その他 (政治資金規正法の改定, 選挙制度, 政党助成金)
2010年11月26日 第176回 臨時国会 倫理選挙特別委員会 【586】 - 質問
公明党に監督強化の法案と小選挙区制の問題点について質問
2010年11月26日、佐々木憲昭議員は、政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会で、公明党に監督強化の法案と小選挙区制の問題点について質問しました。
佐々木議員は、小沢一郎元民主党代表の問題について、「司直の手にゆだねられているから見守るだけしかない」いう議論は間違っており、政治的道義的責任を明らかにするのが国会の役割であると指摘。
さらに、裁判で問題になっているのは虚偽記載に関して小沢元代表の関与に限られており、4億円の原資がどこから来たのかが重大な問題ではないかと質問しました。
公明党の大口善徳議員は、「社民党を除く野党6党で、小沢元代表の証人喚問を求めていくべきである」と答弁しました。
選挙制度の問題について、佐々木議員は、民意を正確に反映するという選挙制度が民主主義の基本であると主張。
民意の集約という理由で小選挙区制が導入され、得票率と議席占有率に非常に大きな乖離があらわれていると指摘しました
民主党は、マニフェストで比例定数の80削減を掲げており、民意をゆがめる大問題だと批判しました。佐々木議員は、「国民の意思が議席に正確に反映される比例代表制度こそ我々は大事なものだ」と指摘し、公明党の見解をききました。
大口議員は、「選挙制度の根幹にかかわる問題であり、我々としては反対をしたい」と答弁しました。
議事録
○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
政治資金規正法は、政党や政治団体が国民の不信を招くようなことをすれば議会制民主主義そのものの不信につながる、このようにしているわけであります。
小沢元代表、鳩山前総理、小林元議員の問題等々、民主党政権になってからも多くの疑惑が噴出してまいりました。小沢元代表は、国会では一言も説明をしておりません。記者会見では、私は関与していないと秘書のせいにしております。
こういう小沢元代表のような事例は、公明党が提案しているこの案によりますと、仕組み上、どのような扱いを受けるということになるのでしょうか。
○大口議員 佐々木委員にお答えをいたします。
この小沢元代表の問題のようなケースにつきまして、これまでは、会計責任者の選任かつ監督、双方について相当の注意が必要であったわけであります。
しかし、この改正後は、会計責任者が故意に政治資金収支報告書の虚偽記載等の違反をした場合には、政治団体の代表者が会計責任者の選任または監督のいずれか一方について相当の注意を怠ったときは、刑事責任を問われることとなり、秘書が勝手にやったという言い逃れはできない、こういうふうに考えます。
○佐々木(憲)委員 疑惑を受けた政治家については、まずその真相を明らかにして、再発防止のための対策を進めるということが必要だと思うんです。
小沢元代表の問題について言いますと、現在司直の手にゆだねられているということで、見守るだけしかないんだというような議論がありますけれども、私は違うと思うんですね。
国会というのは政治的道義的責任を明らかにする場でありますから、我々が何も裁判所にかわって刑事責任を追及するということをやるわけではございません。
そういう国会の役割、この点についてどのようにお考えでしょうか。
○大口議員 佐々木委員にお答えいたします。
小沢元代表が議院運営委員長として作成した政治倫理綱領の一つに、「われわれは、政治倫理に反する事実があるとの疑惑をもたれた場合にはみずから真摯な態度をもつて疑惑を解明し、その責任を明らかにするよう努めなければならない。」こういう項目があることは、皆さん御存じのとおりでございます。
小沢元代表の問題について、国民の大多数は、小沢元代表からのさらなる説明責任を果たすよう求めている。政治倫理に反する事実があるとの疑惑が持たれていることは間違いないわけでございます。したがって、政治倫理綱領にあるとおり、小沢元代表は、このような疑惑を解明するため、みずから真摯な態度をもって説明する必要がある。
そして、我が党も、また共産党さんもそうでございますけれども、小沢元代表に政治責任、また道義的責任があると考えて、その政治倫理に関する疑惑を解明するよう国会招致を要求しているわけでございます。
早く民主党も自浄能力を発揮され、これに協力していただくよう、強く求めていきたいと思います。
○佐々木(憲)委員 この裁判で問題になっておりますのは、虚偽記載に関して小沢元代表の関与があったのかなかったのか、こういう点に限られているわけですね。
