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その他 (農林漁業・食の安全)

2001年11月21日 第153回 臨時国会 財務金融委員会 【149】 - 質問

狂牛病問題で打撃を受けた農家・中小企業への損害補償を

 国内で2頭目の狂牛病の牛が見つかったと報道された2001年11月21日、佐々木憲昭議員は財務金融委員会で、感染ルートの解明と、打撃を受けた農家・中小企業への支援を求めました。

 佐々木議員は、同日午前の記者会見で福田康夫官房長官が、全頭検査開始(10月18日)以前に汚染した牛肉が市場に流通した可能性が「あるかもしれない」と述べたことを指摘し、「こうした対応では国民が安心できない」と厳しく批判。飛騨牛で有名な岐阜県高山市の関係者の切実な声を紹介するとともに、三重県松坂市では卸売業37%、小売業57%、焼肉店60%も売り上げが落ち込んでいる実態を紹介しました。

 農水省が用意した融資制度「商肉処理販売等特別資金」には、2000件の相談がありながら利用者がわずか3件しかなく、「条件がきびしくて借りられない」との声があがっていると指摘。「困っているから申し込むのに、経営が悪いから貸さないというのでは対策の趣旨に反する」と批判。「狂牛病問題の責任は政府にあり、融資制度を利用しやすくするとともに損害補償もすべきだ」と求めました。

 損害補償について塩川財務大臣は、「関係省庁と相談して検討したい」と述べました。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 きょう、実は私は、狂牛病問題に関連して、中小企業に対する金融面の対策を質問することにしておりました。ところが、きょう北海道で二頭目の狂牛病の牛が見つかったということで、大変大きなショックを社会に与えております。そこで、質問に入る前に事実関係についてただしたいと思います。
 厚生労働省の食品衛生部長、お見えだと思うのですが、今回の二頭目の狂牛病の発見の経緯、それから、当然その感染源を特定するというのが大変重要だと思うのですが、その点についての調査をどのように進めておられるか、お聞きをしたいと思います。
○尾嵜政府参考人(厚生労働省医薬局食品保健部長) 経緯等についてお答えを申し上げます。
 御承知のとおり、10月18日から全国の屠畜場におきまして全頭検査を実施しておりますけれども、一昨日の19日に北海道の屠畜場で処理されました牛のうち一頭につきまして、いわゆるスクリーニング検査、エライザ法ということでやっておりますが、スクリーニング検査法で陽性になったというものが一頭出てまいりまして、帯広畜産大学におきましてウエスタンブロット法という方法によります確認検査を行いました結果、本日の午前に、ウエスタンブロット法によります検査結果が陽性であったということが判明したわけでございます。これを受けまして、本日午後5時より牛海綿状脳症に関する専門家会議を開催し、確定診断を行う予定にいたしております。この牛につきましては、メスのホルスタインでございまして、67月齢というものでございます。
 そのほかの御質問の関係で申し上げますと、全頭検査を実施いたします際に、いわゆる特定危険部位というものにつきましては屠畜場ですべての牛について除去、焼却処分をするということになっております。これにつきましても、既に特定危険部位については焼却をしたという報告を受けております。残りの内臓等につきましては、本日の専門家会議の結果を待ちまして、最終的にBSEであると判断されました際には、肉、内臓等についてもすべて焼却処分をするという段取りになっているというものでございます。
 それと、お尋ねの感染のルート等につきましては、私ども、情報につきましては農林水産省の方にお話を申し上げておりまして、農林水産省の方でそのルートについては調査をしていただくという段取りになっているところでございます。
○佐々木(憲)委員 国民の不安の解消というのが非常に大事だと思うわけです。そのためには、感染ルートを解明するということ、それから、感染した肉は流通には絶対に乗せないという具体的な措置、こういうものが必要だと思うのです。
 私がこの財務金融委員会でなぜこういうことを問題にするかといいますと、その影響が中小企業、農家はもちろんですけれども、流通やあるいは焼き肉屋さんなどの商店に大変大きな影響を与えている、これが地域経済にも大変深刻な事態を及ぼしているということで、その対策を議論するためにその前提としてこの問題をお聞きしているわけであります。
