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金融(銀行・保険・証券), 金権・腐敗政治 (鈴木宗男議員疑惑, 国際協力・ODA)

2002年04月09日 第154回 通常国会 財務金融委員会 【164】 - 質問

鈴木宗男議員のタンザニア学校建設資金の不当送金問題を追及

 2002年4月9日、財務金融委員会で、「金融機関等による顧客等の本人確認等に関する法律案」、「外国為替及び外国貿易法の一部を改正する法律案」の審議が行われました。提案された法案は「テロ資金供与防止条約」の要請を踏まえ、金融機関が顧客の本人確認をきちんとおこなうこと、その記録を保存するというものです。

 佐々木憲昭議員は、鈴木宗男衆院議員がタンザニアの中学校講堂(「スズキホール」)建設資金として800万円を外務省職員に渡し、振り込ませたとする問題をただしました。
 佐々木議員は「国外送金は送金者本人の確認をするのが基本だが、鈴木氏本人の確認がされていない」と指摘、鈴木氏の金を預かって送金したという外務省側の説明に対し疑問だと追及しました。
 外務省はこれまで、2000年12月1日に自民党本部の総務局長室で鈴木議員が外務省職員に800万円の現金を手渡し、職員が東京三菱銀行を通じてタンザニアに送金したと説明していました。
 しかし、外為法では不正な送金を防ぐため、住民票の写しやパスポートなどで送金者本人の確認をするよう定めています。そのため、銀行は、窓口で厳格な本人確認を行っています。
 佐々木議員が東京三菱銀行から説明を受けたところ、東京三菱銀行では、妻が海外の夫宛に送金する場合など特別な場合を除き、代理人による送金は認めておらず、実際に資金を出す本人が窓口に来なければ送金を受け付けないとの対応をとっていることが明らかになりました。
 佐々木氏は、送金に際して銀行側がどういう確認をしたかを質問。外務省の小田野展丈アフリカ審議官は「送金した外務省職員が自分の免許証を提示した」と答弁し、鈴木氏の金だと証明する依頼書や書類はなかったことが分かりました。
 佐々木氏は「銀行側は送金した職員の確認しかしておらず、職員が自分の金を送金したという形になる」とのべ、外務省の説明は成り立たないと批判しました。

