税制(庶民増税・徴税), その他 (法人税, 大企業減税, 連結納税制度, 証券優遇税制, 定率減税の廃止, 児童扶養手当・子ども手当)
2007年02月08日 第166回 通常国会 予算委員会 【375】 - 質問
厚生労働大臣「産む機械」発言 庶民に冷たい税制 安倍首相を追及
2007年2月8日、予算委員会が開かれ、佐々木憲昭議員が質問しました。
柳澤厚生労働大臣が、女性は「産む機械」などと発言したことについて、安倍首相が「不適切な発言だった」と言っています。
佐々木議員は、「人間としての尊厳、女性の人権、これを尊重する姿勢がまったく見えない。表現がわるかったとか、うわべだけ悪かったと言っても反省とは言えない」と批判。
そのうえで、柳澤発言の根本にあるのは、女性に責任をすべて押しつけ、「女性1人が何人産めば」という発想であり、「国のために『産めよ増やせよ』」というのと同じだと指摘しました。
安倍首相は、罷免要求を拒否し「職責を果たしてほしい」と柳沢大臣をかばいました。
佐々木議員は、「職責を果たすというなら、いま問われているのは、安心して結婚し、子どもを産み育てられる環境づくりだ」とのべ、なかでも深刻な例として母子家庭の問題をとりあげ、母親の声を紹介しながら、2002年に強行した児童扶養手当の削減を見直すべきだとただしました。
しかし、安倍首相や柳澤大臣は、その要求を拒否しました。
佐々木議員は、「これさえ、できないというのは、反省を言っても言葉だけで中身がない証拠だ」と厳しく批判しました。
また、佐々木議員は、庶民に冷たい増税問題も取り上げました。
2006年に自民、公明両党が決めた定率減税の全廃で、所得税と住民税の負担額は07年からさらに増えます。
ところが、国税庁はパンフレットで「税源移譲によって所得税と住民税とを合わせた全体の税負担が変わることは基本的にはありません」と税金が変わらないかのように説明しています。
佐々木議員は、一例として夫婦と子ども2人で年収700万円の世帯の場合にどれだけの負担額になるのかとただしました。
財務省の石井道遠主税局長は、所得税と住民税の合計が、2006年の41万8000円から07年の45万9000円になり、4万1000円の増税になることを認めました。
所得税と住民税の負担を、小泉内閣が発足した2001年と07年で比べてみると、年収400万円の給与所得者で8万7000円の増税になります。
年金所得者でも、年収400万円で16万4000円の増税になります。
配偶者特別控除の廃止や公的年金等控除の縮小などが次つぎとおこなわれたため、2004年から07年までの4年間で所得税・住民税の負担増は、合計4兆5600億円にものぼります。
佐々木議員は、「一番弱いところに負担が積み重なっているのが実態だ。こんなやり方をいつまでも続けていいのか」と批判しました。
その一方で、過去最高の利益をあげる大企業にたいしてはどうでしょうか。
佐々木議員は、「2007年度の税制改正で大手企業にたいする減税策が次つぎ出されている。誰のための税制なのかが問われている」と、数々の大企業むけ減税についての認識をただしました。
2007年度の税制改正案に含まれている減価償却制度の拡充は、設備の額によって法人税減税の範囲を拡大する仕組みです。
法人税の減税額は、国税だけで5110億円、地方税をあわせると約7000億円です。
佐々木議員は、この恩恵を受ける対象の6割を占めているのが、企業数でわずか0.36%にすぎない資本金10億円以上の大企業であると指摘しました。
さらに、企業グループを持つことができる大企業への減税となる「連結納税制度」(2002年導入)でどれだけの減税となるかとただしました。
石井主税局長は、3年間で1兆円規模となることを認めました。
さらに政府は、株の売却や配当にかかる税金を20%から10%に軽減する証券優遇税制は、1年延長する予定です。
これは、わずか3.8%の5000万円以上の所得をもつ人たちに、減税額の6割以上が集中するものです。
佐々木議員は、「これでは強いものの味方ではないか。お金が足りないというならもうかっている大企業や大資産家に応分の負担を求めて、そこからもらったらどうか。これが普通の庶民の感覚だ。なぜ、やらないのか」とただしました。
尾身財務大臣からは、まともな答弁はありませんでした。
議事録
○佐々木(憲)委員 おはようございます。日本共産党の佐々木憲昭でございます。
まず、柳澤大臣の発言についてただしたいと思います。
1月27日の女性は産む機械、装置という発言、2月6日の子供を二人以上持ちたいというのが健全だと述べた。これらの発言は、私は根本的なところでつながっているのではないかと思うんです。それで、安倍総理は、この産む機械という発言について不適切な発言だったとお述べになりました。
