アドレス(URL)を変更していますのでブックマークされている方は変更してください。
<< ホームへ戻る

金融(銀行・保険・証券) (中小企業融資)

2001年09月21日 第152回 臨時国会 財務金融委員会≪日銀報告質疑≫ 【138】 - 質問

大企業に緩く中小企業には厳しい大銀行の貸し出し姿勢、日銀総裁に改善を求める

 2001年9月21日財務金融委員会で、佐々木憲昭議員は日本銀行の「半期報告」との関連で、速水総裁に質問しました。

 佐々木議員は、最近の相次ぐ公定歩合引き下げなど金融緩和政策がとられているが「金融政策」の決定にあたっては、「庶民の預金目減りなど消費生活にどのような影響を及ぼすかを十分留意したうえでのぞむべきだ」と指摘しました。
 そのうえで、この間の「金融緩和」で国内銀行の貸出残高が、97年3月から01年6月までに39兆円(比率にして8.1%)も減っていること。内訳をみると、大企業への貸し出しが、7.9兆円(8.2%)のプラス。その一方、中堅・中小企業に対しては46.8兆円(12.2%)のマイナスとなっている実態を明らかにし、中小企業融資に厳しい銀行の姿勢を改善すべきであると提起しました。

 また、佐々木議員は、「『金融緩和』で日銀と銀行の間にお金はジャブジャブある。しかし末端まではまわっていない。大事なことは国の政策として個人消費を回復させること、大手銀行の中小企業への貸し出し姿勢を転換させることである」と強調しました。
 これに対して、日本銀行の速水総裁は、「日本の中小企業は大切な存在だが、いまのままでは競争力のないものは落ちる。銀行としても将来見通しの暗い企業に対してどうすれば生き返らせられるか、その指導性を持って臨むことが大事」と答えました。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 日銀はことしに入りまして、主なものだけでも2月、3月、8月、9月と、連続して金融緩和政策を追加的に決めてこられました。この間、公定歩合は0・5%から0・1%、この九カ月の間に五分の一であります。0・1%というのは、もうこれ以上下げられないぐらいの低い水準だと思うわけです。日銀の当座預金残高の目標も繰り返し引き上げられております。これは、景気後退を抑える、あるいは市場の動揺を防止するということがねらいだと思いますけれども、同時に、私は、重視しなければならないのは、その副作用の面、マイナス面もよく見て対応するということが大事だろうと思うんですね。
 そういう点で、例えば報告書を拝見いたしますと、九ページのところで「消費者心理は12年度末にかけてやや慎重化した」というふうに書かれております。この点は、ことしに入りましてより一層慎重になっているというふうに思うんです。
 今回、公定歩合がさらに引き下げられましたけれども、これが庶民の預金金利にどのようにはね返るのか、その影響というのをどのように見ておられるか。ことしに入って何回か下げられましたが、ことしに入って実施されたその影響全体としてもどのようにとらえられているか。最初にこの点についてお聞きをしたいと思います。
○速水参考人(日本銀行総裁) 確かに長期間低金利で、家計の預貯金を持っておられる方々には非常に長い間我慢していただいているということは言えようかと思います。ただ、物価が比較的、インフレのときと違いますから、元本の減価というのは起こっておりません。そういう意味では、庶民からの声というのは、確かに金利はいつ上がるのかという御懸念が多いんだと思いますけれども、金利収入に依存しておられる家計では大変厳しい状況におられることは私どもも十分わかっているつもりでございます。
 ただ、金融緩和のもとで企業活動が活発化して、そして賃金や雇用環境が改善していくようになれば、最終的には家計にも好影響が及ぶということが期待されるわけでございまして、そういうことを私どもは実現したいと思って、今この低金利で金融調節をやっている、資金の供給緩和をやっているということを御理解いただきたいと思います。
 これまでのところ、日本銀行の思い切った金融緩和が経済活動の活発化にはまだつながっていないということは認めざるを得ません。金融緩和の恩恵が家計にもたらされるためにも、金融システム面で、また経済産業面の構造改革というものが着実に進んで、金融緩和の効果が十分発揮されていくような環境を整備していくことが最も緊急に重要なことではないかというふうに考えております。
