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その他 (同意人事)

2010年03月17日 第174回 通常国会 議院運営委員会≪聴聞会≫ 【562】 - 質問

議院運営委員会で人事官候補の聴聞会

 2010年3月17日、議院運営委員会で、原恒雄・元JR東日本副社長を人事官に再任する同意人事について、候補者本人からの所信聴取と質疑がおこなわれました。

 佐々木憲昭議員は、原氏がこの4年間、人事官として給与削減のマイナス勧告をおこなってきたことをあげ、これは小泉内閣が打ち出した総人件費抑制政策を「唯々諾々と従ったものだ」と批判し、「人事院の役割である労働基本権制約の代償機能を果たすことができるか」と指摘しました。
 原氏は「政府の政策によって、削減の勧告をするというようなことはない」などと弁解しました。

 原氏を含む同意人事は、3月25日の本会議で採決が行われました。

議事録

≪参考人所信発言と佐々木議員の質問部分≫
○松本委員長 まず、議事の順序について申し上げます。
 最初に、原参考人に所信をお述べいただき、その後、参考人の所信に対する質疑を行いますので、委員の質疑に対してお答えいただきたいと存じます。
 それでは、原参考人にお願いいたします。
○原参考人(人事官候補者(人事官)) 御指名をいただきました原恒雄でございます。
 本日は、このような機会をお与えいただきまして、まことにありがとうございます。
 人事院並びに人事官の役割等につきまして、私の考えておりますことを述べさせていただきたいと存じます。
 国家公務員制度は、我が国行政の円滑な運営を確保する上で、その基盤となる重要な制度と考えております。
 戦前の公務員人事が党派化し、混乱したことなどを踏まえまして、戦後は、国民に対し公務の民主的かつ能率的な運営を保障するということを目的といたしまして国家公務員法が制定され、その目的達成のため、中央人事行政機関として人事院が設けられました。
 人事院は、中立第三者機関として、人事行政の公正の確保と労働基本権制約の代償機能という役割を担い、現在まで人事行政施策を展開してきたものと認識してございます。
 そのため、人事院を構成する人事官には、国民全体の奉仕者たる国家公務員としての強い自覚と高い倫理観が求められるところであり、代償機関として職員の保護を図るとともに、国民各層や関係各方面の御意見を踏まえ、誠実かつ公正に職務の執行に当たることが求められているものと考えております。
 これまで、4年近くにわたり、人事官として公務員制度に携わってまいりました。こうした人事院の役割の重要性とともに、人事官の職務の責任の重さを認識しているところでございます。
 現在、行政を取り巻く環境が大きく変化する中にあって、公務員制度改革が重要課題とされ、検討が進められております。
 中でも、国家公務員の労働基本権のあり方の見直しにつきましては、公務員制度の基本的な枠組みや行政の執行体制に大きな影響を与える問題であることから、新たな制度設計を議論するに当たっては、全体の奉仕者としての役割やその職務の公共性など、民間と異なる公務に特有の論点についても幅広い観点から十分な検討を行い、広く国民の理解と納得を得るものとすることが必要と考えます。
 公務及び公務員に対して、そのあり方について厳しい指摘を受けておりますが、政治主導のもと、全体の奉仕者として高い専門性を持って職務を執行するという公務員制度の基本を生かしつつ、公務員が使命感を持って全力で職務に取り組めるよう、人事管理システムを整えていくことが重要であると考えております。
 人事院としましても、中立第三者機関として、必要な公務員制度改革の実現に積極的に協力し、適切にその役割を果たしていく必要があると考えております。
 私は、国鉄で、いわば官のシステムとして20年間勤務をさせていただき、その後、JRに転じまして、民間企業としての経営に携わってまいりました。そういった経験と、外部から公務の世界を見てきた、そういった視点に基づきまして、これまで、人事評価制度の導入と、その給与、任用への応用あるいは官民人事交流制度の改正など、広く国民の理解が得られるような公務員制度の実現に努めてまいったつもりでございます。
 このたび、人事官に再任されました場合には、引き続き、このような視点を失うことなく、人事院に与えられました使命の達成に努めてまいる所存でございます。
 また、その際には、国民の代表である国会での御議論を初め、いろいろな御意見に十分留意し、誤りなきを期してまいりたいと存じております。よろしく御指導を賜りたいとお願い申し上げます。
 以上、簡単ではございますが、私の所信とさせていただきます。
 ありがとうございました。
○松本委員長 ありがとうございました。
 これにて参考人からの所信の聴取は終了いたしました。
 理事会申し合わせに基づき、報道関係の方々は御退席をお願いいたします。
≪中略≫
○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 再任ということになりますと、人事官として4年間の活動が問われるわけであります。
 この間、私どもは、人事院の決定をめぐる問題を振り返りますと、小泉内閣が2002年に骨太方針を出して、公務員一律削減、総人件費抑制政策を打ち出しました。それにどう対応するかというのが問われたわけです。この政府方針に沿って、人事院は、2002年、初めてマイナス給与勧告を行い、さらに給与構造改革を進めて給与引き下げの勧告を重ねてまいりました。
 原さんが人事官に就任したのは2006年のころだと思いますが、その勧告は、給与の官民比較の規模を、百人以上だったのを50人以上というふうに拡大をしまして、本来なら給与増とすべきところを、勧告なし、こういう結論を出したわけです。
 昨年は、自民・公明政権、与党の政治的圧力だと私どもは思っておりますが、突然4月に臨時調査を行った、そして、特別給、夏のボーナスを削減するという勧告を行いました。
 従来、特別給というのは、毎年5月から実施される職種別民間給与実態調査において、前年8月からその年の7月までの1年間民間で支払われた特別給の実績を把握して、官民較差を算出した上で、8月に勧告を行う。たとえ夏のボーナスを削減する場合でも、12月のボーナス時に調整をするというやり方をしてきたんです。
