金融(銀行・保険・証券) (金融機関の破綻, 中小企業融資)
2001年12月17日 第153回 臨時国会 予算委員会≪閉会中審査≫ 【152】 - 質問
「画一的金融検査をやめ、中小機関に配慮を」予算委員会で佐々木議員が追及
2001年12月17日、佐々木憲昭議員は、予算委員会閉会中審査で、信用組合や信用金庫などの地域金融機関が果たしている役割を明らかにするとともに、中小の金融機関の相次ぐ破たんの要因に金融庁による画一的検査があることを指摘。直ちにその中止を求めました。
柳沢伯夫金融担当大臣は、信用金庫や信用組合も大銀行と同じ「金融検査マニュアル」が示す「債務者区分」を適用し、債務者を区分けしていることを認めました。
佐々木議員は、金融庁の検査マニュアルに「規模や特性を十分ふまえ、機械的・画一的な運用にならないよう配慮する」と明記されていても言葉だけだと指摘。「地域密着型の中小金融機関にたいして、その債務者区分、償却・引当基準にどのように『配慮』しているのか」と追及しました。
これにたいし、柳沢金融担当大臣は、「(金融マニュアルでは)債務者が中小零細の場合には、画一的な基準の適応はしてはならないとしているが、それが大手銀行か中小金融機関であるかということは明示的にはなっていない」とのべ、金融機関の規模の違いでは「配慮」しないとの態度を示しました。
佐々木議員は、それでは、融資先が中小・零細企業の信金・信組にも「機械的・画一的なやり方を押しつけているのと同じではないか」「そのために今年になってから7つの信金、30以上の信組が破たんしている」と同相の答弁を厳しく批判。
そのうえで、佐々木議員は「70%が赤字企業といわれている中小企業は、たとえ返済が遅れても必死になって返済しようとがんばっている」と主張。中小企業への貸し出しが多い信金・信組の破たんは連鎖倒産、地域経済の崩壊を生むと指摘し、金融庁の機械的・画一的な検査をただちに中止するよう求めました。
議事録
○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
年末の経済情勢というのは極めて深刻でありまして、7―9月期のGDPは二期連続マイナスであります。12日に発表された日銀短観によりますと、景況感が四期連続悪化している。中小企業の倒産も大変ふえております。14日に発表された帝国データバンクの企業倒産統計によりますと、11月としては戦後最悪という状態であります。二カ月連続して倒産が1800件を超えている。不況型倒産、これも過去二番目という状態であります。
こういうときにこそ、地域経済の担い手である中小企業をどう支えるかというのが大変重要だと思うんですね。そのためには、身近で、いわば顔の見える融資といいますか、そういう努力をしている信用組合、信用金庫、これは大変役割が大きなものがあると思います。地方銀行なども含めまして中小の金融機関というのは非常に重要だと思うわけであります。
まず平沼大臣にお聞きしますけれども、信用組合、信用金庫の役割、これをどのようにお考えか、基本的な認識をお聞きしたいと思います。
○平沼経済産業大臣 お答えをさせていただきます。
信用金庫それから信用組合というのは、法令上、会員または組合員たる地域の中小企業等への資金を振り向けることを義務づけられておりまして、中小企業の円滑な資金供給に大きな役割を担っている、このような認識を持っております。
こうした意味で、信金、信組が健全に業務を行うことは、円滑な中小企業金融の確保にとって重要なことでありまして、かかる認識を十分に踏まえまして、金融当局において適時適切な対応がなされる、こういうふうに認識しております。
○佐々木(憲)委員 柳澤金融担当大臣にお伺いをいたします。
信金、信組、地銀など地域密着型の中小金融機関の果たす役割というのは大変大きいと思うんですが、特にこの信金、信組というのは、相互扶助の精神を基調にしまして地元の有志で設立され、いわば70年以上も歴史のある金融機関であります。ところが、最近、この信金、信組がばたばたつぶれております。地域経済や中小企業にとって大変ゆゆしい事態が起こっているわけであります。
そこで、柳澤金融担当大臣にまず数字を確認したいんですけれども、信金、信組が、9月、10月、11月、12月、それぞれ幾つ破綻をしたか、月別に示していただきたいと思います。
○村田金融担当副大臣 本年9月以降に破綻をいたしました信用金庫、信用組合の数を月別に申し上げたいと思いますが、9月は破綻はございません。そして10月は、信金3件、信組1件、計4件でございます。11月は、信金4件、信組13件、計17件でございます。12月は、まだ終わっておりませんが、信金はありません。信組がこれまでのところ四件破綻しておるわけでございます。