 そこで、もう一つ心配しているのは、全頭検査が始まったのは10月18日でありますが、その以前の牛肉でありますけれども、それが市場に流通していないという保証はどうもないようであります。
 厚生労働省にお聞きしますが、あるいは農水省でも結構ですけれども、10月18日以前の牛肉については、国がすべて買い上げて処分しないと国民は安心できない、こういう声があるわけですけれども、そういう対応は検討されているのかどうか、お聞きしたいと思います。
○小林政府参考人(農林水産省生産局長) 10月18日の全頭検査の前の10月17日以前に屠畜解体処理された牛について、これも当然安全でございますが、国民の不安につきまして念には念を入れて払拭したいということで、私どもの事業といたしまして、国産牛肉在庫を市場隔離するという形で実施しております。
 具体的には、全国的な生産者団体、そういった皆さんが、その会員などが所有しておりますただいまの17日以前に屠畜された国産牛肉在庫、これを買い上げまして、冷凍保管しております。これは冷蔵庫から搬出させないという形で完全隔離しております。
 市場隔離後の最終処分につきましてはこれからの検討でございますが、ただ、さまざまな選択肢を検討する、この中にはさまざまございますけれども、とにかく、消費者の皆さんに不安を与えることのないように市場に出さないということで、国の責任において万全を期したいということで対応しております。
○佐々木(憲)委員 きょう福田官房長官は、午前の記者会見で、全頭検査が始まった10月18日以前に汚染牛肉などが市場に流通したかどうかについてはこう答えているのですね。その辺のことはあるかもしれない、そういうことが今まであった心配はあると。可能性を認めたということでありますが、官房長官もこういうことを言っているような対応では、これは本当に安心できるような状況にはならないと思うのですね。もっと具体的に、完全に国が買い上げ、焼却する、こういうことをはっきりおっしゃらないといけないんじゃないでしょうか。いかがですか。
○小林政府参考人 今申し上げましたように、17日以前の市場隔離ということを進めておりまして、この処分方法、まだ最終的に決めておりませんが、今お話ございました焼却といったことも視野に入れて具体的な検討をしていきたいというふうに考えているところでございます。
○佐々木(憲)委員 本当に国民が安心できる事態を一刻も早くつくっていただきたいと思います。
 もう一点だけお尋ねしますが、9月の狂牛病の牛の感染源、これはいろいろ調査をされていると思うのですが、特定されましたでしょうか。
○小林政府参考人 こちらの牛につきましても、二つの大きな流れで今調査を鋭意やっておるところでございます。
 といいますのは、千葉で発生いたしましたその当該牛からいわばさかのぼった同居牛の流れですとか、それから、どういった飼料、えさですね、そういったものを食しておったか、そういういわば川下からの流通なりえさの給与状況、これがまず一つでございます。
 それからもう一つは、この感染源としては、やはり肉骨粉が非常に大きな原因と言われております。そういう意味で、輸入の肉骨粉を含めまして、いろいろな、どういった形でどの国から来たかということで、例えば海外の国も、イギリスとかイタリアあるいはデンマークといった国、それから近隣の東南アジアの国を含めまして、そういったところに調査員を送り、今その調査結果をまとめながら、両方から感染源の究明に努めておるところでございます。
 なかなかこれは大変な作業だと思います。ただ、この月内には何らかの形で一つの取りまとめをしたいということで、今鋭意作業を急いでいるところでございます。
○佐々木(憲)委員 いまだに特定されていない状況だということですね。
 それで、私は、国民の不安、これが消費の大変な落ち込みにつながっているわけでありまして、中小企業の営業にも大変な被害、深刻な事態をもたらしているというふうに思うのです。
 今の説明、それからやりとりの中で、三つの問題が明らかになったと思うのです。
 一つは、第二の狂牛病に感染した牛が発見されて、それはまだ5時の段階で最終的な結論は出るということですけれども、この不安が一つあるということ。それから二つ目は、10月17日以前の牛肉について、汚染牛肉が市場に流通した可能性があると官房長官が発言をされている、こういう問題。それから、9月に発見された狂牛病の牛の感染源、今、二つのルートで調査中ということですが、これもまだ特定されていない。こういう大変重大な事態に今なっているわけであります。そういう点で、政府のこれまでの対応についての国民の批判、これも大変大きなものがあります。
