2001年11月30日 第153回 臨時国会 財務金融委員会 【150】 - 質問
「まじめに働く中小企業を破たんに追い込むやり方やめよ」佐々木議員が追及
2001年11月30日、財務金融委員会で、佐々木憲昭議員は、金融再生法の改悪で、銀行が不良債権をRCCに送りやすくしようとしていることを批判しました。
佐々木議員は、債権額1000万円未満である貸出金などは原則、不良債権としての売り渡しができないことになっていた現行の規定の範囲が、「(改悪によって)これまでよりも拡大するのではないか」とただしました。
柳沢伯夫金融担当大臣は、「そういったもの(債権額1000万円未満のもの)が買取の対象になることは当然考えられる」と零細な中小企業にまで対象を広げる意図を示しました。
さらに、「中小企業の債権をRCCに売却するさい、債務者に了解をうるのか」とただした佐々木議員に対し、預金保険機構の松田昇理事長は、「債務者に対する通知、承諾が買取の条件にはなっていない」として、金融機関側の任意に委ねられていると答弁しました。
佐々木議員は、「これでは銀行がお荷物だと勝手に判断した中小企業が不良債権として大量にRCCに送られることになる」と批判。そのうえで、RCCが持ち込まれた中小企業の債権にどう対応するかが問われると指摘し、「送られた中小企業をいきなり破たんに追い込むようなことはせず、相手を尊重し、支援する姿勢をとるのか」とただしました。
鬼追明夫社長は、「できるだけ粘り強く債務者との間の納得ずくの弁済ということをめざす」と答弁しました。
議事録
○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
この法律案、改正案は、簡単に言うと、銀行が不良債権をRCCに送りやすくする、銀行にとっては大変使い勝手がよくなるものであります。
しかし、債務者にとってはどうかという問題があると思うんです。中小企業の場合は特に問題でありまして、今多くの中小企業は、大変長期の不況の中で業況が非常に悪くなっている、まじめに必死に働いてもなかなか経営が好転しない。そういう中小企業が不良債権というレッテルを張られてRCCにどんどん送られるということで果たしていいのだろうかという問題を感ずるわけであります。
そこで、あらかじめ金融担当大臣にお聞きしたいんですけれども、銀行としてはどのような基準でこの不良債権、中小企業などをRCCに売り渡すことになるのか、質と量の面から、今度の改正にかかわってお聞きをしたいのです。
まず質の面ですけれども、端的に言って、今までの破綻懸念先以下債権よりも範囲が広がるのか、要注意先債権の一部まで含めて広がるのか、この点まずお聞きをしておきたいと思います。
○柳澤金融担当大臣 現行どうなっているかということを申しますと、現行は、債権の債務者区分については、原則として破綻懸念先以下ということになっております。
この点は、私ども、変えるつもりはありません。要するに、原則としては破綻懸念先以下である、しかし、要注意先も完全に排除しているわけではない。この現行の枠組み、告示をしているわけですが、この枠組みで対処できるものと考えています。
○佐々木(憲)委員 次に、量的な面ですけれども、売り渡す不良債権の範囲でありますが、これはこれまでよりも広がるというふうに見てよろしいでしょうか。
○柳澤金融担当大臣 これは若干変更があり得るというふうに考えます。
現在では、告示で56条買い取りの承認を行うための基準ということがございまして、これも原則としてですけれども、1千万円未満のものや法的整理手続中のものなどは除外をするということになっているわけでございますけれども、この改正法が成立いたしますと、いろいろな状況により的確にまた円滑に対応していくためには、このようなもの、つまり1千万円未満の貸出金というようなものも、バルクセールに対応するというような見地からはここを何でかんで外せというようなわけにはいかないわけであろう、こう考えられるわけですし、また、法的整理手続中の債務者に係る貸出金についても、企業再生への対応などの点からいって、こういったものが買い取りの対象になるということは当然考えられますので、これらの点については法案成立の暁に検討をいたしたい、このように考えております。
○佐々木(憲)委員 そうしますと、今までは、中小企業で負債金額が1千万円に満たないものは対象にしなかった。しかし、これからはその告示を変えて、1千万円以下の零細な、いわば中小企業についても、これをバルクセールなどでRCCに売却できる、つまり、対象を広げるということになるわけですね。
