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税制(庶民増税・徴税), 雇用・労働 (大企業減税, 証券優遇税制)

2010年03月02日 第174回 通常国会 財務金融委員会≪総理出席≫ 【558】 - 質問

大企業は従業員の給与削り株主配当 佐々木議員の指摘に鳩山総理「驚いた」

 2010年3月2日、財務金融委員会は、国税関連法案について、鳩山由紀夫総理出席の質疑の後、討論・採決が行われました。
 佐々木憲昭議員は、大企業と中小企業を比較し、内部留保をとりくずしてまで株主配当に回す大企業の姿勢を批判。企業の姿勢についての鳩山総理の見解をただしました。
 佐々木議員は、資本金1億円未満の中小・小規模企業で役員給与を引き下げて従業員給与に回していることを示す利益配分の推移を示しました。一方、資本金10億円以上の大企業では、配当が2001年の3倍近く、役員給与も1割近く増加しているのに従業員給与は減少していると指摘しました。
 鳩山総理は「大企業と中小企業で配当への考え方に差があることに驚いた」と述べ、大企業と中小企業の配当の格差を認めました。
 佐々木議員は、経団連会長企業のキヤノンは当期純利益1316億円を上回る1358億円を配当、ブリヂストンも当期純利益10億4300万円の12倍にのぼる125億4800万円を配当に回している実態を明らかにし、その上、この配当に証券優遇税制による巨額の減税が行われていると指摘。「10%に下げられている課税を20%に戻すべきだ」と強く求めました。
 鳩山総理が「政府税制調査会で真剣に議論すべきだ」と答弁したのに対し、佐々木議員は「不公平を是正し、力のあるところに応分の負担を求めるべきだ。消費税増税は認められない」と強調しました。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 まず、総理にお尋ねをしたいと思います。
 配付をいたしました資料、これを見ていただきたいんですが、これは「企業規模別 利益配分の推移」というふうに見出しを書かせていただきました。左側は資本金10億円以上の大企業、右側は資本金1億円未満の中小・小規模企業のグラフです。
 2001年度を100として、これを基準とすると、大手企業の経常利益、青いところですが、一時期2倍以上となった後、リーマン・ショックを含む2008年度は126・7。ところが配当の方は、一時4倍近くふえた後、294・3。若干減ったとはいいながら、3倍であります。役員給与は107・1ということですね。従業員給与は98・5、これはマイナスでございます。
 一方、資本金1億円未満の中小・小規模企業はどうか。経常利益は余り伸びておりません。配当は141・0。注目したいのは、役員給与が95・6にとどまっているわけです。しかし、従業員給与は107・3、これはわずかながら増加をしております。
 このグラフをごらんになって、鳩山総理はどのような感想をお持ちになりますでしょうか。
○鳩山内閣総理大臣 佐々木委員に正直にお答えをいたしますが、やはり、大分大きな企業と中小企業との間で一番わかりやすいのは、配当金に対しての考え方が違うなというところでございます。
 これは企業でありますから、企業それぞれの判断というものが優先されるのは言うまでもないことだとは思っておりますが、少なくとも大手の企業の皆さん方が株主に対する優遇施策を重視されたのではないか、そのように考えておりまして、このように大きな開きがあるということは若干の驚きだと申し上げておきます。
○佐々木(憲)委員 大きな企業は、労働者の方については非正規雇用にどんどん置きかえていく。この背景には、労働法制の規制緩和というのがあったわけです。労働者全体の賃金水準を引き下げる、こういうふうになりました。そういうことをやりながら利益を生み出して、役員の給与、賞与をふやす、あるいは配当をどんとふやす、あるいは内部留保に回す、こういうやり方をしてきたわけです。
 しかし、中小・小規模企業はなかなか経営が大変で、役員の給与、賞与よりも、従業員の生活を何とか守ると。我々、話を聞いてみましても、家族同然のそういう人たちの暮らしを守りたいんだということで、むしろ従業員をふやして懸命に利益を上げようという努力をされているわけです。この姿がこの資料にあらわれているというふうに思います。
 個別の大企業について少し触れていきますと、例えば、経団連会長の会社、キヤノンですね。これは、当期純利益は1316億円であります。これは12月決算。それを上回って1358億円、配当に回しているんです。内部留保を取り崩しても配当に回すというような姿勢をとっております。
 今総理もおっしゃいましたように、小泉・竹中路線によってこういう傾向はやはり加速されて、全体として経済格差は拡大したというふうに私は思います。幾ら株主優先主義だといっても、この風潮はかなり行き過ぎているというふうに私は思うんですが、総理はどのようにお考えでしょうか。
○鳩山内閣総理大臣 大企業の中でも今キヤノンの例を引き合いに出しておられたわけでありますが、確かに、キヤノンについては利益を配当に極めて厚く充てているなと考えております。これは事実ではないかと思います。
 いずれにせよ、企業は株主のみで成り立っているわけではありません。特に、従業員に対する配慮、今派遣労働者がふえているということがありました。現実に大企業は、そのようなことで従業員に対する給料はむしろ下がっているという実態があるということでありまして、従業員やあるいは消費者、地域社会といった関係者の密接な協力があって初めて企業というものは成り立つんだという認識をしっかりと持たなければならない。企業は社会的存在だというふうに考えております。
○佐々木(憲)委員 ついでに言いますと、同じ12月決算のブリヂストン、これは、当期純利益は10億4300万円です。それなのに配当は125億4800万円。純利益の12・5倍を配当に回しております。この配当に、証券優遇税制によって巨額の減税が行われているわけです。既に私は予算委員会でも総理に御質問しましたが、この税率、今減税が行われて10%になっております。配当、譲渡益課税、当然これはもとの20%に戻すということが私は必要だと思うんです。
 この財務金融委員会でもこのことを議論してまいりました。菅大臣も、それは検討が必要である、峰崎副大臣は、すぐにでもやりたい、こういう話をされておられましたが、総理の決断をお聞きしたいと思います。
○鳩山内閣総理大臣 私がどのような株式を持っているということは全く別の議論であろうかと思っておりますが、いずれにしても、これは私ども税制調査会で真剣に議論するべき問題であろうかと思います。
 今佐々木委員が御指摘されたように、大企業の配当が極めて大きくなっているという現実があるわけでございます。一方で、これは時限的に、経済が必ずしもよくないという状況の中で、株価が必ずしも高くないという現実の中で、時限的に10%に軽減されているというのが事実ではないかと思っておりますが、この件に関しては、私よりも、より専門家であります菅財務大臣あるいは峰崎先生方にお任せをして、税調でしっかりと真剣に議論をされるべきだ、そのように考えます。
○佐々木(憲)委員 菅大臣や峰崎副大臣には何度も質問をしましたので、きょうは問いません。
 税率が軽減されているというのは、決して、それをやれば株が上がるというものではありません。やはり市場の信頼というようなことがまず第一、それから経済全体の活性化というものがあって初めて株価というのは上がってくるわけでありますから、それ抜きに、税率を下げれば株が上がるなんというそんな単純な話ではありません。
 今は企業の体質の問題が問われているわけです。これにどう新しい政権が対応するか、このことが問われているわけですね。財源問題も今議論になりました。したがいまして、やはり力のあるところに応分の負担を求め、そして、消費税のような逆進性のあるものは、これを増税するなどというのはやってはならない、私はそう思っているんです。
 そういう方向でぜひ検討して、こういう不公正なものは是正をしていただきたい、このことを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

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