議事録

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 今回提出された法案の目的について、まず財務大臣に確認をしたいと思います。
 この法案は、テロ資金供与防止条約の要請を踏まえて、金融機関が顧客の本人確認をきちんと行うということ、それから、その記録を適正な期間保存するということだと思うんですね。これまでは法律上の義務として位置づけられてはいなかったけれども、今回、これを法定化する、そして内容を一層明確にし充実を図る、これが目的だと思いますけれども、まずその点、確認しておきたいと思います。
○塩川財務大臣 仰せのとおりです。
○佐々木(憲)委員 焦点となっている本人確認についてお聞きをしたいと思います。
 今回の法案では、例えば会社社長の代理で従業員が送金をする、そういうとき、あるいは他人のお金をかわって送金をする、そういうときに、窓口に来た代理人自身の本人確認をする、そして、この送金を託した者の本人確認をする。つまり、双方の本人確認をしなければならない、そのようになったと思いますけれども、そういう理解でよろしいですか。
○溝口政府参考人(財務省国際局長) 御指摘のとおりでございます。
○佐々木(憲)委員 では、現状はどうなっているかということを確認したいと思います。
 私は、昨日、東京三菱銀行の担当者に直接お聞きをいたしました。東京三菱銀行では、現状、基本的に本人が送金するのでなければ受け付けないと言っておりました。
 例えば、Aという人が現金を持って窓口に来る。その場合、私はBの代理人であると言ってこれを送金しようとする場合、銀行としてはどういう対応をするのか、こういうことをお聞きしたんですが、そうしますと窓口では、代理では困ります、本人に来ていただくようにぜひお願いをします、そうでなければこれは受け付けられません、こういうふうに対応するというんですね、現状ですよ。ただ、特殊な場合として、夫婦のような場合は、夫の代理として妻が送金をするという、これはあり得ると。しかし基本的には、本人自身が自分のお金を送金する、それで本人を確認する、そういうふうにおっしゃっていました。
 そこで、具体的な実務の現場でどうなっているかということについて、きょうはみずほ銀行の前田社長がお見えですので、みずほの場合についてお聞きをしますが、具体的に、こういう場合、Aという人がBのお金を持ってきて、私はBの代理人であるということで今銀行の窓口に来た、そういう場合はどのような取り扱いをされているか、確認をしたいと思います。
○前田参考人(株式会社みずほホールディングス取締役社長) お答え申し上げます。
 銀行のお取り引きにおきましては、基本的にはすべて依頼人御本人とのお取り引きを原則としておりまして、外国送金等におきましても同様でございます。
 したがいまして、名義人以外の第三者からの送金依頼に対しましては、原則としてお断り申し上げております。
○佐々木(憲)委員 お手元に配付しておりますのは、みずほ銀行の外国送金取組依頼書兼告知書と、それから東京三菱銀行の外国送金依頼書兼告知書でございます。若干形は違っておりますけれども、内容はほぼ同じものであります。
 前田参考人にお聞きしますけれども、本人確認というのはどのようなやり方になるのでしょうか。この資料に基づいて説明をしていただきたいと思います。
○前田参考人 お答え申し上げます。
 ここに、今お配りいただいた資料の右の下の方に「本人確認」という欄がございまして、それから「確認書類」というのがございます。それから国外送金等の調書が要るか要らないか、こういう区分けになっております。
 まず「本人確認」は、「本人口座」というのは本人の口座が既にある方、これは御本人ということでございます。それで、「確認未済」というのは確認ができないという状態です。それから、「確認書類」というのは何で確認したかということでございますので、ここにありますようにいろいろ証明するものがございますが、そのどの部分で確認をしたかというのをチェックして、それから一番下は、国外送金等の調書が要るか要らないかというチェックをして、それぞれ確認ができたかどうかを判こを押す、そういうシステムで運用をいたしております。
○佐々木(憲)委員 そうしますと、例えばこの中に「受取人あて連絡事項」というのが右下の方にありますね。ここに例えば佐々木から送られたものですというふうに書いたとすれば、これは送金を依頼した者が佐々木であるという証明になるでしょうか。
○前田参考人 これは右の下の「受取人あて連絡事項」というここの欄の御質問だと思います。
 これは、送金をする場合に、その方に何かメッセージを伝える場合に連絡するものがあるかないかとか、そういうことを書く欄でございまして、なければ何も書かないということでございます。
○佐々木(憲)委員 いや、私がお聞きしたのは、この欄にこれは佐々木から送られたものですというふうに仮にメッセージが書かれていたとしますね。そうすると、これは佐々木が送ったという証明になるのかどうかです。それを確認したいんです。