私は、これは非常に重大だと思うのです。そうなると、つまりこれまで以上の中小企業が対象になる。中小企業の場合、不良債権というふうにレッテルを張られると、これはなかなか、再生はほとんど不可能ですよ。今までの実態、RCCに送られた実例などを見ましても、再生はRCCに送られた場合にはほとんど不可能であります。これからは再生と言うのですけれども、しかし、それでも非常に深刻な打撃を受けるのではないかと思うわけです。そういう対象が今までよりかなり広がるという可能性というのは相当あるというふうに思うのですが、それはいかがですか。
○柳澤金融担当大臣 ただいまお答えしたとおりでありまして、可能性としてはある、そこのところを見直すという気持ちでおるわけですけれども、これはまだそれを全部取っ払っちゃうとかというようなことについて結論が出ているわけではございません。ただ、可能性はあります。
○佐々木(憲)委員 具体的に聞きますけれども、それでは、預金保険機構あるいはRCCの鬼追社長、どちらでも結構なんですけれども、銀行がRCCに不良債権を売却する、中小企業を売却するという場合、その債務者に対して、つまり中小企業に対してそのことをどのように伝えるのか。
これは債務者の側から見たものですけれども、考え方ですけれども、中小企業の中には、RCCから突然連絡が来てびっくりした、売られたのは知らなかったという方だとか、何の断りもなしにRCCに送られるというのは余りにも強引過ぎるのじゃないかという声が我々に寄せられているわけです。
RCC送りという言葉がいいかどうかは別として、RCCに送られる場合に、銀行としてはあらかじめ債務者の了解を得るのかどうか、この点どのようになっているかお聞きをしたいと思います。
○松田参考人(預金保険機構理事長) 先生御案内のとおりでございますけれども、53条の買い取りは債権の移動でございますので、法律的に言うと指名債権の譲渡という関係になります。
民法上では、売り手である金融機関と買い手である預保、RCC間の売買契約によって債権の移動がとんと起きまして、したがいまして、そういう形態にございますので、債務者に対する通知、承諾等が買い取りの条件になっているということはございません。
ただ、債務者にしてみますと、譲渡禁止の特約がある場合とかあるいは対抗要件を移さなきゃいけない場合とか、特に根抵当の元本の確定手続が必要ですから、そういうときに必ずどちらからか通知をするとか承諾を求めに行くということで御存じになる、こういうことだと思います。
ただ、金融機関によりましては、事前ではございますけれども、そういう各種の対抗要件の手続等を円滑に行うために、事前に自主的な判断のもとに債務者にそういう移動があることをお知らせする、そういう運用をしているところもある、そのように承知をいたしております。
○佐々木(憲)委員 事前に連絡をするということは必ずしも決まったものではない、要するに、契約で売買だから、売られる当事者は知らない場合もある、こういうことですね。
では、売却される中小企業に、あなたのところはいつ売却されましたよと、その時期について当事者には伝えるのでしょうか。
○松田参考人 実務の慣行ですから、あるいは鬼追社長の方が適格かもしれませんが、移動する時期については、普通は金融機関側の任意の判断で債務者に伝えることがある、そういうふうに聞いております。
○佐々木(憲)委員 では、あなたのところは幾らで売却しましたよ、あなたの値段は幾らですよ、これは伝えるのでしょうか。
○松田参考人 それは通常伝えていない、このように承知しています。
○佐々木(憲)委員 そこで、提案者にお聞きをいたしますが、今お聞きをしたとおり、中小企業の側から見て、いつ自分のところが売却されたか、これは必ずしも伝わらない、あるいは幾らで売られたかもわからない、それからその条件もわからない、こういう状況でありますから、中小企業の側から見て、どうも何ら中小企業の側の要望というのはこういう売却には反映されないということであります。
しかも、負債金額1千万未満の中小企業にも対象を広げるというわけでありまして、これは銀行がいわば独断で、この中小企業はお荷物だ、これ以上面倒見切れないと勝手に判断して、バルクセールなどでぽんとRCCに送る、こういうことができるわけでありまして、これは中小企業にとっては大変迷惑な話であります。
提案者の相沢議員にお聞きしますけれども、こういう中小企業に対象を大きく広げてこういうことをやるということは非常に一方的じゃないかと思うのですが、どのようにお感じでしょうか。
