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金融(銀行・保険・証券) (消費者金融・サラ金・ヤミ金)

2006年11月28日 第165回 臨時国会 財務金融委員会 【371】 - 質問

佐々木議員「警察はヤミ金取り締まりを徹底すべきだ」と質問

 2006年11月28日、財務金融委員会で、サラ金などの多重債務問題について佐々木憲昭議員が質問しました。

 佐々木議員は、特に違法な存在であるヤミ金業者の規制を徹底するよう警察庁に求めました。
 また、地方自治体が相談窓口を充実させることの必要性も強調しました。
 山本有二金融担当大臣は「(自治体への要請を)関係省庁と協議する」などと答弁しました。
 佐々木議員は、ヤミ金業者から不当な取立てを受けた被害者が今月、警察庁に被害を届けたケースを紹介しました。
 対応した警察官が、「借りたあなたが悪い」「私だってお金を貸せば取り立てる」などと答えたことを挙げて「あまりにひどい対応だ」と批判しました。
 警察庁の竹花生活安全局長は「事実なら、警察としてとるべき対応ではない」と答弁し、「積極的な事件化と被害防止に努めるよう指導する。弁護士や相談機関も紹介しながら、相談者の立場に立った対応をしたい」と述べました。

 また佐々木議員は、審議中の貸金業規正法等改正案が、貸金業協会に多重債務者のカウンセリングを担当させるとしている点について質問。
 「貸し手側が中立の立場になれるのか」と疑義を示し、愛媛県の女性が「債務整理」のため貸金業協会支部を訪れると、武富士の支店に行くように指示され、実際には利息が25%も上乗せされた例を挙げました。
 「カウンセリングには地方自治体の役割が重要になる」指摘。
 佐々木議員は、奄美市(鹿児島県)が弁護士会などと連携して多重債務者救済に取り組んでいることを紹介し「こういう取り組みを広げるよう、政府が各自治体に要請しては」と提案しました。
 これにたいして、山本大臣は「関係省庁と協議したうえで、その趣旨をまっとうしたい」と答えました。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 まず、山本大臣に確認をしたいと思います。
 今度の法案が通るとやみ金がはびこるという話がありますが、やみ金というものはもともと違法な存在であって、総資産が5000万円以上であろうがなかろうがきちんとこれは取り締まらなければならない、そういう対象だと思うんですね。やみ金は当然取り締まって、なくすべき存在だ。まず、そこを改めて確認しておきたいと思います。
○山本金融担当大臣 参入規制についてのお話であろうと思います。(佐々木(憲)委員「やみ金そのものについて」と呼ぶ)やみ金につきましては、違法な貸金業の状態にある者をやみ金と呼ぶだろうと思いますし、その場合は、出資法に定められている金利以上の金利で貸している者、あるいは貸金業法の登録を得ていない者、いずれも含まれるだろうというように思います。
○佐々木(憲)委員 つまり、そういうやみ金は違法な存在であって、当然取り締まりの対象であり、かつ、そういうものはなくさなければならない。当たり前のことだと思うんですが、そこを確認したわけです。いかがですか。
○山本金融担当大臣 取り締まりの対象でございます。
○佐々木(憲)委員 それで、警察庁にきょうお越しいただいておりますのでお聞きしますが、私は、4年前の平成14年、2002年4月24日に、内閣委員会でやみ金の取り締まりについて質問をしたことがあります。そのとき、警察庁はこういう答弁をいたしました。「相談や届け出に国民の方が警察に見えるわけでございますが、たとえその時点で警察にとっては犯罪等によることが明らかでないものでありましても、刑罰法令に仮に抵触しない事案につきましても、個々の事案に応じましていろいろな指導をする、あるいは警告をする、適切な措置を講ずるように第一線を指導いたしておるところでございまして、もちろん、刑罰法令に抵触する事案につきましては、迅速かつ的確な捜査を行うよう指導をいたしておるところでございます。」こういう答弁をいただいたわけですが、この基本的な姿勢は今でも変わらないかどうか、まず確認をしたいと思います。
○竹花政府参考人(警察庁生活安全局長) お答え申し上げます。