しかし、問題は、私はこの4億円の原資がどこから来たのかが重大な問題だと思っておりまして、小沢氏は、例えば2007年2月の記者会見では、献金してくれた皆様のお金を資産として有効に活用する、それが皆様の意思を大事にする方法だ、こういうふうに政治資金であったと述べているわけです。ところが、2009年10月、マスコミの取材で陸山会が回答したところによりますと、4億円の定期預金を担保に同額の融資を受けた、こういう説明をしているわけです。それから、2010年、ことしの1月16日の民主党党大会では、私どもが積み立ててきた個人の資産であります、こういうふうに、政治資金だった、銀行から借り入れた、個人の資産だった、説明がくるくると変わっているわけであります。
私は、これは一体何が真相なんだろう、原資は一体どこから来たのか、こういう疑惑がますます深まらざるを得ないわけでございます。大口さんはどのようにお考えでしょうか。
○大口議員 佐々木憲昭委員にお答えいたします。
先生御指摘のとおりでございまして、2007年、2009年、2010年と、そんな短期間の間に全く違う説明をしている。供述の変遷というのは供述者の信用性がないということなんですね。ですから、国会においてきちっと説明をしていただかなければならない。だから、国民の大多数は、その説明責任を果たすよう求めているわけでございます。
この10月5日、野党国会対策委員長会談においても、社民党を除く野党六党間で、小沢元代表の説明の場として証人喚問が適切との意見で一致を見ているところでございまして、これをしっかり求めていくべきである、このように考えております。
○佐々木(憲)委員 先ほども少し議論がありましたが、きょうの読売新聞に、小沢氏政党支部へ3億7千万、昨年の衆院解散日に旧新生党資金を寄附というふうに書かれております。
これは、旧新生党の資金がプールされている政治団体改革フォーラム21、そこから3億7千万円の寄附を小沢元代表が代表を務める民主党岩手県第四区総支部が受け取っていた、こういう報道でありまして、解散時の新生党には立法事務費4億8千万円を含む9億2500万円という資金があって、これは本部、支部から集められて、それが改革フォーラム21に移された。その改革フォーラム21の実質的な支配、運営は小沢元代表によって行われている。
そうなりますと、公的な資金が政党解散時に特定の政治団体に移されて、その政治団体から小沢さんの支部にお金が流れる。公金を私物化し、それをみずからの目的のために利用する、この姿というのは私は非常に重大な問題だというふうに思います。そういう意味で、これは徹底した究明が必要だというふうに思いますが、大口さんはどのようにお考えでしょうか。
○大口議員 佐々木委員にお答えします。
私もけさ読売新聞を見まして、びっくりしました。驚きました。本当にまた新たな疑惑が出てきたわけでございます。
そして、改革フォーラム21でありますとか小沢元代表が実質支配している団体については、いろいろな疑惑がこれまでも指摘されているわけでございます。この点につきましても、しっかり国会において説明をしていただかなければならない、こういうふうに考えております。
○佐々木(憲)委員 次に、先ほどから議論がされている政治資金規正法の関連で、使途の公開ということで、各党間の協議、私も参加して行われました。
私は、あのとき、政党助成金の使途についても、これは税金が原資でありますから、1円以上を公開ということになれば、当然、政党助成金の方は税金なんですから、これは対象とすべきだと思っておりまして、あの協議の中ではそういう方向に一度行ったんですけれども、何か土壇場で実現しなかった、御記憶があると思うんですが。やはり、これは税金ですので、全部ちゃんと公開する、これが必要だと思うんです。それが一点。
それから、あのときは、入りの問題は外部監査を入れても対象にしないということになっていますが、私はその入りの問題も棚上げしてはだめだと思っておりまして、あのときも主張しました。やはり政治資金という問題はクリーンに、透明にということが大事だと思いますが、この点についてお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○大口議員 佐々木委員にお答えいたします。
一つは、政党助成金というのはまさしく税金でございます。ですから、政治資金が一円以上であれば、政党助成金も一円以上でしかるべきじゃないか、こういう議論はございました。ですから、それも推進していこうということであったわけですね。これについてはしっかり努力していかなきゃいけない、こういうように思います。
それから、入りの問題につきましても、この委員会でも御指摘いただきました。石田先生からもいただきました。この点についてもこれから検討していかなきゃいけないなと思っています。
ただ、入りの問題も、今回の私どもの法案で、代表者がその責任を負うということは、入りの問題について適正化する非常に大事な法案でございますので、御理解いただきたいと思います。
○佐々木(憲)委員 入りの問題については、例えば企業・団体献金の禁止ですね。これはきちっとやっていかなければならないというふうに我々は考えております。公開と同時に、そのことが必要だと思っております。
次に、選挙制度の問題についてお聞きしますが、やはり民意を正確に反映するという選挙制度が民主主義の基本だと私は思います。ところが、小選挙区制が導入されて、民意の集約ということが理由として挙げられたわけですけれども、しかし実態は、得票率と議席占有率に非常に大きな乖離があらわれているわけです。
