝野国務大臣 まだ税率のところまで議論は行っておりませんけれども、先ほどから先生が指摘されるように、国民に対する影響、経済に対する影響等々もろもろのことを考えなければならないわけですし、また、給付と負担という両方の関係も考えなければならないということで、にわかに柳沢さんの意見に賛成か反対かということをまだ申し上げる段階ではございません。
○中井委員長 佐々木君、まとめてください。
○佐々木(憲)委員 はい。
 結局、今、菅内閣がやろうとしているのは、大企業、大資産家には減税、庶民には増税。しかも、社会保障を充実すると言いましたけれども、社会保障のカットをやってきた、それを何一つ直そうとしていないし直っていない。そういう状況の中で負担ばかりふえる、こういう消費税増税には絶対反対だということを述べて、質問を終わります。

Share (facebook)

このページの先頭にもどる