 警察庁におきましては、「貸金業の規制等に関する法律等の一部改正に伴うヤミ金融対策の徹底強化について」ということで、平成15年の8月4日付で各都道府県警察に通達を発しておりますが、この中でも、委員御指摘のことに関連をいたしまして、「被害者等からの相談・訴えに対しては、その心情に十分配意しつつ適切に対応の上、改正法を活用した積極的な事件化、警告その他被害防止上必要な措置を講じること。」として、各都道府県警察を指導いたしているところでございます。
○佐々木(憲)委員 その方向は非常に大事だと私は思います。しかし、現場の第一線における警察官に徹底されているのかどうか、これが極めて疑わしいと私は思っております。
 例えば、3年前の2003年6月14日、やみ金心中事件というのがありました。やみ金で1万5000円を借りて、雪だるま式に債務をふやされて、返済を迫られる。ついに、3人のとうとい命が心中という形で奪われたわけであります。このときも、被害者は警察に相談をしたんだけれども、まともに相手にされなかったということであります。
 2005年9月17日、これは別件ですけれども、大阪府貝塚市で65歳の男性がやみ金の取り立てを苦に自殺をしております。2万円を押し貸しされて、その利息の支払いを強要されて20万円を払わされた。貝塚警察署に何度も相談に行った。しかし、凶悪な取り立てがとまらなかった。それが自殺の原因であります。
 最近も同様の事件がありまして、これはことしの静岡県の事例ですけれども、警察に相談に行ったらこう言われたというんですね。危険でもないのにそんなことで相談に来たのか、そんなことはだまされる方が悪い、こう言われたと。また、生活安全課は事件を扱うところだから被害がなければ動けない、事件にならなければわからない、こういうふうに言われているわけです。
 現場の警察は、先ほどの答弁とは全く違うことをやっているわけですね。これは、国会の答弁と違う対応をしてもいいということなんでしょうか。
○竹花政府参考人(警察庁生活安全局長) 御指摘の事件で債務者が自殺に至ったことについては、非常に残念だと思いますし、それを警察の方は相談を受けていたということであれば、そうした自殺という最悪の事態が生じないようにできる限りの措置を講ずべきであったろうというふうに思います。ただ、突然の質問でもございまして、その二つの事件について警察の対応にどのような問題があったのかということについては、ここでお答えを申し上げることはできませんし、静岡の件についても、今私は初めて聞いたところでございます。
 多くのサラ金にかかわる相談を警察は受けております。その中で、残念ながら被害者の訴えを十分に酌み取れず適切な対応が講じられなかったという事例があるとすれば、それは非常に残念なことで、そのようなことがないように、今後とも警察庁としては、こうした適切な対応について繰り返し繰り返し都道府県警察を指導していきたいというふうに考えます。
○佐々木(憲)委員 ところが、それが徹底されていないといういろいろな事例を私はお聞きするわけなんですね。
 こんな事例もありますよ。東京都練馬区の光が丘警察署、今月の話です。被害者を仮にAさんといたしますね。Aさんは開業資金、運転資金のため商工ローンから借り入れた。それが始まりで、現在、商工ローンの負債約1000万円、サラ金1件10万円、サラ金、商工ローンの支払いのためにやみ金から10件約33万円の負債を抱えていたわけであります。
 それで、商工ローンとサラ金の負債については、弁護士と相談して、債務整理できる見通しができたわけであります。問題はやみ金なんですね。やみ金からは、わずか2万7000円を借り受けたわけですが、7日で1万5000円の利息を取られる。3回、今まで合計4万5000円を払わされた。しかし、残金を返せということで責め立てられまして、やみ金は、支払いの義務のない母親、おば、隣近所の方2軒、そこにまで、やくざ言葉で、Aが金を返さない、あんたが返せ、こういうことで嫌がらせの電話をかけまくる。
 そこで、警察に相談に行きました。初めは生活安全課に相談したんだけれども、刑事課に回された。それで、Aさんは、やみ金の取り立てで困っている、隣近所やおばにまで取り立てが来ている、迷惑がかかっているので被害を届けに来たんだということで行きました。
