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金融(銀行・保険・証券) (郵政民営化)

2010年04月09日 第174回 通常国会 財務金融委員会 【565】 - 質問

ゆうちょ銀行が預金保険機構に加入しいることの問題点について質問

 2010年4月9日、佐々木憲昭議員は、財務金融委員会で、ゆうちょ銀行が預金保険機構に加入しいることの問題点について質問しました。

 預金保険機構は、金融機関が破たんしたさいの預金者保護などを目的とするものです。国内の金融機関が強制加入し、預金量に応じて保険料を納めています。2007年の郵政民営化時に、ゆうちょ銀行も加入しました。
 預金保険機構は、相次ぐ金融機関の破たん処理のため、09年3月末で9110億円の欠損を抱えています。
 佐々木議員は、ゆうちょ銀行がこれまでに支払った1170億円もの保険料が他の民間銀行の破たんによる欠損の穴埋めに利用されたと指摘しました。
 亀井静香郵政担当大臣自身が「ゆうちょ銀行には暗黙の政府保証がある」とのべていることもあげて、ゆうちょ銀行が預金保険料を払う必要があるのかとただしました。
 そのうえで、亀井郵政担当大臣は「ゆうちょ銀行の破たんはありえない。しかし、銀行法上の銀行である以上は負担をしなければならない」などと答弁しました。
 佐々木議員は「つぶれないのなら、負担する必要はない」「そういう資金があるのなら、非正規雇用を正規化したり、ユニバーサルサービスの充実に使うことこそ、公的金融機関の役割ではないか」と強調しました。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 まず初めに、役員報酬開示問題についてお聞きをしたいと思います。
 今度、上場企業を対象に、1億円以上の報酬を受け取る役員についての開示が義務づけられることになりました。このような措置をとった理由についてまず説明をしていただきたいのと、諸外国の現状というのはどのような状況になっているのか、説明をしていただきたいと思います。
○亀井金融担当大臣 会社の存在というのは、株主のためだけでもなければ、ただ単に従業員のためだけでもない、ある意味では、それは国民全体、人類全体のための存在という性格があると私は思います。そうした場合、公務員の給与も公表をされておる、我々国会議員のこれも公開されておるわけであります。私企業でありましても、やはり1億円以上を得ておられる方々について、私は、そういう意味では公表をしても差し支えないと。
 私はよく、亀井けしからぬと言われるんですけれども、1億円であろうと2億円であろうと、ちゃんと社会的責任を果たし、従業員に対しても下請、孫請に対しても株主に対してもちゃんとした責任を果たしておる、そういうことであれば、胸を張っておられればいい話であって、それが公表されたら困るとおっしゃるのは、どうも私には理解しがたいわけでありますけれども、そういう御意見をいただいていることも事実であります。
○佐々木(憲)委員 諸外国の現状がどうかという点について、監督局長、実態だけ言ってください。
○畑中政府参考人(金融庁監督局長) お答えをいたします。
 海外におきます役員報酬の個別開示につきましては、米国、英国のみならず、フランス、ドイツ、ベルギー、アイルランド、イタリア、オランダ、ノルウェー、デンマーク、フィンランド、スウェーデン、スイス、オーストリア等々、多くの国で実施されていると承知をいたしております。
○佐々木(憲)委員 これは、大きな会社になればなるほど中身が見えなくなるというのでは困るわけでございまして、開示をするというのは当然のことであると私は思っております。
 このところ、非正規雇用というのがずっと広がって、その低賃金を利用して利益を拡大するというやり方が規制緩和の中でずっと続いてきたんです。その利益が、一部は株主配当としてどんと、この数年間でも4倍、5倍にふえる、役員報酬は2倍にふえる、こういう状況があるわけで、それが格差を拡大していく非常に大きな要因になっているわけです。
 その点で、一体大きな会社の社長あるいは経営者、経営陣がどの程度の報酬を得ているかというのは非常に重要な国民的な関心事でもあり、やはりそれを開示するということが今後の日本の将来の経済発展の上でも重要なことであると私は思います。
 この点について、亀井大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○亀井金融担当大臣 私は、企業が得た果実というのは、やはりこれは下請、孫請、従業員、また株主に配当され、かつ経営者として苦労している経営者にも配分されていく、これが適正でなければならない。