まず確認したいんですが、あの発言のどういう点が不適切だったのか、どこが悪かったから不適切だったのか、その点を確認したいと思います。
○安倍内閣総理大臣 まず、大臣の機械という発言そのものが極めて不適切であるということでございます。これは女性の尊厳を傷つけるものであり、そもそも、そのような表現をするということ自体が全く不適切であったということでございます。
○佐々木(憲)委員 柳澤大臣は反省していると答弁されましたが、あの発言のどこを反省しているのか、何が悪かったのかという点、改めてお聞きしたいと思います。
○柳澤厚生労働大臣 今、佐々木委員御指摘のとおり、私が1月27日に講演しまして、その講演の一部で人口推計の説明をした際、女性と人口との関係について説明をしたくだりがございます。その中で今御指摘のような箇所がございまして、それらについて、そういう不適切な発言をしたということをまことに申しわけないと感じておりまして、深くおわびを申し上げますとともに、反省をいたしておるということでございます。
○佐々木(憲)委員 不適切な発言であった、機械という表現、これが女性を著しく傷つけた、こういうことなんですが、表現が悪かったという認識で果たしていいのかどうか。
つまり、柳澤大臣は具体的にはこう言っているわけですね。15歳から50歳の女性の数は決まっている、産む機械、装置の数は決まっているから、あとは一人頭で頑張ってもらうしかないというふうに発言をされている。
ここには、一人一人の人間としての尊厳、あるいは女性の人権、これを尊重するという姿勢が全く見えてこないわけです。発想の根本にあるのは、国のために産めよふやせよという発想であります。だから、二人以上産む人が健全だという発言は、それ以外の人はそうではないということにもつながりかねない。国民の中には、産まない人、産んでいない人、あるいは産みたくても産めない人、そういうさまざまな方がいらっしゃるわけですね。そういう人々の気持ちを踏みにじることになるわけであります。つまり、一人一人の置かれた状況、その心情に思いを寄せるという発想がそこには見えない。ですから、これだけ大騒ぎになっているのは、国民の多くがそこを問題にしているからであります。
そういう性格の問題だというふうには大臣は思いませんか。
○柳澤厚生労働大臣 とにかく、人口推計の説明に当たりまして、女性と人口との関係につきまして大変不適切な発言をしたということでございまして、その点はもう本当に申しわけなく思っているということでございます。
○佐々木(憲)委員 どうも、私のこの問題提起が余りしっかり受けとめられていないような感じがいたしますね。
これは、我々一人一人が問われている問題でもあるんです。ここに座っておられるほかの大臣も、この問題は、あれは柳澤大臣の発言なんだ、自分は関係ないというふうに思っているのではないか。これはやはり人ごとではない。人間である以上、誤りを犯すことはあると思います。何が悪かったのかということを突き詰めるということが大事なので。
私は、お座りになっている一人一人の大臣にその考えを聞きたいところでありますが、時間がありませんので、代表して、大臣のお隣に座っている尾身大臣、そのお隣の麻生大臣、このお二人に、これまでの議論を聞いて、柳澤発言のどこが悪かったのか、何を反省すべきなのか、この考え方をぜひお聞かせいただきたいと思います。
○尾身財務大臣 私も、話を聞いておりまして、柳澤大臣の発言は全体として不適切なものであると考えております。私も、内閣の一員として、ともにおわびをしたい気持ちでございます。
○麻生外務大臣 先ほど安倍総理からも既に答弁があっておりましたとおり、私も、その内容につきまして、不適切、適切さを欠いていたということははっきりしていると思っております。したがって、両院において柳澤大臣からそれに伴っての陳謝があったというふうに理解をいたしております。
○佐々木(憲)委員 不適切だったというその理由を聞いているんですが。何が不適切だったかということを聞いているわけですが、どうも、ああいう発言をしたのが、表現が悪かったというような認識ではないのか。私は、その程度の問題だというふうにとらえること自体が問題であって、だから、上辺だけ済みませんでした、悪かったですと言っているだけでは反省とは言えないわけです。
それで、総理が柳澤大臣はやめる必要はないというふうにかばい続けておられますが、ほかの大臣も結局そういう総理の姿勢と同じ姿勢であって、私は、こういう人間としての尊厳を傷つけるという発言をした人が、国民の福祉ですとか、健康ですとか、あるいは労働の分野、そういう分野で人権を守るということを職責とする、そういう厚労大臣の資格が問われたと思うんです。私は、資格はないと思う。