 そのときの警察の対応はどうだったかといいますと、その程度だったら警察では取り扱えない、あなたが借りたんだから返せばおさまることだ、借りたあなたが悪いんでしょう、私だってお金を貸せば取り立てはしますよと。警察がこういう言葉を言うとは、私は耳を疑いましたけれども、こういうふうに言われたというんですね。Aさんは、全く関係ないおばの勤務先にまで電話がかかってきているんだ、このままだと、その会社に迷惑がかかって、おばが首になってしまう、そういうふうに訴えたというんです。ところが、その警察官は、おばさんが首になったらそれはあなたのせいでしょう、こういうふうに言ったというんですね。
 これは余りにもひどい対応だと私は思うんです。こんな対応を、どこでもこんなことをやられたのでは、幾ら国会で立派な答弁をされても、本当に、何のための通達であり、何のための答弁かということになるわけです。この点について、具体的な調査をし、これはやはり全国的にも、しっかりとした対応をするようにという通達を、新しい法律もできる機会でもありますし、もう一度出し直すとか、具体的な対応が必要ではないかと私は思いますが、いかがでしょうか。
○竹花政府参考人(警察庁生活安全局長) 御指摘の練馬の案件につきましては、今初めてお聞きいたしましたけれども、それが事実であれば、警察としてとるべき対応ではないというふうに私は考えます。
 その具体的案件についての問題は少し別にいたしましても、委員御指摘のように、ちょうど、貸金業にかかわる法律の改正のこの機会をとらえまして、もちろん新しい規制の中身も加わりましたし、重罰化もなされる部分もございます。そうした新たな法律の内容について周知をすると同時に、これについてのさまざまな相談業務に対する対応のあり方、あるいは事件化に対する対応のあり方といったものについても、さらに通達を発するなどいたしまして指導を強めてまいりたいというふうに考えております。
○佐々木(憲)委員 今までの通達を見ますと、先ほど御紹介のあった平成15年8月4日付の通達がございます。それは、「貸金業の規制等に関する法律等の一部改正に伴うヤミ金融対策の徹底強化について」、こういうタイトルのものであります。この中で、貸金業規制法第42条の2に関する説明があります。「高金利を定めた金銭消費貸借契約の無効化」という説明であります。そこでは、「年109.5%を超える利息を内容とする貸付契約を無効化することとされたものである。」、こういうふうに解説をされております。また、「債務者は、本条により利息の支払い義務はなくなるものの、元本についてはなお、本条によれば不当利得として返還する必要がある。しかし、一方で、民事事件の裁判において、業者の行為が極めて悪質である場合など、貸付け自体が公序良俗に反し、元本が民法上の不法原因給付に該当するものとされて、元本を返還する必要がないと判断される場合もあるので、その点につき、誤解のないようにされたい。」、こういうふうに書かれているわけですね。つまり、法律の内容の理解をきちっとしなさい、こういう指示であります。
 また、ヤミ金融相談対応マニュアルというのもあるようですが、同様の内容が書き込まれているわけですね。
 ここで言われている意味は、109.5%を超える金利の場合は、金利は返さなくていい、払わなくていい。それから、極めて悪質な行為を伴うような場合は、借りた元本も返さなくていいんだ、こういうものだと思うんです。これは現行の法律の内容です。これは大変大事なことであって、警察もこれに基づいてしっかり対応するということが当然だと思うんですが、いかがでしょうか。
○竹花政府参考人(警察庁生活安全局長) 委員御指摘のとおりでございます。ただ、これは通達で一線に示している内容でございますけれども、通常の警察官の法律の知識からしますと、この通達の第四に書いてある意味合いというものをしっかりと理解し切れるかどうかということについては、すべての警察職員がそれが可能だということではなかろうというふうに思います。
 それで、元本を返すか返さないかという問題については、やはり判例上の問題でもございまして、さらに難しい判断があるであろうというふうに思います。したがいまして、警察庁といたしましては、こうした今の現行の通達について、もう少しわかりやすく一線に示せないかということについて今後検討してまいりたい。