○前田参考人 そのケースですと、ならないと思います。
○佐々木(憲)委員 そうしますと、外為法では、第18条で、送金者の本人確認をするように努めなければならないとなっておりますね。
 では、内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律、ここでは国外に送金等をする者の本人確認というのはどのように定められていますでしょうか。
○村上政府参考人 お答えします。
 国外送金を行う方の場合、これはただし200万円超でありますが、告知書を出していただくことになっております。ただし、本人確認された口座から振替で行われた国外送金については、別途告知書は提出は不要だということになってございます。
○佐々木(憲)委員 この法律によりますと、確認をしなければならない、いわば義務規定になっていると思うんですね。努めなければならないというような努力規定ではなくて、義務規定になっていると思うんですが、いかがでしょうか。
○村上政府参考人(国税庁課税部長) お答えいたします。
 送金法に基づく本人確認は義務規定だと思います。罰則適用はございませんが。
○佐々木(憲)委員 つまり、現行法のもとでは送金者本人の確認が基本であります。ですから、もともと代理というのは想定していないんですね。
 そこで、外務省に、鈴木宗男議員のタンザニアへの送金についてお聞きをしたいと思います。
 資料を配付してください。
 外務省のこれまでの国会答弁では、平成12年12月1日、当時の野川中近東アフリカ局審議官と戸谷アフリカ第二課長の幹部二名が鈴木宗男議員を自民党本部の総務局長室に訪ねた、鈴木議員は、タンザニアのキマンドル中学校の建設のための資金として、外務省より振り込むように依頼された、現金800万円を受け取った、外務省はその資金をアフリカ第二課の岡島課長補佐に指示をして東京三菱銀行を通じて送金した、これは事実ですね。
○小田野政府参考人(外務省中東アフリカ局アフリカ審議官) 委員が今御質問になりました平成12年12月1日の件でございますが、まさに今述べられました2人が自民党の本部に参りまして現金を受け取りました。その前には、学校建設に協力をしたいので口座番号その他送金先を調べてくれということですので、それを報告に参りましたところ、現金を手渡されたということでございます。それで、外務省に戻りまして、今、名前の出ておりました職員に対して、これを持って銀行で振り込むようにということを言いまして、それでその職員が銀行に参ったということでございます。
○佐々木(憲)委員 そこで、確認をしますけれども、この現金は鈴木宗男さんのお金として送ったんでしょうか。それとも、岡島課長補佐のお金として送ったんでしょうか。どちらでしょうか。
○小田野政府参考人 鈴木議員から依頼されたものですので、鈴木議員から依頼されたという認識のもとに銀行に参りまして、送金をする際の依頼書にはフロム・ミスター・ムネオ・スズキと書きまして手続をしたというふうに承知しております。
○佐々木(憲)委員 そこで、東京三菱銀行のこのフォーマットを見ますと、外務省から提出された資料ですけれども、左側の真ん中からちょっと下のところに、フロム・ミスター・ムネオ・スズキ、こうなっておりますね。これは受取人に連絡するメッセージであります。先ほど確認をしましたけれども、ここに書いてあるからといってこれは本人確認にはならない、つまり、送ったのは鈴木宗男さんのお金だという確認はできない。
 みずほの社長さんにお聞きしますけれども、この外務省の資料を見まして、これは鈴木宗男さんの本人確認として適正なものというふうにお思いでしょうか。
○前田参考人 ちょっと、大変恐縮ですが、個別のことで、私、コメントできる状況でございません。お許しいただきたいと思います。
○佐々木(憲)委員 いや、先ほど、ここに佐々木からのものですというふうに書きますとその証明になるかと聞きましたら、その証明にはならないというふうにお答えになりましたね。そういうことですね。その答えは変わらないですね。
○前田参考人 一般論のお答えにつきましてはそのとおりでございますが、今、個別のお取引でどの部分がどうだと言われましてもちょっと、大変恐縮ですが、私は確認する立場にもございませんし、お取引そのものは個別ですので、この場で知らない私がコメントするのもふさわしくないと思います。恐縮でございますが、御容赦いただきたいと思います。
○佐々木(憲)委員 全く不誠実な答弁ですが、あなたが最初、私の問いに対しては、これは全く証明にはならないと。なぜかといいますと、本人が直接窓口に来なければこれは本人のものというふうな確認はできないし、また、本人確認自身ができない。つまり、本人がそこに、窓口に、例えば住民票の写しですとか、あるいは健康保険証ですとか、パスポートですとか、運転免許証ですとか、こういうものを本人が持ってきて、私は本人自身です、このお金を送りたい、こういうふうに言わなければ銀行としては受け付けない、こういうふうにおっしゃいましたね。ですから、この外務省の内容というのは、送金した記録でありますけれども、ここにフロム・ミスター・ムネオ・スズキと書いても、この人のお金という証明にはならない。