例えば、05年の総選挙で自民党が296議席と圧勝したわけですね。そのうち、219議席が小選挙区制の当選者であります。この小選挙区の自民党の得票率は47・8%だったんです。ところが、議席占有率は小選挙区の73%。昨年の政権交代が起きた総選挙では、民主党は、得票率は47・4%でありました。過半数に達しておりません。しかし、議席占有率は73・7%。非常に大きな乖離があるわけであります。小選挙区というのは民意を集約というけれども、民意をゆがめているんじゃないかと私は思うんですね。
やはり、得票に応じた議席占有率というのは本来の民意の反映であって、それがこのように非常に大きく乖離するというのは問題だと思っておりますが、大口さんの御意見をお聞かせいただきたい。
○大口議員 今回の法案とは別の案件でございますし、私が党を代表するものではございませんけれども、ただ、今佐々木委員がおっしゃったように、現行の小選挙区比例代表並立制というのは、これは御案内のとおり、民意の集約と民意の反映という二つの考え方で成り立っているんですが、4割の得票で7割の議席というのは、余りにも民意の反映というものがゆがめられているのではないかな、こう思うわけでございます。
やはり成熟社会において、多様な民意をしっかり反映させる、こういう抜本的な選挙制度の改革が必要であると私どもは考えております。各党協議会を設置して、議論を早く開始していく必要がある、こういうふうに考えます。
○佐々木(憲)委員 民意をゆがめるという小選挙区制の比率が仮に高まっていきますと、ますます乖離が起こるわけです。
民主党のマニフェストでは、比例定数の80削減、こういうことが書かれております。私は、これはますます民主主義を、民主的な制度が壊されるというふうに非常に危機感を覚えております。
比例80が削減されると一体どういうことになるのかということで調べてみますと、小選挙区300、比例100、今180ですから、これが100になりますね。そうすると、総定数に対して小選挙区の占める比重というのは、62・5%が75%に一気に高まって、小選挙区制オンリーにどんどん近づいていくわけです。
仮に、昨年の総選挙が比例80削減のもとで行われたといたしますと、民主党は、42・41%の得票で衆議院の議席の68・5%、圧倒的多数を占めるわけです。3分の2以上の議席になります。自民党の占有率は比例得票率とほぼ同じでありますが、共産党、公明党、みんなの党、国民新党など、これらの得票率は30・86%なんです。ところが、議席にしますと、わずか8%。つまり、3割の得票を持っている相対的に小さな政党が、比例80削減されることによりまして、8%、1割以下に落ちちゃう。これは余りにも乱暴なものでありまして、私は、こんなことは絶対にやってはならないと思っております。
つまり、国民の意思が議席に正確に反映される比例代表制度こそ我々は大事なものだと思っております。そのところを削って、このように民意をゆがめるというのは大問題だというふうに思いますが、大口さんはどのようにお考えでしょうか。
○大口議員 佐々木委員にお答えいたします。
先ほども申し上げましたように、この小選挙区比例代表並立制自体も民意の反映という点では問題があると思うわけです。しかし、それが180という形で入っている。その180からさらに80削減するということは、これは選挙制度の根幹にかかわる問題でありまして、我々としては反対をしたい、こう思っています。
とにかく、民意を反映する抜本的な選挙制度の改革を各党でしっかり協議すべきであろう、こういうふうに思います。
○佐々木(憲)委員 選挙制度というのは議会を構成する上での大変重要な前提であり土台である。したがいまして、各政党がきちっと、どのように民意を反映させていくかという観点からこれを見なければならぬと思っておりまして、この比例削減80というのは絶対に許すわけにはまいりません。
それから、金がかからない選挙制度だと言われましたけれども、もう時間がありませんのでお聞きしませんが、実態は、かえって金がかかるということをおっしゃっている方々がたくさんいるわけであります。
週刊金曜日11月19日号では、公明党の幹事長代理、選対委員長の高木陽介さんが「新進党時代に小選挙区制で選挙戦をやった時、公明党時代に比べると何倍もカネがかかりました。ポスターの数も全然違いましたし、ビラやチラシも絶えず作り続け、秘書も増やしました。 93年当時の「カネのかからない制度」というのは全くの幻想だったと今思っています。」こういうふうに答えていますけれども、最後に感想を、どういうふうにお感じですか。
○大口議員 佐々木委員にお答えいたします。
実態は、日常活動の中で、広報活動も含めて、さまざまお金がかかっている実態があると思います。そういう点では、当初の金がかからないということは幻想であったという高木議員の指摘というのは、私もそのように実感をいたします。
○佐々木(憲)委員 終わります。ありがとうございました。