 この問題で、次に、中小企業の影響の問題についてお尋ねをしていきたいと思うんです。
 先日、私は、飛騨牛で有名な岐阜県の高山市に調査に行ってまいりました。農家ももちろん大変なんですけれども、卸売、小売、それから焼き肉店、これは本当に中小企業が大変な打撃を受けております。
 例えば、焼き肉屋のお話を聞きますと、売り上げが3割落ちたとか、あるいは半分になった、こういう話は幾らでもあるわけで、あるお店でお話を聞きますと、昼間はお客はゼロだ、夜になっても二人しか来なかったというようなことがある。牛肉に関連した中小企業の経営危機というのは本当に深刻であります。とりわけ、きょうの、第二の狂牛病の牛が発見されたということですから、さらにこのショックは大きいと思うんです。
 松阪牛で有名な三重県の松阪市ですね。先月の市の調査によりますと、販売の落ち込みは卸売がマイナス37%、小売がマイナス57%、焼き肉がマイナス60%、料理がマイナス25%と、平均してこの牛肉関連で45%売り上げが落ちているということであります。
 そこで、塩川財務大臣、柳澤金融担当大臣に基本的な姿勢をお聞きしたいんですけれども、これだけ大変な社会問題になっております狂牛病問題について、政府としても、直接担当の農水省とか、あるいは厚生労働省、経済産業省などはもちろんですけれども、財務省やあるいは金融庁としても、財政金融政策を動員して、中小企業の打撃を緩和する、あるいは救済する、こういうしっかりした対策を今の時点でなお一層強めていくべきだというふうに思いますけれども、その点について、それぞれの大臣の御見解をお聞きしたいと思います。
○塩川財務大臣 いわゆる狂牛病についてでございますが、これを未然に予防することと、安心をしていただくために徹底的な検査をしてほしいということにいたしまして、今回の補正予算で265億、予算計上いたしまして、関係省庁には依頼をお願いしてあるところであります。
○柳澤金融担当大臣 狂牛病、農水省の方で全頭検査をやってくれるというようなことがありまして、私自身も、もう二度ほど牛肉を口にして、そちらの方はもう大丈夫かというような気持ちになっておったところに、またきょうの発見ということだと、ちょっと出ばなをくじかれたような感じがしまして、本当に遺憾なことだというふうに思っております。
 それはそれといたしまして、私自身も、佐々木委員と同じように、焼き肉屋さんとかそういうような方々の業況ということについては、いろいろな機会に耳にして、大変心を痛めておるところでございます。
 しかし、私自身の行政の範囲につきましては、実は、狂牛病の問題とは直接言及する等かかわりを持たせてはいませんけれども、どうも最近の銀行を見ておりますと、マンパワー的にも不良債権の処理というようなことに力を注がざるを得ない状況になっておるように見受けられて、それで、そういうことのために前向きの金融の疎通というものに欠くるところがあっては困るというふうに私自身認識しまして、先般の改革先行プログラムにおいても、特にその点言及して、中小企業を中心として、もっと金融そのものの疎通というか円滑な供給に配意をするようにということを呼びかけさせていただいております。それからまた、現実にも、銀行の役員と申しますか、そういう集まりでそういうことを直接呼びかけているところでございます。
○佐々木(憲)委員 この問題は、これまでの政府の対応のまずさというのも非常に大きなものがあると思うんですね。肉骨粉の輸入禁止の問題についても、一遍の通達で済ませていたというような問題もありますし、そういう点でいいますと、政府の責任というのはやはり非常に大きいと思うんですね。
 これは、関係者のお話を聞きますと、融資で、お金を貸すから何とかしなさい、こう言われるけれども、しかし実際には、損害を受けた側としては、損害補償をしてもらいたい、こういう声が大変強いわけであります。
 例えば、岐阜県の大垣市で行った中小企業団体のアンケート調査では、借りると返済しなければならない、それはなかなかできないんだ、月の売り上げの減少の補償をしてほしい、こういう声がありますし、国と県に営業補償の話をしてくださるようお願いしますというような書き込みがたくさんあるわけでございます。やはり、こういう声に正面からこたえるというのが大事だと思うんですね。