大臣は辞職をすべきだと思いますけれども、辞職をするかあるいは罷免をすべきだというふうに思いますが、改めて総理の見解をお聞きしたいと思います。
○安倍内閣総理大臣 当該の厚生労働大臣の発言は極めて不適切な発言であり、厚労大臣も繰り返しおわびを申し上げているところでございますし、また、私も国民の皆様におわびを申し上げた次第でございます。
柳澤大臣は、厚生労働行政の責任者として、今後、常に国民の皆様の立場に立って、社会保障政策、社会福祉政策、あるいは厚生労働行政に取り組んでいくことによってその職責を果たしていただきたい、こう考えております。
○佐々木(憲)委員 どうもこの発言の重大性というものを深く理解されていないようだし、また、なぜ悪かったのか、謝ってはいるけれども、その基本のところが認識が非常に浅いと私は思うんです。だからこそ罷免もしない、やめもしない。
では、その職責を果たすんだということですけれども、今、国民の立場に立って取り組んでいくというふうに総理もおっしゃいました。大事なことは、それならばどんな政策を進めるかということです。安心して結婚し子供を生み育てられる、そういう環境づくり、これが今問われているわけですね。
今、日本社会の現実はどうか。パート、アルバイト、派遣などの非正規雇用がどんどんふえております。雇用が不安定になっております。所得が低下し、家計が非常に苦しくなっている。そのために若い方々が結婚ができないという状況もある。結婚して子供を産もうとしても、産科医はどんどん減少しております。この場でも議論になりました。子供を産んでも託児施設、保育所が足りない、働いているお父さん、お母さんは職場で育児休暇がとりにくい、または、長時間勤務で父親の育児参加も大変困難になっている。これらの非常にたくさんの制約要因といいますか、そういうものが複合的に絡み合って少子化という現象があらわれているのではないか。
柳澤大臣、そういう認識はありますか。
○柳澤厚生労働大臣 労働の現場で女性の活躍が現にありますし、さらに我々としては期待をしたいというふうに考えておりまして、その場合には、子供さんを産んでいただく、あるいは育てる、そういうこととの関係でワーク・ライフ・バランスの実現というのは、これはもう絶対必要でございます。
今、先生が具体的にお挙げになられた育休、あるいは育休のもとでの経済的損失、逸失の利益、こうしたものの補てんを私どもとして今一生懸命やっているわけですけれども、まだなおこれは十分なものではない、こういう認識のもとに、厳しい財政事情のもとではありますけれども、それを一歩一歩着実に充実させていくために努力をしている、こういうことでございまして、今後とも同じ方向で努力を積み重ねたい、このように考えております。
○佐々木(憲)委員 今の発言を聞いていても、本当に実態というものを正確によく把握しているのかどうか。
これらの先ほど挙げたような問題点は、平成18年度少子化社会白書、これはもう皆さん御承知のものですけれども、この中にもはっきり書かれているわけです。
例えば、ここに書かれていることを挙げてみますと、結婚や結婚後の生活の資金がない、雇用が不安定であるため将来の生活設計が立てられない、結婚すると仕事と家庭、育児の両立が困難となる、育児や教育にかかる費用が重い、妻の精神的、肉体的負担の増大、夫の育児、家事の不参加、出産、子育てにより仕事をやめた場合に収入が失われる問題、これは、政府の内閣府の少子化社会白書でこういうふうにはっきり書いてあるわけです。
しかも、現実に我々が皆さんの声を聞いていると、こういう問題点がだあっと出てくるわけです。直接国民の声を聞けば、これらの問題が少子化社会の一番の根本にある。その問題を解決するために取り組むということが対策じゃないんでしょうか。私は、その認識がどうも不十分だと思うんです。あるいは欠けていると思う。知っていれば、女性に対してすべての責任を負わせて、一人頭頑張ってくれ、そういう発言にはならないはずなんです。
では、この現実に対して政府はまともに対策をとっているのか。先ほどの、働く実態に対して、有給休暇がとれないとかそういう問題も挙げられましたけれども、では、本当にそこが解決するような努力を政府はしているか。私は極めて不十分だと思うんです。
一つの例を挙げたいと思うんですが、特に深刻なのは母子家庭の場合ですね。現在、母子家庭は123万世帯あります。命の綱と言われる児童扶養手当、これを受給している世帯は96万世帯です。今はどうなっていますか。安心して子供を生み育てられる環境を整備すると言うなら、これは当然真っ先に充実するというのが当たり前じゃないでしょうか。