 あわせて、そうはいっても、こうした法律上非常に微妙な問題を警察において完全に正確に相談者に説明するということを求められますと、それはまた無理もあるだろう。したがって、そういう点については、警察だけで対応しようとするのではなくて、やはり弁護士の皆さん方、あるいはさまざまなカウンセリングの機関もあるわけでございますし、今後そうした相談機関も紹介をしながら、相談者の立場に立った対応ができるように努めてまいりたいというふうに考えます。
○佐々木(憲)委員 問題は、いわば駆け込んできた被害者に最初に接触をする警察官の対応というのが非常に大事だという点であります。これが先ほど言ったような非常に問題のある対応をすると、解決に全くつながらないばかりか、被害を拡大することになってしまうわけであります。
 相談があった場合、今、警察の通常の法律の知識ではなかなか理解が難しいというような話がありまして、それを理解させるために具体的に対応を考えていきたいというふうに前向きな答弁がありました。
 例えば、困っているんだといって相談を受けた場合、年率1000%を超えるような異常な高金利を押しつけられたような相談が仮にあったとしますね。当然それは、この法律に基づいて、そんな契約は法律上無効になる場合があるんですよというぐらいは説明できると思うんですね。それは実際には、弁護士さんですとかあるいは裁判というようなもので決着がつく場合もあるでしょうが、しかし、最初の知識として、警察官が被害者に対して、それはひど過ぎるというような法律の紹介なども必要だろうと思うんです。
 それから、例えば特定のやみ金業者から何度も電話がかかってくるとか、先ほど言ったように、関係のない親族にまで、会社にまで電話をかけてくるとか、そういうことに対して、例えば相手がわかった場合、そのやみ金業者の電話番号がもしわかったら、直ちに確認のために直接電話で確かめるとか、やみ金業者そのものに一体どういうことなんだということで事情を問いただす、そういうことぐらいは最初の入り口のところで、初歩的な対応だと思うんですけれども、私はやるべきだと思うんですが、いかがでしょうか。
○竹花政府参考人(警察庁生活安全局長) 委員御指摘のとおり、相談を受けた当初に、債務者と貸した側との関係についての基本的な事項、例えばその契約が明らかに無効だというような場合、あるいは取り立て方が明らかに違法でとんでもないものだ、そうした事柄については、やはり警察としても相談者にきちっと示すべきだし、そのような知識を持てるように努力をいたしたいというふうに存じます。
 また、あわせまして、これはもう既にさまざまな事例でそういう工夫もしながらやっておるところでございますけれども、委員御指摘のような取り立てのやり方ですと、法律に違反するケースが多かろうというふうに思います。その場合には捜査に取り組む場合もございますし、しかし、そうはいっても、当座の危険を予防するために、当座の被害を予防するために、相手方に電話等で警告を発するといったことも現にこれはやっていることでありますし、今後ともやっていくべき手法であろうというふうに考えております。
○佐々木(憲)委員 先ほど、現場の警察官にわかりやすい内容、方法で徹底する、そういう手段も考えたいというふうにおっしゃいました。
 私は、警察庁のヤミ金融相談対応マニュアルというのを一部見せていただいております。やはり文章的にはなかなか難しい文章ですよね。したがって、現場の警察官が対応しやすいように、もっとわかりやすい言葉で、相談を受けた場合に親切な対応とはこういうことなんだよという具体的な事例も示し、また、こんな対応をしてはいけませんよというような、否定的なといいますか、やってはならない対応の仕方ということも具体的に示して、もっとわかりやすく、徹底する必要があると思うんですが、いかがでしょう。
○竹花政府参考人(警察庁生活安全局長) 御指摘のマニュアルの内容は、御指摘のように非常に精緻をきわめている部分がございます。これは、事件として検挙をする上で、例えば高金利事犯として検挙する場合には、何がどう高金利なのかということをやはりきちっと証拠立てることが必要だということもございまして、そういうものに対応するものとして書かれている部分もある、一方で、相談の部分はもう少し易しい基本的な部分もある、そうしたものが混在しているという状況でございます。