 そこで、農水省にお聞きしますけれども、現在進められている狂牛病関連の中小企業向け対策、この中に、損失を補てんするとかあるいは損害補償というような、そういう内容が一つでも盛り込まれているのかどうか、事実についてお聞きをしたいと思います。
○小林政府参考人 今私ども、お話ございました流通関係の皆さん、飲食店あるいは卸、小売の皆さん含めて、一つ今のつなぎ資金の対応がございます。そこで、私どもの対策としてこれから何を重点に置いてやっていきたいかということは、今のつなぎ融資を通じて経営を改善していただくということとあわせまして、牛肉の流通がうまく円滑につながっていくということと、それから、やはり消費の回復でございます。
 そういったところへ対応するために、一つは消費拡大でありますとか、それから牛肉に対するいろいろな知識の普及、こういったものに対応していますのと、それから、先ほどもお話ございましたけれども、国産牛肉についての滞留在庫、これは市場隔離をするとか、それから調整保管でございますね、これは18日以後のあれですけれども、そういった対策を総合的に行うことによって、今の流通の円滑化あるいは消費の回復というものを図っていきたい、そういう方向で進めているところでございます。
○佐々木(憲)委員 損失補てん的な内容が一つでもあるかとお聞きをしたんです。いかがですか。
○小林政府参考人 流通関係の皆さんに対しては今申し上げた対策でございまして、その損失補償といった対策、直接的なものはございません。
○佐々木(憲)委員 経済産業省あるいは厚生労働省の対策もあると思うんですが、その中にはそういう損失補償的なものは盛り込まれているでしょうか。
○小脇政府参考人(中小企業庁次長) お答え申し上げます。
 私ども中小企業庁といたしましては、食肉の小売店あるいは焼き肉店など、経済的に影響を受けている関連中小企業の方々に対しまして、資金供給の円滑化のため、先月初め、速やかにセーフティーネット保証、貸付制度を適用することといたしたところでございまして、目下その的確な実施を進めているところでございます。
 お尋ねの損失補償に関する点でございますけれども、私ども、運転資金の融資、保証を行っているところでございまして、損失補てんといったものは考えてございません。
○下田政府参考人(厚生労働省健康局長) 厚生労働省でございますが、食肉販売店等の当面の資金繰りに関しまして、国民生活金融公庫におきまして特別に設けました相談窓口を通じまして、低利融資等の措置を講じているところでございます。
 先生御指摘の損失補てん的なものではなく、こうした融資制度を通じまして、食肉販売店の経営が安定するよう、引き続き努力をしてまいりたいと考えておるところでございます。
○佐々木(憲)委員 今、三つの省庁からお答えをいただいたわけですけれども、結局は、損害を受けてもその損害に対する補償というのはないわけですね。融資の制度を一定程度充実させるということだと思うんですね。しかし、実際に被害を受けた側からいいますと、国の責任でこうなったんだ、だから、貸すから何とかしろというのは一体何だ、こういう声があるわけですね。もとに戻してくれ、国の責任で我々が被害を受けたんだから国が全額補償すべきだ、こういう切実な声は、我々が回ってみますと、ほとんどの方がそういうことを言うわけです。非常に切実な声であります。何の補償もしないということになると、これはやはり国の責任を放棄するというか棚上げにして、お金貸すから自分たちで何とかしなさい、後で返しなさいよ、こういう発想だと、どうも国民の納得は得られないんじゃないか。
 塩川財務大臣、柳澤金融担当大臣、どちらでも結構なんですけれども、やはりこういう国民の声に少しでも前向きにこたえるというような対応を、これは予算上の問題がありますから、第二次補正なのか来年度予算なのかわかりませんが、こういう点について、もっと前向きに対応するというような姿勢をとっていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○柳澤金融担当大臣 何と申しますか、昨今のいろいろな事件、事故ということを機にして、非常にその悪い影響が業種全体に及ぶというようなことが確かに起こっているわけですね。テロの事件で旅行業者あるいは航空会社というものが不振になってしまうとか、今回我が国においては、狂牛病の発生で、牛の肥育農家あるいはその流通に携わる人、小売を含めて大変な影響をこうむってしまうということが起こっているわけです。これは、恐らく本当に経済がネットワーク化されているということの結果で、昔のように、それぞれの生産者なりあるいは流通というのがネットで結ばれていなくて、それぞれ独立していれば、ここまでいろいろな影響が及ぶということもないんでしょうけれども、そういうようなことが現代社会の一つの特徴の中で弱点を持ち始めているんだろうと思うんです。