○相沢議員 今の、1千万円未満あるいは係争中のもの等については除外しているというのを今度改正するということを検討されているようでありますが、それはやはりRCCの機能を従来よりもより発揮してもらいたい、こういう気持ちであるわけであります。
ただ、その場合に問題になりますのは、一つは買い入れの価格でありますので、これは債務者の側からいいましても、その買い入れ価格が時価よりも不当に低く評価されているということについては御案内のとおり問題があるわけでありますから、そこは時価にするということが一つ。
それからもう一つは、いわゆるRCCに譲られますと、言葉は適切じゃないかもしれませんけれども、俗に島送りというようなことを言われまして、ああもうこれでだめになったというような印象を与える心配がございますが、その点は、やはり今度の法律では、特に従来のような債権の回収整理ということだけではなくて、管理処分ということだけではなくて、やはり企業としての再生を念頭に置いていろいろと検討をする、そういうこともあわせて考えているわけでありますから。そこは、ただ、従来よりももっと中小企業に対して厳しくなってしまうんではないかということのないように我々も考えているつもりであります。
○佐々木(憲)委員 しかし、銀行にとっては大変RCCに送りやすくなる、しかも価格は時価でありますから、従来よりも売りやすい価格になる。これは先日の、きのうのですか、参考人質疑の中で、銀行の頭取が、問題は価格が安過ぎることだ、これが上がれば、時価で上がれば大変使い勝手がよくなると。そういう意味では、銀行にとっては使い勝手がよくなっていくでしょうけれども、しかし、それは反面では国民負担の増大ということが伴っていくわけでありますから。そういう中で、中小企業がRCCにどんどん送りやすくなる。中小企業の側にとっては大変大きな一方的な打撃を受けるということになりはしないか、この点を大変私は危惧をするわけであります。
そこで、RCCの側から見て幾つかの問題についてお聞きをしたいんですが、相対で価格が決まる、これが時価である、こういうことなんですけれども、では、その価格を決めるのはだれが決めるかという問題になるわけです。そこでお聞きをしたいんですけれども、預金保険機構とRCCに民間銀行の出向者あるいは出身者、これが何人おられるか、全職員数の中で何%を占めるか、それをお聞きしたいと思います。それぞれ。
○松田参考人 預金保険機構とRCCの職員構成の問題でございますが、まず当預金保険機構では、金融機関からの出向者、常用の方も含めまして166名おりまして、これは全体の約40%を占めております。RCCでは、金融機関からの、いろいろな雇用形態がありますけれども、合わせますと408名が在籍されていて、全体の2416名中17%ぐらいになる、こういうふうに聞いております。
○佐々木(憲)委員 その比率というのは大変高いわけですが、では、そのうち、銀行の籍を離れて、銀行を退職してRCCに移られている方がどのぐらいいるのか。それから、逆に聞きます。出向者、つまり銀行に籍を置いたままで来られているのは、銀行出身者のうち何%ぐらいありますか。
○松田参考人 パーセントの数字を計算してこなかったんですけれども実数で申しわけございませんが、預金保険機構の場合は、金融機関から来ております者が全部で166名おりますけれども、出向、銀行にとりあえず本籍があるという感じの人が150名。大半でございます。RCCの場合には、408名銀行関係者がおりますけれども、その中で出向者は278名、このように聞いています。
○佐々木(憲)委員 預金保険機構の場合は166人中150人、RCCの場合は408人中278人という数です。これは大変比率が高いんですね。
そうしますと、この法案では、相対で取引をする場合、そこで決まった価格が時価であるということになりますが、そうすると、この価格を決めるところに、仮に銀行の出向者がそこに参加をする、こういうことがもし起こったら、これは銀行の意向が、売る側の意向も銀行、買う側の意向も銀行、銀行に都合のいいようにどんどん価格がつり上がるのは、これはもう目に見えているわけで、そういうことのないような担保というのは果たしてあるのかどうか、その方針をお聞きしたいと思います。
○松田参考人 預金保険機構、RCCとも、今申し上げたようにたくさんの銀行の出向者がおります、金融機関の出向者がおります。ただ、今先生御指摘のような懸念がございますので、いろいろな意味でたくさんの事務に携わっておりますけれども、買い取りにつきましては実際問題として当機構、RCCとも、民間金融機関の出向者は当該出向元からの買い取りの事務には携わらせない、こういう仕組みをつくっておりますし、それから、金融機関以外の出身の役席の職員がたくさんいますので、それがそのまたチェックをするということもございます。