ところが、平成14年、支給から5年たったら手当の一部を停止するということを決めたそうですけれども、それは事実ですか。
○柳澤厚生労働大臣 御指摘の児童扶養手当の問題ですけれども、平成14年の法律改正におきまして、離婚等による生活の激変を緩和するための給付というふうに、いわばその位置づけを見直したわけでございます。そういうようなことで、受給期間が5年、この激変の期間を大体そんな期間ということで考えているわけですけれども、これを経過した場合にその一部を支給停止する仕組みを導入いたしまして、平成20年4月からこれを実施するということを予定いたしております。
その際、法律では、8歳未満の児童を養育している者あるいは障害を有する者などについては、一部支給停止の対象外といたしておりまして、また、支給停止をする場合も、全額を停止するということではなくて、給付額については少なくとも2分の1は保障しなければならない、こういうことになっております。
なお、今後、平成20年4月の実施に向けて、支給停止をする額を具体的にどうするかというようなことについては、政令で定めるということになっているわけでございますが、その政令で定める場合には、この法律を成立させていただいたときの衆参両院の厚生労働委員会における附帯決議というもの、これをよく念頭に置いて、それを踏まえて対応していかなければいけない、こう考えております。
その際、概略ですけれども、附帯決議で何が指摘されておるかといいますと、改正法施行後におけるいろいろなこうした世帯に対する施策の進展状況が一つ、それから、その後の離婚の状況、それからまた、母子福祉団体など幅広く関係者の意見を聞くことということが附帯決議されておりまして、これらを踏まえて考えていく、こういうことでございます。
○佐々木(憲)委員 いろいろ説明をされましたが、しかし、カットすることには変わりないんです。カットの仕方をどうするかという検討をするという程度の話であって、私は余りにもこれはむごいやり方だと思いますよ。今、母子家庭のお母さんは、仕事を見つけて就職することさえ大変なんですよ。
2002年11月21日の参議院厚生労働委員会で参考人で発言をされた方、小山田さんという方がおられますが、その議事録を見ますと、こういうふうに証言しています。昼夜、パートなどで働きながらも就職活動を続けました。5年間に100社余りの面接を受け、5年ですよ、100社の面接を受け、子供が小学2年になったときようやく正規雇用での職が決まりました。しかし、不況のあおりが厳しく、この春、賃金カットになってしまいました。
この方は、私たちに対してこういうふうにお話をされています。
私がショックだったのは、所得制限を引き下げた98年の改悪です。つまり、児童扶養手当の所得制限を引き下げた。このとき手当ががくっと減ってしまいました。寝ずに働くと言葉で言うと簡単だけれども、24時間365日、いつもいつも眠たくて、それでも子供の声には耳を傾けなくちゃいけないと頑張って、子供が熱を出したときも、嘔吐してもいいように洗面器を置いて出勤している。多くの一人親家庭は同じような状況だと思います。子供を高校、大学に行かせたいと思っているから、寝ずに働いている。何も総理大臣のために働いているわけじゃない。頑張って働くほど私たちの手当を減らすような人が大臣になったらどうなるのかと思っていたら、2002年にも所得制限でがくっと手当が減らされ、2003年には支給開始5年で最大半額まで減額される、本当に大変だ、こういうふうに訴えているんです。
この声に正面からこたえ対応するというのが厚労大臣、総理大臣の責任じゃないんですか。私は、職責を果たすと言うなら、こういう方々が安心できるような状態にするというのが本来の筋だと思うんです。総理、どうですか。
○安倍内閣総理大臣 この平成14年の改正において、経済的な支援と同時に、就労支援もしっかりと力を入れていこうという中においての改正であったというふうに私は承知をしております。生活の支援、そして就労を支援していく、また、養育費の確保についても何とかこれは努力をしていかなければいけないということでございます。
ですから、厚生労働大臣が答弁いたしましたように、附帯決議において、実際に平成20年からこの改正に沿って実施される際には、就労の状況等々、生活支援の状況や、また養育費の確保の状況等々をよく勘案するということになっているわけでございます。
しかしながら、14年のこの趣旨としては、母子家庭の方々がいろいろな困難の中にあるわけでありますが、就労について支援をしていく。そういう観点から、例えばマザーズハローワーク等々においては、就労のきめ細かな支援を行うように努力をしているわけでございます。