 残念ながら、自民党の方は嫌がるかもしれませんが、私もおったんですけれども、小泉改革なるものによって、そうした社会的責任を果たすんじゃなくて、人件費をどんどん切り詰めていく、また、下請、孫請に対して、もうかりそうでない値段でぎりぎり仕事をやらせる、それをやっても構わないんだ、市場原理至上主義が極端な形でこの10年間日本じゅうに蔓延して、ある意味で常識になってしまいました。本当に私はそう思います。それが常識になったことをこのまま続けて、日本という国が本当に幸せな国になっていくのかということに対して、私は大変な危惧を持っております。
 かつての日本は、みんなで苦労してみんなで楽しむ、果実はみんながこれを分け合う、そういう社会であったと思いますので、そういう方向を鳩山政権は目指しておる、このように確信をいたします。であればこそ、国民新党は連立を組んでいるんです。
○佐々木(憲)委員 次に、ゆうちょ銀行の預金保険料の問題についてお聞きをしたいと思います。
 ゆうちょ銀行が預金保険料を支払うようになったのは、これはいつからそうなったのか。なぜ支払うようになったのか。このことについて、監督局長から事実関係だけ報告をいただきたい。
○畑中政府参考人(金融庁監督局長) お答えいたします。
 ゆうちょ銀行が預金保険料を支払うようになりましたのは、ゆうちょ銀行が平成19年10月に民営化されまして、銀行法上の銀行になったということによるものでございます。
○佐々木(憲)委員 民営化する前は払っていなかったんですよ。何も負担はなかったんです。それでちゃんと回っていたんです。
 預金保険制度の仕組みは、金融機関が破綻した場合に資金援助を行う、そういう仕組みで、その業務に必要な費用、これは預金保険機構が金融機関から預金保険料を徴収して賄っているわけです。この預金保険料を積み上げ、預金保険機構にプールさせているのが、責任準備金というものであります。この預金保険機構の責任準備金は、2009年3月末でマイナス約9110億円であります。これも、減ってこうなったんですね。一番大きい欠損のあったときは4兆円に達しておりましたが、このような欠損金が発生した理由をまず確認したい。
 それから、今の保険料の保険料率ですね。これは平成8年に決められたものでありますが、それまで0・012%だったのが0・084%、7倍に引き上げられたわけであります。この引き上げの理由、これはどういうものであったか、これを確認したいと思います。
○畑中政府参考人(金融庁監督局長) お答え申し上げます。
 まず第一点目の、欠損金が生じた事由でございますが、御案内のように、預金保険機構の一般勘定の責任準備金につきましては、これまでに実施をされました破綻処理に伴う資金援助に係る費用支出等によりまして、御指摘のように、平成20年度末時点で9105億円の欠損になっているところでございます。
 第二点目の、平成8年、1996年に保険料率を0・012%から0・084%に引き上げた理由ということでございますが、まず法律上は、預金保険法51条の第2項によりまして、この保険料率につきましては、保険金の支払い、資金援助その他の機構の業務に要する費用の予想額に照らし、長期的に機構の財政が均衡するように、かつ、特定の金融機関に対し差別的な取り扱いをしないように定めなければならないと規定されております。
 この平成8年当時、0・012から、特別保険料を合わせまして0・084%に引き上げられた理由につきましては、当時の金融制度調査会の答申にもございますように、預金保険が発動されるようになったこの4年間と同程度の破綻が生じた場合にも対処し得るよう、この間の破綻処理コスト合計額である2兆円ないし2兆5千億を今後5年間で引き直し、それをカバーし得る料率として算定されたものと承知をいたしております。
 なお、一般保険料のみとなる平成14年度以降におきましても、借入金の早期返済と将来に備えた一定規模の責任準備金の確保が必要との観点から、現在まで実効料率としては0・084%が維持されているところでございます。
 以上でございます。
○佐々木(憲)委員 要するに、民間の金融機関が破綻をする、現に破綻をしたわけでありました、その金融機関を資金援助する、支援をする、それは、民間の銀行同士がお互いに保険料を出し合って預金保険機構をつくって、そこで賄う、これが筋でありました。それで今まで破綻処理を行い、また、それを一定の保険料引き上げで穴埋めしてきた。
 ところが、ゆうちょ銀行というのは、この民間の銀行破綻に関係ないんですよ。保険料も払っていなかった。払っていなかったにもかかわらず、ある時点で民営化だということになって、民営化なんだから払うんだと。こうなると、過去の銀行の欠損金を関係のない郵便貯金の利用者が穴埋めしてあげる、こういう構図になっているわけなんですね。