 これに対して、では一体どうやって対処すればいいか。これも非常にある種のセーフティーネットの問題かと思うんですけれども、私自身は、実は農業の問題にかかわっておったこともありまして、今休んではいるんですが、農業共済の事業の責任者を務めていることもあります。ですから、生産農家の場合には、多分小林局長にこれは詳細を聞けばわかるでしょうけれども、あるいは共済の保険事故というようなことになるかもしれないというようなことはありますけれども、例えば損害保険で、事業そのものの成り行きについての保険をでは保険会社が引き受けてくれるかというと、これもまた難しいというようなことだろうと思うんですが、私の所掌からすれば、保険というものの仕組みの中で、何かこういうことに対する対処の方法はないかということが課題かなと思うぐらいのところでございます。
○佐々木(憲)委員 金融担当大臣ですから保険という話がありましたが、これはやはり財政的に、予算的な対応というのが大変重要だというふうに思うんですね。そういう点で塩川財務大臣の御見解、いかがでしょうか。
○塩川財務大臣 私も、この扱い方には全くなれておりませんし、またこれはいろいろ仕組みがあるだろうと思いますので、関係省庁と相談いたして決定していきたいと思います。
○佐々木(憲)委員 やはり国民の声に前向きに正面からこたえるという姿勢が非常に大事だと思うんです。
 そこで、中小企業庁にお聞きしますけれども、政府系中小企業金融関係三機関等に相談窓口というのを設置されていると思うんですが、この間に相談件数はどのぐらいあったでしょうか。また、その主な内容はどのようなものがあったでしょうか。
○小脇政府参考人 お答え申し上げます。
 私ども、経済的に影響を受けている関連中小企業の皆様方に売り上げ減少の問題が発生しているというところから、相談窓口の設置を10月4日から実施をいたしたところでございます。これまで、現在7500件ほどの御相談をいただいておりますが、その内容といたしましては、焼き肉屋さんの売り上げが大幅に減少した、あるいは食肉の小売店の皆さんが大変売り上げが減少している、そういった切実な声が多いということでございます。
 以上でございます。
○佐々木(憲)委員 用意された融資自体も、本当に役立つものになっているかどうかというのが次の問題になるわけですが、農水省に聞きますけれども、「食肉処理販売等特別資金のご案内」というリーフがあるわけですけれども、BSE(狂牛病)関連つなぎ資金という制度でございますけれども、これは今までに何件の利用がありましたでしょうか。
○小林政府参考人 相談件数といたしましては2千件弱の件数がございますが、貸し付け実行されておりますのは3件という状況でございます。引き続き私ども、この融資の普及、その周知に努めていきたいと考えております。
○佐々木(憲)委員 私は、せっかくこの制度をつくっても、2千件の相談がありながら実際上たった3件しか利用されないというのは、これは制度上に問題があるんじゃないか。話をいろいろ聞いてみますと、例えば償還期間が1年以内、1年たったら返しなさい、こういうわけでありまして、こういう状況ですから、深刻な不況のもとでまたショックを受けて消費が大幅に減っている、そういうときにこういう条件では、これは借りようとしても、すぐ返すというようなことがなかなかできないというので借りることができないんじゃないか。この点については、どのようにこれは改善されていくおつもりでしょうか。
○小林政府参考人 まず、ひとつ御理解いただきたい点でございますけれども、今回のこの対策に当たりまして、今先生御指摘ございましたように、私どものやっております1年のいわば本当に短期のつなぎ資金、これがございます。あわせまして、中小企業庁また厚生労働省にお願いしまして、それぞれ5年ないし7年の運転資金、こういったものを、いわば借り受けする立場の皆さんのそれぞれのニーズに合わせて使っていただこうという形でそろえてあるわけでございます。