○佐々木(憲)委員 これは大変な破綻の数でありまして、中小企業は今不況で大変業況が悪いわけですけれども、雇用を守り、地域経済を支えているわけであります。頼みの綱の信金、信組がこんなにつぶれたら、これは年末を控えた中小企業にとってはもう大変な状況だと思うんですね。何でこんなに急増しているのか。金融庁の検査に問題があるんじゃないか。
柳澤大臣にお聞きしますけれども、信組は、昨年の春に都道府県から金融庁に所管が移りました。その後、一斉に検査をやっているようですけれども、何のために検査をやっているのか、その目的を示していただきたいと思います。
○柳澤金融担当大臣 金融検査はすべて、基本的には金融機関としての健全性を検査させていただく、これは金融監督の一番のコアであります。もちろんそのほかに、コンプライアンスであるとかいうようなことも検査をいたしますけれども、そうしたことでございます。
これが信組の場合には、これまで都道府県にゆだねられておったわけですが、先生御指摘のとおり、昨年4月に国に移管になりまして、やはりペイオフというようなものに備えてこれをよく検査するようにということが当然の行政に対する要請というふうに心得まして、私ども、昨年度いっぱいかけましてこの検査をいたした、こういうことでございます。
○佐々木(憲)委員 ここに金融検査マニュアルというのがあるわけです。この検査マニュアルは、大手銀行に対して適用するだけではなくて、当然、信金、信組、このマニュアルで検査をしているのかどうか、これを言っていただきたいと思います。
○柳澤金融担当大臣 これは、業態によって区別はいたしておらないわけですので、金融機関全般に適用される検査のマニュアルということになるわけです。
○佐々木(憲)委員 この中には、こういうふうなことが書かれているわけであります。例えば、「金融機関の規模や特性を十分踏まえ、機械的・画一的な運用に陥らないよう配慮する必要がある。」しかし、これは一律に、この同じ金融検査マニュアルで検査を押しなべて同じようにだあっとやるわけですね。そうすると、機械的、画一的な適用に当然なってしまうわけですよ。
我々が、破綻した信金、信組の関係者あるいは地域の商工会、商工会議所で話をお聞きしますと、都市銀行も信金、信組も同じ基準というのは納得できない、金融庁の検査でひどい目に遭った、大銀行と同じような基準で査定するのはおかしい、こういう声が本当にたくさん寄せられているんですよ。
具体的にお聞きしますけれども、信金、信組の場合、機械的、画一的な運用にならないように配慮するというわけですけれども、例えばこのマニュアルに書いてある債務者区分あるいは償却や引き当て基準、これは具体的にどういう配慮をするんですか。
○柳澤金融担当大臣 マニュアルの中にございますように、要するに、債務者というものの特性を配慮して債務者区分あるいはそれに伴う引き当て等を考えなければいけないということになっておりますので、この債務者の特殊性を見るということについては、各検査官は格別の配慮をすべきということになっておるし、そのように現実に事案を処理しているというふうに考えております。
○佐々木(憲)委員 それは、債務者の特性を配慮する、つまり、大手の貸出先あるいは中小の貸出先、そのそれぞれの特性を配慮するということであって、大手の銀行に対する検査のやり方と中小の信金、信組に対する検査のやり方、これは差があるということにはなっていないんでしょうか。それとも、そこは信金、信組に対しては特別の配慮をするということになるんでしょうか。
○柳澤金融担当大臣 もちろん、検査マニュアルの建前は、先生ごらんになっていただきますとわかるように、要するに、各金融機関がリスクの管理をしっかりやっているかというような体制を見ることになっております。
そういうことで、では、リスクの管理をやるという場合に、大手の銀行ですと、それを独立の機関で監査しなさい、あるいは、例えば支店が債務者区分してきたものを独立の本店のそういうチェック機関が見るというようなことが求められているわけですが、信組のような小規模な場合には、そういう独立の機能というか組織まで要求するのは、これは少し要求のし過ぎだというようなことで、そのあたりについてはよく配慮するようにということで運用しているわけでございます。
○佐々木(憲)委員 そうしますと、大手の銀行の場合はそういう資産管理についてのしっかりした組織がある、しかし、中小の場合にはそういう体制がない、その区別はあるけれども。
問題は、貸出先の例えば中小企業に対して、その資産査定をやる場合に、大手の場合も中小の金融機関の場合も、債務者区分については特別の配慮をするということはないということですね。