 この間、例えば、08年度保険料収入総額が6117億円、そのうちゆうちょ銀行は548億円。ゆうちょ銀行が預金保険制度に加入してから払った保険料の総額は、1170億円にも達するわけです。一体、こういう必要があるのかどうかという問題になるわけであります。
 ゆうちょ銀行というのは、金融機関の破綻を支援する理由は私は別にないと思うんですね。今、亀井大臣は、このゆうちょ銀行のあり方を全体として見直す、つまり、公的なものとして国の一定の関与を保持して、それで運営をしていくということにしたわけですね。したにもかかわらず、ここだけが民営のまま、そういう発想というのは、どうも私は納得がいかないわけであります。
 3月24日に亀井大臣と原口総務大臣が公表しました郵政改革に関する諸事項等についてによると、親会社に対する政府出資比率は3分の1を超え、親会社から子会社への出資比率は3分の1を超えるとなる。実質的に、ゆうちょ銀行の経営に対する国の責任は継続される。そして、亀井大臣も御答弁になっておりますように、ゆうちょには暗黙の政府保証がついているのと同じだ、こういうふうにおっしゃっているわけです。
 したがって、まずお聞きをしたいのは、ゆうちょ銀行が破綻する、そういうリスクが一体あるのか、まずここを確認しておきたいと思います。
○亀井金融担当大臣 破綻するようなことがあったらこれは大変な話でありますし、そういうことは私はないと思います。
 今議員御指摘の点でありますが、そういう面から見ますと、メガバンク、かつて大きな銀行もつぶれたわけでありますけれども、私は、破綻をする可能性があるかないか、そういう物差しを持って負担を決めていくというわけにはいかない、銀行法上の銀行である以上は、やはり同じように負担をしていただくということでおるわけでございます。
○佐々木(憲)委員 どうも亀井さんとしては、すっきりした方向に行っているなと思ったら、ここだけどうもあいまいなんですね。
 4月2日の当委員会で亀井大臣は、「私どもは中小の金融機関に対して、信用力においてメガバンクのようにつぶれる心配がないということもない、一方、ゆうちょは暗黙の政府保証といいますか、まさかゆうちょがつぶれることはない、」こう答弁されまして、違いを強調されているわけですね。
 リスクのある民間金融機関が業界でペイオフのため保険料を拠出し合うのは当然だと私は思うんですが、つぶれることのないゆうちょ銀行が預金限度額をふやす見返りに保険料を引き下げるということになるのは、どうもおかしいのではないか。ゆうちょ銀行が、つぶれることはないにもかかわらず保険料を負担しながら、民間銀行も含めて預金保険料を引き下げる、これは何かバーターのような感じでおかしいんじゃないか。
 本来こういうものは、民間銀行ですから、銀行は銀行、銀行同士のお互いの、いわば互助会のようなものでお互いに助け合う支援の体制をつくればいいわけでありまして、民営化をやめたゆうちょ銀行は、本来の筋に戻って、そういう余分な負担はせず、そういう資金があれば、労働者の非正規雇用を正規雇用にかえるときの費用として回すとか、そういう経営の改善、ユニバーサルサービスの改善のために利用する、そのために使うというのが本来の公共的、公的な機関の役割ではないのかと私は思うんですが、それでもまだ亀井大臣は筋の通らないことをおっしゃるんでしょうか。
○亀井金融担当大臣 筋が通らないと御指摘を受けて恐縮しておりますけれども、私が中小金融機関に対して、あなた方はメガバンクのような、信用力が劣るということで、営業上、預金者との関係で困るということであれば、1千万のペイオフの限度額を上げるという措置も検討してもいいですよということを私は申し上げておるわけでありまして、ゆうちょ銀行も一応銀行法の適用を受けております以上は、何もおつき合いというわけではございませんけれども、やはり一般法の中で生きておる以上は、三菱にせよ三井住友にせよ、つぶれる心配はないと思うわけでありますが、そこもちゃんと負担しておるわけでもありますから、やはりそうした負担はしていただくという今考え方でおるわけでございます。
○佐々木(憲)委員 筋が通らないのは通らないというふうにずっと私も言い続けていきたいと思いますが、本来ゆうちょ銀行は、郵便貯金は、こういう負担がなくてやっていたんです。この間、3、4年、そういうことを負担するようになった、その金額が1千億円以上、こういう状況なんですから、見直すというならもうちょっとしっかり、しゃきっと見直すということを要望して、質問を終わりたいと思います。

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