 そういう意味で、私どもの方のこの1年の、本当に短期のつなぎ資金といいますか、まさにつなぎ資金でございますので性格上そうなるわけでございますが、そちらよりも、例えば中小企業庁さんの方で用意されている資金の方が今活用されているという状況だと思いますが、いずれにしましても、これは、私どもせっかく用意したこの短期のつなぎ資金につきましても、この趣旨を十分よく関係者に酌み取っていただいて、活用されるようにさらに努力していきたいというふうに考えておるところでございます。
○佐々木(憲)委員 ニーズに合わせて利用してほしいということですが、だから、結局ニーズがなかったわけですね、3件しかないというのは。つまり、非常に借りにくいわけですよ。ですから、これで合わない人はどうぞほかの制度へということでは、せっかくつくった意味がないわけでありますから、やはりもっと借りやすく、内容についても再検討し、充実していくということをぜひ検討していただきたいと思うわけです。
 では、厚生労働省にお聞きしますけれども、衛生環境激変対策特別貸付制度というのがありますね。その条件が私は非常に問題だと思うんですけれども、飲食店営業に当たっては、牛肉の仕入れ高が全食材の30%以上を占めているという条件がついているわけですね。これは条件がかなり厳し過ぎるんじゃないか。なぜ牛肉が30%以上を占めなければならないのか、なぜ20%ではだめなのか、この点について説明をしていただきたい。
○下田政府参考人 衛生環境激変対策特別貸付制度は、先生御指摘のように、全食材に占める牛肉の仕入れ高の割合が30%以上であるといったことを条件としておるところでございます。これは、この貸付制度そのものが緊急支援対策ということで実施をしておるということでございまして、ほかの貸し付けとは別枠で、かつ、金利におきましてもかなり低利であるといったようなことから、狂牛病の影響を特に受けている飲食店に重点を置いたといったことでこうした制度になっております。
 なお、この貸付制度の対象とならない飲食店につきまして、前年あるいは前々年と比べて売り上げが10%以上減少したケースにつきましては、9千万円程度の低利の運転資金を融資いたしているところでございまして、これにより、零細中小の飲食店の運転資金需要は基本的にはカバーできるのではないかと考えているところでございます。
○佐々木(憲)委員 それにしても、30%というのは余りに高いというふうに思うんですね。実際に、ラーメン屋さんが牛の骨髄などを使って営業していた、それは金額からいうと非常に小さいわけです、比率も低いわけです。しかし、その影響は、いわば100%その営業に及ぶわけですね。
 ですから、単純に牛肉の比率が3割だとかという数字であらわせない問題があるわけです。そういう実情に対応する制度的な改善というのがやはり必要ではないか、そういう点をぜひ指摘しておきたいと思います。
 それから、中小企業庁にお聞きしますけれども、経営支援資金というのがあります、あるいは運転資金円滑化資金。その条件としては、中長期的に業況が回復し発展することが見込まれること、こういうふうに書かれております。
 中長期的に業況が回復し発展するということが今の状況で確実に言える企業というのは、一体どのぐらいあるのか。そういう点を考えますと、これはなかなかそういうふうにはっきりと確信を持って展望があるというふうに言える企業は少ないんじゃないか。その辺は一体だれが判断するのか、その点についてお聞きをしたいと思います。
○小脇政府参考人 お答え申し上げます。
 基本的には、政府系金融機関におきましては、個々の中小企業者の実態やあるいは経営改善努力等を的確に把握し、事業の将来性を見きわめることにより融資の判断を行っているところでございます。セーフティーネット貸し付けの対象となる企業につきましても、基本的にはこういった融資判断を行うところでございますけれども、今御指摘の、中長期的に業況が回復し発展することが見込まれるか否か、各政府系の金融機関が判断するということになっているところでございます。
 一時的な業況の悪化などの経営環境の変化に直面している中小企業でも、販路の開拓あるいは商品の開発などの自助努力、あるいは市場動向によっては、中長期的な業務回復あるいは発展が見込まれる可能性は十分にございまして、現に、この厳しい状況下でも、昨年の12月末から本年10月末までに、セーフティーネットの貸し付け、3万2千件、1兆円以上が利用されているところでございます。
