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財政(予算・公共事業)

2001年11月13日 第153回 臨時国会 財務金融委員会 【147】 - 質問

“国債30兆円枠”への帳尻合わせ、公共事業「長期計画」の見直しを要求

 2001年11月13日財務金融委員会で、2001年度政府補正予算案の歳入を補う「決算剰余金処理特例法案」の質疑が行われ、佐々木憲昭議員が質問に立ちました。

財政法破りの「決算剰余金特例法案」、「国債30兆円枠」への帳尻合わせ
 この法案は、毎年度の決算剰余金の2分の1を公債金等の返済財源に充てることを規定した財政法に特例をもうけ、2000年度分については補正予算案の財源にふりむけようというものです。

 質疑のなかで佐々木議員は、歳入を国債や借入金でまかなっているもとでは、毎年度の剰余金は「借金の使い残し」という性格を持つものだと指摘。「財政法は、借金の使い残しである以上、少なくともその半額は借金の返済に充てるのが合理的という考え方に基づいている。赤字国債が発行されているもとでは、なおさら返済に充てるべきではないか」と塩川財務大臣の認識をただしました。
 塩川財務大臣は、「法の趣旨はそうだが特例としてお願いしている」と述べ、法案が財政法の趣旨を破るものであることを認めました。
 佐々木議員は、法案が、補正予算での国債発行額を小泉内閣の「国債発行額30兆円」枠に収める「帳尻合わせ」のために財政法を破るものだと厳しく批判しました。



公共事業「長期計画」の見直しを要求 “法律は見直すが計画は推進”と財務大臣
 また、佐々木議員は、公共事業に関する「長期計画」の見直しを求め、塩川財務大臣の認識をただしました。