 こうした人勧制度のこれまでのルールさえも一方的に踏みにじるというか、そういう乱暴なやり方をしたと私どもは感じております。
 公正中立であるべき人事院が、政府の意向に唯々諾々と従うというようなことで、果たして労働基本権制約の代償機能を果たすことができるのかどうか、このように思いますが、原さんの御意見を伺いたいと思います。
○原参考人 2002年ですか、小泉内閣で方針が出て、その後削減の勧告をしたという御指摘がございましたが、先生に申し上げるまでもなく、人事院の役目は、情勢適応の原則で、民間の給与を調査した上で決定するということでございますので、年々に、このところはほとんどマイナスないし据え置きという勧告が大半でございますが、基本的には、プラスにせよマイナスにせよ、そういったものの調査に基づいて勧告をするという形でございまして、政府の御方針で、例えば削減をするという形があるから勧告をこうするという性格のものではございません。
 それから、昨年夏のボーナスの点につきましては、異例の取り扱いを勧告させていただいたことは事実でございます。
 現実に、春闘段階、年をかえると今の段階、きょうが集中回答日のようでございますが、そういった段階でボーナスがかなり大幅に動きました。その前の年の12月というのが、余り大きくは変わっておりませんでした。
 公務員のボーナスにつきましては、前の年の12月のボーナスと夏のボーナスをもって公務員のその年の夏と冬を決めるという形になっておりますので、春が、民間の6月が落ちるということになりますと、公務員の6月、12月を大幅に切らざるを得ないという形に自動的になってくるわけですね。
 それで、現実に民間の6月がかなり落ちまして、このままいきますと、従来のルールでいけば、公務員の6月の賞与は前年出した数字に基づいて淡々と支払うという形になる。そういたしますと、自動的に調整を12月の賞与で事実上一度に行うという形になりまして、かなり大きな数字になりかねないという事実がございました。
 当時、自民党においてもそういう議論がなされたことは私どもも承知しておりますし、私どもも、民間の調査をする中で、そういった状況を踏まえて、12月に一度に削減をするのは問題が出てくるという認識であのような形をとらせていただいた。
 現実に、その後、春のボーナスをきちんと調査させていただきまして、数字が確定した段階で12月の支給もしたわけでございますが、結果的に6月に一部凍結をさせていただいた分以上の削減をするという形になりましたので、結果としては、それなりの穏当な形になったのではないかなというふうに考えているところでございます。
○佐々木(憲)委員 ありがとうございました。
≪中略≫
○松本委員長 これにて各会派を代表する委員の質疑は終了いたしました。
 これより自由質疑を行います。
 質疑される方は、挙手の上、委員長の許可を得て発言されるようお願いいたします。
 また、発言の際は、所属会派及び氏名をお述べいただき、一人一問一分以内としていただきますようお願いいたします。
 それでは、質疑のある方は挙手をお願いいたします。
○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭です。たびたび済みません。
 人事院は、中立公正、きちっと貫いていただきたい。
 一つは、公務員定員の一律削減というのが行われておりますが、非正規雇用の公務員が急増しておりまして、官製ワーキングプアと言われる人たち、これについてどう考えるか。
 それから、ILOの勧告が出されておりますが、やはり労働基本権、消防職員あるいは監獄職員などの団結権の保障まで言っております。これを受け入れるべきだと私どもは思いますが、どのようにお考えか。この点、お聞きしたいと思います。
○原参考人 先ほど、ワーキングプア絡みの御質問をいただきながら回答しておりません。大変失礼をいたしました。
 公務員にも一定の、非正規といいますか、非常勤の職員がいることは事実でございまして、かねてからいろいろと問題の指摘もございまして、給与そのものの議論もございますし、雇用形態そのものの議論もございます。それから、休暇とか病気だとか、そういった福祉的な問題もいろいろとございます。
 まず、できるところから手をつけていきたいということで、御承知のように、給与について一定のガイドラインをお示しさせていただき、また、福祉関係につきましても従来とは違う取り組みを一部させていただいてございます。ただ、原則が日々雇用という、かなり実態にそぐわない雇用形態をとっておりまして、これがまだ直っておりません。
 この問題が、それによって給与が直ちにどうこうということではございませんけれども、やはり安定的な雇用形態ではありませんし、現実とも違いますので、この点については余り時間を置かずに答えを出していかなければいけないなと思っております。
 世に言うワーキングプアから国家公務員の非常勤のワーキングプア、必ずしも同次元の話ではないと思いますが、国家公務員という国の制度でございますので、そこでいろいろな形態の雇用形態があるわけで、それにやはり国としてしかるべく対応をするというのが当然だと思います。それなりの努力を重ねてまいりたいと思います。
 それから、ILOの問題につきましては、かねてから、数次にわたっていろいろ勧告なり意見が出されておることは承知をしてございます。これまでも政府としての一定の見解はございますが、今たまたま公務員制度改革、基本権を含めて議論になっておるわけでございまして、どういう形にするかという点について私の意見は申し上げましたけれども、きちんとした議論をしていただいて、勧告は受けとめつつも、日本としてはこう考えるというのを、政府として御方針を出されるというのが順序なのかなというふうに存ずる次第でございます。
○松本委員長 他にいらっしゃいませんか。
 それでは、これにて原参考人の所信に対する質疑は終了いたしました。
 原参考人、ありがとうございました。

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