 全国に書面で示すということになりますと、余りアバウトな書き方はできないということのために、言葉上正確を期すとどうしても難しくなってしまうという側面もあるわけでありますけれども、そうはいいましても、先ほど申し上げましたように、基礎的な事柄についてもう少し易しく書けないものかどうか、検討してまいりたいというふうに考えます。
○佐々木(憲)委員 山本大臣に伺いますが、今こういう警察庁の新しい対応というものを検討されているということなんですが、当然金融庁も連携して、やみ金撲滅のためにしっかりとした対応をすることが必要だと思いますが、その決意を伺いたいと思います。
○山本金融担当大臣 この件に関しましては、国家公安委員長とも随時話をしておりまして、今後、多重債務者対策本部が設置されましたならば、より具体的に検討を深めたいと思っております。
○佐々木(憲)委員 そこで、今出た多重債務者対策本部の件でありますが、内閣官房にそれを設置する、いわば内閣を挙げて多重債務の克服に取り組むということであります。
 山本大臣は、再チャレンジ担当大臣ということで、これに正面から取り組むんだと言っておられるわけですが、内閣を挙げて、金融庁という範囲ではなくて、全体として取り組む、このことが今大変大事なことだと思うんですが、そういう姿勢に間違いありませんか。
○山本金融担当大臣 間違いありません。
 多重債務者の数の多さというのは、200万、230万と言われておりまして、これは一都道府県の数よりも多い数字でありまして、その意味におきましては、社会問題と単に言える事柄から、さらに深いものがあるだろうと思っております。これは単なる貧困対策等でもなければ、いわばネットワーク、セーフティーネットだけの問題でもないわけでありまして、相互関連しておりますので、これは内閣官房における対策本部で十分議論しながら実施していく必要があろうと思っております。
○佐々木(憲)委員 先週の参考人質疑で、被連協の本多さんはこういうふうに述べておられます。これはカウンセリングについてでありますが、そもそも貸し手側が中立になるというのは考えにくいということで、その具体的事例として、例えば愛媛県の武富士のカウンセリングの例を挙げておられました。
 とても相談になるような相手ではないと言っているんですね。本人が、もうとても支払いできません、大変ですということで相談に行くわけですから、それはやはり国民生活センターなり行政がきちっと中立的な立場でやるべきであって、貸金業協会には全く期待できないし、タッチさせるべきではない、このように発言をしておられました。
 山本大臣はこの発言をどのように受けとめられますか。
○山本金融担当大臣 御指摘のように、貸す側である貸金業協会がカウンセリングをやるのは問題であるという発言に対する所感でありますが、今回の改正では、貸金業協会の自主規制ルールとしてカウンセリングに関する事項を規定させ、これを当局の認可対象とすることにより、貸金業協会にもカウンセリングの一翼を担わせることとしております。同時に、貸金業協会の位置づけを明確化し、資金需要者等の保護等の目的に沿って、中立性を確保するため、当局による定款等の変更命令、法令違反等による認可取り消し、業務停止、役員の解任等の規定を整備しております。
 こうした法制のもとで、貸金業協会がその目的に沿って、中立性を保ちながら適切にカウンセリング機関としての機能を発揮することが重要でありまして、今後、貸金業協会にどのような形でカウンセリング業務を行わせるかについて、実務的な検討を進めてまいりたいと思っております。
 いずれにしましても、貸金業者も変わってもらわなければなりませんし、また、変える大きな要因として、貸金業協会の認可というものがあります。そして、さらにこれを実施していって、自主規制の中身等も、こちらも拝見させていただきながらやるカウンセリングでありまして、今考えるものとは少し状況が変わってくるというように期待しております。
○佐々木(憲)委員 この貸金業協会、あるいは貸金業者に対する被害者の不信感というのは、大変大きなものがあるんですよ。
 例えば、先ほど愛媛の事例がありましたが、当事者の訴えがここにあります。どういうことを言っているかというと、
 <松山市にある貸金業協会をたずねると、宇和島支部を紹介されました。紹介された住所を訪れると、そこは、貸金業者の事務所でした。その事務所で債務額などの話をすると、「担当の業者が、武富士とレイクに決まったから、宇和島の武富士支店に行くように」と言われました。