○佐々木(憲)委員 今おっしゃったように、この金融緩和政策によって企業活動が活性化し、それが家計にはね返るということを期待されているということでありますが、問題は、先ほど来も議論がありましたが、この金融緩和を進めていっても、実態的には、銀行から先、末端までなかなか融資がふえていない、貸し出しがふえていない、こういうのが実態ではないかと思うんですね。
 まず、事実関係をお聞きいたしたいと思うんですが、国内銀行の貸出残高の総額ですけれども、1997年の3月を起点にして、ことしの6月、一番新しい数字だと思いますが、この間に貸出残高は何兆円減りましたでしょうか。比率にして何%のマイナスになっているでしょうか。担当の理事の方で結構ですが、お答えいただきたいと思います。
○増渕参考人(日本銀行理事) 私からお答えをいたします。
 97年3月末の国内銀行貸出残高は、480兆7千億円でございます。2001年、ことしの6月末には、これが441兆8千億円になってございます。したがいまして、この間の変化幅は39兆円の減少、変化率で見ますと8・1%の減少ということになります。
○佐々木(憲)委員 大変な落ち込み方であります。約40兆近くこの間の貸し出しが減少しているわけであります。
 総裁にお聞きしますけれども、どうしてこういう落ち込みになったのか、その原因をどのように把握されているか、お聞きをしたいと思います。
○速水参考人 銀行の貸し出しがふえないというのは、やはり、借り入れの需要がないということと、銀行が不良貸し出しをたくさん持っていて、その方に気を引かれてリスクの多い貸し出しには手を出していかないというようなことがあるんだろうと思います。
 この点は、やはり民間需要が、民間が主導して経済が、いろいろな投資が行われ、場合によってはリスキーなものもあるかもしれませんけれども、構造の改革をしていくためにはやはりクリエーティブなデストラクション、創造的な破壊というものが必要なんだということをシュンペーターなどが言っているとおりでございまして、まさにそういう空気になっていけば銀行の貸し出しもおのずからふえていくというふうに期待しておるわけでございます。
 今の政権のこの構造改革の動きというものに私どもとしては非常な期待を持って、金融面からも下支えしていきたいというふうに思っております。
○佐々木(憲)委員 今、二つの問題をおっしゃったんですね。
 一つは、資金需要がそれだけないと。いわばこの間の景気が非常に後退しているということを意味していると思いますが。もう一つは、不良債権を抱えているのでリスクの多い貸し出しに手を出さないとおっしゃいました。
 そこで、問題は、構造改革を進めるとこれが解決していくというふうにおっしゃいましたが、私は短期的には構造改革というのは逆の作用を及ぼすというふうに思っておりますので、その議論についてはまた別にしたいと思いますが、そこでもう少し分析的に、今、押しなべて、全体として資金需要が、貸し出しが減っている、そして平均的に40兆円マイナスになっているというふうにおっしゃいましたが、企業規模別にその動向を見ていくと一体どういうことになるのか、この点を教えていただきたいんです。
 統計上、継続性を考慮しますと、大企業という分類があります。それから、中堅と中小企業、二つ合わせまして、二つのそれぞれの数字をお答えいただきたいんですが、この間、それぞれどのようになっていますでしょうか。
○増渕参考人 先ほど申し上げましたのと同じ時点について申し上げますと、まず大企業向けの国内銀行の貸し出しは、97年3月末で残高95兆7千億円でございます。これが、2001年6月末には103兆6千億円となっております。したがいまして、この間に7兆9千億円の増加、8・2%の増加ということになります。
 それに対しまして、中堅・中小企業向けにつきましては、97年3月末の貸出残高は385兆円、2001年6月末は338兆2千億円でございます。したがいまして、この間に中堅・中小企業向けは46兆8千億円の減少、12・2%の減少ということになります。
○佐々木(憲)委員 今、数字が言われましたけれども、全体として貸し出しの総額は減っている。その全体として減っている中で、大企業向けは増加しているわけです。約8兆円、増加しております。中小企業向けは46・8兆円の大幅なマイナスになっている。大変大きな乖離が見えるわけですね。つまり、中堅・中小企業向け貸し出しが極端に減っていることが全体の資金需要の低迷の原因になっているということがこの数字から言えると思うんです。