○柳澤金融担当大臣 これは基本的に、債務者について、その債務者が例えば中小零細の場合には画一的な基準の適用をしてはならない、よくその債務者の特殊性に配慮した、そういうことをしなさいということになっているんですが、それが大手銀行の中小零細の顧客であるか、あるいは中小金融機関の中小零細企業たる債務者であるかということは、明示的にはそういうふうになっておりません。おらないんですが、私が考えますところ、やはり現実には、信用組合なら信用組合のお客さんというのはそういう人ばかりなわけですね。上場企業なんというのに貸しているというようなことはまず考えられません。そういうようなことで、全体として、その配慮をされる先が非常に大きな固まりになっている。
片や、大手の金融機関の場合には、これはある種大宗にはなっていないというようなことになろうかと思います。
○佐々木(憲)委員 ですから、そこがやはり機械的、画一的だというんですよ。
最初に確認したように、中小企業というのは地域経済にとって極めて重要な役割を果たしているわけで、この不況の中で、信金、信組の貸出先というのは7割が赤字だと言われている中小企業です。赤字になっても、返済が多少おくれても、必死になって債務を返そうと努力をして、歯を食いしばって頑張っているわけですね。ところが、金融庁は、信金、信組に対して、圧倒的に中小企業が多い、そういう場合に、その特殊性を考慮しないで、大銀行にも同じようなことを適用する、中小信金、信組に対しても同じような基準で債務者区分をいわば押しつけているわけであります。
だから、例えば三期連続赤字あるいは返済が六カ月延滞した、こういう場合に、直ちにこれは破綻懸念先あるいは実質破綻先というところに債務者区分を変更していくわけですよ。実際には、今まで中小の信金、信組は、そういうところでも相手の顔を見て、おやじさんが信頼できる、だから多少のことがあってもしっかりと貸し出しを継続する。ところが、このマニュアルでは、そういうところに対しても、大銀行と同じような一律のやり方でこの基準を当てはめて、これは債務者区分が間違っている、もっとこれは倒産しそうな破綻懸念先あるいは実質破綻先だ、あるいはもう破綻している、こういうことで、どんどん輪切りにして、その実情を無視して債務者区分を下げる。
そうなるとどうなるかといえば、それに対して引当金を積まなきゃならぬ、あるいは償却をして切り捨てなきゃならぬ、こういうことになるわけですよ。それで、引当金の積み増しで、これは大変だ、何十億という引当金積み増しを要求されて、信金、信組は、これはもう耐えられないということで次々と破綻に追い込まれるということになるわけであります。
ちょっと資料を配っていただけますか。
これは、例えば昨年の破綻を見ても、信組は13、信金は五、合わせて18の信金、信組が破綻しておりますけれども、この表を見ていただくとわかりますけれども、ことしに入ってから経営が破綻した信金、信組はもう本当に大変な規模であります。
この表はことし1年だけの今までのデータでありますけれども、手元の資料だけでも、七つの信金、30以上の信組が破綻しているんです。しかも、年末にかけてこれが急増しているという状態です。そのほとんどが、金融庁の画一的な検査で、そして債務者区分、これはもっと厳しくやるんだ、引当金を積みなさいということで破綻させられている。
例えば、10月19日に破綻した、一番上にある栃木の宇都宮信金、これは30億の償却・引当金の追加を求められたのが破綻の引き金になっているんですよ。債務超過は23億円。
同じ10月19日に破綻した愛知県の常滑信用組合、これは二枚目の上から三番目にありますけれども、私も現地を調査してまいりました。ここでは、厳しい資産査定で債務者区分を変更させて、償却・引き当ての積み増しを37億円要求されたんです。増資に走り回ったけれども、実際にはそれがうまくいかないということで破綻をした。債務超過は22億円であります。
11月2日に破綻した大栄信組、これはことしの6月29日に検査結果が通告され、29億円の引当金を積むように言われた。9月には引当金を75億円にするように求められて、結局、41億円の債務超過で破綻させられている。
ですから、一々挙げたらもう切りがないわけですけれども、この一覧表を見ると、かなりの部分は、金融庁の画一的な検査で債務者区分の変更を迫られて、引き当てを積まされて、積まなきゃならぬという状況に追い込まれて、それで破綻しているわけです。健全性を確保するなんて言うけれども、健全性どころか、一生懸命努力をして、本当に今経営が大変な状態になっているにもかかわらず、これが何で検査によって破綻させられなきゃならぬのか。