 佐々木議員は、塩川財務大臣が、11月2日の衆院本会議で「すべての公共事業で長期計画は必要であり、しっかりつくってほしい」と答弁したことをとりあげ、これまでの「長期計画を厳しく見直し、公共事業予算をおさえていく」と表明してきた立場から後退したものだと追及しました。
 これに対し塩川財務大臣は、「長期計画はどんどんつくって、開発を進めていただくことは結構だ」との考えを示しました。 
 その一方で、「長期計画を法律で縛ることが財政の硬直化につながってきた」とも述べ、「長期計画に関する法律を廃止または見直しするのか」との追及に「そのとおりだ」と答えました。
 佐々木議員は、抜本的に「ムダを削る発想で、計画も法律も見直さないと、財政改革にはつながらない」と公共事業の「長期計画」の全面的な見直しを求めました。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 まず、塩川大臣にお伺いをします。
 提案されている剰余金特例法ですけれども、財政法第六条第一項の趣旨は、国債や借入金で歳入の一部が賄われているという場合、決算でたとえ剰余金が出たとしても、それは真の意味で余ったということではなくて、借金をいわば使い残した、こういう性格のものだというふうに思いますが、そうは思われませんか。
○塩川財務大臣 もう一つ、ちょっとしっかりと質問の内容がわからないのですけれども、今おっしゃっているのは、剰余金が出たというけれども、剰余金以上に国債を発行しているじゃないかということですか。そうじゃない。どういう意味ですか。
○佐々木(憲)委員 では、もう一回言いますよ。剰余金が出た、その剰余金というのは、真の意味で余ったお金だというのではなくて、借金をして、その借金をいわば使い残したという性格を持っているものではないのか、このことを聞いているのです。
○塩川財務大臣 別にそれは、予算上、色気がついているものじゃございませんから、予算全体の中から余った金でございますから余剰金ですから、これは借金の余剰金だ、これは一般財源の余剰金だ、色ついてませんが、私にはちょっとわかりません。
○佐々木(憲)委員 全然認識がおかしいと思うのですね。つまり、ある予算を組む場合に、税収だけでは足りない、借金をしなければならない、国債を発行したり借金をする。そして決算をすると、その借り入れた部分も全部含めて、少し少なかったから剰余金が生まれる。この剰余金というのは、本来、借金のいわば使い残し、こういう性格になるじゃありませんか。これははっきりしているじゃないですか。
○塩川財務大臣 それは、中に入っているかもわかりませんし、また、どの程度のことかわかりませんし、要するに、予算の中で余ってきたお金です。
○佐々木(憲)委員 だから、そういう発想がおかしいと言っているのですよ。借金をしなきゃできない予算を組んでいるわけですから、それで余ったということは、借金の使い残しになるわけですよ。そうでしょう。
 だから、そういう意味でいいますと、借金の使い残しである以上、当然その半分を借金の返済に充てる、これは合理的なことであって、そういう考えに基づいてこの財政法第六条一項というものはつくられているわけですよ。単なる赤字の補てんである赤字国債が発行されている場合というのは、なおさらそういう性格を持っているわけですから、これは本来返済に充てるというのは当たり前のことだと思うのですけれども、そうは思いませんか。これが財政法第六条一項の趣旨だというふうに思いませんか。
○塩川財務大臣 当然です。返済に充てるべきものなんです。でも、特例でお願いしたい、半分だけ一般財源に使わせてもらいたいということを、それがために法律の手続をして出しておるわけでございます。
○佐々木(憲)委員 そういう意味では、財政法第六条の本来の趣旨を逸脱する、これを破るものであるということを今大臣がみずからおっしゃったわけであります。
 先ほども鈴木議員の質疑の中でも明らかになりましたけれども、今回の措置というのは、国債発行額30兆、この枠にいわば帳じりを合わせるためにこのような財政法を破る措置をとったということであります。そのことはもう事実上お認めになっているわけであります。
 そこでもう一つ、少し話をかえますが、本会議で、先週金曜日ですけれども、塩川財務大臣は公共事業の長期計画についてこのような答弁をされておりますので、この点についてお聞きをしたいと思います。
 道路に限らず、すべての公共事業等におきまして長期の計画は必要でございますので、長期計画はぜひひとつしっかりとつくっていただきたいと思うのでございますが、これが直ちにその計画と予算の拘束をする関係をつくっていただくならば、そうした場合は財政の硬直化を招きますので、計画はどんどん進めていただくが、しかし、予算の縛りはぜひとも自由にしていただくような、そういう計画であってほしいと思っております、こういう答弁をされましたね。これは一体どういう意味なのかということです。
 大臣はこれまで、公共事業を抑えるためには長期計画を見直さなければならない、それを財政を健全化させる重要な要素だとおっしゃっていましたね。この答弁によりますと、長期計画を自由につくっていただくというような言い方をされていますから、今まで長期計画の見直しと言っておられたことは一体どこに行ってしまったのか。長期計画を見直さないでどんどんやってもらいたい、こういう立場に大臣は大幅に方向、方針を変更されたのですか。この真意を説明していただきたい。
○塩川財務大臣 言葉のロジックを振りかえておられるような話ですね。
 私は、公共計画に限らず、すべての行政はある程度計画的でなければならぬと思います。ましてや、公共事業等は計画性のあるものでなければならぬと思っております。ですから、その計画はどんどんと進めてもらいたい、こう言っておるのです。中身を全部承認するという意味じゃありません。計画はどんどんやっていただいて、いろいろな意見を出していただきたい。
 しかし、現在公共事業に関する計画は、全部で長期計画は16本ございます。そのうちの11本でしたかが法律化されております。私の言っているのは、法律化することによって予算が拘束されている。皆さんよく言ったじゃないですか、予算が硬直しているからけしからぬと。この原因はこれなんですよ。これをやめてくれと私は言うておるのですよ。
 ですから、そこはわかっていただかなければならぬ。だから、計画はなければならぬ。けれども、これを資金繰りをきちっとつけて、これで総額幾らで毎年度これだけやります、そういう予算を法律で縛ってしまうやり方はやめていただきたい。けれども、計画は自由につくって、大いに国民にその計画の内容を説明していただいて、賛同していただくように勉強していただきたい、これを言っておるのですから、決して矛盾したものじゃございません。