 協会の債務整理は、武富士宇和島支店の店内で行われ、武富士の支店長が取り仕切っていました。私は協会で債務整理を行えば、利息は支払わなくても良い、月々決まった金額だけを支払えばよいと聞いており、もう安心だと思っていました。
 ところが、整理の時点で、債務残高に対して25%の利息が上乗せされていました。手数料として1万円も支払うことになっていました。私はその時、利息制限法など知りませんでした。元金はそのままであり、遅延利息もついていました。
 私は納得がいきませんでした。しかし、大声で怒鳴る武富士宇和島支店の支店長が怖くて、この条件をのまなければ帰れないような圧迫した空気の中で、私は何も言えませんでした。債務整理の書類に署名捺印をさせられ、さらには保証人をつけるよう強制されました。>
 これは、本多参考人が愛媛の例ということで紹介をされた、愛媛のその被害者の、当事者の手記であります。
 こういう状況ですと、これはカウンセリングどころじゃないわけであります。債務整理どころか、債務をふやすために駆け込むような話であって、被害者をふやすようなものなんですね。こういうことは私は絶対にあってはならないものだというふうに思います。
 この点について、当事者のこういう訴えもありますけれども、例えば、日弁連が、これは2001年12月19日に全国貸金業協会連合会、全金連あてに出した申し入れ書というのがあるんです。これは債務整理に関連をする申し入れ書なんです。そこで言っているのは、貸金業協会には債務整理事業を行う権能がまずない、それから、貸金業協会の行う債務整理事業は、これは中立的ではあり得ない、それから三つ目に、貸金業協会の行う債務整理は多重債務者の真の立ち直りにつながるとは認められない、四つ目に、現実に行われている債務整理事業の内容について問題が多い。これは、日弁連自身がこういう問題点を指摘して、当事者にカウンセリングをさせるというのは問題ではないのかということを既に指摘されているわけです。
 この点について、大臣の見解を伺いたいと思います。
○山本金融担当大臣 現在における、そうした現在の貸金業の窓口業務が極めて遺憾なケースを醸成させている点につきましては、私も憂慮にたえません。
 したがって、この法案が成立後、貸金業協会の位置づけがさらに明確になりまして、金融庁といたしましても、法令違反による認可取り消しや業務停止、役員の解任というツールもございますし、また、今後、貸金業者の新貸金業協会におきましては、資格者、例えば消費生活アドバイザーという資格者を活用する等によって相談窓口を形成してもらう、また、47カ所の都道府県の窓口が新たに設置されるというようなことを考えまして、現在におけるこの相談窓口を一変していただくように、特に個々の債権債務の当事者としての集合体ではなくて、もっとさらに高い見地で、質の高い、中立性を担保できるような貸金業協会であるための方策を練ってみたいというように思っております。
○佐々木(憲)委員 この貸金業者の団体からやはりしっかり切り離して、全くそれと関連のない、第三者的な対応ができる、債務者、被害者の相談にしっかり対応できる、私はそういうものを目指すべきだと思うんです。
 今、少し前向きな話がありましたが、日弁連の方も、このように、もともと貸金業協会自身がそういうことをやる権能も、また役割も果たし得ないのだ、こういうふうに断言されているわけでありまして、そういうことを考えますと、やはり第三者的な性格をしっかり持たせた、別な対応というものが必要だろうというふうに思うんですけれども、その考え方について、もう一度確認したいと思います。
○山本金融担当大臣 おっしゃる意味につきましては十分理解するところでありますが、カウンセリング自体の窓口の希少化、非常に少ないという現実、これからして、できれば、こうした貸金業者の団体であっても、新しいそういう団体規制をつかさどる協会として、高い見地から中立的なアドバイザーができるように、こちらとしても注視してまいりたいと思っておりますし、また具体的な御指摘をいただければ、その都度、また考えさせていただきたいというように思っております。