○佐々木(憲)委員 今は就労支援と言われましたが、就労ができない、就職ができない、そういう状況が続いても、5年たったらカットするというのがこの仕組みじゃないんですか。そういう仕組みをつくっておいて、何が自立支援ですか。就職ができて、所得が上がって、それでこの児童扶養手当というものが必要がなくなるというならわかりますよ。そういう必要があるのに、支給されなければならない対象なのに、就職もできないのに5年たったらカットする、そういうむごいやり方がこの仕組みなんですよ。
この人は、1994年に母子家庭になって、その後、7月に児童扶養手当の支給を受け始めました。その当時は4万240円。ところが、4年後の98年に所得制限が導入され、一部支給の2万8190円になった。大幅なカットですね。2002年に所得に応じた十円刻みの支給額となって、1万2530円になった。これが来年4月から6000円になったらどうするんですか。最初に受けた額の6分の1とか7分の1ですよ。
反省すると言うなら、こういう仕組みを見直す、それを直ちにやる、その決断をこの場でやるべきじゃないんですか。どうですか、大臣。
○柳澤厚生労働大臣 児童扶養手当の一部支給停止ということでございますけれども、これは、経済的な支援から、今総理が御答弁申し上げましたとおり、総合的な支援にする、こういうことで就労支援などをその中に入れ込んでいく。あるいは養育費につきましても、今の離婚される御夫婦の場合に、養育費というものに対する義務の感覚というものが全然ないがままに行われるというようなケースもかなり見られるというようなことで、そういったことについても、法的な義務としてこれをしっかり考えていただくということ等の法律改正もこの間行われているというふうに承知をいたしております。
というようなことで、母子家庭の自立の促進を目的とするという観点からは、この4月からの実施ということについて、私どもはこれを取りやめるということは考えておりません。今先生は、就労支援が、逆に就労するとこの金額が逓減してしまうというような御指摘もありましたけれども、これも、全部就労した収入金額が意味のなくなるようなことをしているわけではなくて、やはり、そこに一定の、就労する所得に加えてこの児童扶養手当も残るというような仕組みで、連続的に逓減をするというような制度の仕組みにもとよりなっていたということでございます。
この点は、やはり国の財政資源をいろいろなところに適切に配分していくという趣旨も背景にあるわけでございまして、ぜひ施策のこれからの展開というものについて御理解を賜りたい、このように思います。
○佐々木(憲)委員 全然理解できない、そんなのは。こんなむごいやり方をしておいて、何が自立支援ですか。就労支援という言葉はいいですよ。では、就職ができていない人の、そういう人のこの支給を何で5年でカットしちゃうんですか。そういうやり方を見直すということが大事なんじゃないですか。
少なくとも、もう一度その点は見直してみる、そのぐらいのことを言わないで、反省しているとか、尊厳を踏みにじったのはまずかったとか、そんな口先だけの話じゃだめなんですよ。具体的にこういうことをやることが本当の反省じゃないんですか。
もう一度総理にお聞きしたいんです。再検討、少なくともそういうことをやるべきじゃないんですか。
○安倍内閣総理大臣 この14年の改正の趣旨については、先ほど私が申し上げたとおりであります。
その中でこれはそれなりにきめ細かく対応をしているわけでありまして、保育所についても優先入所の法定化を行い、また、ヘルパーなどの派遣による子育て・生活支援を実施する等々の子育ての生活の支援を行っています。
また、就業支援についても、母子家庭の就業・自立支援センター事業の推進、ハローワークと連携をして母子自立支援をさらに充実していく。そしてまた、能力開発を希望する方に対しては、そういう対応をしていく、職業訓練も実施をしていく。そのように就業支援に対しての強化をしているわけでございます。
そういう中での総合的な対策であるというふうに御理解をいただきたいと思います。
○佐々木(憲)委員 全然だめだね、そんな姿勢では。
大体、少子化社会白書という中で先ほど挙げたようなさまざまな問題点、国民の苦しみが書かれているにもかかわらず、あなた方はただ書くだけなんだ、これは。具体的に、困っている人たちを救う対策を一つでもやったらどうですか。こんなこともできないようで反省していると言うことは、言葉だけになってしまって何も中身がない。