柳澤大臣にお聞きしますけれども、大量破綻の原因というのは、やはりこういう検査マニュアルによる画一的な適用、この検査にあるということは明らかじゃありませんか、これだけ大量の破綻が出ているというのは。いかがですか。
○柳澤金融担当大臣 ちょっと先ほどの補足を具体的にしますと、中小零細企業の場合には、いわば法人化してあっても、実際その経営に当たっている人との間というのは、これはもう極めて特殊に密接であるというケースが多いわけでございます。
例えば、その法人から家賃を取る、給料を取る、そうすると、その法人の経理としては赤字になるというようなことがあります。これは赤字企業ですね。ですけれども、実際にどうされているかというと、例えば利息や何かはまた今度は経営者の方がその企業に貸し付けて、そして、それでもって返済が行われるというようなことがあるわけでございます。そういうものについては、赤字企業といえども、これを赤字というふうに断定してそういう処置をとることは避けるというような扱いをいたしているわけでございます。
それから、さらに言うと、そういうことをやっていれば赤字が累積していきます、それで資産との関係では債務超過になっちゃうというようなことがあって、しかし、それじゃそれは債務超過かというと、そうやって累積していった借入金というのは、その経営者からどんどん入っている借入金というのは、ある意味で資本的な役割を演ずるということもあるというふうに考えなきゃならないケースもあるわけです。
そういうようなことをいろいろきめ細かく見ていって、債務者区分とかあるいは必要な引き当てというものをするということが、非常に抽象的に、当該企業が中小零細企業の場合には、財務状況だけではなくて、いろいろ各般の問題を総合的に勘案しなさいということの意味合いでございまして、やはり、今先生がおっしゃっているように、そんなに画一的にやっているわけではない、それが実際の運用だ。
しかし、私がこういうことをいろいろ言うと、今度は、現場に行って、これはケース・バイ・ケースの判断ですから、その債務者を見ての判断ですから、そういうことを答弁として申し上げると、大臣がこうやって国会で答弁しているじゃないかとまたそういうことを、本来そこはなかなか適用できないような方も引用してそういうことを主張される。これは現場の混乱のもとなんですよ。
ですから、我々は、今先生そこまでおっしゃって、もう何でもかんでも全部、金融庁が画一的なことをやっている結果だというので、私はあえて踏み込んで、そういうケースもあって、ケース・バイ・ケースで我々は判断しているんですということを今申させていただいたということです。
そして、今これが急増しているというのは、確かにそういう感じを与えているわけですけれども、これは、ずっと流れがありまして、昨年度いっぱいで全部、信用組合というのは調査を終えるべきだ、こういうことになっていて、それからその後、早期是正措置だとか、あるいは報告の徴求だとかという手続をずっと踏んでやっていた結果、こういう時期に、経営継続困難というような申し出を受けて処理に当たっている、そういうタイミングになってきた。それは、一斉検査していますから、ある意味で固まってこういうものが出るという形になるのも、これはもう結果としては御理解賜らなけりゃならない点だ、このように考えます。
○佐々木(憲)委員 今お認めになったように、一斉検査の結果ですよ。一斉検査をどんどんやって、大銀行と同じような金融検査マニュアルでだあっとやったら、全部つぶれるじゃないですか。何を言っているんですか。
結局、お認めになったことは、この検査の結果、ばたばたつぶれるような事態になっているということであります。ケース・バイ・ケースと言うけれども、これをケース・バイ・ケースと言うのは、大銀行の場合も中小金融機関の場合も同じ基準なんですから、だから、画一的なやり方で一斉にやったら、債務者区分が悪くなるのは当たり前じゃないですか。健全性を確保すると言うなら、協同組合の本来の性格を逸脱したようなやり方はよろしくないよとか、あるいは、投機的な分野で本来の組合員の利益を損ねるようなやり方をするのはよろしくないよというチェックをするのが金融庁の役割なのであって、本当に地域経済が大変な事態になっているときに、その弱っている金融機関を検査によってばたばたつぶすなんというのは、金融庁の仕事じゃないですよ。