 外務省にお聞きしますけれども、これは、本人確認というのは、だれの確認をされたんでしょうか。つまり、この送金者の本人確認をしたんでしょうか、鈴木宗男さんの本人確認をしたんでしょうか。鈴木宗男さんの本人確認をするとすれば、例えば本人のパスポートですとか運転免許証ですとかそういうものを示したんでしょうか。そこをはっきりさせてください。
○小田野政府参考人 外務省としまして、銀行に持ち込まれた資金について銀行がどのような判断を下したかにつきましては承知しておりませんけれども、送金業務は一般的な外国送金手続に従って行われたものと承知しております。
○佐々木(憲)委員 全然答弁になっていない。
 では、確認しましょう。
 まず、この右下の告知書、本人確認というところに丸がついていまして、ここに数字がありますが、これは本人確認の数字だと思いますが、これは鈴木宗男さんの何かの数字でしょうか、それとも、送金者の岡島さんの数字なんでしょうか、どちらでしょうか。
○小田野政府参考人 外国送金手続をとるに当たりまして、本人確認を求められたので、運転免許証を提出したというふうに承知しております。
○佐々木(憲)委員 だれの運転免許証ですか。
○小田野政府参考人 お答えいたします。
 送金をしに参りました外務省の職員の運転免許証を提示したというふうに承知しております。
○佐々木(憲)委員 ということは、その職員が本人であり、本人確認を職員としてやって、本人のお金として送った、こういうことになりますね。
○小田野政府参考人 送金に参りました職員につきましては、常に、いつも外国送金をやっている人間ではございませんので、託されました現金を託されました人の名前で送りたいということで参りまして、それで窓口の手続に従いましてそれで送ったということだと承知しております。その際に、今申し上げましたとおり、本人確認ということでしょうか、きちんと、名前といいますか、それを示さないといけないということを言われたものですので、本人自身の免許証を示したというふうに承知しております。
○佐々木(憲)委員 では、鈴木宗男さんの証明書は何を持っていきましたか。
○小田野政府参考人 まず、依頼されました現金が鈴木議員のところから来ているということもございましたので、まさに善意をもってこの金を送りたいということで参ったというふうに承知しております。
○佐々木(憲)委員 質問に答えていないのです。質問にちゃんと答えてください。
 本人の証明書ですね、これは本人のものであるという証明書、例えば住民票ですとかあるいはパスポートですとか委任状ですとか、それを持っていったのですか、何か持っていきましたか。
○小田野政府参考人 恐らく、依頼を受けました時点で、そのような大金を送金するに当たりいろいろな手続が必要だという認識がなかったんだろうと思います。それですので、依頼書を受け取ることもなく、単に現金だけを持って送金手続をとりにいったというふうに承知しております。
○佐々木(憲)委員 要するに、鈴木宗男さんのお金だという証明は何もないのです、全くないのです。本人確認をしたのは、送金をしたその外務省の職員の本人確認をしたというだけの話ですね。
 ですから、財務大臣、このケースは明らかに、鈴木宗男さんのお金を送ったと言うんだけれども、本人確認は全くされていない、本人確認というのは、この人自身の、外務省の職員のお金として送ったその職員の本人確認をしただけだ、こういうことが事実だということですね。これは確認できると思いますが、いかがでしょうか。
○溝口政府参考人 このケースにおける本人確認は、御指摘のように二つあるわけでございますね。外為法上の確認とそれから国税の取り扱い上の確認がございまして、外為法上の確認は、外為法の18条におきまして、現行では努めなさいという規定になっていまして、義務まで課していないわけでございます。
 したがいまして、今回の法律によりまして、そこを義務化しまして、代理についても確認をするということをとろうとしているわけですが、現行ではそこまでできていないということでございます。
○坂本委員長 佐々木委員、時間が来ておりますので。
○佐々木(憲)委員 では終わりますが、外務省のこれまでの説明というのは、全くでたらめな説明であったということが明らかになりました。
 外務省は、鈴木さんのお金を送った、銀行もそれを承知して送られたはずだと言いましたが、全く違っていて、銀行は鈴木さんの確認は一切しておりません、資料も提出されていないわけですから。したがって、外務省が指示をして送ったその職員の本人確認しかされていない。つまり、その職員が自分のお金として送っただけだということがはっきりしたと思います。
 これが現実の銀行の窓口でのやり方であり、したがって、外務省が今まで説明してきたことは全部うそであったということが明らかになったということを指摘して、終わります。

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