この児童扶養手当のカットをやめるとはっきりここで言えないそういう内閣は、柳澤大臣の発言の問題は個人の問題じゃない、これは内閣全体の問題だ。総理大臣を初めとして、それをかばい、まともな対応が出てこないというのは、全く私はこの内閣自身に根本的な問題があると言わざるを得ない。私は、こういう問題さえできないようでは、もう全然話にならぬとはっきり言っておきたいと思うんです。
弱者に冷たい姿勢というのは、何もこの問題だけじゃないですよ。いろいろな問題にあらわれている。例えば税制です。
まず確認したいんですが、この1月からの定率減税の廃止で所得税、住民税はどうなるのかという問題でございます。
国税庁はいろいろな説明をしておりまして、チラシなども出して、この所得税、住民税については、税源移譲があるので、合わせた全体の負担は変わらないというようなことを言っておりますが、そんなことはないんです。所得税が平成19年1月、つまりこの先月から減って、住民税が6月からふえることになりますので、御承知おきください。何か増減が変わらないような説明をいろいろな文献あるいはチラシなどでやっております。しかし、その中にも、「別の要因により、実際の負担額は変わります」、小さな字で書いてあるわけです。これはどういう意味ですか。負担はふえるのか減るのか。
具体的に聞きたいんですが、例えば夫婦子供二人で年収700万の場合、政府の説明文の中にありますけれども、住民税、所得税はどれだけ増額になるのか、その増税の総額は幾らか、お答えください。
○石井政府参考人(財務省主税局長) 今、先生御指摘ございましたように、税源移譲に伴いまして所得税から住民税に税源が移譲されますが、そのトータルの額は変わりません。ただ、定率減税の廃止という別途の制度改正がございます。これにつきましては、もともと平成11年に当時の経済状況に照らして景気対策として導入されたものを、その後の経済状況の好転等を踏まえまして、平成18年分からは半減、平成19年分からは廃止ということにいたしております。
今、お尋ねがございました給与収入700万の夫婦子二人世帯につきまして、平成18年分それから平成19年分、この二つを比較いたしますと、所得税、住民税合計でございますが、平成18年分の41万8000円の負担から、平成19年分では45万9000円、4万1000円の増というふうになります。
○佐々木(憲)委員 4万1000円の増じゃないですか。増税ですよ。
2001年と2007年の比較、これも大変私は大事だと思っておりますのは、小泉内閣が発足してからこの庶民増税というのがどんどん進んできた、高齢者に対しても増税が進んできた、負担がふえた。弱いところに対して非常に重い負担がじわじわと広がってきたのが、小泉内閣以来、この安倍内閣もそれを引き継いでいる、そういうのが実態だと思うんです。
数字をもう一度お聞きしたいんですが、世帯収入279.2万円、304.2万円、379.2万円、400万円、この2001年と2007年を比較すると、それぞれ一体どういう税負担になりますか。
○石井政府参考人 今、先生が御指摘ございました夫婦のみの世帯、妻の収入ゼロの給与世帯と妻の収入が79.2万円の年金世帯、その二つの世帯におけます2001年と2007年分の所得税、住民税を合わせた税負担額の比較という御質問でございました。
給与世帯についてまず申し上げますと、収入279万2000円の場合には5万4000円から11万9000円、6万5000円の増加になります。収入304万2000円の場合には7万2000円から14万2000円、7万円の増加でございます。収入379万2000円の場合には13万から21万2000円、8万3000円の増加でございます。収入400万の場合には14万8000円から23万4000円で、8万7000円の増加となっております。
他方、年金世帯について同様に申し上げますと、収入279万2000円の場合には両年分ともゼロでございまして、税負担増はございません。収入304万2000円の場合にはゼロから2万7000円、2万7000円の増加でございます。それから、収入379万2000円の場合には4000円から14万1000円、約13万7000円の増加、収入400万円の場合には6000円から17万円で、16万4000円の増加でございます。
年金世帯につきましては、年金課税の見直しに伴い生ずるものでございますが、これは、16年度改正におきまして、世代間あるいは高齢者間の税負担の公平を図るという観点から制度改正が行われたものでございます。
ただ、標準的な年金で暮らしておられる方については十分配慮をいたしておりますし、それから、年金を受給する世帯と現役世帯との間では、同じ収入でも税負担は軽くなっております。
○佐々木(憲)委員 私は、事実をどうかと数字を聞いているんですよ。そういう理由の説明は大臣にお聞きしますので、数字だけ答えてください。