地域金融というのは大変な状況でありまして、信金、信組がつぶれたら、これまで取引していた地域の中小企業は、受け皿の金融機関に本当に行けるんだろうか、新たな融資が受けられるんだろうか、あるいは、RCCに送られたらもう本当に先はないとか、こういうことで、実際には、信金、信組が破綻することによって、中小金融機関が破綻することによって中小企業はばたばたつぶれている状況であります。地域経済は崩壊する、失業者がふえる、何がこれが健全なんですか。私は、血も涙もないやり方だと思うんです。
平沼経済産業大臣にお聞きしますけれども、たしか13日だったと思いますが、地域の中小企業の方々が、我が党の筆坂政策委員長などと一緒に申し入れをさせていただきました。そのときに、金融庁が求めている基準というのは非常に画一的である、あるいは、信用金庫、信用組合などの地域中小金融機関の実情にはそういうやり方は合わないとか、きめ細かな対応をするように金融庁に要請をしたいというようなことを言明されたそうですけれども、そういう考えに変わりありませんね。
○平沼経済産業大臣 お答えをさせていただきます。
御党の筆坂先生初め、特に大変な技術集積がある大田区のそういう中小企業の皆様方が私の部屋に来られまして、厳しい現状をお聞きさせていただきました。
中小企業の景況というのは、今御指摘のように、極めて厳しいものがあります。円滑な資金供給の確保には私どもは全力を尽くしているわけでありまして、このため、経済産業省といたしましては、政府系中小企業金融機関とか信用保証協会、これに対して、各中小企業の個別の実情に応じて、一層、柔軟かつきめ細かに対応するように指導しておるところであります。
一方、今御指摘の信用金庫、信用組合を初め民間金融機関による中小企業への円滑な資金供給の確保を図るため、当省といたしましては、金融庁と密接に連携をとらせていただいて、これまでもさまざまな要請や働きかけは行ってきているところであります。
金融検査マニュアルにつきましては、その策定時に中小企業への適切な配慮を求める意見を私どもから出させていただき、それを踏まえて、委員も御承知だと思いますが、マニュアルには、要注意先債権の判別において中小零細赤字企業に配慮することなど、さまざまな配慮規定が盛り込まれていることになっています。
このようなマニュアルの規定に基づいて適切な運用を図るべく金融庁が努力をされているところでございまして、私どもといたしましても、実際の金融検査に当たって、先ほど柳澤大臣も言われましたけれども、中小零細企業に対して、個別企業の実情に即してきめ細かな対応がなされるように金融庁に対して御要請をさせていただいておりますし、今後一層、金融庁との連携を深めながら、中小企業への円滑な資金供給の確保に努力をしていきたい、このように思っています。
○佐々木(憲)委員 私は、柳澤大臣にお聞きしますけれども、こういう金融検査マニュアルによって、まあ中小企業に多少配慮しているとは言いましたけれども、大手銀行も中小金融機関も同じ形でどんどんやっていく、こういうやり方というのはやはり画一的だと思うんですよ。やはり今までのようなやり方ではなくて、もっと中小金融機関、地域経済、中小企業、そこで働く労働者、こういう方々のことを念頭に置いてやるべきだ。この検査マニュアルによる今までのようなやり方の再検討、これを求めたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
○柳澤金融担当大臣 ただいま経済産業大臣が言われたとおり、この検査マニュアルをつくるときにパブリックコメントというものを求めました。そのときに一番私の記憶で多かったのは、中小零細企業に対する配慮であった、また中小金融機関に対する配慮であった、このように思っております。そういうものを盛り込んでこの検査マニュアルはつくられたという経緯がございます。そういうものでありますので、私どもとしては、この検査マニュアルを的確に運用していくということが我々の使命だというように考えております。
○佐々木(憲)委員 私は、この検査マニュアルそのものによる信金、信組に対する画一的な検査を行うということ自体の撤回を求めたいと思います。そうしなければ、今これだけ、ことしに入って四十というたくさんの信金、信組がばたばたつぶれている、これがさらに破綻が広がる、もう本当に異常な状況になると思うんですよ。年末年始にかけて、本当に中小企業は年を越せるのか、こういう状態があるんです。だから私は、この画一的なやり方に対して徹底的な再検討、そしてそのやり方を撤回するということを求めたいと思います。
失業問題について坂口大臣にお聞きしようと思いましたが、ちょっと時間がなくなりまして申しわけございません。せっかくおいでいただきましたが、中林議員と交代の予定ですので、以上で私からの質問を終わらせていただきます。
どうもありがとうございました。