 そこで、総裁にお聞きしますけれども、大企業と比べて中小企業の場合は、これは需要がないというのは、資金繰りが楽だから借りなくて済んでいるのか、それとも、資金繰りが苦しいにもかかわらずなかなか借りることができない、こういうことなのか。その辺、どのように見ておられますか。
○増渕参考人 私から申し上げさせていただきたいと思います。
 この点につきましても、資金需要と、それから銀行、金融機関サイドの事情と両方あると思います。経済全体が低迷する中で、先行きの事業展開に伴う資金需要がなかなか出てこない、それが中堅・中小企業でより強くそういう事情が働いているという面もあろうかと思います。他方で、金融機関サイドでは、なかなかリスクをとれない、不良債権問題が大きいという情勢の中でリスクをとりにくい、そういう一般的な情勢がございます。
 個別の企業によってはそうは言えないわけですが、一般論としては、信用リスクは、どちらかというと規模の小さい企業について大きいというふうに判断する金融機関が多いのではないかと思います。そういう信用リスクの判断が銀行の貸し出し態度に反映いたしまして、中堅・中小向けには貸し出しがなかなか出ていかないといいますか、むしろ、資金需要が弱いということとも相まちまして、貸し出しが減るような情勢がある、そういうことではないかと思います。
○佐々木(憲)委員 その点が大変重要なポイントだというふうに思うんですね。ですから、金融機関の側の貸し出し姿勢、これをどう是正していくかということが、政策的課題としては大変重要な問題として浮かび上がってくると思うんです。
 日銀のこの報告書にもありますが、最近の統計を見せていただきますと、平成13年6月時点で、企業規模別に分類した企業の資金繰り判断というのがありますね。これは、楽であるという判断から苦しいという判断を引いて出した数字なんですけれども、この点は大企業と中堅企業、中小企業、三つに分類されていると思いますが、この数字は6月ではどういうふうになっていますでしょうか。
○増渕参考人 私どもの6月の短観の調査結果でございますが、アンケート先の企業のうち、資金繰りが楽であると答えた先の構成比から苦しいと答えた先の構成比を引いて算出されます資金繰り判断のDIでございます。企業規模別に見ますと、大企業がプラス12、中堅企業はマイナス3、中小企業はマイナス13となっております。
○佐々木(憲)委員 結局、企業の規模が小さければ小さいほど資金繰りが苦しい、大企業の場合には資金繰りが楽である、これが現状をあらわす数字だろうというふうに思うのですね。つまり、借りたいけれども中小企業の場合には融資を受けられない、ここを改善するというのが大事なことだと思うのです。
 金融庁は銀行に対して、経営健全化計画をつくらせて中小企業に対する融資をふやす、そういう指導をしてきておりますが、不況で経営が思わしくない中小企業の場合でも、やはり将来性をよく見て融資をするというのが本来の金融の役割、銀行の役割だというふうに思います。担保がある、ない、そこだけで判断するのではなく、その企業の将来性あるいは技術の特徴、経営者の能力、こういうところに着目して、今のようなこの不況の時代にどう中小企業を支えてそこを発展させていくか、これは日本経済全体にとっては大変大きな下支えになっていくわけであります。
 ですから、先ほど来の議論もありますが、銀行が何をやるべきなのか、銀行がやらなければならない課題は何かということを考える場合に、ネックになっている中小企業に対する融資の姿勢をどう改善していくか、ここが大事だと思うのです。
 つまり、日銀から銀行に対してはじゃぶじゃぶ、大変な融資の緩和というのが行われている、金融緩和が行われている。しかし、そこから先に行かないのは、大企業に対して貸し出しがふえているけれども中小企業に対してふえていない。中小企業というのは、全体としていいますと、中堅、中小企業は貸し出し全体の三分の二ぐらいを占めていると思うのですね。ですから、そこのところでしっかりと金融の機能が働かないということに問題があるというふうに思います。