○佐々木(憲)委員 今、そういう窓口が余りないということなのでやむを得ずという話がありました。しかし、私は、やはり公的な対応、今自治体の話もありましたが、これは大変大事だと思います。カウンセリングを直接やる能力は、当然、今後さらに自治体の側も育成していくということが大事だと思いますけれども、協会を窓口にするというよりも、むしろ自治体の方に窓口をしっかりあけて、そこで被害者の訴えをお聞きする、そういう形で対応することが大変重要ではないかと思っております。
 例えば、この一つの事例として、今でもしっかりやっているところもあると思います。奄美市の担当者がこういうことを言っております。これは2006年のクレ・サラ白書の中に紹介されておりますけれども、「行政が多重債務者救済を積極的に推進すべきことは地方自治法上からも明らかです。」と言っているんですね。地方自治法には、「地方公共団体は、住民の福祉の増進を図ることを基本として、」というふうに書かれている。「年間約8000人が経済苦・生活苦で自殺しています。彼らは将来に希望を見出すことも出来ず、唯一の解決策として「死」を選択せざるを得ない状況におかれたものと思います。これは国にとっても多きな損失であり憲法13条(個人の尊重、生命・自由・幸福追求の権利の尊重)の観点からも国・行政は多重債務者救済を積極的に推進すべきだと思います。」こういう決意のもとに取り組んでおられるわけです。
 この担当者は、多重債務問題に行政が積極的に取り組むことでこれらを緩和することができますと言っています。「奄美市では消費者行政窓口が県弁護士会や司法書士と連携を取り多重債務者対策を積極的に行い生活再建を図るべく、自立支援課・」こういう課があるんですね、これは生活保護担当課ということらしいですが、それから「収納対策課・国民健康保険課・福祉政策課等関係各課と連携を取り債務整理以外の問題も解決するよう支援しています。このことで多重債務に陥っていた方が次々と立ち直っていきます。」これはなかなか感動的な、そういう取り組みをみずから報告されているわけであります。
 私は、こういう担当者の努力というのは非常に今大事なことだというふうに思いますし、また、政府もこういう方々の取り組みを大いに励ます、そしてそれを広げていくということが必要ではないかと思いますけれども、大臣の御見解をお聞きしたいと思います。
○山本金融担当大臣 自治体の取り組みについて、さらに拡充し、督促をし、また連携をとれという御指摘でございます。
 おっしゃるとおりでありまして、現在でも自治体の消費生活センターは、平成17年度で多重債務の相談は6万3000件やっていただいておりますし、先生の個別のケースで奄美市の活躍ぶり等もございます。私も足立区のジョブカフェあるいはハローワークあるいは生活支援の窓口に行きまして、つくづく自治体の大事さというものを感得したところでございますし、そんな意味におきまして、今後こうした自治体が創意工夫でもって多重債務者の問題に取り組んでくれる、それぞれの地域地域の実情がわかった方がやっていただけるということになりますと、この多重債務問題というのは大変明るい見通しが出てくるのではないかというように思っております。
○佐々木(憲)委員 したがって、各自治体に対して政府としてぜひ要請を出していただいて、相談窓口を開くように、そして、その相談を受けた場合にはこのように対応すべきだというような、指示といいますか、あるいは要請、こういうものを出す用意があるのかどうか、はっきりとさせていただきたいと思います。
○山本金融担当大臣 総務省を含めた関係省庁の連携はもとよりでございますが、個別に総務省と、あるいは大臣と協議をするなり、おっしゃられる趣旨を全うしていきたいというように思っております。
○佐々木(憲)委員 この点は、ことしの1月27日の金融庁の貸金業制度に関する懇談会、この中で、議事要旨を見せていただきますと、カウンセリングについて集中的な聞き取りを行っておられます。この中で、例えば自治体以外でも、NPOの活動などを大変評価されていまして、こういう紹介もあります。「NPO等の活動としては、熊本にある「お金の学校くまもと」がある。カウンセリングの役割は法的解決に加えて、過重債務で二度と困らないように生活再建を支えることである。ここでは、積極的に、カウンセラーが相談者の自宅を訪問してカウンセリングするというようなきめ細かいことを行っている。また、弁護士の方が2名理事で加わっており、法的な問題に関する指導を実施している。」こういうふうな紹介があります。