今聞いた数字、皆さん、お手元にある資料の1枚目がそれなんですけれども、これだけこの6年間負担がふえている。このほかにも、さまざまな社会保険の負担あるいはサービスについての使用料の負担、そういうものがどんどんどんどん積み重なってきているわけです。また、それが相互に連動しております。一番弱いところにこういうものが積み重なっているというのが実態だと思うんです。そういう実態をどう我々は考えたらいいのか、いつまでも続けていいのか、そういうことを全体として考える必要があると思うんですね。
次のページをめくっていただきますと、この4年間だけとりましたけれども、所得税、住民税の負担増というものが全体として4兆5613億円になっております。こういう状況を一方で庶民中心に負担を押しつけていきながら、では、今非常に利益が上がっている大企業はどうか、大手企業の税負担はどうか。今度の税制改正で、その大手企業を中心とする減税策というのが次々と出されているのが特徴です。だれのための税制なのかというのが問われているんですよ。
例えば減価償却制度ですけれども、国、地方を含めてどれだけの減税になるか、これをお答えください、数字。
○石井政府参考人 今回の減価償却制度の見直し、国際的なイコールフッティング確保という観点で行うものでございますが、その減収額について申し上げますと、設備が除却されるまでの期間全体を通じて見ますとこれは減収増減はゼロになりますが、短期的な減収額を申し上げますと、平年度ベースで5110億円、初年度ベースで4020億円と見込んでおります。
○佐々木(憲)委員 それは国税だけですね。これは、地方税も含めますと7400億円ぐらいになるんです。そのうち、資本金10億円以上の大企業に何%集中するか、これが問題だと思うんですが、約6割が集中する。
それからもう一つ、大企業向けの減税制度として連結納税制度というのが導入された。2005事務年度の連結納税制度の状況について、何件の申告件数で、申告所得金額は幾らか。それから、親会社、子会社すべての所得金額の総額は幾らか。所得の通算効果は幾らか。その点についてはもう既に皆さんのお手元に資料を配付してありますが、全体として、467グループに対して3688億円の減税なんです。これは中小企業はほとんど利用できません、グループを形成するほど巨大な資本ではありませんので。専らと言っていいほど大企業に集中しております。
連結納税制度が導入されてから2005年までにどれくらいの減税効果があったか、この試算を出してください。
○石井政府参考人 連結納税制度の利用による減収額の試算でございます。
平成15年度、約3400億円程度、16年度、3200億円程度、17年度、約3700億円程度となっておりまして、以上合計いたしますと、3年間で約1兆円程度と見込んでおります。
○佐々木(憲)委員 その数字は皆さんのお手元にありますが、1兆308億円ですね。
それから、証券優遇税制というのもある。これは、株の売り買いで得た利益、この所得税を大幅に軽減するものです。時間がありませんので、資料を見ていただければわかりますが、この減税は極めて一部の方々に集中するわけであります。5000万円を超える所得のある方々、そこに対して6割ぐらいの部分が集中するわけであります。それは資料の四を見ていただければわかります。
さてそこで、庶民に対してこれだけ税負担がふえると一方で見ながら、他方で、巨大資本、大手企業、それから、株の取引で大もうけを上げているような大資産家に対して減税がどんどん行われている。強い者の味方ではないのか。庶民に対しては増税を押しつけながら、何で大企業減税をやるんだ。お金が足りないと言うなら、もうかっている大企業や大資産家から相応の、応分の負担、これを求めて、そこからもらったらどうか。これが普通の庶民の感覚なんです。
何でそういうふうにやらぬのかというのを明確にお答えいただきたい。
○尾身財務大臣 税制改正についていろんな御質問がございまして、私も先ほどから説明をさせていただきたいと思ってうずうずしておりました。
定率減税でございますが、定率減税は1999年1月から実施したものでございます。小渕政権のときでございまして、あのときの、今から7、8年前を思い出していただきたいのでございますが、経済が大変な状況でございました。失業率4.3%、有効求人倍率に至っては0.5だったんです。今は1.08でございまして、求人の方が求職より多い。その求職と求人の比率が半分になっている、そういう状況でございました。いわゆる不良債権も、あの当時は全体の債権の6.1%、現在はほとんど解決しておりまして、1.5%という、不良債権問題は解決したと言われているわけでございます。さらに、長期信用銀行の倒産があったり日債銀の倒産があったりして、経済が大変な状況でございました。