それから、価格の最終的な合理性をチェックするためには預金保険機構の中に外部の有識者を含めた買取価格審査会を設けておりますし、その体制強化もしたい、このように思っていますので、そこで合理性が担保されていくのではないか。
決して恣意的な値段はつけられないということでございますし、制度的な歯どめとして最終的には内閣総理大臣の承認も必要だということもございますので、そこでは今先生御懸念のようなことはないように我々は心がけていきたい、このように思います。
○佐々木(憲)委員 RCCに持ち込まれる不良債権というのはこれで増大をしていくということは間違いないわけでありまして、RCCに送られた中小企業は、先ほども話がありましたが、そういう話が伝わっただけでもうこの中小企業としては信用を失ってしまって、事実上破綻に追い込まれる、いわば処刑場に送られたような感じだというふうに言われているわけです。そこで、送られてきた、不良債権とレッテルを張られた中小企業に対して、RCCとしてどのようにここに対応するかというのが問われると思うんですね。
今度の法案ではRCCに新しい役割を付与しているわけですけれども、その立場から見て、送られた中小企業をいきなり破綻にどんどん追い込んでいくということをせず、中小企業の場合でも相手を尊重してできるだけ支援するという姿勢で臨むということが私は大事だと思うんですけれども、その辺の基本的な姿勢について、鬼追社長の見解を伺いたいと思います。
○鬼追参考人(株式会社整理回収機構代表取締役社長) 私ども、譲り受けました債権につきましては、まず第一義としまして、納得ずくの回収をしたいということでございます。したがいまして、債務者との間でいわゆる任意弁済というような形で交渉を行います。なかなか、債権回収のことでありますので、その条件が合う場合もあれば合わない場合も出てまいります。しかしながら、私どもとしては、できる限り粘り強く債務者との間の納得ずくの弁済ということを目指しております。
全社的な統計資料はなかなかちょっととりにくいわけでございますが、ある支店での平成12年度の資料でございますが、やはり任意弁済あるいは担保物件の任意売却、そういった方法での回収というのが50%を超えておりまして、例えば競売でございますとか差し押さえでございますとか、それによって回収をした比率というのは極めて低い数字を示しております。全社的にもほぼ同じような傾向を示していると思います。
このことで御理解いただけようかと思いますけれども、私どもの方としましては、これはできる限り納得ずくの回収ということを心がけております。
○佐々木(憲)委員 この「RCCの概況」というRCCの出されたパンフレットを見せていただいたわけですけれども、このパンフにも鬼追社長の言葉がいろいろ載っておりまして、ここでは「「契約の拘束性の追求」と「人間の尊厳の確保」との両立を図る」、先ほどもそういう御答弁をされましたが。この中で、「RCCの債権回収において「契約の拘束性の追求」に急なあまり、いやしくも、「人間の尊厳」を損なうことがあってはならない」、こういうふうに述べられています。
鬼追社長に聞きますが、ここで言っている「人間の尊厳」というのはどういう内容なのか、述べていただきたいと思います。
○鬼追参考人 人間の尊厳ということにつきましては、さまざまな理解の仕方があり得ようかというふうに思っておりますが、端的に申しまして、やはり人間らしい生活ができておる、人間としての尊敬が受けられる、こういった状況をいうのであろうと思います。具体的に申しますと、例えば弱者保護、社会的な弱者を保護しなければいけないというような考え方がございます。
私どもは、人間の尊厳の確保の一環といたしましては、例えば、債務者あるいはその保証人等々が病気でありますとかあるいは事故に遭われたとか、あるいは今まで相当の収入のあった仕事についていらっしゃった方がお気の毒なことに失業なさったとか、そういった場合に、いわゆる契約の拘束性の追求に急になる余りに、これまでの弁済条件をそのまま守っていただくということは、これは実際問題としては不可能であろう。こういう場合に、弁済の計画の練り直しを協議させていただくとか、具体的にはそういうような考え方で事に当たっております。
○佐々木(憲)委員 その基本方針が現場に徹底するということが私は非常に大事だと思うんですね。