 それからもう一つは、「岩手県の消費者信用生協は30年の歴史を持つ。非常に特徴的なのは、カウンセラーを約20名育て、岩手県の弁護士会とタイアップして活動を展開している」こういう紹介があるわけですね。
 これは、自治体だけではなく、さらにこういう民間も含めた連携ということを非常に重視してやっておられて、その取り組みがこの懇談会の中でも紹介をされているわけであります。
 私は、こういう取り組みというのは非常に大事だと思いまして、このネットワークを広げていくということが必要だと思いますけれども、いかがでしょうか。
○山本金融担当大臣 おっしゃるとおり、債務整理に加えて家計管理、この二つのアドバイスが重要でございます。したがって、法律専門家のカウンセラーに担当をいただきましても、さらにそれから先の自立という意味におきましては、法律専門家だけではできるものではありません。そんなものを補完していくには、どうしても自治体行政に頼らざるを得ないところがございます。
 したがいまして、委員御指摘のとおり、ネットワーク化というのが何より大事な話になってくるだろうというように思っております。
○佐々木(憲)委員 これは、多重債務者を救済するというだけではなくて、先ほどのやみ金の被害の訴えへの対応ですとか、そういう問題も含めて告発できるようなことが大変大事だと思いますけれども、いかがでしょうか。
○山本金融担当大臣 すぐれて社会の安定に資する大きな社会資本というべき存在になってくるだろうと思いますし、そこが確立し、円滑に運用が遂げられれば、我々としましても、貧困対策全体あるいは我が国の治安の維持まで含めて、お願いができる可能性は大いにあるだろうというように思っております。
○佐々木(憲)委員 内閣に設置をするという多重債務者対策本部、これの具体的な取り組み内容というものは、いつまでにどのような形で決められるのか。それから、今私が指摘したような問題も含めて、全体のこの取り組みの方針といいますか、それを示していただきたいと思います。
○三國谷政府参考人(金融庁総務企画局長) 内閣官房に設置されます予定の多重債務者対策本部におきましては、現在の段階では、カウンセリングの問題、やみ金の問題対策、それから全体の工程管理、こういったことについて幅広く取り組むことを想定しているところでございます。
 この中身につきましては最終的に内閣官房の方の御判断でございますが、私ども金融庁といたしましても、これまでのさまざまな御指摘、御意見等を十分吟味しながら、前向きにこの問題に対処していきたいと考えているところでございます。できるだけ速やかにこういったものにつきましても進めさせていただきたいと考えております。
○佐々木(憲)委員 これは、法律ができるできないにかかわらず、当然内閣として取り組むべき方針だろうと思うんですね。したがって、法律の全体の施行は3年後とか2年半とかという話になっておりますが、これは直ちに取り組むべきだと思います。
 大臣、これは大体いつまでにその方針を決め、どのように、いつから取り組むのか、具体的な対応策を示していただきたいと思います。
○山本金融担当大臣 これは、法案審議の状況も踏まえつつ、できるだけ早期に設置されるよう、内閣官房及び関係省庁と協議していくつもりでありますが、まずは、官房長官が中心になるのか、あるいは総理なのか、そんなことが決まってからこうした設置が行われるだろうというように思っておりますので、早急にやっていただくようにお願いを各省にしていきたいと思っております。
○佐々木(憲)委員 この早急にというのは何度も言われるんですけれども、大体どの程度の期間を、そういうことをされるんでしょうか。
○山本金融担当大臣 これは、いわば官邸がお決めになる話なので、私ども、つぶさにその時期を明らかにすることまで報告をいただいていないんですけれども、しかし、そんなに悠長に待っているわけにはいきませんので、直ちにということは、この法案成立後直ちにという解釈で、できればでございますが、相手と相談したわけではありませんが、私の意識では年内にはやっていきたいなというようには思っております。
○佐々木(憲)委員 以上で終わります。

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