○佐々木(憲)委員 中小企業庁の文書によりますと、セーフティーネットという関連でいろいろな制度の提供をしているようですけれども、影響を受ける中小業者が別枠で利用できるというのが幾つか書かれているわけですね。これは当然今回の事態に対応した措置ですから、今まで、例えば借金があった、既往債があっても、あるいは返済の条件変更、こういうことをやった企業であっても、そういうことがあるから貸しませんよということになったらこれは利用できないわけで、別枠である以上、今までのそういう過去の債務やあるいは条件変更ということがあったとしても、要望に応じて借りることができる、こういうことが非常に重要だと思うんですけれども、この別枠という意味はそういう意味と理解していいですね。
○小脇政府参考人 私ども、セーフティーネット貸し付けあるいは保証につきましては、別枠ということで実施をいたしているわけでございますけれども、この場合、一般保証あるいは貸し付けで条件変更をしたとか、あるいは既に多額の債務を有している、そういうことをもってのみ直ちに別枠での保証、貸し付けが受けられないということではございません。そういった運用をしておりますし、そういった指導をしているところでございます。
○佐々木(憲)委員 ところが、実態をいろいろ聞いてみますと、条件変更があったから貸さないと言われたとか、つまり、返したいと思うから条件変更をしてもらったんだ、今まで苦しくとも、おくれることはあってもちゃんと返済している、それこそ寝る間も惜しむように家族で働きづめに働いている、なのに何で借りられないのか、制度があっても使えないのでは何にもならない、もともと今度の問題は、何もこちらが悪いわけではない、一番の責任者は政府だろう、その人たちがそのままで、何でこちらが苦労しなきゃならないのだ、余りにも理不尽だ、銀行の前で首をくくるか、こういう訴えが寄せられているわけであります。
 やはり困っているから借りたいということで申し込むのであって、あなたのところは営業が悪いから、困っているから貸しませんよというのでは、これはもう本当に見殺しにするようなものでありますから、対策の趣旨にきちっと適合するように対応するということが大事だと思うんです。
 やはりこういう訴えがあるということは、柳澤金融担当大臣に最後にお聞きしたいんですけれども、一番最初におっしゃったように、銀行の貸し出しの姿勢、中小企業に対してその営業の状況を支援するという姿勢が大事だとおっしゃいました。ですから、今回のこの制度、狂牛病対策で別枠で、既往債があっても別枠で貸すんです、こういう対策が出た以上、銀行自身も基本姿勢としてその趣旨に沿って、相手の業況をもちろん判断するんでしょうけれども、しかし、一律に切って捨てるようなことをしない、やはりこの制度の趣旨に沿ってやるようにということを、銀行に対してぜひそういう指導をしていただきたいと思うのですけれども、大臣の御見解を伺いたいと思います。
○柳澤金融担当大臣 おっしゃることはわかりますけれども、そういう政策的な観点からの融資というのは、やはりこれは基本的には政府の金融機関で行われるべきものだ、こう思います。
 私どもは、中小企業一般の方々への資金の円滑な供給ということは言っておりますけれども、さらに制度金融と密着した形でどうしても融資をしろということまで、細目にわたって民間の金融機関を指導していくということは、ちょっと現在の体制にはなじまないのではないかというように考えます。
 ただ、言っていらっしゃるお気持ちはよくわかりますので、そういう議論が国会でも行われているということは何らかの機会に伝えますが、狂牛病絡みで制度金融と何らかの連関を持った形での融資を行えというところまでは、なかなかいき切れない話だというふうに思います。
○佐々木(憲)委員 煮え切らない答弁でありまして、政府系金融機関というのは、民間がやれないことを積極的にやるという位置づけだから当然やらなきゃいけませんけれども、しかし、民間の金融機関も、やはりリスクをとって、こういう大変な事態ですから、中小企業に対する支援ということにもっと積極的に踏み出すように、ぜひ指導していただきたいということを要請したいと思います。
 もう時間が参りまして、予定しておりました銀行の融資のあり方、サラ金問題など質問できなかったのがまことに残念ですが、別の機会にそれはやらせていただきたいと思います。
 どうもありがとうございました。

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