 そこで、銀行の貸し出し態度でありますが、この報告書でも、34ページに主要銀行の貸し出し運営スタンスというのが表になって出ております。これが現在どうなっているか。昨年の7―9月期の統計があります。最近の数字ではことしの4―6月期がもう出ていると思いますが、企業規模別に見て、大企業向け、中堅企業向け、中小企業向けと三つに分類をいたしますと、企業規模別の伸びの傾向はどのようになっているのか、数字を示していただきたいと思います。
○増渕参考人 私どもで行っております主要銀行に対する貸し出しアンケート調査結果によりますと、貸し出しを積極化させた先の構成比から慎重化させた先の構成比を引くという形で算出いたしております貸し出し運営スタンスのDIというものがございます。これを昨年の7―9月と本年の4―6月の変化ということで申し上げますと、大企業向けは昨年7―9月がプラス六、本年4―6月がプラス13ということで増加いたしております。一方、中堅企業向けはプラス29からプラス20へと減少、中小企業向けもプラス42からプラス28へと減少という数字になってございます。
○佐々木(憲)委員 今の数字にも明らかなように、大企業向けに対しては貸し出し運営スタンスは大変改善されているわけです。ところが、中堅企業向けについては非常に渋くなっている。中小企業向けに対しては極端に減少している、極端にいわば貸し渋りという事態がある。これはもう我々たくさん訴えを聞いております。
 そうしますと、銀行のこういう姿勢の変化、これは私は大変重大だと思うのですけれども、銀行から先に行かない、その行かないという場合に何が原因かというと、銀行の貸し出しスタンスが中小企業向けに特に厳しくなっている、ここに大きな原因があるというふうに、今の統計でもはっきりしたと思うのですね。
 これはどのようにすれば改善ができるのか。銀行の姿勢そのものを改善しなければならぬというふうに私は思うのですけれども、総裁、どういうふうにお感じですか。
○速水参考人 今、銀行は収益をふやすことに非常に精力を注いでいると思うのです。収益をふやすという場合には、いい取引先をつかまえて貸し出しをふやしていくか、あるいはリストラをやるか、不良債権の償却なり引き当てを積んで、将来に向かっていい環境をつくっていくということだと思うのです。
 幾ら中小企業であっても、いいところにはやはり貸し出し、銀行あるいは公的金融機関も含めてでしょうけれども、地方の銀行あるいは信用金庫、信用組合といったようなところが貸出先を探して、いいところには非常に集中している、競争が激しいということも聞いております。そういうふうに、中小企業といえども競争力、将来への明るい見通しの持てる企業に対しては、貸し出しはほっておいても回っていくのではないかというふうに思うのです。
 そういうような点を考えますと、一つは、難しい、先延ばししてもどうも先行き見通しが暗いというところに対しては、やはり金融機関としては、ただ見捨てるだけでなくて、どうすれば生き返れるのか、生き延びていけるのかといったような指導性を持っていくことが必要ではないかというふうに私は思っております。それは、大銀行の支店であろうと地方銀行であろうと中小の金融機関であろうと同じことだと思うのですけれども、そういうことをやっていかない限り、日本の中小企業というのは、数も非常に多いし大切な存在であることは確かでございますが、このままでいけば、グローバライゼーションの波の中で競争力のないものが生き続けていくというのは難しいわけで、競争力をつけるべく金融機関が指導していくということが必要ではないかと思います。
 もう一つ、庶民に対してですけれども、これからもう少し大きな流れとして必要だと思いますのは、日本の庶民、家計の金融資産というのは、御承知のように、1400兆あっても、そのうち750兆ぐらいが預貯金になっているわけで、直接投資というのは13%ぐらいしかない。それは、国債や債券を入れても、株式を入れてもそういう状況になっているわけで、その辺のところは、金融機関や証券会社が一緒になって、もう少し、ファンドといったようなものでもいい、仲介機能を果たしながら家計に遊んでいる資金を、遊んでいると言ったら怒られますけれども、積み上げてある資金を生かしていくような使い方をしていくことが大切ではないか。
 来年ペイオフが解禁になりますけれども、預金者としても、やはりあるリスクを持って自分の金融資産を運用しようとしているときでございますから、そういうときに、銀行の選別が起こると同時に、また、多少リスキーでも利回りのいいものに投資をし、運用していきたいと。日本の今まで偏った、そういった間接金融方式というものを少し直接金融を加えてシフトさせていくようなことを、税制の面を初め、全体としてそういう流れに変えていく必要がある。