○佐々木(憲)委員 どうも説明がよくわからないのですね。長期計画があるから、法定されているものがあるから予算が縛られる、だから長期計画そのものを見直さなければならないと大臣は今までおっしゃっていたわけですね。長期計画は自由につくっていいとは言っていませんよ。
 例えば、7月31日にこう言っているのですね。長期計画をもうちょっと厳しく見直してもらって、公共事業の全体の費用の削減を今までの7%程度よりもっと上回るものにしたい、例えば10%ぐらいになるかもわからぬ、そういうようなお話をされています。つまり、公共事業の長期計画を厳しく見直して、そして予算をその関係で抑えていく、こういう話をされているわけです。
 あるいは、5月31日、この財金委員会ですけれども、「やはり全面的にそういうものは見直していく」という発言をされていまして、「主務官庁で設定しておりますところの長期計画はまず見直していく必要があるだろうと思っております。法律で決められてあるものは、国会で決められたことでございますので、その趣旨を尊重して、その後の処置についてはともに検討していかなきゃならないものだと思っております」長期計画を見直すというふうに大臣は答弁をされているのです。
 なぜかというと、長期計画に縛られるから、その長期計画を見直して初めて予算が公共事業を抑制するという方向に向かうことができるわけです。長期計画は長期計画でどんどんおやりください、予算は予算ですという関係にはなっていないんじゃないですか。いかがですか。
○塩川財務大臣 何かロジックが混乱しちゃっているんですね。もう一度聞いてください。
 私の言っているのは、長期計画はどんどんやってください、それはいろいろなアイデアを出してやっていただいて結構です、けれども、予算をするときにはきちっと見直しますよということを言っておるんです。見直すということは、予算を見直すということですよ。そのぐらいのことはわかっていただけると思うんです。
 それと同時に、長期計画の中でも、ビジョンとして、そしてそのビジョンを、具体的なものを計画として出していただく、技術的に出していただく、その計画は進めていただきたい。そして、多くの方々に夢を、理想を与えていただく、そして開発を進めていただく、これは結構だ。しかしながら、その計画が何カ年、五カ年計画、七カ年計画として法律で縛っちゃう、これをやることは財政の硬直化につながってきた。今までずっと政府が苦労してまいりましたのは、この長期計画によるところの予算の配分、これを確約、法律で縛られてしまっておるから苦労してきたということを私たち体験してまいりました。
 佐々木さんは政権で担当、予算組んだことないからその経験はないだろうと思いますけれども、予算を編成する立場に立ちましたら、硬直化したそういう条件が前提としてある以上は、なかなか予算の柔軟性をとりにくい。そうしますと、実際、社会的ニーズの非常に強いものが出てまいりました場合には、それに対応するためには、特例国債とかいうものに頼らざるを得ないということを繰り返してきたんですね。
 ですから、そういう点がございますから、こういう法律で拘束されないものを私は言って……(発言する者あり)何ですか。
○奥山委員長代理 不規則発言はやめてください。
○塩川財務大臣 やじか、今のは。
○佐々木(憲)委員 ということは、長期計画に関連する法律というものは、法律があると縛られるので、その法律そのものを廃止または見直す、こういう意味ですね。
○塩川財務大臣 そういうことです。それで、どうしてもやむを得ないもので、どうしても政府として国民に約束をしていかなければならない、そういう必然性の非常に強い計画については、これは法律でやる必要はありましょう。そのかわりに、その法律の中においても、予算の硬直化に結びつくような条項は入れないでもらいたい、こういうことです。
○佐々木(憲)委員 つまり、長期計画によって縛られるような今までのようなやり方を見直して、長期計画、11本の法律に基づくこういうやり方については廃止する方向で基本的には根本的に見直す、そういうことによって全体として公共事業の予算を縮減していく、そういうことを意味するわけですね。
○塩川財務大臣 公共事業の縮小というものはそういう手法によらなくても十分にできることでございますし、そしてまた、あらゆる方向で縮減できますし、また、伸ばすところも出てまいります。それはそれなりで、それが見直しということになるわけでございますから、あながち、縮減することばかりじゃございません。
○佐々木(憲)委員 長期計画との関係で聞いているんですよ。予算そのものをどのように決めるかというのは、毎年の予算措置で、その段階で決めるわけですけれども、しかし、公共事業長期計画というものがそれぞれ十数本ある、それとの関係で縛られるという話で、今まで、この長期計画を見直すとおっしゃっていたわけなんで、ですから、長期計画を見直すということと関係、つまり法律があるとすればその法律も見直すということをやらないと、予算も縮減できないわけですよ。そういうことをやらないと、予算だけで何かできるわけじゃないでしょう。連携をしてやらないと、全体としてむだの削減にも公共事業の縮減にもつながらない、こういうことじゃないんですか。
○塩川財務大臣 長期計画の中で、法律に縛られておらない長期計画はその場で尊重しながら、その計画を尊重しながら、絶えず見直しをして予算に計上していくということを言っておるわけです。
○佐々木(憲)委員 どうも今の御答弁ですと、法律にある11項目の計画については手を触れない、法律にない、予算措置だけでできるものについては若干見直す、予算についての見直しを行うと。
 そうすると、長期計画の見直しと今までおっしゃっていたことと今答弁をされたことというのはかなりずれがあって、長期計画そのものを、いろいろな圧力があって、ゼネコンかあるいは自民党の中の勢力かわかりませんけれども、そういう圧力に押されて大臣自身が立場をかなり後退させている、そういう感じを私は今の答弁で受けました。
 私は、本当に見直すというなら、公共事業長期計画全体を抜本的に、むだを削るという発想で、計画も法律もきちっと見直すということをやらない限り、本当の財政改革にはつながらないということを、もう時間も参りましたので、申し上げまして、終わります。

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