具体的にお聞きしますけれども、債務者の側が返済不能に陥る、そういう場合、期限の利益を失うということになると思うんですけれども、その場合どうするかという問題ですね。有無を言わさず訴訟、競売、こういう法的手続に入るのか、それとも、その前に一定の話し合いをして、返済条件などの要望も聞いて対応するのか。これは非常に大事な点だと思うんです。人間の尊厳とおっしゃる以上、相手側の、先ほど言われたような立場、状況、そこをよく判断して、決して路頭に迷わせるとかホームレスをつくるとかあるいは自殺に追い込むとか、そういうことがあってはならないと思うので、その辺の考え方、もうちょっと具体的に話していただけますか。
○鬼追参考人 私といたしましては、委員が今御指摘のとおり、全く同じように考えております。
私といたしましては機会あるごとに、現在約2400名の役職員がおりますが、その人たちに今の考え方を徹底しているつもりでございます。年に二回は回収現場に私が赴きまして、回収現場の人たちと、親しく、ひざを突き合わせてそういった考え方を申しておりますし、今委員がお示しのパンフでございますけれども、それなども全社員に読んでいただいて、もし疑問があれば、あるいはまた契約の拘束性と人間の尊厳のその相克の中で大変悩むということがあれば、直属の上司はもちろんでありますけれども、場合によっては社長にまで相談をかけてほしいということで、全国に回っているつもりでございます。
○佐々木(憲)委員 このパンフには、「訴訟や競売に着手する時点、訴訟や競売の手続きの途中、または訴訟の後においても、協議に応じる用意があり、話し合いによる解決を模索しています。そして、話し合いの結果、債務者の方からの真摯かつ合理的な弁済案のお申し出があれば、法的手続きを止めたり、新たな約定を締結するなどの解決を行います」と、人間の尊厳のそれを具体的にどういう措置で対応するか、具体化するかということが述べられていて、積極的な弁済の意思を持っていて、正確な資料の提供をしていただける債務者の方などから、真摯かつ合理的な和解案のお申し出があった場合には、できるだけ話し合いによる解決をしたいと考えていますと述べているんですね。
そこで、具体的に、話し合いによって解決をした事例、あるいは訴訟をしていながら和解に至った事例、不動産の競売を取り下げた事例、強制執行を取り下げた事例、仮差し押さえを取り下げた事例、そういう事例を、余り時間がありませんので、端的に幾つか紹介していただけますか。
○鬼追参考人 個別的な案件を御説明申し上げますと大変時間がかかりますので、今御質問のようなケースは、大げさではございませんが、これは枚挙にいとまがないと申し上げてもよろしいかと思います。
例えば、競売を申し立てております、最低競売価格が出されます、その金額がかなり低い、そういたしますと、漫然と競売を待っておったのでは、債務者にとってもあるいは担保提供者にとっても不利益であるという場合がございます。任意売却の努力をできる限り債務者にもしていただきます。私どももできる限りの協力をいたします。
今先生御指摘のように、債務者の方があくまでも弁済に関して極めて誠実な対応をなさっていただく場合においては、私どもも限りなき支援をしているつもりでございます。
お互いに共同して、たとえ100万でも200万でも高額に処分できるような方法を模索して行う、これは競売においてもしかりでございますし、強制執行においてもしかりでございます。
以上でございます。
○佐々木(憲)委員 よく話し合って、相手の立場に立って対応するということなんですが、そこで、提案者の相沢さんにお聞きします。
不良債権を2、3年で処理するというのが小泉内閣の方針であり、法案では「可能な限り3年を目途として回収又は譲渡その他の処分を行うよう努める」となっておりますね。実際に、こういう、期限を切って、短時間でスピードアップして進めたら、RCCは相手の話をよく聞きながらやろうとしているんだけれども、もう期限がない、早くしろ、こういうことになると、大量の資金回収でばたばたつぶされるという可能性も出てくるのではないかと思うんですが、その点については、提案者として、ぎりぎりに、一律にスピードアップして画一的にやるという考えなのかどうか、その点、お答えをいただきたいと思います。
○石井(啓)議員 今回の改正案におきましては、不良債権の早期処理が望ましいということから、「可能な限り3年を目途として回収又は譲渡その他の処分を行うよう努める」、こういうふうにしておりますけれども、これは一律に3年以内に処理をしなければいけないということを定めたものではございませんで、御指摘のような観点も踏まえて、努力義務というふうにしているところでございます。
○佐々木(憲)委員 時間が参りましたので、終わります。