これを何とかしなければならないということで、臨時異例の措置として減税をしたわけでございます。その減税は、むしろ高額所得者に対しては緩くして、中低額所得者に対して非常に大きな減税をいたしました。
具体的に言いますと、所得税については、25万円を限度といたしまして納税額の20%を減税いたしました。したがいまして、これは低額所得者に物すごく厚い減税でございました。住民税も、4万円を限度として所得割の15%を控除するということでございました。
その減税を、2年前の、ほぼ経済が正常な状態に戻ったということで、前に行った減税をもとに戻すということでございました。したがいまして、前に低額所得者、中額所得者に厚い減税をしたわけでございますから、その分だけは戻すということになれば、その分の減税をもとに戻すという効果が出たのは当然のことだというふうに考えております。
それから、もう一つ言われましたのは年金課税の問題でございます。
16年度に、世代間、高齢者間の税の不公平感、つまり、高齢者については、同じ所得であっても税が非常に低過ぎる、若者の世帯、働く世帯について、これは子育て世代もそうなんでありますけれども、同じ所得でありながら高齢者に比べて税が非常に高い、そういうことを是正するべきであるということで、例えば公的年金控除、65歳以上の方々の上乗せの措置をやめたり、あるいは老年者控除を廃止したということでございます。
しかしながら、なお、働き世代、つまり子育て世代も含めた働き世代の税金は、同じ所得であっても高齢者の世帯よりも高い、そういう差別がついているわけでございます。
この具体的な数字を申し上げますと、280万円の高齢者世帯の場合は、基本的には税負担が生じておりません。しかし、同じ280万円の所得であっても、夫婦で二人、若者の場合には、いわゆる働き世代の場合には、所得税が4万円、住民税が8万円で、合計12万円の税負担がかかっているわけでございます。
そういう意味で、今でもなお、同じ所得であっても、高齢者についての税は優遇をして、働き手の方に高齢者に比べて高い負担がかかっているという実態にございます。したがいまして、高齢者について非常に厳しいという御批判は当たらないというふうに考えております。
企業減税についても申し上げます。先ほどお話がございました。
減価償却、95%を今度は100%にすることにいたしました。したがいまして、今、経済が国際化する中で、企業がどの国を生産拠点、経済活動の拠点として選ぶかということを決められる時代になりました。日本も、そういう意味で税制において諸外国とイコールフッティングの税制にしなければならない、そういう考え方のもとに改正をしたわけでございまして、減価償却については、今まで95%しか償却を認めていなかったのは日本だけでございまして、それを、ほかの国並みに100%の償却を認めるということにしたわけでございます。
なお、これは大企業に固有のものではございませんで、中小企業も全く同じにしたわけでございまして、大企業優遇という批判は当たらないと考えております。
まだ申し上げたいんですが、時間がございませんから、まだ幾つか残しておりますが、これでとりあえず終わりにさせてもらいます。
○佐々木(憲)委員 質問に対してまともに答えないで、長々長々長々と時間ばかりつぶして、だめじゃないですか、そんな答弁じゃ。中身もなっていない。
私が問うたのは、利益の上がっている大企業、そういうところにどんどん減税をして、今、消費が低迷しているとミニ経済白書も言っているときに、家計に負担を負わせることばかりやっている、それがおかしいんじゃないかと聞いているんですよ。一つ一つの税制の説明を聞いているんじゃないんだよ。基本的な姿勢を聞いているんですよ。そんな細かな、細かなとは言いませんけれども、長々長々答弁されると、私が言いたいこと、まともに答弁になっていないということじゃないですか、それは。
本当にどうにもならぬね、これは。こんな状況だと、委員長、これでもう時間がなくなっちゃって、答弁の仕方についても理事会で問題にしていただきたい。このことを指摘しておきたいと思います。
いずれにしましても、今の答弁で明らかになったのは、大企業に対してどんどん減税をする、大金持ちに減税をするのが当たり前、庶民に増税するのも当たり前という、この内閣の国民に対する冷たい姿勢が非常にはっきり浮かび上がった、それだけは確かだということを指摘して、質問を終わります。
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