 このことは、みんながこのごろ言い始めて、動き始めているところだと思いますけれども、そういう過程の中で、いい企業に対してはいい投資家がついてくるというような形になっていけば、ベンチャーであっても投資家は必ず先を見て貸していくようになっていくんじゃないか。そういったことをやるのが、今まさに金融の構造改革の一つの面ではないかというふうに私も思いますし、多くの方が、そういう方向で今何をやるべきなのかということを見ておられるんじゃないかというふうに思います。
○佐々木(憲)委員 今総裁がおっしゃいましたが、銀行の貸し出し姿勢として、中小企業に対して、ただ見捨てるというのじゃなくて、競争力をつけるために、どうしたら生き返らせることができるか、そういう角度から指導性を発揮していただきたいというふうにおっしゃる、私も大変そのとおりだというふうに思います。
 ところが、現実には、不良債権処理だとかあるいはこの不況の中で、なかなかリスクをとらない。ともかくもうけの上がるところに資金をどんどんシフトさせて、いわば選別的な切り捨てが行われているというのが実態だと思います。その点、ぜひよく見て指導をしていただければというふうに思います。
 それから、家計の1400兆のお話がありましたが、私は、この資金がどう動くかというのは二つ大きな要因があると思う。一つは、将来の安心が各家庭で感じられるような状態。社会保障の問題、老後の問題あるいはリストラの問題、こういう点で安心感が生まれなければ、これはなかなか預金をおろして別な投資に回そう、あるいは買い物をしようというふうにならない。もう一点は、例えば株式にしろ何にしろ、市場そのものの信頼性が回復しないと、これはそっちに回っていかないというふうに思います。ところが、現実にはそれはなかなかそうなっていない、ここのところがやはり問題だろうというふうに思うのですね。
 最後に、総裁は6月19日の記者会見で大変おもしろいことをおっしゃったのですね。肥料や日当たりが悪ければ幾ら水をかけても植物は育たない、むしろ勢いを失ってしまうというふうにおっしゃいました。この意味するところは、じゃぶじゃぶ資金供給しても、実体経済がよくなければ、あるいは景気回復のための政策が適切に打たれなければ逆効果なんだ、こういうふうにおっしゃったというふうに思うのですが、大体そんなような意味でおっしゃったのでしょうか。
○速水参考人 おっしゃるように、幾ら水をかけても、やはりほかの面で、日が照らなかったり面倒見が悪かったりすれば成長していかないわけでございますから、育てていくためには、水をかけるだけでなくて、やはりそれこそ構造改革、その他税制の面とかいったようなことも含めて、育つような環境をつくっていくことが必要ではないかというふうに思います。その点は御指摘のとおりでございます。
○佐々木(憲)委員 やはりそういう点で大事なのは、金融政策というのは一定の範囲が限定されているわけでありまして、やはり全体の実体経済の活性化、とりわけその中でも、私は、家計消費、個人消費というのが非常に大事だと思っておりますが、それを活性化させるかどうかというのは、これは金融の仕事というよりも、むしろ国の政策であると思うのですね。
 そういう点で、私は、日銀の仕事というよりも、政府がこの点に全力を挙げるべきだ。特に、不良債権処理をともかく短期間で一気にやるなんて、こうやりますと、むしろ銀行の貸し出し姿勢がもっと悪くなって中小企業がばたばたつぶれる、こういう状況が生まれてしまうのですから、私は、その辺も根本的に見直すべきだという意見を持っております。
 政府・与党の中では、そういう政策を棚に上げて、何か日銀がうまくやれば全体が景気がよくなるかのような話もありますが、そう簡単ではない。やはり全体として政策そのものを、国の政策全体を転換する、とりわけ中小企業と国民生活、ここに焦点を当てた政策への転換というのが大変重要だというふうに思います。
 その点を申し上げまして、時間が参りましたので質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

Share (facebook)

このページの先頭にもどる